身内に起こる不幸は、いつも突然です。たとえ長患いをしているご家族がいたとしても、その死の正確な日時はだれにも分からないからです。そのため、このような「突然の不幸」に襲われた場合、人は混乱します。
ただこの混乱を最小限にするために、ここでは「身内に不幸があった場合に、喪主(となるべき人)が行うこと」「ご親族が行うべきこと」「必要な手続きとは何か」「気を付けるべきことは何か」を解説しつつ、「身内に不幸があった場合に取るべき行動」について解説していきます。
身内の不幸があった場合に喪主が行うべきこと
身内に不幸があった場合、その連絡を受けた人が取るべき行動について解説していきます。
なおここでは、「喪主となりうる立場の人が、身内の不幸の連絡を最初に受けた場合」を想定してお話していきます。
※喪主は一般的に、故人と近しい関係の者で、かつ年長の者が務めます。1.配偶者、2.子ども、とりわけ長子あるいは長男。ただし例外もあります。
親族や関係者へ訃報の連絡
訃報を受けた人がまず行うべきことは、「家族や親族、関係者への連絡」です。これには優先順位があります。
- 家族
- 三親等以内の親族(※ただし三親等に入っていなくても、故人との仲が良かった人には連絡する)
- 故人の友人知人、関係者
- 家族の友人知人、関係者
- 町内会や自治会など
なお、現在非常によく選ばれる「家族葬」の場合は、原則として「呼ぶ人」にしか声を掛けません。ただし学校や勤務先がある場合は忌引き休暇を取らなければならないので、「亡くなったこと」は伝えるようにしましょう。菩提寺がある場合は、菩提寺への連絡も欠かさずに行います。
また連絡は、基本は電話で行います。ただし電話が繋がらない場合は、メールなどを利用しましょう。
葬儀社への連絡
家族・親族・関係者への連絡と並行して、葬儀社に連絡を行います。葬儀社は365日24時間電話を受け付けていますから、亡くなった時点で連絡をしましょう。なぜなら病院で亡くなった場合でも、霊安室は長くは使えないからです。
その後、故人を葬儀社の寝台車に乗せて安置場所まで運びます。
この「亡くなってから安置場所に移動するまで」にかけられる時間は、非常に短いものです。そんななかで葬儀社を選ぶ必要があるわけです。そのため、可能ならばその前から、葬儀社を選んでおいた方がよいでしょう。
菩提寺への連絡
菩提寺がある場合は、菩提寺への連絡も行いましょう。
葬儀をする場合は、ご家族のスケジュール・菩提寺のスケジュール・火葬場の空き状況・葬儀ホールの空き状況(※「特にこの葬儀ホールで行いたい!」という強い希望がある場合)をすりあわせて日程を決めていかなければなりません。
原則は菩提寺のご都合を最優先して葬儀日程を決定しますが、どうしてもスケジュールが合わない場合は、菩提寺側から「都合のつく同系列のお寺」を紹介してもらえる場合もあります。いずれにせよ、菩提寺への連絡をせずにスケジュールを決定してしまうことは、避けた方が賢明です。
身内の不幸があった場合に家族・親族が行うべきこと
上記でも少し触れましたが、「忌引きのための連絡」は非常に重要です。これは、通夜~葬儀で学校や会社を休まなければならない人すべてに関わってくる話です。
上司や取引先への連絡
会社勤めの場合は、まず上司や取引先に連絡をします。この場合は葬儀の日程などを伝える必要がありますが、「夜の23時に亡くなり、明日の朝の9時に会議がある」などの場合は、葬儀の日程が決まっていなくても、取り急ぎ「亡くなったこと」だけでも伝えるようにした方がよいでしょう。
なお、連絡の仕方は後述します。
忌引休暇の取得
多くの会社では、「忌引き休暇」を設けています。
これは、「身内が亡くなったときに、一定期間与えられる休暇」をいいます。
この忌引き休暇は、実は法律上で定められたものではありません。そのため、忌引き休暇の有無や日数は、会社ごとに異なります。ただここでは、一般的な忌引き休暇の目安となる日数を紹介しておきます。
故人との関係 | 忌引き日数 |
配偶者 | 10日間 |
実父母 | 7日間 |
子 | 5日間 |
兄弟姉妹 | 3日間 |
祖父母 | 3日間 |
配偶者の父母 | 3日間 |
配偶者の祖父母 | 1日間 |
身内の不幸があった場合に必要な手続き
ここからは、身内に不幸があった場合に行うべき手続きについて解説します。
早急におこなうべき手続き
<主な手続き>
- ・年金受給停止手続き
- ・介護保険資格喪失届
- ・住民票の抹消届
- ・世帯主の変更届
- ・雇用保険受給資格者証の返還(雇用保険を受給していた場合)
- ・所得税準確定申告、納税
- ・相続税の申告、納税
- ・国民年金の死亡一時金請求
- ・埋葬料請求(健康保険に加入の場合)
- ・葬祭料、家族葬祭料請求(船員保険に加入の場合)
- ・葬祭費請求(国民健康保険に加入の場合)
- ・高額医療保険の請求
- ・遺族年金の請求
できるだけ早めにやるべき手続き
<主な手続き>
- ・生命保険金の請求
- ・不動産や預貯金
- ・株式などの名義変更
- ・自動車の所有権移転
- ・電話や公共料金の名義変更または解約
- ・クレジットカードの解約
- ・運転免許証の返納
- ・パスポートの失効手続
身内の不幸があった場合に必要な手続き
身内に不幸があった場合は、それを分かりやすく、簡潔に、かつ間違いなく伝えなければなりません。
このときに伝えるべきことは、「葬儀について決まっているか」「連絡相手は誰か」「家族葬か否か」で決まってきます。
- ・自分の名前
- ・故人の名前と、故人と自分の関係
- ・故人が亡くなった日
- ・すでに葬儀の日程が決まっているのであればその日程(※家族葬の場合でも必要)
- ・すでに葬儀の場所が決まっているのであればその場所(※家族葬の場合は必須ではない)
- ・喪主の名前と、自分との関係性(※家族葬の場合は必須ではない)
- ・供花や供物などを辞退する場合はその旨
- ・対会社・学校に忌引き休暇の取得を伝えたい場合は、その日程
ここからは、告げ方の例文について解説していきます。
電話の場合
【葬儀の参列を予定している三親等以内の親族に】【取り急ぎ亡くなったことを伝えて、すぐに来てほしい場合】
「お世話になっています、××です。本日昼、父の〇〇が亡くなりました。通夜などについては決まり次第御連絡します。喪主は私が務める予定で、連絡先は(自分の携帯番号)です。よろしくお願いいたします」
メールの場合
【家族葬であるため、葬儀には呼ばない予定の総務部に】【忌引き休暇の申請をしたい場合】
「タイトル/訃報〇〇逝去のお知らせ
いつもはお世話になっております、××部署の××です。本日昼、息子▽▽が亡くなりました。葬儀は〇月×日に行う予定ですが、近親者のみで見送ります。また、ご厚志に関しましても、大変かってながら辞退申し上げます。
つきましては、忌引き休暇を★月◇日~◆日までいただければと思います。よろしくご確認をお願いいたします。
喪主(私です)の連絡先は、(携帯番号)です」
【明日朝一に会議のある取引先に】【日程の変更を伝えたい場合】
「タイトル/★月◇日会議日程変更のお願い
いつもお世話になっております、××会社××部門の××です。★日◇日の会議の日程の変更の件でご連絡差し上げました。
本日昼に父〇〇が亡くなったため、スケジュールの変更をお願いできますでしょうか。お忙しいなかご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。当方の携帯電話番号はこちらです(携帯番号)。
また、忌引き休暇中の御連絡は、弊社の△△が務めさせていただきます(△△の携帯番号)
直前での予定変更、誠に申し訳ございません。よろしくお願いいたします」
身内の不幸があった場合に気をつけるべきこと
ここからは、身内の不幸があった場合に備えて知っておくべきこと・気を付けるべきことについて解説していきます。
忌中期間
「忌中」とは、故人のために身を慎んで過ごす期間のことをいいます。「忌中」とされるのは仏教では49日まで、神道ならば50日までです。
この期間は、次の対応が求められます。
- ・新年の挨拶を控える
- ・結婚式などには出ない
- ・神社には行かない
- ・冠婚葬祭の「「冠」「婚」「祭」を控える
喪中期間
「喪中」は、「忌中」をなかに含む期間であり、故人が旅立ってからおおよそ1年間を指します。ただしこのあたりは、ご家庭によって多少考え方が違います。
この喪中期間は、
- ・神社にはいかない
- ・2022年の11月に亡くなったのであれば、2023年の年賀状は控える
- ・忌中のときと同じように、神社には行かないようにする(※ただしお寺への初詣はOK)
とされています。
忌引き明けの対応
人の死は読み切れないものですから、忌引き休暇が発生するのは止むを得ないことです。ただ忌引き休暇後、職場に復帰するときは、菓子折りなどを持っていきお礼を述べるのがよいでしょう。また、「会社の人に受付をしてもらった」などの場合も、お礼を忘れないようにしてください。
なお、個人として不祝儀を渡してくれた人に対しては、香典返しを渡す必要があります。
現在は「即日返し(3,000円程度の香典返しを、葬儀・通夜の告別式で渡す方法」という方法が取られており、会社の人から頂くであろう金額の目安である「10,000円」ならば、この即日返しで間に合いますが、それ以上の金額を包んでくれた人には個別で香典返しを渡しましょう。
なお、会社名義での不祝儀に関しては、「会社の規約上、香典返しは受け取れない」とされる場合もあります。この場合は、多額であってもその意向に沿いましょう。

身内の不幸があった際のよくある疑問・質問
ここからは、身内に不幸があった場合のよくある疑問について回答していきます。
「身内の不幸」の「身内」とはどこまで?
一般的には、二親等(祖父母・兄弟・孫まで)とされることが多いといえます。
ただしこれは絶対的な決まりではありません。故人と親しく付き合っていたのであれば、二親等よりも遠い存在であっても、喪に服してもまったく問題はありません。
身内の不幸があった人に対してはなんて言う?
身内に不幸があった人に対して掛ける言葉は、宗教ごとで異なります。ただし、どの宗教でも「切れる」「死ぬ」などの縁起の悪い言葉はNGとされますし、「重なる」「またまた」などの重ね言葉、生死を直接表す言葉は使ってはいけません。
- ・ご冥福をお祈りします(仏教・浄土真宗以外)
- ・お悔やみ申し上げます(主に仏教、浄土真宗でも使用可)
- ・御霊が安らかであるようお祈り申し上げます(神道)
- ・〇〇様が、神の御許で永遠の安息を得られますよう(キリスト教)
- ・〇〇様が安らかな眠りをお祈りいたします(どの宗派でも使える)
などがお悔やみの言葉として挙げられます。
まとめ
身内に不幸があったときは、まず「各所への連絡」を行う必要があります。連絡は電話でもメールでも構いませんが、原則として電話を使います。
そのうえで、行うべき書類手続きをすませましょう。
また、このようなときになった場合に困らないようにするために、「喪中と忌中とは」「忌引き明けには菓子折りを渡してお礼を言う」などのような知識とマナーを知っておかなければなりません。
葬儀のことで不明点があれば、なんでもサン・ライフにお聞きください。
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査 1級葬祭ディレクター高橋 竜一
株式会社サン・ライフは安心のご葬儀・お葬式・家族葬をお手伝いいたします。