
「死去」という言葉は、身近な方が亡くなったことを伝える際によく使われる言葉です。しかしいざというとき、どのように伝えたら良いのか迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では死去の意味や使い方について例文を交えながら詳しく解説します。また「逝去」など類似語との違いにも触れ、状況に応じた適切な言葉遣いができるようご紹介しています。
ぜひ参考にしてください。
目次
死去とは? 読み方と意味を解説
「死去(しきょ)」は、人の死を表す一般的な言葉として広く認識されています。ニュース記事や日常会話など、さまざまな場面で使われる表現です。
特に故人の家族や親族が、会社の上司・友人などの関係者に訃報を伝える際によく用いられます。ただし死去は尊敬語ではなく特別な敬意が込められているわけではないため、相手や状況に応じて適切な言葉を選ぶことが大切です。
例えば故人が目上の方や公的な場面で訃報を伝える場合には、より丁寧な表現として「逝去(せいきょ)」を使用するのが適切です。一方で親しい間柄の人に対して、より穏やかな表現を用いたい場合は、「亡くなる」や「お亡くなりになる」といった言い回しを使うこともあります。
例文で見る死去の使い方を紹介
「死去」は、日常会話やニュース記事などで広く用いられる表現です。ここではシーン別ごとに具体的な使い方を例文と共にご紹介します。
家族や親族の訃報を伝える場合
例:「父が昨日、死去しました」
ニュースや公的な文章で使われる場合
例:「著名な作家が90歳で死去しました」
第三者の死を報告する場合
例:「〇〇さんのご尊父が死去されたそうです」
ビジネスの場面での訃報連絡
例:「取引先の社長が死去されたとのことです」
ただし死去は、敬語ではないため目上の方には「逝去/ご逝去」などを使う方が適切です。死去以外の表現を使った言い方は、この後に例文を交えながら具体的に解説します。
【例文付き】死去とその他の類似語の違い
死去と類似する表現にはいくつかの種類があります。それぞれ異なるニュアンスを持ち、使用する場面や状況に応じて適切な言葉があるため使い分けましょう。ここでは死去の類義語を解説しながら例文を交えて正しい使い方をご紹介します。
死去と死亡
「死亡」は、人が亡くなったという事実を客観的に伝える際に使用される言葉です。事故や事件などのニュース報道や死亡診断書などの医療関係の記録、法律文書といった公式文書を中心に使われ、感情を交えずに伝える手段となります。
無機質で事務的な響きを持っており、個人的な会話で使うことは多くないため、故人の遺族(当事者)または関係者などと話す際には注意が必要です。特に通夜や葬儀では「亡くなる」「逝去」など、遺族に配慮した丁寧な表現を選びましょう。
例文
「交通事故により、〇〇さんが死亡しました」
「〇〇市で発生した交通事故により、男性1名が死亡しました」
「〇〇容疑者は、〇〇さんを死亡させた疑いが持たれています」
死去と亡くなる
「亡くなる」は、お悔やみの言葉を述べる場面で用いられることが多く、遺族への配慮を示す自然な表現です。死を婉曲的に表現するので、死去と比べて柔らかく丁寧な印象を与えます。
身内にも身内以外にも適用できるため使いやすい言葉ですが、身内以外の人に言及する際には「お亡くなりなる」を使うとより丁寧な表現となります。
例文
「叔母が先月亡くなり、親族のみで見送りました」
「友達の〇〇さんが突然亡くなり、深い悲しみに暮れています」
「〇〇さんの奥様が突然お亡くなりになったと聞いています」
死去と逝去
「逝去」は、亡くなった方に対し敬意を込めた表現であり、主に目上の方や他人の死を伝える際に用いられます。公的な発表や弔辞、訃報の文章など、格式のあるフォーマルな場面で使用するのが一般的です。そのためニュース記事や会社の訃報通知などでも見られる表現です。
死去に比べて丁寧で敬意を含む言葉であるため、自分の家族や身内について話す際には用いません。身内の死を伝える場合は「亡くなる」や「死去」を使うのが適切です。
例文
「〇〇社長が逝去されました」
「〇〇先生のご逝去を悼み、心からお悔やみ申し上げます」
「〇〇様がご逝去されてから、まだ日が浅いので落ち着かない日々です」
また逝去の使い方を詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>ご逝去とは?言葉の意味や死去との違い、実際の使い方を解説
死去と永眠
「永眠」は、人が亡くなることを柔らかく表現する婉曲的な言葉で、「静かに眠るように亡くなった」という意味を持ちます。死去や死亡といった直接的な表現よりも穏やかで落ち着いた印象を与えるため、弔辞やお悔やみの言葉、訃報の際によく使われます。特に故人の死を丁寧に伝えたい場面で適した表現です。
また永眠は遺族や関係者への配慮を込める際にも用いられ、身内だけではなく他者に対しても使用できます。追悼文や喪中はがき、葬儀の案内状など、正式な書面で使われることが多く、宗教を問わず広く受け入れられる表現といえます。
例文
「〇〇さんが昨晩、永眠されました」
「安らかに永眠されますよう、心よりお祈り申し上げます」
「〇〇様のご永眠の報に接し、深い哀悼の意を表します」
死去と他界
「他界」は、仏教をはじめとする宗教的な意味を持つ表現で、この世から別の世界(あの世)へ行くという意味を含みます。そのため単に「亡くなる」と言うよりも、故人が新たな世界へ旅立ったというニュアンスを持ち、死を穏やかに伝えたいときに適した言葉です。
この表現は優しく、遺族や関係者への配慮を込めた言い回しとして用いられることが多いため、弔辞やお悔やみの言葉、訃報の際によく使われます。特に故人の死を悲しむだけではなく、新たな世界での安寧を願う意味合いも含まれており、宗教的な場面でも自然に使われます。
ただし公的な発表やニュース記事では死去が一般的であり、公式な文書では使用を控えることが多い点に注意が必要です。
例文
「祖父が他界しました」
「〇〇様のご他界を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます」
「ご家族の皆様が心穏やかに過ごされますよう、他界された〇〇様のご冥福をお祈り申し上げます」
死去と昇天
「昇天」は、信仰に基づく死の表現として用いられます。昇天という字の通り、亡くなった人の魂が天に昇る、神の元へ召されるなどの意味合いを持つ言葉です。
一般的な会話や報道ではあまり見られませんが、キリスト教の葬儀や追悼文などで使用されることが多く、故人の魂が天国で安らかに過ごすことを願う気持ちを込めた言葉として使われます。
例文
「彼はご家族に見守られながら静かに昇天されました」
「〇〇さんの魂が、天国で安らかに昇天されることを願っています」
身内が死去したときの連絡方法
身内が亡くなったという知らせは、状況や相手との関係性に合わせて適切な方法で伝えることが大切です。ここでは電話・メール・ハガキの3つの方法を具体的な例文を交えながらご紹介します。
電話で伝える場合
電話は緊急性が高く、直接気持ちを伝えたい場合に適しています。特に親族や親しい友人、職場の上司などには電話で連絡するのが一般的です。
例文 |
〇〇です。突然のご連絡で申し訳ありません。〇〇(故人の名前)が本日〇月〇日に死去しました。急ではございますが、お時間があればお別れに来ていただければと思います。通夜と葬儀の日程は決まり次第ご連絡いたします。ご用の際は、私の携帯番号までご連絡ください。 |
また訃報の連絡を受けた場合の対応や返信方法などを詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
>>訃報の返信はいつ? 注意点やお悔やみの言葉をメールで送る際の例文を紹介
メールで伝える場合
メールは、すぐに電話をかけられない場合や、多くの人に一度に連絡する際に適しています。友人だけではなく会社関係や取引先などに送ることも考え、格式を重んじて簡潔に要点を伝えることが大切です。
例文 |
件名:訃報連絡のお知らせ
本文 葬儀・告別式を以下の通り執り行いますので、ご報告申し上げます。 故 〇〇 葬儀告別式 通夜 ◯年◯月◯日(◯) 午前◯時より 故人を偲び、ご参列賜りますようお願い申し上げます。 |
ハガキで伝える場合
ハガキでの連絡は、葬儀後に訃報を伝える際に適しています。なおハガキで訃報を伝える場合は死亡通知状となります。礼儀を重んじ、簡潔ながらも丁寧な文面にすることが重要です。
例文 |
拝啓
このたび〇〇(故人の名前)が〇月〇日に永眠いたしました 本来であれば直接ご報告申し上げるべきところ 略儀ながら書面にてご通知申し上げます 寒さ(または暑さ)厳しき折 くれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます 敬具 |
身内が亡くなったら葬儀に誰を呼ぶ?
身内が亡くなった際、葬儀に誰を呼ぶべきかを迷うのではないでしょうか。基本的には故人に近しい方に連絡しますが、故人の遺志がある場合はそちらを尊重します。また葬儀の準備を進めるに当たり、葬儀社や菩提寺にも速やかに連絡を取り、適切な対応を相談することが大切です。
3親等までの家族・親戚
最初に連絡をするのは、故人と血縁関係のある家族や親族です。一般的に3親等までの範囲の親族が該当します。
親等 | 続柄 |
1親等 | 両親/子ども(息子・娘) |
2親等 | 兄弟姉妹/祖父母/孫 |
3親等 | おじ・おば/甥・姪/曾祖父母/曾孫 |
これらの親族は故人との関係が近く、葬儀への参列を希望する場合が多いためできるだけ早く連絡を入れることが望ましいでしょう。
故人と仲の良い友人
家族葬を執り行う場合、必ずしも友人を招く必要はありませんが、故人と特に親しかった友人には、事前に訃報を伝えておくと良いでしょう。生前、長年親しくしていた友人や趣味仲間、故人が生前よく話していた人物がいれば家族と相談の上で連絡を入れることをおすすめします。
携帯電話に登録された番号や住所録、年賀状などから検討する方法もあります。突然の訃報に驚かれることもあるため、丁寧な言葉遣いで伝えましょう。
故人の会社関係
故人が会社勤めをしていた場合、会社関係者への連絡も重要です。まずは直属の上司に連絡を入れ、社内での周知方法や取引先などへの連絡に関して相談するのが適切です。
その上で周知を行う場合、一般的には社内メールやチャットツールなどを使いますが、関係性に応じて個別に連絡しましょう。
家族葬をする場合でも、参列者の範囲には特に決まりがないため悩む方もいるかもしれません。参列者の目安や葬儀の準備、当日までに進めるべきことなどを詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
>>家族葬の範囲はどこまで?呼んだほうがいい人の目安や葬儀の流れ
葬儀に参列する際の注意点
葬儀に参列する際には故人を偲び、遺族の気持ちに寄り添う姿勢を持つ礼儀やマナーが大切です。特に遺族や参列者に配慮し、慎重な言動が求められるでしょう。そこで葬儀の場で気を付けるべき点を解説します。
忌み言葉を避ける
忌み言葉とは、お葬式や結婚式など特定の場面で使うと縁起が悪いとされる言葉のことです。日本には古来より「言霊(ことだま)」という思想があり、言葉に魂が宿り、口にすると現実になると信じられてきました。
葬儀の場で避けるべき言葉は、「大変」「落ちる」、数字の「四(死)」「九(苦)」など不幸を連想させる言葉、「再び」「追って」「引き続き」なども不幸の繰り返しを連想させる言葉として忌み言葉とされています。
また「重ね重ね」「再三」といった重ね言葉も不幸が続くことを連想させるため、慎重に言葉を選び弔意を示す際には適切な表現を心掛けましょう。
死因を聞かない
故人の死因が分からなくても、葬儀の場で遺族に尋ねるのは避けましょう。遺族は悲しみに暮れており、死因に触れてほしくない場合もあるからです。
遺族が自ら話し始めた場合を除き、詳細を話すことで辛い思いが増してしまう可能性があるため、こちらから詮索するような言動は控えてください。心からのお悔やみの気持ちを伝えることに専念しましょう。
葬儀に参列できないときのマナー
やむを得ない事情で葬儀に参列できない場合、弔意を示す方法として弔電を送ることが一般的です。弔電は故人への哀悼の意を表し、遺族の気持ちに寄り添うメッセージを伝えるものです。
弔電の例文
〇〇様のご逝去の報に接し 深い悲しみにたえません 安らかに眠られますよう、心よりお祈り申し上げます ご遺族の皆様も どうかご自愛ください
可能であれば、後日改めて遺族に直接お悔やみの言葉を伝えましょう。状況に応じて、お供え物や香典を送ることも弔意を表す手段の一つです。遺族の状況に応じて、適切な形で哀悼の意を示しましょう。
まとめ
葬儀に参列する際は故人を偲ぶと共に、遺族への配慮が欠かせません。死去や逝去などの言葉の違いを理解し正しく伝えることや忌み言葉を避けて慎重な言葉遣いを心掛けることが大切です。参列する際はマナーを守り、参列できない場合には弔電や香典を通じて弔意を示しましょう。
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