大切な家族や友人へ想いを伝える「遺書」と、法的な効力を持つ「遺言書」。遺書と遺言書は同じ意味と捉えられがちですが、実は全く異なります。そのためそれぞれの特徴を理解し、正しく使い分けることが重要です。

    本記事では、遺書と遺言書の具体的な違いについて分かりやすく解説し、例文も紹介します。自分の想いをしっかりと伝え、スムーズな相続を実現するためにもぜひ参考にしてください。

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    遺書と遺言書の違いを解説

    初めに、遺書と遺言書の違いについて説明します。正しく使い分けるためにも理解しておきましょう。

    遺書とは?

    遺書とは、死後に残された家族や友人などへ自分の想いを伝える手段のことです。死を覚悟した方が、これまで言葉にできなかった愛情や感謝の気持ち、共有したい思い出、話せなかった過去の出来事、最後の願いなどを自由に書き残せます。

    大切な方との最後のコミュニケーションであり、自身の心の整理をするのにも役立ちます。ただし法的な効力はなく、相続手続きには直接的には関与しません。

    遺言書とは?

    遺言書とは、財産や権利の承継を誰に分配するかを指定する文書のことです。法的な効力があり、亡くなった後の遺産分割を円滑に進めるために重要な役割を果たします。

    遺言書には、遺書のように自分の希望や気持ちを伝えるメッセージを残すこともありますが、あくまでも誰に財産を譲るか、管理するかといった内容を法律にのっとって明確にすることが大切です。それにより、故人の思いや家族への希望を反映できます。

    遺言書の効力が及ぶ8つの項目

    遺言書は、相続人の権利・義務を調整するさまざまな効力を持っています。ここでは、遺言書の効力が及ぶ8つの項目を分かりやすく表にまとめ、それぞれの内容と具体的な例を説明します。

    項目 効力の内容と遺言書の例
    相続人の指定・相続分の指定 誰に何を相続させるかを指定できる(例)300万円を〇〇財団に寄付、残りを兄弟2人に相続させる
    相続人の廃除 特定の相続人の相続権を剥奪できる(例)次女は〇〇など社会的な迷惑行為をしたため排除する
    遺産分割方法の指定 遺産をどのように分割するかを指定または禁止できる(例)妻には預貯金を、長男には不動産と株式の全てを相続させる
    特別受益の持ち戻し免除 相続人が生前に受けた財産(特別受益)を、遺産分割の対象から除外できる(例)長男が生前に受けた車は、特別受益として持ち戻さない
    非嫡出子の認知 非嫡出子を嫡出子と同じ相続人として認めることができる(例)〇〇は、私の非嫡出子であることを認め、相続人とする
    未成年者の後見人指定 未成年者の財産を管理し、その成長を見守る後見人を指定できる(例)未成年の長男の後見人は、私の弟である△△とする
    遺言執行者の指定 遺言書の内容を実行する人を指定できる(例)遺言の執行者は、弁護士〇〇とする
    祭祀承継者の指定 仏壇などの祭祀を誰に継承させるかを指定できる(例)仏壇は長男〇〇に継承させ、祭祀は長女△△に依頼する

    遺言書の効力が及ばない5つの項目

    遺言書は、被相続人の意思に基づいて財産や権利の承継を定める法的文書ですが、法律で定められた範囲を超えるような内容については効力が及びません。どのような項目があるか見ていきましょう。

    項目 効力のない内容
    養子縁組・離婚・結婚 遺言書で指定しても、実際の養子縁組、離婚、結婚の成立には影響しない
    これらは本人たちの意思による変更であり、法的手続きに基づいて行われる
    家族への願い 遺言書に記載した家族への感謝や、残された家族への願いなどを伝えることは可能だが、法的な効力はない
    事業の継承方法などの希望 遺言書で事業の承継方法を指定しても、相続人の意思によって変更できる
    継承方法は別途対策が必要
    臓器提供・遺体の処理方法 遺言書で臓器提供や遺体の処理方法は、あくまでも希望として伝えることは可能だが、法的な効力はない
    臓器提供には、本人の意思確認とともに家族の同意が必要
    自分の葬儀の方法 遺言書で自分の葬儀の方法を具体的に指定することはできないが、「希望」を付言事項として書くことは可能

    遺言書の種類は主に3つ

    遺言書は法律で定められた方式で作成する必要があり、3つの種類に分けられます。それぞれの特徴、メリット・デメリット、作成方法などを詳しく解説します。

    遺言書の種類①自筆証書遺言

    自筆証書遺言は、遺言者本人が自筆で作成する最も手軽な書類といえます。パソコンやワープロなどではなく、全文、日付、署名まで全て自筆で行い、押印までした書類が有効になり、証人も必要ありません。

    自筆証書遺言は時間や場所も選ばずいつでも作成でき、費用がかからないため経済的な負担も少なくて済みます。作成後に変更したい場合も、すぐに書き直すことが可能です。

    ただし自宅で保管すると紛失や改ざん、隠蔽のリスクがあるので管理には十分注意しなくてはなりません。

    遺言書の種類②公正証書遺言

    公正証書遺言とは、遺言者が法律の専門家である公証人の面前で遺言内容を述べ、公証人が証人2名の立ち会いのもと作成する遺言書のことです。

    財産が多い方や、病気などで手書きが困難な方に利用されることが多い書類で、公証人が内容を読み上げて確認しながら作成します。遺言者は作成に当たって公証人に無料で相談したりアドバイスを受けたりすることも可能です。

    作成した遺言書は公証役場で保管でき、家庭裁判所での検認手続きを行う必要もありません。そのため改ざんや紛失といったリスクは極めて低いのが大きなメリットです。

    ただし作成した遺言書には証人がいるため、秘密にするのは難しいと認識しておきましょう。

    遺言書の種類③秘密証書遺言

    秘密証書遺言は遺言書の内容を秘密にしたまま、その存在だけを公証役場で証明できる書類です。遺言者は自筆で遺言書を作成し、封緘(ふうかん)した上で公証人に提出します。公証人は遺言書が本人によって作成されたものであることを確認し、その存在を証明する公正証書を作成する流れとなっています。

    生前に内容が他の方に漏れることはありません。さらに改ざんのリスクが低くなるだけではなく、紛失・消失などを防げるのがメリットです。一方で、公証人や証人に提出し公正証書を作成するのに手間や費用が発生するというデメリットがあります。

    遺言書の書き方のコツ

    遺言書は正しく書くことが重要です。ここでは遺言書に記載するべき内容のポイントと例文を紹介します。

    遺言書に書く際に必要な内容

    遺言書を作成する際には、以下の内容を漏れなく記載しましょう。

    事項 遺言の内容
    身分に関する事項 ・内縁の妻との間の子どもを認知、相続人に加える
    ・相続人が未成年者の場合は後見人を指定する
    相続に関する事項 ・相続分の指定
    ・相続分割の方法の指定、禁止
    ・推定相続人の廃除
    ・特別受益の持ち戻し免除
    ・遺産分割した財産の担保責任の指定
    ・遺留分減殺方法の指定
    遺産処分に関する事項 ・遺贈
    ・寄付
    ・信託の指定
    遺言執行に関する事項 遺言執行者の指定及び指定の委託、職務内容の指定
    その他 ・祭祀主宰者を誰にするのか
    ・生命保険金の受取人を誰にするのかなど

    遺言書は自身の気持ちよりも自分の意思を明確にすることが大切です。これらの項目の記載がないと、法的効力を失う可能性もあります。

    遺言書の例文を紹介

    実際にどのように記載すれば良いのか、例文を2つご紹介します。

    遺言者
    氏名:田中太郎
    住所:〒〇〇ー〇〇 東京都千代田区千代田〇-〇-〇
    生年月日:1960年1月1日
    本籍:東京都千代田区千代田〇-〇-〇1.不動産
    〒〇〇ー〇〇 東京都千代田区千代田〇-〇-〇 所在地の土地建物は、私の妻花子(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。

    2.預貯金
    〇銀行〇支店 普通預金口座番号 12345678 の残高を、私の長男一郎(平成〇年〇月〇日生)に相続させる。
    〇銀行〇支店 定期預金口座番号 87654321 の満期金は、私の長女一実(平成〇年〇月〇日生)に相続させる。

    3.その他
    祭祀主宰者は長男の田中一郎とする。
    私のコレクションの絵画〇と〇は友人の〇〇に遺贈する。

    遺言執行者は弁護士の〇〇に指定する。
    住所:〒〇〇ー〇〇 東京都千代田区千代田〇-〇-〇
    遺言執行者の報酬額は、遺言執行にかかった実費相当とする。

    4.付言
    長男・長女には預貯金を均等に分配している。いつまでも仲良く、母親を支えてくれることを望む。

    作成年月日:2024年7月11日
    住所:〒〇〇ー〇〇
    東京都千代田区千代田〇-〇-〇

    田中 太郎
    署名捺印

    私は、平成〇年〇月〇日生まれの田中 太郎と申します。私はこの遺言書をもって、私の財産について以下の通り遺言します。

    第1条 妻 田中花子(昭和〇年〇月〇日生)に以下の財産を相続させます。
    土地・建物 〒〇〇ー〇〇東京都千代田区千代田〇-〇-〇
    木造 2階建て 床面積〇〇平米

    第2条 長男 田中一郎(平成〇年〇月〇日生)に次の財産を相続させます。
    〇銀行〇支店 普通預金口座番号 12345678 タナカタロウ
    株式会社Aの株式 〇〇株

    第3条 長女 田中一実(平成〇年〇月〇日生)に次の財産を相続させます。
    〇銀行〇支店 定期預金の満期金 口座番号 87654321 タナカタロウ
    私の所有する車 車種 ナンバー

    第4条 友人の〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に次の財産を遺贈します。
    私のコレクションの絵画〇と〇

    第5条 遺言執行者は、〇〇弁護士(住所:〒〇〇ー〇〇 東京都千代田区千代田〇-〇-〇)とします。

    この遺言書は、平成〇年〇月〇日に作成しました。

    署名 田中 太郎
    捺印

    遺言書を作成する際の注意点

    ここでは遺言書の作成に当たって注意したい点を説明します。

    破れにくい用紙を使用する

    遺言書は長期間にわたって保管されることが考えられるため、厚手の便箋やレポート用紙など丈夫な用紙を使用しましょう。

    自筆証書遺言書の場合、用紙はA4サイズ、上側5mm、下側10mm、左側20mm、右側5mmの余白を設けるよう様式上のルールが決められています。

    ※参考:東京法務局.「遺言書を作成するときの注意点」.“本制度において求められる様式上のルールとは?”.https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000001_00632.html ,(2024ー07ー11).

    作成日付及び遺言者氏名を入れる

    自筆証書遺言を作成するときは遺言者本人が全文を自書し、押印します。その際、作成日付は「〇月吉日」のような書き方ではなく、「令和6年(2024年)〇月〇日」のように具体的な日付を記載しましょう。

    また戸籍上に記載されている氏名をフルネームで正確に記入する必要があります。押印は実印と朱肉を使うと、保存状態が良いとされています。

    使用する用語に気を付ける

    遺言書では、相続人と相続人以外の財産処分に関する記載にも注意が必要です。相続人へ財産を譲渡する場合には「相続させる」という表現、相続人以外へ譲渡する場合には「遺贈する」という表現を使うのが一般的です。

    相続人に「遺贈する」「託す」「譲る」「任せる」などの表現は、間違えると別の意味に解釈されトラブルになる可能性があるので注意してください。

    遺言書が無効になるケース

    遺言書は、作成方法や内容に不備があると無効になってしまうことがあります。どのようなケースが考えられるか見ていきましょう。

    ケース①自筆証書遺言の場合

    自筆証書遺言で無効になる可能性がある項目を紹介します。

    • 遺言書の一部または全文がパソコンやワープロで書かれている(財産目録を除く)
    • 作成方式に不備がある(サイズ、余白など)
    • 作成日付がない、または日付が特定できない形式で書かれている
    • 遺言者の署名・押印がない
    • 内容が不明確で解釈が困難
    • 訂正箇所に押印がない、訂正の仕方を間違えている
    • 共同で書かれている
    • 誰かに書かされた可能性がある
    • 財産目録の全ページに署名・押印がない

    書き方の間違いや記入漏れなどでも無効になってしまうので注意が必要です。

    ケース②公正証書遺言の場合

    公正証書遺言は、公証人という専門家に関与してもらうため、形式的な要件を満たしやすいというメリットがあります。しかし以下のようなケースは無効になる可能性があります。

    • 証人が未成年、推定相続人など法定の資格を満たしていない
    • 認知症などで遺言能力がない
    • 口授を欠いていた
    • 遺言者の意思に反する内容、または錯誤があった
    • 公序良俗違反(犯罪行為を教唆・命令するなど)

    口授を欠くとは、遺言者が公証人に直接遺言内容を伝えておらず、メモや録音などをもとに作成したことです。また詐欺や脅迫、間違いなどで遺言者の意思に反する内容となった場合も無効となります。

    ケース③秘密証書遺言の場合

    遺言は形式的な要件が厳格に定められていますが、秘密証書遺言では本人以外に要件を満たしているかどうかの確認ができないので特に注意が必要です。

    • 封筒がしっかりと封印されていない、または封印が破損している
    • 遺言作成日、署名が記載されていない、または明確でない
    • 誰が何を相続するのかなどの情報が明確に記載されていない

    秘密証書遺言は、基本的に自筆証書遺言で無効になるケースと同様のチェックを行います。その上で封筒の封印がしっかりと行われているか確認しましょう。

    遺書・遺言書に関するよくある質問

    遺書・遺言書が必要か、どのように残すべきかは家庭の事情によってさまざまです。ここでは、遺書・遺言書に関するよくある質問をまとめました。

    遺書を書いた方がいいケースは?

    遺書は法的な効力を持ちませんが、自分の気持ちを誰かに伝えたい場合に役立ちます。主に以下のようなケースが考えられるのではないでしょうか。

    • 子どもがいない夫婦が相手に気持ちを伝える
    • 高齢者、病気や障害がある人が家族へ希望を伝える
    • 気持ちまたは過去の出来事を伝えたい特定の相手がいる

    遺書はこれまでの思い出や感謝の気持ちなどを綴る大切な文書ですが、自分の死後に関する希望や対処などは、遺書よりも遺言書の方が反映されやすいため、遺言の作成を検討しましょう。遺言の中で、気持ちなどを付言することが可能です。

    自筆証書遺言書保管制度とは?

    自筆証書遺言書保管制度は、自筆証書遺言書を法務局に預けることで安全に保管してもらえる制度です。手数料が発生しますが、盗難や火災による紛失、改ざんなどのリスクが低減され、相続のトラブルが起こりにくくなるというメリットがあります。遺言は相続人が法務局に申請することで確認できます。

    ※参考:法務局.「預けて安心!自筆証書遺言書保管制度」.“自筆証書遺言書保管制度について”.https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html,(2024-07-11).

    遺言書は勝手に開けてはいけないのですか?

    遺言書を勝手に開封することは違法行為となります。遺言書を見つけたら、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求しなければならないと法律で定められているからです。検認とは家庭裁判所が立ち会い、遺言書が真正な書類であるかどうかを検証する手続きを指します。

    「公正証書遺言」以外は検認が必要です。取り扱いなど不安がある場合は、弁護士や司法書士に相談しましょう。

    エンディングノートは法的効力がある?

    エンディングノートはこれまでの思い出や死後のこと、家族や友人へのメッセージなどを事前に書き記すノートで、法的効力はありません。

    しかし介護や延命治療、葬儀の方法、供養などの希望をエンディングノートに書いておくことで、家族があなたの希望や考えを理解しやすくなり、スムーズな対応・手続きを進められるでしょう。ただし、あくまで「お願い」であり、その通りになるわけではないことを念頭においてください。

    エンディングノートを作成する場合は、以下の記事もぜひご覧ください。

    エンディングノート入手案内-決め方のポイントとおすすめの無料ダウンロード8選

    まとめ

    「遺書」は自分の気持ちを伝える意思表示、「遺言書」は財産や相続に関する法的効力のある書類です。遺言書を作成する場合には、形式上のルールや知識が必要となることもあるため、必要に応じて専門家に相談しましょう。

    株式会社サン・ライフは、24時間対応のコールセンターを完備し、終活から葬儀、葬儀後まであらゆるご相談を受け付けております。遺言書の準備方法や書き方、必要に応じて専門家への紹介など実務的なサポートも行っておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。

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