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曹洞宗の葬儀とは?流れや特徴、マナーを解説

曹洞宗の葬儀とは?流れや特徴、マナーを解説
曹洞宗の葬儀とは?流れや特徴、マナーを解説
作成日:2024/09/05 最終更新日:2024/10/02

曹洞宗とは?

曹洞宗とは、鎌倉時代に宋から伝えられた仏教宗派で、臨済宗や黄檗宗とともに日本三大禅宗と数えられる宗派です。日本にある寺院の中で最多の寺院数と信者数を誇るのがこの曹洞宗と言われています。
開祖である道元が開山した永平寺(福井県)と、大衆化に努めた瑩山が開山した総持寺(神奈川県)が曹洞宗の大本山とされており、禅の世界に触れようと多くの参拝客が国内外から訪れています。
曹洞宗の教えの根幹にあるのは「坐禅(ざぜん)」です。お釈迦様が坐禅の修行により悟りを開いたことに由来しており、ただひたすらに坐る「只管打坐(しかんたざ)」こそが曹洞宗の坐禅と言われています。
同じ禅宗でも臨済宗は坐禅中に師から与えられる課題「公案」について考える「看話禅(かんなぜん)」に対し、曹洞宗は黙ってひたすら坐禅する「黙照禅(もくしょうぜん)」ということで、坐禅の取り組み方が異なります。

曹洞宗の葬儀の特徴

曹洞宗の葬儀の特徴は「授戒(じゅかい)」と「引導(いんどう)」です。
「授戒」というのは出家して仏弟子の仲間入りをさせるための儀式です。
生きている人が出家するときと同じように、亡くなられた方を出家させるための儀式を行います。仏弟子になる準備として「剃髪」を行います、亡くなった方に対しては実際に髪を剃るのではなく、剃刀を当てるような所作・作法を行っています。
もう一つの特徴「引導」は亡くなられた方を向こうの世界へ送り出す儀式です。日常用語で相手を諦めさせるような最終宣告のことを「彼に引導を渡した」などと使うことがありますが、仏教用語の「引導」が由来だと言われています。
「引導」では亡くなられた方をあの世へと導く漢詩などを読み、松明を模したものを使用し棺に火をつける作法を行います。
また、曹洞宗の葬儀では鳴り物が鳴らされることが多く、印金(手持ちのリン)、鼓(手持ちの太鼓)、妙鉢(シンバルのようなもの)を順番に「ちん、どん、しゃん」と鳴らす場面は曹洞宗ならではと言えます。

曹洞宗の葬儀の流れ・式次第

曹洞宗の葬儀の流れは、前半部分の「授戒」、後半部分の「引導」に大きく分かれます。
< 導師入場 >
導師、式衆が入場します、参列者は立って、もしくは座ったまま合掌でお迎えすることが多いです。

< 剃髪 >
剃刀で亡くなった方の髪を剃る作法をします。昔は生きている人が出家するときと同様に実際に本物の剃刀で髪を剃っていたようですが、今はその場で剃刀を表す道具を使って作法として行っています。

< 授戒 >
洒水(しゃすい)、懴悔文(さんげもん)、三帰戒文(さんきかいもん)、三聚浄戒(さんじゅうじょうかい)、十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)、血脈授与(けちみゃくじゅよ)といった儀式を行い、亡くなった方を仏弟子として迎えます。

< 鼓鈸(くはつ) >
「ちん、どん、しゃん」の楽器を打ち鳴らし、弟子の旅立ちの幸福を祈ります。

< 入棺諷経(にゅうかんふぎん) >
亡くなった方を棺に納める儀式です。現代ではすでに納棺がされていることがほとんどです。ここで焼香を案内することが多いです。

< 龕前念誦(がんぜんねんじゅ) >
弟子が正しい道を歩むように祈念します。

< 挙龕念誦(こがんねんじゅ) >

< 引導法語 >
亡くなった方を漢詩で表し、松明で円を描きあの世へと導きます。この引導法語の作法の中で「カーッ」「ハーッ」といった大きな声を出すことがあります。これはお経や言葉では伝えられない思いや気持ちを「唖」「喝」「露」などの一文字に込めて伝えています。

< 山頭念誦(さんとうねんじゅ) >
火葬を行うことを告げて、亡くなった方の冥福を祈ります。

< 導師退場 >
参列者はその場で合掌をして導師を見送ります。

曹洞宗の葬儀に参列するときのマナーと作法について

曹洞宗の葬儀に参列するとの服装は、一般的な葬儀で着ている服装で問題はありません。
男性であれば黒のスーツに白いワイシャツ、黒いネクタイに黒い革靴と靴下であれば問題ないでしょう。髪型も香りの強い整髪料や香水などはつけず、清潔感を重視し最低限必要な範囲にとどめましょう。
女性は黒のワンピースやアンサンブルに黒のインナー、ストッキング、パンプスを合わせます。男女とも結婚指輪以外の装飾品はしない方が良いでしょう。女性の場合には涙を表す一連の真珠のネックレスは問題ないと言われています。女性の場合は、化粧もナチュラルメイクを心掛け、髪形もお団子にしてまとめるなど配慮が必要です。
詳しくは“お葬式にふさわしい服装とは?持ち物や身だしなみのマナーを解説”をご参照ください。

曹洞宗の焼香は2回が正式とされています。
1回目の焼香「主香」といわれ、親指、人差し指、中指で抹香をつまみ、額のところまで押し頂いたあとに炭の上に抹香をくべます。2回目の焼香は「従香」といい、抹香をつまみ額まで上げずに炭の上に落とします。これは1回目の香りが消えないように行う追い炊きの意味で行うものです。
葬儀の規模によっては予め全員1回焼香で統一される場合もありますし、葬儀が曹洞宗だからといって他の宗派の作法で参拝することを否定するものではありません。


通夜や葬儀の際に持参する香典についてですが、これも一般的な香典袋の表書きで問題ないですし、曹洞宗ならではの作法があるわけではありません。
香典袋の表書きは「御霊前」や「御香典」の袋を用意していれば問題ありません。一般的な葬儀マナーとして香典を渡す際には袱紗(ふくさ)に包んで持参し、袱紗から出して渡すことが望ましいですが、袱紗を忘れてしまったら無地のハンカチを代用することもできます。
御布施をお渡しするときも同様に袱紗に包んでお渡しします。袱紗が無いときには切手盆と呼ばれる小さなお盆に乗せてお渡しします。切手盆は葬儀社のスタッフにお願いすれば用意してもらえます。
いずれにしても直接手渡しで渡すことのないように注意しましょう。

持参する数珠については、曹洞宗の本式の数珠を持っている方は少ないと思います。略式の数珠があればそれを持参しましょう。もし数珠を忘れてしまった場合ですが、急な訃報で忘れてしまうことや用意が間に合わないこともあるので、数珠が無くても思いを込めて手を合わせれば問題ありません。

曹洞宗の葬儀に参列するときの注意点とは?

曹洞宗は日本で一番寺院数、信者数の多い宗派ですので、一般的なご葬儀マナーができていれば、何も問題が無いと言ってよいでしょう。
ただ、ご葬儀の際には「授戒」「引導」といった葬送の作法があり、司会者と導師との打ち合わせの中で焼香をしていいタイミングを打ち合わせています。
授戒後の入棺諷経(にゅうかんふぎん)のところで焼香が始まることが多いですが、地域や導師によってはタイミングが異なることもありますので、司会のアナウンスやスタッフの誘導に従って焼香台に進むことが大切です。
また、曹洞宗では鳴り物を使用するシーンがあります。導師が一人の場合には印金のみということもありますが、3人一組で行う場合には印金に加え「鼓」と「妙鉢」を鳴らします。
静粛な場にかなり大きな音の鳴り物が入るので、初めて見る方は戸惑うかもしれません。
また、引導作法の中で導師が大きな声で「カーッ」と発する部分があります。
知らずに参列していると驚くことがあるかもしれません。

まとめ

一言でご葬儀と言っても、宗派によって考え方や式次第が異なります。仏教の中でも違いはありますし、その中の禅宗でも曹洞宗と臨済宗では考えが異なります。
全ての宗派の違いを把握することは難しいと思いますが、大切な方を送り出すためにも、最低限のマナーを身につけておきましょう。

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