
故人の魂の拠り所となる「位牌」と、仏様の世界でのお名前である「戒名」。この二つは、故人をしのび、供養していく上で非常に重要な役割を担います。しかし、いざ位牌を準備するとなると、「戒名はどのように書けばいいのだろう」「宗派によってルールが違うの?」「誰に、どのように依頼するのか」など、多くの疑問や不安が浮かんでくるのではないでしょうか。
特に戒名の文字は独特で、書き方には細かな決まりがあるため、ご自身で判断に迷うことも少なくありません。
本記事では、位牌と戒名の基礎知識から、具体的な文字のレイアウト、宗派ごとの注意点、依頼の手順と費用相場、よくある質問までを徹底解説します。この記事を最後までお読みいただくことで、正しい知識を持って、故人のための位牌と戒名の準備を進められるようになるはずです。ぜひ最後までお読みください。
目次
位牌と戒名(法名・法号)とは何か
初めに、位牌への戒名の書き方を理解する上で欠かせない、位牌と戒名それぞれの基本的な意味と役割について解説します。位牌がなぜ必要なのか、そして戒名とは何か、その種類や宗派による呼び方の違いなどを詳しく見ていきましょう。
位牌とは
位牌(いはい)とは、故人の戒名(かいみょう)や俗名(ぞくみょう、生前のお名前)、亡くなった年月日(没年月日)、享年などを記した札のことです。その役割は、単なる名札ではありません。位牌は、故人の霊魂が宿る場所(依り代)とされ、ご遺族が手を合わせ、故人をしのぶための大切な礼拝の対象となります。
位牌には、葬儀から四十九日法要まで祭壇に安置される「白木位牌(しらきいはい)」という仮の位牌と、四十九日法要を終えた後に仏壇に末永くお祀りする「本位牌(ほんいはい)」の二種類があります。本位牌を準備することは、故人の魂が安らかに眠る場所を用意するという、ご遺族にとって重要な意味を持つのです。
戒名とは
戒名とは、仏様の弟子になった証として授けられる名前のことで、故人が浄土(仏様の世界)へ迷わず行くために授けられる、いわば仏様の世界での新しい名前です。一般的に、戒名はいくつかの号が組み合わさって構成されています。
- 院号(いんごう):社会や寺院に多大な貢献をした人などに与えられる、戒名の中で最も上位の尊称です。
- 道号(どうごう):院号と戒名の間に置かれる号で、故人の人柄や趣味などを表す字が使われることもあります。
- 戒名:本来はこの二文字の部分を指し、仏弟子になった証として与えられます。
- 位号(いごう):戒名の下に付けられる、性別や年齢、信仰の深さ、社会的な地位などに応じた階級を表す尊称です。「信士・信女」や「居士・大姉」などがこれに当たります。
これらの号の組み合わせ、特に院号の有無や位号のランクによって、お寺にお渡しするお布施の額が変わってくるのが一般的です。
宗派による戒名の呼び方・考え方の違い
「戒名」という呼び方が一般的ですが、宗派によってその呼び方や考え方が異なります。
- 浄土真宗:浄土真宗では、厳しい戒律を守るという考え方がないため「戒名」とは言わず「法名(ほうみょう)」と呼ぶ。構成は「院号」と「法名」から成る。なお亡くなった方の魂はすぐに成仏して仏様になるという教えがあるため、位牌は不要
- 日蓮宗:「法号(ほうごう)」と呼ぶことがあり、戒名の上に宗祖である日蓮聖人を表す「日」の字を入れる「日号」が特徴的
- 真言宗・天台宗・曹洞宗・臨済宗など:これらの多くの宗派では、一般的に「戒名」と呼ぶ
このように、宗派ごとに位牌や戒名(法名・法号)の捉え方や構成が異なります。位牌を準備する際には、まずご自身の家の宗派がどこなのかを、お付き合いのあるお寺やご親族に確認しておきましょう。
位牌への戒名の書き方:基本ルールと記載内容
位牌に戒名を記す際には、古くからの慣習に基づいた一定のルールが存在します。ここでは、位牌の表面と裏面に何をどのように書くのか、基本的な決まりごとや記載する項目について、詳しく解説していきます。
位牌の表面に記載する内容
位牌の表面には、故人の仏様の世界での名前である戒名を記します。戒名は、中央に大きく記されるのが一般的です。文字の配置や大きさは、戒名の文字数に合わせてバランスを取ります。
戒名の上には、宗派の教えを象徴する「梵字(ぼんじ)」を入れることがあります。また特に葬儀で使う白木位牌には、新たに仏の世界へ旅立ったことを示す「冠文字(かんむりもじ)」を戒名の上に記す場合もあります。これらの梵字や冠文字を入れるかどうかは、宗派やお寺の考え方によって異なるため、菩提寺に確認しましょう。
戒名の一番下に付く「位号(いごう)」は、戒名よりも少し小さめに記します。位号には「信士」と「信土」など、間違いやすい漢字があるため、お寺からいただいた白木位牌や戒名授与の書付をよく確認しましょう。
位牌の裏面に記載する内容
位牌の裏面には、故人が生きていた証となる情報を記します。
一般的には、向かって右側に故人が亡くなった年月日である「没年月日」を、左側に生前のお名前である「俗名」を、そして中央下、あるいは俗名の左横に亡くなった時の年齢である「享年(または行年)」を記載します。
没年月日は、「令和五年五月三日」のように和暦で記し、末尾に「寂」や「没」の字を添えるのが通例です。俗名には「俗名 山田太郎」のように「俗名」の二文字を頭に付けます。
年齢の表記には、生まれた年を1歳とする「享年(きょうねん)」と、満年齢で表す「行年(ぎょうねん)」があり、どちらを用いるかはお寺の考え方によって異なります。一般的には享年が使われることが多いですが、これも菩提寺に確認するのが確実です。「享年七十歳」のように、漢数字で記します。
文字の色や書体について
位牌に記す文字の色は、一般的に金色(金文字)が多く用いられ、お仏壇の中で荘厳な輝きを放ちます。地域や宗派、あるいはお寺の考え方によっては、表の戒名は金文字で、裏面の俗名や没年月日は朱色や白色で記すといった使い分けをすることもあります。また四十九日法要までは白木位牌に墨で書かれ、その後作成する本位牌で金文字にするのが一般的です。
書体については、故人を敬う気持ちを表す、格調高い楷書体や行書体、草書体などが用いられますが、読みやすさを重視して楷書体が選ばれることが多いです。ご夫婦の戒名を一つの位牌に並べて記す「夫婦位牌(めおといはい)」の場合は、左右のバランスを考慮した特殊なレイアウトで文字が入れられます。
位牌の大きさと文字数のバランス
位牌には、お仏壇の大きさに合わせて選べるよう、3.0~6.0寸といった多様なサイズがあります。「院号」が付くような長い戒名の場合、小さな位牌を選んでしまうと、一文字一文字が非常に小さくなったり、窮屈なレイアウトになったりすることがあります。
そのため、位牌を選ぶ際には、あらかじめお寺から授かった戒名の文字数や構成を考慮に入れることが大切です。文字の大きさや字間、行間などを調整し、美しく見えるレイアウトにすることが、故人への敬意にもつながります。文字入れを依頼する仏壇店などの専門業者に、戒名を見せて相談しながら位牌を選ぶと、バランスの良い仕上がりになるでしょう。
【宗派別】位牌への戒名の書き方の特徴と注意点
位牌への戒名(法名・法号)の書き方は、宗派によって特徴があり、守るべきルールも異なります。故人を正しくお祀りするためにも、ご自身の家の宗派の作法を理解しておくことが大切です。ここでは、主要な仏教宗派別に、書き方の具体的な違いや注意点を詳しく解説します。
浄土真宗の位牌(法名軸・過去帳)と法名の書き方
浄土真宗では、「阿弥陀仏の教えを信じれば、誰もが等しく浄土へ往生できる」という教えから、故人が冥土で裁きを受けるための戒律は必要ないと考えられています。そのため、原則として位牌は用いず、代わりに「法名軸(ほうみょうじく)」や「過去帳(かこちょう)」に法名を記します。
法名軸は、故人の法名を記して仏壇(お内仏)の内部側面に掛ける掛け軸です。過去帳は、その家の故人の法名や俗名、没年月日などを記録しておく帳面を指します。法名の構成は、男性は「釋(しゃく)〇〇」、女性は「釋尼(しゃくに)〇〇」となるのが基本です。ただし、近年では位牌を希望する方もおり、その場合の扱いは宗派によっても異なるため、お寺への確認が必要です。
真言宗の位牌と戒名の書き方
真言宗の位牌では、戒名の頭に、大日如来を意味する梵字の「ア」を記すのが大きな特徴です。この一文字で、故人が大日如来の弟子となり、その仏弟子として成仏したことを表します。戒名の構成は、一般的に「院号・道号・戒名・位号」の形です。裏面には、他の宗派と同様に、没年月日、俗名、享年(行年)を記します。
浄土宗の位牌と戒名の書き方
浄土宗の位牌では、戒名の頭に、阿弥陀如来を意味する梵字の「キリーク」を記すことがあります。また浄土宗の教えである五重相伝(ごじゅうそうでん)という儀式を受けた方に与えられる「誉号(よごう)」が付くことも特徴の一つです。戒名の構成は「院号・誉号・道号・戒名・位号」などとなり、誉号の有無はお寺への貢献度などによって決まります。
曹洞宗・臨済宗(禅宗)の位牌と戒名の書き方
曹洞宗や臨済宗といった禅宗系の宗派では、戒名の頭に梵字などを記すことはあまりありません。ただし、曹洞宗では、葬儀で用いる白木位牌に「新円寂(しんえんじゃく)」という冠文字を記すことがあります。戒名の構成は、他の多くの宗派と同じく「院号・道号・戒名・位号」の形が一般的です。
日蓮宗の位牌と法号(戒名)の書き方
日蓮宗では、戒名を「法号(ほうごう)」と呼びます。その最大の特徴は、法号の上に、法華経の題目である「南無妙法蓮華経」から取った「妙法」の二文字を記すことです。また男性には「日号(にちごう)」、女性には「妙号(みょうごう)」として、それぞれ「日〇」「妙〇」という名前が法号の中に含まれます。位号にも宗派独自のものが使われることがあります。
天台宗の位牌と戒名の書き方
天台宗の位牌では、戒名の頭に「ア」や「キリーク」の梵字を記すことがあります。戒名の構成は「院号・道号・戒名・位号」が一般的で、全体的には他の宗派の形式と近い場合が多いです。ただし、お寺の考え方によって作法が異なるため、事前の確認が推奨されます。
その他の宗派や地域による違い
ここまで主要な宗派の書き方を解説しましたが、これら以外の宗派にも、それぞれ独自の作法が存在します。また同じ宗派であっても、お寺の考え方や地域の慣習によって、文字の配置や記載内容が異なる場合があります。位牌の準備で大切なことは、自己判断で進めないことです。不明な点は、菩提寺のご住職や、仏事の知識が豊富な仏壇店の専門スタッフに確認しましょう。
位牌への戒名入れの流れ
お寺から戒名を授かったら、次は四十九日法要までに本位牌を準備し、その戒名を位牌に記す「戒名入れ」を行う必要があります。ここでは、どこに戒名入れを依頼できるのか、そして依頼から位牌の完成、開眼供養までの一般的な手順や期間を解説します。
戒名入れを依頼する場所を決定する
位牌への戒名入れは、主に以下のような場所に相談できます。
- 仏壇・仏具店:一般的な依頼先。さまざまな種類の位牌の中から選び、購入と同時に文字入れを依頼できる。専門知識が豊富なため、宗派の作法にも詳しい
- 葬儀社:葬儀プランの一環として、位牌の手配から戒名入れまでを代行してくれる場合がある
- 石材店:お墓を建立する際に、併せて位牌の作成も受け付けてくれることがある
- インターネット通販の仏具店:実店舗よりも位牌の選択肢が豊富で、価格が比較的安い傾向。ただし、実物を確認できないため、慎重な検討が求められる
- 菩提寺:お付き合いのあるお寺(菩提寺)がある場合は、信頼できる仏具店を紹介してもらえる場合がある
依頼内容を確定し見積もりを依頼する
依頼先を決めたら、位牌に記す情報を正確に伝え、見積もりを依頼します。伝えるべき主な情報は、戒名と没年月日、俗名、享年(行年)です。これらの情報は、葬儀で使った白木位牌や、お寺から頂いた戒名授与の書付などを基に、一字一句間違いのないように伝えましょう。
また作成したい位牌の種類やサイズ、希望する文字の書体、レイアウトなども相談します。電話での口頭依頼は聞き間違いのリスクがあるため、FAXやメールで文字情報を送るのが確実です。
加えて見積もり金額と、完成までの納期も確認しましょう。
文字入れの内容を確認する
依頼が確定すると、職人による文字入れ作業が始まります。文字入れの方法には、手書きで一文字ずつ書き入れる方法や、機械で彫り込む方法などがあります。戒名は故人にとって大変重要なものですから、間違いがあってはなりません。
そのため、多くの仏具店では、文字を入れる前にレイアウトの校正刷り(下書き)を作成し、依頼者が最終確認できるサービスを提供しています。校正が可能かどうかを事前に確認し、もし可能であればサービスを利用して、誤字脱字がないか、レイアウトに問題はないかを自分の目でチェックしましょう。
完成した位牌を受け取る
文字入れが完了したら、完成した位牌を受け取ります。その際、依頼した内容と相違がないか、記載内容に誤りがないかを改めて最終確認しましょう。特に戒名や没年月日、俗名などの重要な情報に間違いがないかを、隅々まで確認することが大切です。
依頼から完成までの一般的な納期は、1~2週間程度ですが、お盆前や年末などの繁忙期や、手書きなど特殊な技法を要する場合は、それ以上の日数がかかることもあります。四十九日法要に間に合うよう、余裕を持って依頼しましょう。
白木位牌から本位牌への魂入れ(開眼供養)を行う
本位牌は、ただ文字を入れただけでは礼拝の対象にはなりません。葬儀で使った白木位牌から、新しく作成した本位牌へ故人の魂を移すための儀式、「開眼供養(かいげんくよう)」を僧侶に執り行ってもらう必要があります。「お性根入れ」「魂入れ」などとも呼ばれます。
この開眼供養は、四十九日法要の際に、法要と併せて行われるのが一般的です。その際は、法要のお布施とは別に、開眼供養のためのお布施を準備します。この儀式を経て、本位牌は故人の魂が宿る真の礼拝の対象となるのです。
戒名入れにかかる費用の相場
位牌への戒名入れにかかる費用は、文字を入れる方法によって大きく異なります。主に「手書き」「機械彫り」「箔押し」の3種類があり、それぞれに特徴と価格帯があります。
- 手書き:職人が一文字ずつ丁寧に書き入れる方法。温かみのある仕上がりになる。手作業のため、費用は1万円以上が目安となり、比較的高価になる傾向がある
- 機械彫り:機械で文字を彫り込み、その上から金箔や塗料を埋め込む方法。立体的で格調高い仕上がりになる。費用は数千円からと、手書きに比べて安価
- 箔押し(プリント):特殊なプリンターで位牌の表面に文字を印刷する方法。費用は数千円からと、安価な傾向にある
この他、位牌自体の材質や価格帯によっても、文字入れの料金は変動します。ご夫婦の戒名を一つの位牌に記す「夫婦位牌」の場合、二人分を同時に入れると割安になることもあります。また梵字や家紋を入れる場合は、追加料金がかかるのが一般的です。後悔しないためにも、複数の業者から相見積もりを取り、料金とサービス内容を比較検討すると良いでしょう。
戒名がない場合の位牌の作り方
仏式の葬儀を行わなかったり、特定の信仰を持たなかったりする場合など、お寺から戒名をいただかないケースもあります。そのような場合でも、故人の供養のために位牌を作ることは全く問題ありません。
戒名がない場合は、位牌の表面に故人の生前のお名前(俗名)を記すのが一般的です。その際、名前の下に「〇〇〇〇之霊位(のれい)」や「〇〇〇〇命(みこと)」といった敬称を加えることもあります。裏面には、通常通り没年月日と享年(行年)を記載します。
近年では、無宗教の方でもお祀りしやすいように、従来の形にとらわれないモダンなデザインの位牌も増えてきました。菩提寺がない場合でも、故人を大切に思う気持ち、供養したいという気持ちを表すものとして、自由に位牌を作成できます。
古い位牌や複数の位牌の整理方法
代々ご先祖様を供養していく中で、お仏壇の中に位牌が増え、手狭になってしまうことがあります。ここでは、古い位牌や複数の位牌の扱い方について解説します。
位牌が増え過ぎた場合の対処法
お仏壇に位牌が収まりきらなくなってきた場合、いくつかの方法で位牌を一つにまとめられます。
繰り出し位牌(くりだしいはい)へまとめる
繰り出し位牌は、箱型の位牌本体の中に、故人の戒名を記した複数枚の札板(ふだいた)を収納できる形式の位牌です。命日には該当する故人の札板を一番前に出してお祀りします。見た目がすっきりし、場所を取らないのが大きなメリットです。
過去帳(かこちょう)へまとめる
過去帳は、その家の故人の戒名、俗名、没年月日などを記録しておく帳面(ノート)です。位牌の代わりとして、または位牌と併せて使用できます。特に浄土真宗では、位牌の代わりに過去帳や法名軸を用いるのが一般的です。
「先祖位牌」を作る
三十三回忌や五十回忌といった「弔い上げ(とむらいあげ)」を迎えた故人の位牌を一つにまとめ、「〇〇家先祖代々之霊位」などと記した「先祖位牌」を作成する方法もあります。これにより、複数のご先祖様をまとめて供養できます。
どの方法を選ぶにせよ、位牌をまとめることはご先祖様の供養の仕方に関わる大切なことです。事前に菩提寺のご住職に相談し、指導を仰ぎながら進めましょう。
古い位牌の処分方法と注意点
位牌を繰り出し位牌や過去帳にまとめた後、不要になった古い位牌は、感謝の気持ちを込めて丁寧に処分する必要があります。まず、お寺にお願いして、位牌に宿る故人の魂を抜く「閉眼供養(へいげんくよう、お性根抜き)」の儀式を執り行ってもらうのが一般的です。
魂抜きを終えた位牌は、お寺や専門業者に依頼して焼却供養してもらう「お焚き上げ」という形で処分します。故人の魂が宿っていたものですから、決して自分の判断でごみとして捨ててはいけません。
位牌の永代供養という選択肢も
「お仏壇を継承してくれる人がいない」「自宅で位牌を管理・供養していくのが難しい」といった場合には、お寺や霊園が永代にわたって位牌を管理・供養してくれる「永代供養(えいたいくよう)」という選択肢もあります。
この方法を選ぶと、ご家族に代わって、お寺などが責任を持って供養を続けてくれるため、心強く感じられます。ただし、費用や契約内容、どのような形で供養されるのかは施設によって異なるため、依頼する前に詳細をしっかりと確認しましょう。
位牌・戒名に関するよくある質問
ここまで位牌と戒名について詳しく解説してきました。最後に、位牌や戒名に関して多くの方が抱く、よくある質問にお答えします。
生前に戒名を授かることはできる?
生きているうちに戒名を授かる「生前戒名(せいぜんかいみょう)」も可能です。生前であれば、お寺と相談しながらご自身が納得のいく戒名を授かることができ、また亡くなった後にご家族が慌てて手配する負担を軽減できるというメリットがあります。
ただし、もちろん費用がかかることや、宗派によってはあまり一般的でない場合もあります。生前戒名を授かった場合、位牌には戒名を朱色で記しておき、亡くなった後にその朱色を抜いて金色を入れ直すのが通例です。
位牌に自分で文字を書いてもよい?
故人への思いを込めて、ご自身で位牌に文字を書きたいと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、戒名の文字入れは、文字のバランスや書体の美しさ、耐久性などを考慮すると、基本的には仏壇・仏具店などの専門業者に依頼することが推奨されます。
ご自身で書く場合、書き損じてしまうと修正が非常に難しいです。またご自身で文字を書いても、お位牌としてお祀りするためには、別途僧侶に魂入れの儀式を依頼しなくてはなりません。心を込めて自分で書きたいという気持ちは尊いものですが、慎重な判断が必要です。
まとめ
位牌と戒名は、故人をしのび、その後の供養を行っていく上で、ご遺族の心の拠り所となる大切なものです。
位牌の準備を進める上で何よりも重要なのは、故人への感謝と敬意の気持ちです。その気持ちを形にする過程で不明な点や不安なことがあれば、一人で悩まず、菩提寺のご住職や、信頼できる仏壇・仏具店の専門スタッフに遠慮なく相談してみてください。専門家のアドバイスを受けながら、一つひとつ丁寧に進めていくことが、後悔のない、心穏やかなご供養につながります。
もし位牌選びや戒名の文字入れについて、専門的なご相談をご希望でしたら、どうぞお気軽にサン・ライフへお声がけください。お客さまの思いに寄り添い、心を込めてお手伝いします。ぜひお気軽にご相談ください。