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白装束とは? 故人に着せる意味や内容、正しい着せ方を解説

白装束とは? 故人に着せる意味や内容、正しい着せ方を解説
白装束とは? 故人に着せる意味や内容、正しい着せ方を解説
作成日:2025/08/27 最終更新日:2025/08/27

故人を見送る際、最後に着せる衣装として「白装束(しろしょうぞく)」があります。しかし、なぜ白い衣装なのか、どのような意味が込められているのか、着せ方に特別な決まりはあるのかなど、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、白装束が持つ意味や由来、セットの内容、そして重要な着せ方のマナーである「左前」のルールまでを詳しく解説します。

白装束とは

「白装束」は、葬儀の場面だけで使われる言葉ではありません。例えば、結婚式で花嫁が着る「白無垢」も白装束の一種です。

葬儀における白装束とは、故人がこの世からあの世、すなわち「極楽浄土」へと旅立つ際に身に着ける衣装を指します。その由来は、お坊さんや、四国八十八カ所を巡るお遍路の巡礼者が着る巡礼服にあるとされています。故人が無事に極楽浄土へたどり着けるように、との願いが込められた旅支度なのです。

死装束との違い

「死装束(しにしょうぞく)」は、「故人に着せる服」という特定の用途を指す言葉です。一方で「白装束」は、前述した白無垢のように「白い服」全般を指し、より広範な意味を持っています。そのため、故人が旅立ちのために着用する特定の白い服は「死装束」であり、それは「白装束」の一種と捉えることができます。

ただし、実際の葬儀の現場では、故人が身に着ける白い衣装を「白装束」と呼ぶことも「死装束」と呼ぶこともあり、どちらを使っても間違いではありません。

白い衣装を着せる理由

故人の旅立ちの衣装が白である理由は、主に2つあるとされています。一つは、仏教の教えにおいて、白色が「清浄(しょうじょう)」、つまり清く穢れのない状態を意味するためです。穢れのない姿で極楽浄土へ旅立ってほしいという願いが込められています。

もう一つは、日本で古くからなじみ深い「紅白」の考え方に由来します。赤が出生や「生」を象徴する色であるのに対し、白はその対極にある「死」や「別れ」を表す色とされてきたことも理由の一つです。

ただし、現代では価値観が多様化し、必ずしも白装束でなければならないわけではありません。故人が生前好んで着ていた洋服や、趣味の衣装、あるいはピンクや水色といった明るい色の衣装を死装束として選ぶケースも増えています。

白装束のセット内容

故人の旅支度である白装束は、一つの衣装ではなく、複数の装具で構成されています。これらは、故人が無事に極楽浄土へたどり着けるようにとの願いを込めたものです。

ここでは、一般的な白装束のセット内容と、それぞれに込められた意味を詳しく見ていきましょう。

経帷子(きょうかたびら)

経帷子(きょうかたびら)は、故人に着せる裏地のない白い着物です。生地には、白麻や白木綿などが用いられます。

仏教の経典や宗派ごとの題目が背中に書かれていることが一般的ですが、近年では無地のものも増えています。これは、浄土真宗のように「亡くなるとすぐに成仏する」という教えに基づき、巡礼の旅をする必要がないという考え方から、経帷子を用いないケースがあるためです。

編み笠

編み笠は、浄土への長い旅の道中で、故人を厳しい日差しや雨、雪などから守るためのものです。

巡礼の旅に欠かせない道具の一つと考えられています。故人が直接かぶるのではなく、棺の中に納めるのが一般的です。顔の近くに添えるように置かれることが多いです。

天冠(てんかん)

天冠(てんかん)は、故人の額に着ける三角形の白い布のことです。「紙冠(しかん)」や「宝冠(ほうかん)」と呼ばれることもあります。

古くから魔除けの意味があるとされており、また、閻魔大王に会う際の正装として必要な装飾品ともいわれています。近年では、天冠を着けた姿が生々しく、死の印象を強めてしまうことや、お顔が見えにくくなるという理由から、直接頭には着けず、編み笠に添えたり、胸元に置いたりして棺に納めるケースが増えています。

白足袋と草鞋

白足袋(しろたび)と草鞋(わらじ)は、故人の足元を整えるための装具です。極楽浄土までの険しい道のりを、怪我なく無事に歩き通せるようにとの願いが込められています。草鞋は、昔の巡礼者と同じように、足に履かせるのではなく、首からかけたり、棺に納めたりするのが一般的です。

手甲(てっこう)

手甲(てっこう)は、手の甲から手首、腕の一部を覆う布製の装具です。旅の道中で、日差しや寒さ、虫などから手を守る役割があります。また道中でかいた汗を拭うためにも使われたとされています。故人がいつでも使えるように、手に着けて納棺します。

脚絆(きゃはん)

脚絆(きゃはん)は、すねの部分に巻く布のことで、手甲と同様に、草木や虫、寒さなどから足を保護し、旅の安全を願う目的があります。また長旅による足のうっ血を防ぎ、疲労を軽減させる効果もあるとされています。

頭陀袋(ずだぶくろ)と六文銭

頭陀袋(ずだぶくろ)は、巡礼の旅で僧侶が携行品を入れるために首からかける袋です。故人の白装束においても、首からかけて棺に納めます。この袋の中には、三途の川の渡し賃とされる「六文銭」を入れます。現在では本物のお金ではなく、紙に印刷されたものが一般的です。

六文銭について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
>>六文銭とは? 棺に入れる意味と由来、現代の葬儀でのルールを解説

杖は、浄土への長い道のりを歩き続けるための補助として用いられます。故人が疲れて倒れることなく、無事にたどり着けるようにとの願いが込められた、大切な旅の道具です。

また旅の途中で襲いかかってくるかもしれない魔物や獣を振り払う、魔除けの役割もあるとされています。宗派によっては、故人があの世でつまずかないよう、上下を逆にして棺に納める作法もあります。

数珠

数珠は、仏具の一つで、故人の手に持たせて棺に納めます。本来は、唱えた念仏の数を数えるために使われるものですが、手にしているだけで煩悩が消滅し、功徳が得られるともいわれています。

また魔除けや厄除けの効果もあるとされ、故人が安らかに仏の世界へ進めるようにとの願いを込めて持たせます。宗派によって、使用する数珠の種類や持ち方が異なります。

白装束は「左前」で着せる

故人に白装束の経帷子を着せる際には、非常に重要な作法があります。それは、着物の合わせ方を、生きている人とは逆の「左前(ひだりまえ)」にすることです。

通常、着物は右の身頃(右衽)を下にし、左の身頃(左衽)を上に重ねて着付けますが、これを「右前」といいます。一方「左前」は、左の身頃を先に合わせ、その上に右の身頃を重ねる着せ方です。

故人に左前で着せるのは、古くからの「逆さ事(さかさごと)」という風習に基づいています。逆さ事とは、非日常である死に際して、あえて日常とは逆の行いをすることで、この世(生きている者の世界)とあの世(死者の世界)を区別する儀式です。

また「この世と浄土はあらゆる物事が逆さまである」という仏教の考えや、故人自身に亡くなったことを気付かせ、迷わず極楽浄土へ旅立ってもらうため、といった意味合いも込められています。生きている人が左前で着物を着ると「縁起が悪い」とされるのは、このためです。

その他の着付けのポイント

白装束の着付けには、「左前」以外にも「逆さ事」の風習が見られます。

例えば、白足袋を履かせる際には、あえて左右を逆にして履かせます。また経帷子を結ぶ紐や草鞋の紐は、普段はほどけやすいとされる「縦結び(たてむすび)」で固く結びます。これらも、この世への未練を断ち切り、後戻りすることなく旅立ってほしいという願いの表れです。

ただし、仏教の中でも浄土真宗は「人は亡くなると、阿弥陀如来の力によってすぐに仏となり極楽浄土へ往生する」という「即身成仏」の教えを持つため、巡礼の旅支度である白装束を着せる習慣はありません。

神道、キリスト教における死装束

死装束の考え方は、宗教によって異なります。仏式の白装束とは違う、神道やキリスト教における死装束の特徴を見ていきましょう。

宗教 死装束の特徴
神道 神道では、故人は家の守り神になると考えられており、そのための衣装として「神衣(かんみそ・かむい)」を着せます。これは白装束の一種ですが、男性は平安時代の役人が着ていた狩衣(かりぎぬ)や笏(しゃく)、女性は白い小袖など、性別によって装束が異なります。
キリスト教 キリスト教には、特定の死装束はありません。そのため、故人が生前に愛用していたスーツやワンピース、ドレスなどを着せることが一般的です。近年では、ご遺族が故人のために選ぶ「エンディングドレス」と呼ばれる、フリルのついた華やかな衣装なども用いられています。

まとめ

故人に着せる白装束は、単なる白い衣装ではなく、極楽浄土への旅支度として、一つひとつの装具に深い意味が込められています。特に、着物の合わせ方を通常とは逆の「左前」にするのは、この世とあの世を区別し、故人が安らかに旅立つための大切な作法です。宗教や宗派による違いもありますが、故人を偲び、心を込めてお見送りする気持ちが何よりも重要です。

サン・ライフでは、伝統を重んじたご葬儀から、故人様の個性を大切にしたお別れの形まで、ご遺族のご要望に寄り添い幅広くサポートいたします。葬儀に関するご不安やお悩みは、どうぞお気軽にご相談ください。

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