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山への散骨について|必要な手続きや費用について解説

山への散骨について|必要な手続きや費用について解説
山への散骨について|必要な手続きや費用について解説
作成日:2023/02/09 最終更新日:2024/10/22

山への散骨とは?法律上可能?

そもそも散骨とは

従来のお墓への埋葬とは別に、それにとらわれない新しい葬送の形として「自然葬」があります。
自然葬は墓石を持たないことが特徴で、将来のお墓の管理に不安を持つ方に特に注目される埋葬方法です。
自然葬には2つのタイプがあり、墓石の代わりに木々を墓標に見立てて埋葬する「樹木葬」と、パウダー状にした遺骨を山や海などに撒いて自然に還す「散骨」に大きく分類できます。
つまり、散骨は自然葬のうちの一つと言えるでしょう。
行う時期に明確な決まりがあるわけではありませんが、ご葬儀を終えて気持ちの整理がついた頃(四十九日や一周忌、三回忌など)に行われることが一般的に多いようです。
自然葬について、詳しい解説はこちらをご覧ください。

山の散骨と樹木葬はどう違う?

一見同じように思われる樹木葬と山の散骨、いったい何が違うのでしょうか。
最も大きな違いは、手を合わせられる墓標を持つかどうかです。
樹木葬は、主に都市部の墓地や霊園などで管理されている樹木や草花を墓標として埋葬します。
管理費用が掛かる場合もありますが、基本的に管理者によって整備・清掃が行われますので、安心かつ負担の少ない埋葬方法です。
一方山の散骨では、明確に埋葬場所が決まっているわけではなく、山の地表にパウダー状にした遺骨を撒きます。
制限はありますが、任意で場所を選ぶことができるため、故人の思い入れがある場所や好きだった景色が見られる場所を選べる点が特徴です。
散骨できる場所については、後述の『散骨はどの山でもできるわけではない』をご参照ください。

散骨に対する法的解釈

お墓への埋葬に比べて新しい追悼の形である分、「散骨ってあまりよくないんじゃ…?」と不安に思われる方も少なくないかと思います。
結論から言うと、散骨は節度を持って行う分には法的にも問題ありません
日本における墓地埋葬に関する法律は「墓地埋葬法」と「刑法190条 遺骨遺棄罪」がありますが、現状そのどちらにも散骨の定義はありません。
つまり、厳密にいえば「違法ではない」状態にあり、だからこそ「節度を持って」行うことが求められているのです。
現在では、「①葬送の目的をもって②墓地埋葬法の範囲内で③節度を持って行えば遺骨遺棄にはあたらない」という法的解釈が定着しています。
ここでいう節度とは主に散骨する地域の周辺環境・周辺住民への配慮を指し、
・遺骨を骨と分からなくなるくらい細かく粉末化すること
・公共の場所(山・海・川・公園等)や周辺住民に迷惑がかかるような場所は避けること
などに留意すべきと言えます。

条例により散骨が禁止されている場合もある

ただし、自治体によっては独自の条例により散骨が制限・禁止されている場合がありますので注意が必要です。
ここでは条例が制定された経緯別に一例を紹介します。

① 周辺住民とのトラブル防止のため
・北海道七飯町…法定外の葬送が行われた際を見据えて2006年に制定。地域住民への事前の説明会や事業計画書の提出などが求められている。
・埼玉県本庄市…2010年施行。敷地に隣接する全ての土地所有者の同意を得ていること、敷地の境界は、公共施設又は現に人の居住する建造物の敷地境界から300m以上、河川又は湖沼から100m以上離れていることなど、制限がかなり厳しく事実上散骨は不可能。
② 過去実際に周辺住民とのトラブルがあったため
北海道長沼町…町内で樹木葬を目的としたサービスが開始された際に上がった地元住民からの苦情を受け、条例制定へ。
③ 観光地などブランドイメージを保つため
・埼玉県秩父市…2008年施行。観光地長瀞の環境保護が目的とみられ、散骨業者だけではなく個人も対象とされている。
・静岡県熱海市/伊東市…どちらも観光地としてのイメージを守るため、ガイドラインや指針を制定。陸地から一定の距離が離れた海上でのみの散骨を認める形となっている。

散骨はどの山でもできるわけではない


山の散骨ですが、山であればどこでも散骨できるというわけではありません。
十分に調べないまま散骨してしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
そのようなトラブルを避けるため、ここでは散骨可能な山、散骨不可能な山について解説します。

散骨可能な山

自身や依頼する散骨業者が所有する山であれば、散骨しても問題ありません。
ただし、注意点が2つあります。

①水源付近に散骨しない
水源付近などに散骨してしまうと周辺住民に迷惑を及ぼす可能性があります。
私有地とはいえ、あくまで周辺住民への配慮を徹底すべきです。
②土の中には埋めない
土を掘り起こして遺骨を撒き、その上から土をかぶせてしまうと墓地埋葬法に違反することになってしまうので注意が必要です。
あくまで、地表に撒く形をとるようにしましょう。

散骨不可能な山

逆に、その山が他人の所有地である場合、散骨は出来ません。
民法第206条における土地の所有権の規定に基づき、他人の土地を使用する場合には土地所有者の承諾等が必要となります。
つまり、土地所有者の承諾を得られれば散骨できないこともありませんが、一般的に承諾を得られる可能性は低いです。
国有地も同様です。
公用及び公共用以外の用途では、承諾を求めても認められないでしょう。
トラブルになる可能性が高いため、他人が所有する山への散骨はしないことを強く推奨します。

山で散骨するための手続き・流れについて


ここからは、山の散骨の流れを具体的に解説します。
方法として、個人で行う場合と業者に依頼する場合の2ケースがあります。

①散骨場所を決める

まず、散骨を行う場所を決めます。
故人の思い入れがあった場所、好きだった景色が眺められる場所を選ばれる方が多いです。
この際、私有地や散骨禁止区域ではないことをしっかり確認しましょう。

②依頼する業者を決める

個人での散骨が難しい場合には、散骨業者に依頼しましょう。
業者に依頼する場合、業者所有の土地で散骨することが多いので安心です。
粉骨の代行や散骨場所や日時を記載した「散骨証明書」の発行などのサービスを行っているところもありますので、自身の希望に沿って選びましょう。
詳しい業者の探し方については、後述する『山への散骨を依頼する業者の探し方』をご参照ください。

③遺骨をパウダー状にする

ご遺骨を細かいパウダー状にします。
「粉骨」と呼ばれるこの作業は、散骨をするうえで必ず行わなければなりません。
十分に粉骨しないまま散骨を行ってしまうと、「墓地埋葬法」違反・「死体遺棄罪」の対象となってしまう可能性があります。
また、遺骨を発見した人が誤解して通報し、事件として取り扱われる可能性も考えられるため、お骨と認識できない程に粉砕する必要があるのです。
この作業はハンマーやすり鉢を使えば個人でも行えますが、7寸壺の遺骨をパウダー状にするには20時間以上かかるとされています。
精神的な負担も大きいので、業者に依頼して粉骨してもらうとよいでしょう。

④散骨場所にご遺骨を持参する

散骨を行うと決めた場所までご遺骨を持参します。
ただし、中にはご遺骨を見ることやご葬儀に関すること自体に忌避感を持つ方もいます。
途中で周辺住民や登山客など人目に触れてもいいように、ご遺骨を運んでいるとわからないような工夫が必要です。
骨壷を布で包んで運ぶなどの配慮を心掛けましょう。

⑤散骨する

散骨を行うと決めた場所に到着したら、粉骨した遺骨を撒きます。
この際に、献花を手向けたり供物を捧げたりすることも可能ですが、環境保護のため自然に還りやすいものや自宅へ持ち帰りやすいものを選ぶようにしましょう。
また、墓地埋葬法により山の散骨では墓標を立てることは許されていません。
周辺の木や岩を目印として覚えておくと、あらためてお参りに来た際に手を合わせやすいです。

山への散骨の費用相場はどれくらい?


では、山の散骨にはどのくらい費用がかかるのでしょうか。
ここでは、個人で行う場合と業者に依頼する場合の2ケースをご紹介します。

個人で行う場合

粉骨を自身で行い、個人所有の山で散骨を行う場合、かかる費用は0円です。
しかし、個人で粉骨を行うことは現実的でないため、業者に依頼すべきです。
その場合粉骨費用がかかりますが、7寸壺の遺骨の場合、14,000~30,000円程度が相場であると言えます
条件によっては約8,000円~で行っている業者があるほか、立ち合い見学や自宅での粉骨などのオプションサービスを用意している業者もありますので、自身の希望によって金額は変動するでしょう。

業者に依頼する場合

多くの業者では粉骨から散骨当日のセレモニーまでがセットになっており、その相場価格は10万~30万円程度といえます。
金額に幅がある理由には、散骨する季節や場所によっては相応の装備や人員が必要になること、サービスの品質に応じて料金も高くなることなどが挙げられます。
また、複数の遺骨を同時に散骨する場合、2遺骨目からは追加料金がかかることが多いです。
なお、火葬を含めたご葬儀から一括して依頼する場合には当然その分の費用が加算されます。
事前相談などを通じてあらかじめ見積もりを出してもらうと、費用感のイメージを持ちやすくなるでしょう。

【 散骨の費用関連コラム 】
散骨の費用相場はどれくらい?種類や注意点、業者の選び方を解説

近年よく耳にする散骨ですが、散骨といっても様々な種類があります。こちらのコラムでは種類別の費用相場や、散骨をする際に気を付けたいポイントについて詳しく解説します。

山への散骨を依頼する業者の探し方

山への散骨を行う際には、法令遵守の観点からも適切な業者を選ぶことが大切です。
散骨サービスに最近参入したばかりという業者も多くあり、その中には散骨について十分な知識を持たない業者もいます。
こうした業者に依頼すると、周辺住民とのトラブルを引き起こしてしまう可能性があるだけでなく、知らないうちに法律や条例に違反してしまう可能性もあるため、慎重に検討しなくてはいけません。
信頼できる業者を見抜くために、実店舗やオフィスを持っている、電話やメールの対応が早く誠実である、料金体系が明記されているなどの観点を踏まえ、必ず複数の業者を比較し検討するようにしましょう。

サン・ライフでの山の散骨

サン・ライフでは山の散骨を承っております。
90年ご葬儀業界で培った豊富な知識と経験を持つセレモニーのプロが、丁寧な事前説明と細やかな心配りでみなさまの散骨をお手伝いいたします。
当社所有の里山で散骨を執り行いますので、トラブルが起きる心配もありません。

サン・ライフでの山の散骨の流れ

①国府津駅に集合、車で里山へ移動
②里山のふもとを出発し、散骨地点へ
③祭壇へ献花
④ご遺骨を散骨
⑤供物・お別れ花を捧げる
⑥鐘を鳴らして黙祷
⑦里山のふもとへ下山、車で国府津駅へ

料金

253,000円(企画・運営料、お別れ花料、写真撮影料、送迎費、散骨証明書発行費を含む)
※粉骨作業料:33,000円~

山への散骨のルール・注意事項

散骨するにあたり、守るべきルールやモラルがあります。
特に以下の3点に注意しましょう。

法律違反にならないよう注意する

土に遺骨を埋めてしまうと、遺骨遺棄ととらえられ、墓地埋葬法違反となります。
また、正規のお墓以外には墓標や石碑を設置することも禁止されていますので、あくまでお骨を撒くにとどめましょう。

セレモニーやお参り後は環境整備をする

供物やお別れ花を捧げること自体は、咎められることではありません。
しかし、環境保護のため自然に還りやすいものを選んだり、セレモニーやお参りを終えたら自宅へ持ち帰ったりするようにしましょう。
また、火の元の扱いにも注意が必要です。
線香やろうそくを取り扱う際は複数人で確認するなどの対策を取りましょう。

埋葬されたお骨を取り出して散骨する場合は適切な手続きをとる

現状遺骨が埋葬されているお墓から別のお墓や納骨堂へ移す際には、市区町村による改葬許可を得なければなりません。
散骨のために取り出す場合にも許可が必要になりますが、市区町村により取扱いが異なりますので、該当の墓地がある市区町村の窓口で必要な手続などを確認してください。

実際に山へ散骨したご遺族の感想


山の散骨がどのようなものなのか、イメージしていただけたでしょうか。
ここでは、実際に当社で山の散骨をされたご遺族様の声を一部ご紹介いたします。

神奈川県横浜市在住H様

夫は生前、私たちに子どもがいないことからお墓を存続させるのは難しいだろうと考え、墓じまいについて思案していました。
また、私は、冷たい墓石の中へ夫を閉じ込めたくないという想いがありましたので、サン・ライフの山の自然葬は、私たち夫婦の希望を叶える理想的な見送り方に思えました。
散骨当日は天候に恵まれ、夫が少年時代によく泳いでいたという大磯の海や彼方に伊豆半島を見渡しながら、参加した親族も心あたたまる時間を過ごせたようです。
老後に住みたいと話していたような、日当たりが良く海が臨める場所で、ずっと人生のそばにあった「土」に包まれゆっくり休むことができ、きっと夫も喜んでくれているはずです。
遺骨を土へ還して自然の一部にすることは、生き物としてとても自然なことだと感じます。理想的な見送り方をサポートしてくれたサン・ライフの皆さん、ありがとうございました。

神奈川県平塚市在住O様

サン・ライフのセミナーにて自然葬について知り、もともと山へ登るのが好きだった私たちは、二人で山の自然葬にしようと決めました。
山の自然葬当日は参列者十名と多人数。教えて頂きながら白いカーネーションを一人ずつ並べて置き、散骨。お供え物、好物のお酒、お茶、果実、お菓子、そして花びらを全員でまき飾ってあげる。
黙祷をして、天候と人々に恵まれた自然葬は無事に終わりました。
いつの日か私も同じこの場所に・・・と思っております。
山の自然葬証明書と地図アルバムを頂き、散骨した後を写した写真はなんとなくハートのかたちになっていて感動しました。
本当に全ての流れをきちんとした素晴らしい “かたち” に残して頂けた事を、とても嬉しく、大切に思っております。
ありがとうございました。

適切な知識を身につけ正しい山の散骨を

このコラムのまとめです。
山の散骨とは、パウダー状にした遺骨を山へ撒くお別れのかたちです。
基本的に違法性はありませんが、条例などにより規制がある自治体もあります。
他人の所有地には散骨できず、自身あるいは依頼する業者が所有している山で行わなければなりません。
山の散骨は法整備が進んでいないため、以下の点に注意することが何より大切です。
・法律違反にならないよう、散骨方法には細心の注意を払う
・セレモニーやお参り後は環境整備を行う
・一度埋葬されたお骨を取り出して散骨する場合は、適切な手続きを行う
・周辺住民に対する配慮を忘れない

費用相場は、個人で行う場合14,000~30,000円程度、業者に依頼する場合10万~30万円程度となります。
費用は掛かりますが、業者に依頼したほうが安全・安心な散骨ができるので、適切な散骨の知識を持った信頼できる業者に相談してみましょう。

しっかりとした知識と心持ちがあれば、墓じまいに不安のある方、山に思い出がある方にとっては最適なお別れの仕方と言えます。
今回のコラムを参考にしていただき、正しい知識を身につけたうえで山の散骨を検討してみてください。

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