今日、葬儀のスタイルは、多様化が進んでいます。そして以前より実施されている葬儀や告別式のほかにも、「お別れ会」と呼ばれる会が執り行われるようになりました。お別れ会は葬儀・告別式とは目的や進め方が異なるため、実施や参列にあたっては基本的な内容を知っておくことが重要です。この記事では、お別れ会の概要や葬儀・告別式との違い、基本的な流れなどについて解説します。
目次
お別れ会とは
お別れ会とは、言葉通り故人とのお別れの場として設けられる、故人に縁のある知人や友人を招いて行う会のことです。葬儀とは別の日に改めて実施し、逝去した人を偲びます。
「偲ぶ会」「感謝の会」と呼ばれることもあり、比較的自由なスタイルで行う点が特徴的です。
お別れの会では、逝去した人を偲ぶことをより重視します。会場の選択も自由であり、故人が生前好きだった趣味や音楽などをテーマにした会場設営をすることもあります。
服装に関しても喪服である必要はなく、平服や故人と関係の深い服装をあえて選ぶことも少なくありません。通常は、遺族や関係者が発起人になることが一般的ですが、故人が生前にお別れの会の開催を望むこともあります。また、終活の一環として生前に執り行うケースもあるなど、やはり自由度が高い儀式だといえるでしょう。
お別れ会と葬儀・告別式との違い
一般的な葬儀・告別式とお別れ会の違いや特徴をまとめると、以下の通りです。
葬儀・告別式 | お別れ会 | |
主催者の基本 | 遺族 | 遺族以外に友人知人や故人のケースも |
参列者の基本 | 故人と関係が深い人や親族と親しい人 | 故人とお別れをしたい人 |
開催日 | 葬儀・告別式を同日中に行うのが通常 | 葬儀・告別式とは別日に行うのが通常 |
宗教や宗派への注意 | 注意が必要 | 制約がないことも多い |
スタイル | 基本的なスタイルがある | 比較的自由度が高い |
葬儀・告別式が宗教的な意味合いの強い儀式である一方で、お別れ会は社会的な意味合いが強いといえるでしょう。宗教的な制約がないことから、遺族だけでなく、故人の友人・知人が主催者となる場合も多く、式の内容も故人の希望や主催者によって比較的自由なスタイルで執り行えます。
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お別れ会とお通夜の違い
葬儀や告別式との違いと同じように大きな違いとしては、お通夜では行われる読経やお焼香などの決まりきった内容は特になく、主催者側が故人を想って式の内容を考えるなど、自由な形式で行われる点です。お別れの会は、参列者の挨拶や献花を中心とした形で行われることが多いです。
お別れ会の開催形式
お別れ会の開催スタイルとしては、以下の3つが一般的です。
【主な開催形式】
- セレモニー
- 会費制パーティー
- 法人開催(社葬・団体葬)
上記それぞれについて、説明します。
1.セレモニー形式
セレモニー形式のお別れ会は、葬儀や告別式に近い形式で執り行われる会です。会場の正面には、生花祭壇が飾られ、故人の経歴紹介や発起人挨拶、葬送儀礼、参列者の弔辞などが行われます。最後に参列者が1人ずつ献花を行うことが一般的です。
宗教儀礼が含まれる場合もあり、なるべく広い会場の方が適していることから、セレモニーホール、寺院祭場などが一般的に利用されます。
2.会費制パーティー形式
会費制パーティー形式は、参列者が会費を支払って参加するパーティー形式のお別れ会です。お別れ会として比較的選ばれることが多い形式です。
流れとしては、弔礼や献花の後、参列者が会食を行う流れが一般的です。生花祭壇は簡略化されることが多く、会費制にすることで主催者の負担を減らすことができます。宗教儀礼の制約がないため、参列者は会食途中で退席したり、献花のみに出席したりすることも可能です。
また、セレモニーと会費制パーティーを組み合わせてお別れ会を実施することもあります。この場合、告別式と献花を最初に行い、その後別の会場で会食が行われることが一般的です。 会費制パーティーのみの場合はホテルや専門施設を使用することが多いですが、セレモニーと併用する場合はセレモニーホールや祭場を利用することもあります。
3.法人開催形式(社葬・団体葬)
お別れ会には、法人が主催者となる場合もあります。この場合、会社や団体が代表者や前任代表などが亡くなった際に執り行われることが一般的です。 以前は、大企業の代表者が亡くなった際に大規模で行われる会というイメージがありましたが、近年では中小企業においても創業者や代表者、そして会社に大きく貢献した社員などを対象として実施されることが増えています。
お別れ会の内容
お別れ会では、次のような内容が一般的に行われます。
弔辞や追悼スピーチ | 参列者や主催者が故人に対しての思いや感謝の気持ちを述べるスピーチや弔辞が行われます。 |
故人の経歴紹介 | 故人の生涯や業績、人間性を紹介する映像やスライドショーが上映されることがあります。 |
献花 | 会場には花輪や生花祭壇が飾られ、参列者が献花を行うことが一般的です。花輪の代わりに寄せ書きのボードなども使われることがあります。 |
お参りやお焚き上げ | 宗教的な要素がある場合、お参りやお焚き上げが行われることがあります。 |
会食 | 参列者が一堂に会し、故人を偲びながら食事を共にすることがあります。会費制の場合、食事が提供されることが多いです。 |
参列者との交流 | 参列者同士が故人を偲びながら交流を深める機会となることがあります。 |
お礼の挨拶 | 主催者や家族から参列者へのお礼の挨拶が行われます。 |
お別れ会の内容は故人を偲び、感謝の気持ちを伝える大切な行事となります。家族や主催者の意向によって、お別れ会の形式や内容は柔軟に変えることができますので、心温まる式典を演出することが重要です。
お別れ会の一般的な流れ
お別れ会では、特に決まった形式や流れはありません。
ここでは、一般的に行われる流れをご紹介します。
【一般的な流れ】
- 受付参加者の受付を行います。
- 開会・挨拶お別れの会が始まる前に主催者や司会者による開会の挨拶が行われます。参列者を歓迎し、お別れ会の流れや進行について説明します。
- 黙祷
- 故人の経歴紹介故人の生涯や業績、人間性を紹介する映像やスライドショーが上映されることもあります。参列者が故人の思い出を共有します。
- 追悼の言葉、弔電・弔事参列者や主催者が立ち上がり、故人に対しての思いや感謝の気持ちを述べる弔辞や追悼スピーチが行われます。
- 参会者への謝辞遺族代表が行います。(会食後に行われる場合もあります)
- 会食参列者が一堂に会し、故人を偲びながら食事を共にすることがあります。会費制の場合、食事が提供されることが多いです。
- 献花会場には花輪や生花祭壇が飾られ、参列者が献花を行います。故人への哀悼の意を表す大切な瞬間となります。(会食や形式の辞の前に行われることもあります。)
- 閉会お別れ会の終了を告げる挨拶が行われ、参列者がお別れ会を後にします。
お別れ会の準備期間
お別れ会の準備の目安は約2ヶ月前から、会場選びや各必要な準備を行っていきます。3ヶ月前から始めると余裕を持って準備することができます。
事前に準備するものとして、以下をあらかじめ決めておくとスムーズに準備が進められます。
◆会場決定
◆人数・日取り決定
参加人数や、参加者皆さんが集まれそうな日程を検討します。リストの作成や案内状の送 付も考えておきましょう。
◆コンセプト決定
故人の個性やストーリーを思い出しながら、全体のコンセプトをあらかじめ決めておくと いいでしょう。
必要に応じて、音響や映像機器の確認、会食の手配、宗教的な要素の準備なども検討してください。大切なのは、故人を偲び、感謝の気持ちを伝える準備を丁寧に行い、参列者が心に残るようなお別れの場を創り上げることです。
お別れ会の会場や日程の決め方
お別れ会では会場の決め方も自由であり、形式に合わせてふさわしい場所を選ぶことが大切です。会場候補としては、以下が挙げられます。
【主な会場候補】
- セレモニーホール
- 斎場
- ホテル
- レストラン
- 宴会施設
セレモニー形式の場合、生花祭壇の設置のために一定のスペースと専門スタッフのサポートが必要です。そのため、斎場やセレモニーホールが適しています。
一方、パーティー形式の場合は、ホテルやレストラン、宴会施設などが一般的です。会場によって制約が発生する場合もあるため、事前に連絡や相談を行うことが重要です。
日程については、遺族や関係者と話し合って都合のよい日を決めることができます。一般的には故人の逝去から2週間から1か月程度経過後に行われることが多いです。
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お別れ会の開催時期
お別れ会の開催時期には決まりはなく、いつでも行うことができます。一般的には、葬儀から約2週間から2か月程度を目安に行われることが多く、四十九日法要や一周忌に合わせた日や、お亡くなりから5年・10年といった節目や、同窓会と兼ねたタイミングで行うこともあります。
開催時期を決める際は、遺族と参列者の都合を考慮して、日程を事前に決定することが大切です。時間的な余裕を持つことで、故人と親しかった方々が参加しやすくなり、それぞれが思い思いに故人との最後のお別れをすることができるため、遺族と参列者の事情を考慮した上で最終的な日程を決定すると良いでしょう。
お別れ会の開催時刻は、午前11時から夕方5時に始まることが一般的です。全体として2時間程度が一般的な時間帯ですが、会場や内容によって変わることもあります。
お別れ会の費用相場
費用の目安は、香典・会費の場合ともに1〜2万円程度です。会場費用や飲食代、返礼品などの費用を合計した金額と考えられるでしょう。
ただし上記はあくまでも目安であり、たとえば未成年の参会者に関しては、成人よりも低く設定されることがあります。
お別れ会の参列時のマナー
服装に関して
服装については、基本的には案内状にて指定されている内容を優先して決めます。お別れ会においては必ず喪服が必要とは限らず、「平服」と記載されている場合は、平服で参列するようにしましょう。平服といっても派手すぎず、カジュアルすぎない適切な服装を心掛けましょう。基本的には、スーツやワンピースなど控えめな色合いのものを選ぶことが重要です。色も控えめで目立たないものにすることが重要です。もし服装に指定がない場合は、主催者に確認することをおすすめします。
香典に関して
香典に関しては、案内状に記載がない場合は、葬儀と同様に持参することが基本です。香典袋に白黒の水引を合わせ、「御霊前」と記載するのが一般的な方法です。ただし、お別れ会は会費制パーティーの形式で行われることもあります。案内状を確認して会費制である場合は、白無地の封筒に住所と氏名を記載して用意しておくと安心です。
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お別れ会をおすすめするケース
最後にお別れ会に向いているケースをご紹介します。
ケース①参列者が遠方にいる場合
遠方にいる参列者が葬儀や告別式に参加できない場合に、後日お別れ会を開催することで、参列者全員が故人との最後の別れをする機会を持つことができます。
ケース②時間に余裕を持ってお別れしたい場合
葬儀や告別式では時間的な制約がある場合が多く、参列者全員が故人と偲ぶ時間を持つことはなかなか難しいですが、お別れ会は自由に時間配分を決められるため、参加者がゆっくりと故人を偲ぶ時間を持つことができます。
ケース③故人の意向や趣味を反映させた式典を行いたい場合
お別れ会では、故人の好きだった音楽や趣味を取り入れたり、自由な形式で参加者が思い出話を交わしたりすることができるため、故人の個性をより深く表現したい場合におすすめです。
ケース④気軽に故人との思い出話を語り合う場を作りたい場合
葬儀や告別式では厳粛な雰囲気が求められることがあるため、お別れ会では気軽に参加者同士が思い出話を語り合い、交流する場を作りやすいです。
まとめ
お別れ会は、葬儀・告別式とは異なり、故人を偲ぶことを主な目的として執り行われます。お別れ会は比較的自由な催し物であり、故人の意向に沿って開催される場合もありますが、自由度が高いとはいえ、マナーは存在するため、事前に確認を行って開催することが重要です。
基本的には案内状に記載の内容に従い、わからないことや記載のないことは主催者に確認するようにすると安心でしょう。
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