故人と最後のお別れをするために行われる儀式を弔事といいます。遺族にとっては故人を偲び、悲しみを乗り越える大切な時間です。また、参列者にとっては故人や遺族に弔意を表し、お悔やみの言葉を伝える場となります。
本記事では、弔事の意味や類似する用語との違いを解説します。また、遺族や参列者それぞれが行うべきことも紹介するのでぜひ参考にしてください。
弔事(ちょうじ)とは?
弔事(ちょうじ)は故人を弔い偲ぶために行われる儀式であり、弔事の弔には亡くなった方を弔うという意味があります。葬儀や通夜などお悔やみ事全般を指し、一般的に通夜・告別式・火葬・初七日法要・四十九日法要が含まれます。
弔事を行う目的は、亡くなった方への感謝と哀悼の意を表すことです。故人と親交のあった方々が集まり、故人の思い出を語り合う機会にもなります。
遺族は参列者を招待する準備が必要であり、参列者は香典やお供え物などを用意するのが一般的です。遺族側も参列者側もマナーを守り弔事を執り行うことで、故人に対して敬意を表せます。
弔事と似た用語との違い
弔事と似ている用語に以下のものがあります。
- ・慶事
- ・弔辞
- ・法事
弔事の反対の意味をもつ用語もあるため間違わないようしっかり押さえておきましょう。
弔事と慶事の違い
慶事(けいじ)とは結婚や出産など、喜ばしい出来事をお祝いする儀式や行事を指します。慶事の慶にはめでたい・よろこぶという意味があり、慶事は人生の節目となるお祝い事に対して使われる言葉です。
弔事と慶事はフォーマルな儀式に使われる点では同じです。しかし、それぞれがもつ意味は異なります。お悔やみや哀悼の場として使う弔事と、お祝いや喜びの場として使う慶事は反対の意味をもつ言葉です。
また、慶事と弔事を合わせて慶弔(けいちょう)という言葉を使うケースもあります。慶弔は結婚祝い・出産祝い・葬儀だけでなく、お見舞いや昇進、開業祝いなど幅広く使われるのが特徴です。なお、会社では弔慰休暇や結婚休暇、出産休暇などをまとめて慶弔休暇と呼びます。
弔事と弔辞の違い
弔辞は「ちょうじ」と読みます。弔事と読み方が同じなので混同しやすいものの、意味は異なります。
弔辞は亡くなった方に送るお別れの言葉です。葬儀や告別式などで故人の子どもや孫、親しかった方によって読み上げられます。それに対し、弔事は故人を偲ぶための儀式や行事を指します。つまり、弔辞は弔事の中で読み上げられる別れの言葉と理解しておけば混同しないでしょう。
一文字違うだけで意味が変わるので、書き間違えには注意してください。
弔事と法事の違い
法事は亡くなった方を供養するために行われる儀式を指します。具体的には、一周忌や三回忌を指しており、葬儀や告別式などの弔事の後に執り行われるのが一般的です。
法事は故人の冥福を祈る目的で行われるのに対し、弔事は故人を悼む目的で行われます。冥福を祈るとは、亡くなった人の魂が安らかに過ごせるように願うことであり、悼むとは亡くなった人を慎み、敬う気持ちを表すことです。法事と弔事は執り行う目的がそれぞれ異なります。
弔事で遺族が行うべきこと
弔事で遺族が行うべきことは、主に以下の5つです。
- ・故人の関係者に訃報を連絡する
- ・通夜・告別式・火葬の準備を行う
- ・葬儀に向けた準備を行う
- ・会食の準備を行う
- ・返礼品の準備を行う
それぞれ詳しく解説します。
故人の関係者に訃報を連絡する
まずは親戚や友人、知人などに連絡し、故人の訃報を伝えなければなりません。故人と特に親しかった人に対しては直接電話で知らせます。故人が会社に勤めていた場合は勤務先への連絡も必要です。連絡する際は喪主の名前と連絡先、葬儀の日時を伝えましょう。
故人の関係者へ訃報を伝える主な連絡手段として以下の通りです。
- ・電話
- ・FAX
- ・メール
- ・SNS
- ・手紙
- ・新聞
確実に伝われば手段は何でも問題ないとされていますが、メールやファックス、SNSは受け取った相手が気付くのが遅れたり、見落としてしまったりする可能性があります。確実に伝達するには電話がよいでしょう。
また、一人で関係者に連絡するのは、負担が大きい上に連絡漏れが発生するかもしれません。葬儀が終わってから亡くなったことを知る人が出ないように、家族や親族など周囲の方に手伝ってもらい、手分けして連絡するとスムーズです。
なお、遺族は通夜や葬儀を執り行うための休暇を取れることがあります。故人の関係者だけでなく、自分の勤務先にも早めに連絡しておきましょう。
通夜・告別式・火葬の準備を行う
大切な人を亡くした悲しみの中でも葬儀の手続きは進めなければなりません。特に病院で亡くなった場合はご遺体を移動するためのスムーズな対応が求められます。
ここでやるべきことは葬儀社の選定です。葬儀社が決まれば、通夜・告別式・火葬までの準備を手伝ってもらえます。一般葬や家族葬、一日葬など葬儀の種類はさまざまあるため、葬儀の規模や内容を決めた上で開催場所と日時を決定してください。
葬儀に僧侶を招く場合は、僧侶に連絡して日程を調整しなければなりません。菩提寺がある場合は、直接連絡して依頼をします。菩提寺がない場合や菩提寺が遠方で利用しづらい場合は、葬儀社に依頼すれば探してもらえます。
喪主を務める場合は葬儀の挨拶も考えておきましょう。
葬儀に向けた準備を行う
葬儀の内容を決めた後は葬儀に向けた準備が必要です。準備に必要なものや準備する際のポイントは以下のとおりです。
準備に必要なもの |
意味 |
準備する際のポイント |
遺影 |
祭壇に飾る故人の写真 |
故人の顔がはっきり写っているものを選ぶ |
弔辞 |
葬儀で読み上げる、故人への追悼の意を表す言葉(お別れの挨拶) |
故人と親交の深かった方や仕事関係者などにお願いする |
枕飾り |
故人の冥福を祈り、ご遺体の枕元に置く祭壇 | 枕飯・枕団子などを置くのが一般的 |
副葬品 |
棺桶にご遺体とともに納める品物 |
故人の生前の思い出の品や故人が好きだったものなどを選ぶ |
お布施 | 葬儀で僧侶に渡す謝礼 |
お布施の金額は葬儀の内容や宗教によって異なる |
上記の他に葬儀費用や会食費用の準備が必要となる場合もあります。何を準備すればよいのか分からないときは葬儀社に相談しながら決めるとよいでしょう。
会食の準備を行う
葬儀後には会食が伴うのが一般的です。葬儀社と相談し、段取りを組みましょう。
通夜を行う場合は「通夜振る舞い」と呼ばれる会食を準備します。通夜振る舞いは故人との最後の食事であり、お清めや故人を供養する目的も含まれています。料理は参加者全員に振る舞うため、オードブルやお寿司などの大皿料理を準備するとよいでしょう。準備する量は参加者に対して7割程度が目安です。
また、葬儀の後は「精進落とし」と呼ばれる会食を行います。精進落としは、葬儀を終えた僧侶や参列者をねぎらうためのものです。通夜振る舞いとは異なり、準備する分量が限られるため、人数分の仕出し弁当や懐石料理などを用意します。
なお、以前は葬儀の会食に肉や魚の料理を出すのはご法度とされていました。近年では、伊勢海老や鯛など慶事を連想させる食べ物でなければ、葬儀の会食に出しても特に問題はありません。ただし、地域の風習によっても異なるため、親戚や葬儀社に相談しておくと安心です。
返礼品の準備を行う
通夜や葬儀に参列してくださった方々に渡す返礼品を準備します。返礼品は香典をいただいた方だけでなく参列者全員に同じものを渡すのが通例です。
返礼品は参列者が持ち帰る際の負担にならない消耗品がよいとされており、例えばお菓子・お茶・コーヒー・海苔などの食品や、ハンカチ・タオルなどの生活用品が人気です。また、近年では受け取った側が商品を選べるカタログギフトも定番になりつつあります。
返礼品の種類や金額は地域や宗教によっても異なります。葬儀社と相談して決めるとよいでしょう。
弔事で参列者が行うべきこと
弔事で参列者が行うべきことは、以下の3つです。
- ・喪服を準備する
- ・香典を準備する
- ・お悔やみの言葉を用意しておく
一般的なマナーでもあるため、しっかり押さえておきましょう。
喪服を準備する
弔事に参加する際は喪服を準備しなければなりません。喪服にも種類があるため、弔事の種類によって使い分ける必要があります。
通夜や葬儀後の弔問には略喪服を選ぶのが適しています。男性の略喪服は、黒・濃紺・グレーなどの暗い色調が用いられたダークスーツやリクルートスーツなどです。女性は落ち着いた色調のワンピースに黒いストッキングを着用します。
また、葬儀や告別式に参加する場合は、よりフォーマルな服装が求められます。この場合、正式な喪服である準喪服を選択するのがふさわしいです。男性の場合はブラックスーツ、女性の場合はブラックフォーマルを着用します。ベルト・バッグ・靴などの小物類も黒で統一し、光沢のある素材や革製、金具が付いたものは避けるのがマナーです。学生は弔事の種類に関わらず制服を着用すれば問題ありません。
香典を準備する
通夜や葬儀に参列する際は、遺族から辞退の申し出がない限り香典を用意します。お線香や供花の代わりに現金を贈ることで、故人に対して供養の気持ちを表します。
用意するものは不祝儀袋・現金・薄墨の3つです。不祝儀袋は白無地で、黒白もしくは双銀の結び切りの水引であれば各宗教共通で使えます。
不祝儀袋には薄墨で表袋の上段に表書き(香典の種類)を、下段には自分の氏名を書きます。内袋には自分の住所を書くのが一般的です。香典の表書きは宗教に合わせて選びましょう。
各宗教で使われる香典の表書きは以下のとおりです。
宗教の種類 |
香典の表書き |
仏式 |
御仏前(浄土真宗の場合)・御霊前・御香料・御香典・御悔 |
新式 |
御榊料・玉串料 |
キリスト教 |
御花料 |
無宗教 |
御香料 |
お悔やみの言葉を用意しておく
通夜や告別式などに参列する際はお悔やみの言葉を用意しておきます。お悔やみの言葉は故人や遺族に哀悼の意が伝わる言葉を考えましょう。例としては「この度は誠にご愁傷さまでございます。心からお悔やみ申し上げます。」が一般的です。故人の死を悼み、遺族の悲しみに共感する気持ちを表しています。
お悔やみの言葉として以下の例があります。
- ・思いもかけない出来事で本当に残念です。お辛い時期かと思いますが、どうかお力を落としなさいませんように。
- ・この度は突然のことで言葉も見つかりません。心からお悔やみ申し上げます。
- ・誠に残念な出来事です。ご家族の悲しみは計り知れないでしょう。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
- ・〇〇さんとは仕事を通じてお世話になり、いつも温かいご指導をいただきました。
仏式の場合は「ご冥福をお祈りいたします」ですが、キリスト教の場合は「安らかな眠りをお祈りいたします」が適切な言葉の一例です。
注意点としては、忌み言葉を避けるよう心がけることです。具体的には「たびたび」「重ね重ね」などの重ね言葉や、「苦しむ」「浮かばれない」など不吉な表現が該当します。加えて死因を尋ねるのもマナー違反です。遺族の感情を尊重するようにしましょう。
もし都合が悪く弔事を欠席せざるを得ない場合は、以下の方法でお悔やみの意を伝えます。
- ・代理人に香典を渡す
- ・供花を贈る
- ・弔電(お悔やみ電報)を打つ
参列できず申し訳ない旨を伝える言葉も添えて追悼の意を伝えましょう。
弔事の際にのしと水引はどうする?
弔事の際にお供え物や香典に付けるのしや水引は、間違ったものを選ぶと遺族に不快な思いをさせてしまうため、確実に押さえておかなければいけません。適切に対応できるように確認しておきましょう。
のしのマナー
弔事では水引だけが印刷されたのし紙を使用します。弔事のお供え物に掛けるのし紙にはのしを添えないのがマナーとなっています。
のしとは、贈り物を包む掛け紙の右上に添える小さな飾りのことです。慶事ではのしと水引を印刷した「のし紙」が使用されます。「のし」という言葉は、のし紙を指していることが多いです。
弔事に用いるのし紙の表書きは宗教によって異なります。それぞれの表書きは以下のとおりです。
宗教の種類 |
のしの表書き |
仏式 |
御仏前(浄土真宗の場合)・御霊前・御香料・御香典・御悔 |
神式 |
御榊料・玉串料 |
キリスト教 |
御花料 |
無宗教 |
御香料 |
弔事の品物を手渡しする際は、包装した後にのし紙を掛ける「外のし」が基本です。しかし、葬儀に参列できず後日持参する場合や郵送する場合は、のし紙を掛けた上から包装紙を包む「内のし」で問題ありません。
のし紙には送り主の名前をフルネームで記載します。送り主が夫婦の場合は、フルネームで夫の名前を記載し、その左側に妻の下の名前だけを記載してください。送り主を連名にする際は、立場や年齢が高い人を右から順に記載していきます。ただし連名で記載できるのは3名までです。4名以上を記載する場合は「有志一同」「社員一同」とまとめ、送り主の名前は記載しません。表書きは毛筆で記載するのがふさわしいですが、筆ペンやサインペンを使用しても問題ありません。ただし、薄墨を使用するのが原則です。濃墨で書かないように注意してください。
水引のマナー
水引のマナーも慶事と弔事で異なります。慶事の際は赤白、金銀、赤金などの色の水引を使用しますが、弔事に使用する水引の色は、黒白、双銀、紫銀、黄白などです。弔事の水引の色は宗教や地域などによって使い分けられます。迷った場合は黒白の水引を選ぶとよいでしょう。ただしキリスト教式の場合は、水引を使用しません。
弔事に使用する水引の結び方は結び切りです。結び切りは固く結ばれて簡単にほどけない結び方で、繰り返すことがないようにという意味があります結び切りの一つである、あわじ結びも弔事に用いられますが、華やかな見た目と両端を引っ張るとより強固に結ばれることから「末永く付き合う」とされ、一度きりの慶事にもよく使われる形です。
まとめ
弔事とは、亡くなった方を弔い、偲ぶために行われる儀式を指します。亡くなった方への感謝と哀悼の意を表すとともに、故人と親交のあった方々が故人の思い出を語り合う場です。弔事を執り行う際は、遺族側と参列者側のそれぞれに行うべきことがあります。弔事の準備やマナーをしっかり把握し、適切に行い故人に対して弔意を表しましょう。
株式会社サン・ライフでは神奈川・東京の弔事に関するさまざまなご相談を承っています。24時間365日対応のコールセンターを完備しており、スタッフがいつでも対応できる体制を整えています。葬儀・弔事に関するご相談はお気軽にお問い合わせください。
故人と最後のお別れをするために行われる儀式を弔事といいます。遺族にとっては故人を偲び、悲しみを乗り越える大切な時間です。また、参列者にとっては故人や遺族に弔意を表し、お悔やみの言葉を伝える場となります。
本記事では、弔事の意味や類似する用語との違いを解説します。また、遺族や参列者それぞれが行うべきことも紹介するのでぜひ参考にしてください。
弔事(ちょうじ)とは?
弔事(ちょうじ)は故人を弔い偲ぶために行われる儀式であり、弔事の弔には亡くなった方を弔うという意味があります。葬儀や通夜などお悔やみ事全般を指し、一般的に通夜・告別式・火葬・初七日法要・四十九日法要が含まれます。
弔事を行う目的は、亡くなった方への感謝と哀悼の意を表すことです。故人と親交のあった方々が集まり、故人の思い出を語り合う機会にもなります。
遺族は参列者を招待する準備が必要であり、参列者は香典やお供え物などを用意するのが一般的です。遺族側も参列者側もマナーを守り弔事を執り行うことで、故人に対して敬意を表せます。
弔事と似た用語との違い
弔事と似ている用語に以下のものがあります。
- ・慶事
- ・弔辞
- ・法事
弔事の反対の意味をもつ用語もあるため間違わないようしっかり押さえておきましょう。
弔事と慶事の違い
慶事(けいじ)とは結婚や出産など、喜ばしい出来事をお祝いする儀式や行事を指します。慶事の慶にはめでたい・よろこぶという意味があり、慶事は人生の節目となるお祝い事に対して使われる言葉です。
弔事と慶事はフォーマルな儀式に使われる点では同じです。しかし、それぞれがもつ意味は異なります。お悔やみや哀悼の場として使う弔事と、お祝いや喜びの場として使う慶事は反対の意味をもつ言葉です。
また、慶事と弔事を合わせて慶弔(けいちょう)という言葉を使うケースもあります。慶弔は結婚祝い・出産祝い・葬儀だけでなく、お見舞いや昇進、開業祝いなど幅広く使われるのが特徴です。なお、会社では弔慰休暇や結婚休暇、出産休暇などをまとめて慶弔休暇と呼びます。
弔事と弔辞の違い
弔辞は「ちょうじ」と読みます。弔事と読み方が同じなので混同しやすいものの、意味は異なります。
弔辞は亡くなった方に送るお別れの言葉です。葬儀や告別式などで故人の子どもや孫、親しかった方によって読み上げられます。それに対し、弔事は故人を偲ぶための儀式や行事を指します。つまり、弔辞は弔事の中で読み上げられる別れの言葉と理解しておけば混同しないでしょう。
一文字違うだけで意味が変わるので、書き間違えには注意してください。
弔事と法事の違い
法事は亡くなった方を供養するために行われる儀式を指します。具体的には、一周忌や三回忌を指しており、葬儀や告別式などの弔事の後に執り行われるのが一般的です。
法事は故人の冥福を祈る目的で行われるのに対し、弔事は故人を悼む目的で行われます。冥福を祈るとは、亡くなった人の魂が安らかに過ごせるように願うことであり、悼むとは亡くなった人を慎み、敬う気持ちを表すことです。法事と弔事は執り行う目的がそれぞれ異なります。
弔事で遺族が行うべきこと
弔事で遺族が行うべきことは、主に以下の5つです。
- ・故人の関係者に訃報を連絡する
- ・通夜・告別式・火葬の準備を行う
- ・葬儀に向けた準備を行う
- ・会食の準備を行う
- ・返礼品の準備を行う
それぞれ詳しく解説します。
故人の関係者に訃報を連絡する
まずは親戚や友人、知人などに連絡し、故人の訃報を伝えなければなりません。故人と特に親しかった人に対しては直接電話で知らせます。故人が会社に勤めていた場合は勤務先への連絡も必要です。連絡する際は喪主の名前と連絡先、葬儀の日時を伝えましょう。
故人の関係者へ訃報を伝える主な連絡手段として以下の通りです。
- ・電話
- ・FAX
- ・メール
- ・SNS
- ・手紙
- ・新聞
確実に伝われば手段は何でも問題ないとされていますが、メールやファックス、SNSは受け取った相手が気付くのが遅れたり、見落としてしまったりする可能性があります。確実に伝達するには電話がよいでしょう。
また、一人で関係者に連絡するのは、負担が大きい上に連絡漏れが発生するかもしれません。葬儀が終わってから亡くなったことを知る人が出ないように、家族や親族など周囲の方に手伝ってもらい、手分けして連絡するとスムーズです。
なお、遺族は通夜や葬儀を執り行うための休暇を取れることがあります。故人の関係者だけでなく、自分の勤務先にも早めに連絡しておきましょう。
通夜・告別式・火葬の準備を行う
大切な人を亡くした悲しみの中でも葬儀の手続きは進めなければなりません。特に病院で亡くなった場合はご遺体を移動するためのスムーズな対応が求められます。
ここでやるべきことは葬儀社の選定です。葬儀社が決まれば、通夜・告別式・火葬までの準備を手伝ってもらえます。一般葬や家族葬、一日葬など葬儀の種類はさまざまあるため、葬儀の規模や内容を決めた上で開催場所と日時を決定してください。
葬儀に僧侶を招く場合は、僧侶に連絡して日程を調整しなければなりません。菩提寺がある場合は、直接連絡して依頼をします。菩提寺がない場合や菩提寺が遠方で利用しづらい場合は、葬儀社に依頼すれば探してもらえます。
喪主を務める場合は葬儀の挨拶も考えておきましょう。
葬儀に向けた準備を行う
葬儀の内容を決めた後は葬儀に向けた準備が必要です。準備に必要なものや準備する際のポイントは以下のとおりです。
準備に必要なもの |
意味 |
準備する際のポイント |
遺影 |
祭壇に飾る故人の写真 |
故人の顔がはっきり写っているものを選ぶ |
弔辞 |
葬儀で読み上げる、故人への追悼の意を表す言葉(お別れの挨拶) |
故人と親交の深かった方や仕事関係者などにお願いする |
枕飾り |
故人の冥福を祈り、ご遺体の枕元に置く祭壇 | 枕飯・枕団子などを置くのが一般的 |
副葬品 |
棺桶にご遺体とともに納める品物 |
故人の生前の思い出の品や故人が好きだったものなどを選ぶ |
お布施 | 葬儀で僧侶に渡す謝礼 |
お布施の金額は葬儀の内容や宗教によって異なる |
上記の他に葬儀費用や会食費用の準備が必要となる場合もあります。何を準備すればよいのか分からないときは葬儀社に相談しながら決めるとよいでしょう。
会食の準備を行う
葬儀後には会食が伴うのが一般的です。葬儀社と相談し、段取りを組みましょう。
通夜を行う場合は「通夜振る舞い」と呼ばれる会食を準備します。通夜振る舞いは故人との最後の食事であり、お清めや故人を供養する目的も含まれています。料理は参加者全員に振る舞うため、オードブルやお寿司などの大皿料理を準備するとよいでしょう。準備する量は参加者に対して7割程度が目安です。
また、葬儀の後は「精進落とし」と呼ばれる会食を行います。精進落としは、葬儀を終えた僧侶や参列者をねぎらうためのものです。通夜振る舞いとは異なり、準備する分量が限られるため、人数分の仕出し弁当や懐石料理などを用意します。
なお、以前は葬儀の会食に肉や魚の料理を出すのはご法度とされていました。近年では、伊勢海老や鯛など慶事を連想させる食べ物でなければ、葬儀の会食に出しても特に問題はありません。ただし、地域の風習によっても異なるため、親戚や葬儀社に相談しておくと安心です。
返礼品の準備を行う
通夜や葬儀に参列してくださった方々に渡す返礼品を準備します。返礼品は香典をいただいた方だけでなく参列者全員に同じものを渡すのが通例です。
返礼品は参列者が持ち帰る際の負担にならない消耗品がよいとされており、例えばお菓子・お茶・コーヒー・海苔などの食品や、ハンカチ・タオルなどの生活用品が人気です。また、近年では受け取った側が商品を選べるカタログギフトも定番になりつつあります。
返礼品の種類や金額は地域や宗教によっても異なります。葬儀社と相談して決めるとよいでしょう。
弔事で参列者が行うべきこと
弔事で参列者が行うべきことは、以下の3つです。
- ・喪服を準備する
- ・香典を準備する
- ・お悔やみの言葉を用意しておく
一般的なマナーでもあるため、しっかり押さえておきましょう。
喪服を準備する
弔事に参加する際は喪服を準備しなければなりません。喪服にも種類があるため、弔事の種類によって使い分ける必要があります。
通夜や葬儀後の弔問には略喪服を選ぶのが適しています。男性の略喪服は、黒・濃紺・グレーなどの暗い色調が用いられたダークスーツやリクルートスーツなどです。女性は落ち着いた色調のワンピースに黒いストッキングを着用します。
また、葬儀や告別式に参加する場合は、よりフォーマルな服装が求められます。この場合、正式な喪服である準喪服を選択するのがふさわしいです。男性の場合はブラックスーツ、女性の場合はブラックフォーマルを着用します。ベルト・バッグ・靴などの小物類も黒で統一し、光沢のある素材や革製、金具が付いたものは避けるのがマナーです。学生は弔事の種類に関わらず制服を着用すれば問題ありません。
香典を準備する
通夜や葬儀に参列する際は、遺族から辞退の申し出がない限り香典を用意します。お線香や供花の代わりに現金を贈ることで、故人に対して供養の気持ちを表します。
用意するものは不祝儀袋・現金・薄墨の3つです。不祝儀袋は白無地で、黒白もしくは双銀の結び切りの水引であれば各宗教共通で使えます。
不祝儀袋には薄墨で表袋の上段に表書き(香典の種類)を、下段には自分の氏名を書きます。内袋には自分の住所を書くのが一般的です。香典の表書きは宗教に合わせて選びましょう。
各宗教で使われる香典の表書きは以下のとおりです。
宗教の種類 |
香典の表書き |
仏式 |
御仏前(浄土真宗の場合)・御霊前・御香料・御香典・御悔 |
新式 |
御榊料・玉串料 |
キリスト教 |
御花料 |
無宗教 |
御香料 |
お悔やみの言葉を用意しておく
通夜や告別式などに参列する際はお悔やみの言葉を用意しておきます。お悔やみの言葉は故人や遺族に哀悼の意が伝わる言葉を考えましょう。例としては「この度は誠にご愁傷さまでございます。心からお悔やみ申し上げます。」が一般的です。故人の死を悼み、遺族の悲しみに共感する気持ちを表しています。
お悔やみの言葉として以下の例があります。
- ・思いもかけない出来事で本当に残念です。お辛い時期かと思いますが、どうかお力を落としなさいませんように。
- ・この度は突然のことで言葉も見つかりません。心からお悔やみ申し上げます。
- ・誠に残念な出来事です。ご家族の悲しみは計り知れないでしょう。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
- ・〇〇さんとは仕事を通じてお世話になり、いつも温かいご指導をいただきました。
仏式の場合は「ご冥福をお祈りいたします」ですが、キリスト教の場合は「安らかな眠りをお祈りいたします」が適切な言葉の一例です。
注意点としては、忌み言葉を避けるよう心がけることです。具体的には「たびたび」「重ね重ね」などの重ね言葉や、「苦しむ」「浮かばれない」など不吉な表現が該当します。加えて死因を尋ねるのもマナー違反です。遺族の感情を尊重するようにしましょう。
もし都合が悪く弔事を欠席せざるを得ない場合は、以下の方法でお悔やみの意を伝えます。
- ・代理人に香典を渡す
- ・供花を贈る
- ・弔電(お悔やみ電報)を打つ
参列できず申し訳ない旨を伝える言葉も添えて追悼の意を伝えましょう。
弔事の際にのしと水引はどうする?
弔事の際にお供え物や香典に付けるのしや水引は、間違ったものを選ぶと遺族に不快な思いをさせてしまうため、確実に押さえておかなければいけません。適切に対応できるように確認しておきましょう。
のしのマナー
弔事では水引だけが印刷されたのし紙を使用します。弔事のお供え物に掛けるのし紙にはのしを添えないのがマナーとなっています。
のしとは、贈り物を包む掛け紙の右上に添える小さな飾りのことです。慶事ではのしと水引を印刷した「のし紙」が使用されます。「のし」という言葉は、のし紙を指していることが多いです。
弔事に用いるのし紙の表書きは宗教によって異なります。それぞれの表書きは以下のとおりです。
宗教の種類 |
のしの表書き |
仏式 |
御仏前(浄土真宗の場合)・御霊前・御香料・御香典・御悔 |
神式 |
御榊料・玉串料 |
キリスト教 |
御花料 |
無宗教 |
御香料 |
弔事の品物を手渡しする際は、包装した後にのし紙を掛ける「外のし」が基本です。しかし、葬儀に参列できず後日持参する場合や郵送する場合は、のし紙を掛けた上から包装紙を包む「内のし」で問題ありません。
のし紙には送り主の名前をフルネームで記載します。送り主が夫婦の場合は、フルネームで夫の名前を記載し、その左側に妻の下の名前だけを記載してください。送り主を連名にする際は、立場や年齢が高い人を右から順に記載していきます。ただし連名で記載できるのは3名までです。4名以上を記載する場合は「有志一同」「社員一同」とまとめ、送り主の名前は記載しません。表書きは毛筆で記載するのがふさわしいですが、筆ペンやサインペンを使用しても問題ありません。ただし、薄墨を使用するのが原則です。濃墨で書かないように注意してください。
水引のマナー
水引のマナーも慶事と弔事で異なります。慶事の際は赤白、金銀、赤金などの色の水引を使用しますが、弔事に使用する水引の色は、黒白、双銀、紫銀、黄白などです。弔事の水引の色は宗教や地域などによって使い分けられます。迷った場合は黒白の水引を選ぶとよいでしょう。ただしキリスト教式の場合は、水引を使用しません。
弔事に使用する水引の結び方は結び切りです。結び切りは固く結ばれて簡単にほどけない結び方で、繰り返すことがないようにという意味があります結び切りの一つである、あわじ結びも弔事に用いられますが、華やかな見た目と両端を引っ張るとより強固に結ばれることから「末永く付き合う」とされ、一度きりの慶事にもよく使われる形です。
まとめ
弔事とは、亡くなった方を弔い、偲ぶために行われる儀式を指します。亡くなった方への感謝と哀悼の意を表すとともに、故人と親交のあった方々が故人の思い出を語り合う場です。弔事を執り行う際は、遺族側と参列者側のそれぞれに行うべきことがあります。弔事の準備やマナーをしっかり把握し、適切に行い故人に対して弔意を表しましょう。
株式会社サン・ライフでは神奈川・東京の弔事に関するさまざまなご相談を承っています。24時間365日対応のコールセンターを完備しており、スタッフがいつでも対応できる体制を整えています。葬儀・弔事に関するご相談はお気軽にお問い合わせください。