合祀墓(ごうしぼ・ごうしばか)とは骨壺から遺骨を取り出し、複数の遺骨と同じエリアに埋葬するお墓のことを指します。個人で墓地や墓石を購入する必要がない合祀墓は、コストを抑えたい方や承継者がいない方に注目されている埋葬方法です。
そこで本記事は合祀墓の概要や種類、メリット・デメリットなどについて詳しく解説します。他の埋葬方法である合葬・永代供養との違いにも触れて説明しているので、検討中の方はそれぞれの特徴を比較しながらご覧ください。
合祀墓の基礎知識
ここからは合祀墓の意味や具体的な埋葬方法などをご紹介します。また合葬墓・永代供養との違いまで詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
合祀墓とは?
合祀墓とは合わせて祀るという漢字の由来どおり、大きなお墓の下に血縁関係のない複数の遺骨をまとめて埋葬しているお墓のことです。従来は民間や寺院の墓地によって運営されていたものの、時代の変化により近年は公営墓地が運営する合祀墓も増加しつつあるのが現状です。
合葬墓の違い
合葬墓(がっそうぼ)とは名前のとおり、他の故人の骨壷と合同で供養されるお墓のことです。
合祀墓と合葬墓はほとんど同義語といえますが、双方には遺骨を取り出すか否かという点で違いが見られます。
合葬墓は遺骨を取り出さずに骨壺のまま埋葬を行います。一方、合祀墓は一定期間が経過した後に遺骨を骨壺から取り出し、まとめて埋葬するのが一般的です。つまり複数の遺骨と同じスペースに埋葬する際は、合葬した後に合祀するという流れとなります。
合祀と永代供養の違い
永代供養(えいたいくよう)とは遺族に代わり、寺院や霊園がお墓の管理や供養を行う埋葬方法のことです。供養に関わる管理を全て委託できるため、遺族の負担を軽減できるという利点があり、後継ぎのいない独り身の方にも人気があります。
さらに永代供養は契約期間が決まっているのが特徴です。寺院や霊園によっては5年・10年など短期間の契約を可能としていることもありますが、多くは33回忌までとしているケースが一般的です。期間が過ぎた遺骨は合祀墓で供養されます。
永代供養墓に関して詳しく知りたい方は下記もご覧ください。
永代供養墓とは?4種類の費用相場やメリット・デメリットをご紹介
合祀墓の種類は主に6つ
合祀墓には主に6つの種類があります。それぞれ埋葬方法や形状は異なるため、以下の表を参考に比較してください。
種類 |
特徴 |
慰霊碑型合祀墓 |
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自然葬型合祀墓 |
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納骨堂型合祀墓 |
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立体型合祀墓 |
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個別集合型合祀墓 |
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区画型合祀墓 |
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合祀墓の費用相場
合祀墓の費用は、一柱当たり約3万〜30万円が相場とされています。ただし故人の名前を刻む葬送サービスや定期的な合同供養などで料金は異なる他、依頼する霊園や墓石販売会社によっても価格は大きく変動します。
また合祀墓の費用を考える上で注意したいのが、合祀墓は一柱ごとに費用がかかるという点です。柱とは遺骨のことで、柱の数によって費用が計上されます。一基ごとに購入するお墓ではなく、合祀墓の費用の内訳は一柱単位で記載されるので、一般墓の考え方とは違うということをあらかじめ認識しておきましょう。
合祀墓を選ぶ理由
ここからは合祀墓が選ばれている理由について解説します。経済的な事情や供養・管理など、合祀墓を選ぶと得られるメリットをいくつか説明しているので、合祀墓にすることを検討している方はぜひ参考にしてみてください。
家族事情による遺骨整理のため
親戚一同で一般墓を所持している場合、先祖代々の骨壷もあり年数がたつにつれて納骨するスペースがなくなるという事態に陥ります。
このような事態になった場合に選ばれているのが合祀墓です。これまで納骨されていた先祖の遺骨を取り出して一つにまとめ、新しい骨壺を納めるスペースを作ります。
もしお墓のスペースが不足することを懸念している方は、早めに合祀墓への移行を推奨します。なお移行する際は、33回忌を過ぎたご先祖さまの遺骨から合祀墓に移していくとスムーズです。
お墓の承継者がいないため
お墓の承継は、いずれ子孫に経済的・体力的・精神的な負担をかけてしまうことになりかねません。特に土地代や管理費などを継続して支払うことになり、金銭面での負担が大きくなるという懸念点が挙げられます。
そのため少子高齢化が進んでいる現代では、子孫のことを考えて合祀を選ぶというケースが急増しています。
また転勤の多い仕事や定期的に住居を変える方の場合は気軽にお墓参りができないため、維持管理が不要な合祀墓を視野に入れることも多くなるでしょう。
無縁仏になってしまうため
社会情勢の変化により、近年無縁仏となるケースが増加しています。無縁仏とは供養を行う方がいないお墓や故人のことです。承継者がいなくなると自動的に無縁仏となります。
墓石を購入していたとしても、墓地自体は借りているため支払いが必要です。しかし支払いが滞ると墓石ごと撤去されてしまうことがあります。
また無縁仏となってしまうと、遺骨は丁寧に扱われないケースがあります。近い将来、無縁仏となる可能性が高い場合は、始めから合祀墓を選択しておくのがよいでしょう。
お墓を購入する資金がないため
合祀墓を選ぶ大きなメリットとして挙げられるのが経済的な点です。新しく墓石を用意したり永代使用料や管理費などが発生したりすることがほとんどないため、一般墓と比べて費用が十分に抑えられるという利点があります。
寺院や霊園により費用に差はありますが、基本的に年間管理費はかかりません。合祀墓は最低限の供養・管理を行いながら、できるだけコストを抑えて納骨したいという方にも選ばれています。
合祀墓への参拝方法
合祀墓へ参拝する際は、個別のお墓で参拝する方法と変わりません。墓前に立ち、手を合わせてお参りを行います。個別に墓石があるわけではないため、記念碑や塔などのシンボルに手を合わせるのが一般的です。
供花や線香は共用の参拝スペースにお供えします。ただし霊園や寺院によっては線香やお供え物を備えることが禁止されていることがあるため注意しましょう。霊園や寺院の細かい内容はあらかじめ問い合わせると安心です。
合祀墓にするメリット
ここからは合祀墓を選ぶメリットについて詳しく解説します。遺骨整理や金銭面などの利点については先述しましたが、合祀墓を選ぶことで得られる内容は他にもたくさんあります。
スタイルの選択肢が多い
合祀墓にするメリットの一つとして挙げられるのが、形式の選択肢が多く自分や家族のスタイルに合ったタイプを選べる点です。
先述したとおり、慰霊碑型合祀墓や自然葬型合祀墓など永代供養の合祀墓には複数の種類があり、自分や家族のライフスタイルに合わせやすいのが特徴です。
永代供養付きなら管理供養を委託できる
通常、遺骨の管理や供養は親族が行い、定期的に掃除したり法要の準備を自分で行ったりする必要があります。
その点合祀墓は細かいルールが異なるものの、遺骨の管理や供養に関わる全てを墓地管理者に委託することが可能です。
遠方に住んでいたり転勤が多かったりなど、継続的に供養や管理を行うのが難しい方は合祀墓が向いているでしょう。
宗旨宗派を問わず誰でもOK
合祀墓は宗旨や宗派の制約が少ないため、誰でも利用することが可能です。宗派がある方や、宗教に関心がない方に適している埋葬方法といえます。
また合祀墓であれば一般的な埋葬をした場合に発生する、檀家になることや改宗することなども必要ありません。
なお檀家に関する詳しい説明は以下の記事で確認できます。興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
合祀墓にするデメリット
ここまでは合祀墓が持つメリットについて解説してきましたが、合祀墓を選ぶことでいくつかの注意点も生じます。合祀墓への移行について悩んでいる方は、この後解説するデメリットについてきちんと把握した上で検討してください。
一度合祀したら遺骨は取り出せない
合祀した後は二度と遺骨を取り出すことができません。理由は遺骨が他の人の骨と混ざっているためです。
つまり合祀した時点で、その後個人のお墓を建てることや別のお墓に移動することはできなくなります。そのため後悔しないようにじっくり検討することが大切です。
反対する人もいる
合祀することは、自動的に墓じまいするということになります。親族で所持している墓地がある場合は、先祖代々から承継してきたお墓を閉鎖するという意味になります。
これは個人のみでなく家族や親族全体に関わる問題です。理解してもらうには納得のいく説明をすることが大切だと認識しておきましょう。
まとめ
複数人の遺骨をまとめて埋葬する合祀墓は、一般的なお墓と比べて費用が抑えられる他、遺骨の管理や供養などを墓地管理者に委託することが可能です。特に承継者がいない方や無縁仏となる可能性がある場合にも好都合です。忙しい現代人にぴったりの埋葬方法といえるでしょう。
ただし費用や委託内容は寺院・霊園によって異なるため、合祀墓の購入を検討している方は個人または家庭の事情やライフスタイルに合わせて複数の委託先を比較して決めるのがおすすめです。
全国各地に多くの寺院や霊園がありますが、東京都・神奈川県を中心に多くの斎場・葬儀場を用意している株式会社サン・ライフでは、電話相談を24時間365日通話無料で行っています。
合祀墓に関する相談だけではなく葬儀に関してのご質問も受けているため、気になる方はぜひ一度ご相談ください。