最近よく耳にする「終活」ですが、実際には何をすれば良いのか、何から始めれば良いのか分からない方も多いのではないでしょうか。今回は終活の基礎知識として、終活でやることをリスト化し、分かりやすく10の項目にまとめました。全ての項目を一気に行わなくても良いので、できることから一つずつ始めてみましょう。また終活のメリットも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
終活は何から始める? 10のやることリストを紹介
まずは終活を何から始めるか、10のやることリストを紹介します。多いと感じるかもしれませんが、ゆっくり自分のペースで進めましょう。自分一人では決められないこともあるので、配偶者や家族と話し合いながら行ってください。
①断捨離をする
使っていない物や契約しているサービスなどを断捨離しましょう。不要な物を手放すことで、物理的にも心理的にも余裕が生まれます。
初めは「物がないことで生活しづらくなるのではないか」と不安に思うかもしれませんが、物がなくても意外に生活できることに気が付くでしょう。断捨離は生活にゆとりが生まれ精神的にも落ち着くので、家族への思いやりの気持ちにもつながります。
断捨離は捨てる以外にも売る・譲る・寄付するなど選択肢はさまざまです。どうしても処分するのが忍びないものであれば、捨てる以外の選択肢も検討してみてください。
②エンディングノートを作成する
エンディングノートとは、自分が死んだ後に家族に伝えたいことや情報をまとめたノートのことを指します。普通のノートに自分なりにまとめても良いですし、エンディングノートとして販売しているノートに書くのも良いでしょう。
書く内容は自由ですが、生い立ち・資産の詳細・希望する葬儀形式・連絡すべき人物などの情報を書くのがポイントです。また介護が必要になった状態のときに希望する対応や遺産配分の方法などを書くこともあります。
ただしエンディングノートで注意しておきたいのは「法的拘束力がない」ということです。もし法的拘束力のある文書を作成したいのであれば、遺言書の作成をおすすめします。
③遺影を撮影しておく
葬儀や法事などで飾られる遺影は、今まで家族が選ぶことが大半でしたが、最近では「生存遺影」と呼ばれるサービスが人気です。「生存遺影」とは、自分の気に入った姿を写真館や葬儀社で撮影して残しておき、それを遺影として使うことを指します。
遺影は亡くなった後も残された家族や子孫がずっと目にする写真です。自分らしい表情や姿の写真を使いたいという方が増えていることから、生前遺影の利用者も増加傾向にあります。
生前遺影は後ろ姿や動画、ペットと一緒に撮影するなど、従来の遺影と比べてより自由に、よりその人らしさを最大限に反映した写真が撮影できる点が大きな魅力です。プロによるヘアメイクやレタッチなどを行ってくれる写真館もあるので、きれいな姿を残したい方は検討してください。
④遺言書を作成する
遺言書は自分の死後に家族がもめないようにするための大切な文書です。遺言書によって配偶者や兄弟間での相続の分配をはっきりさせておくことで、自分の意思を正確に伝えられます。
「相続するような財産はないから作成しなくても大丈夫」と思っている方もいるかもしれませんが、財産の多い少ないに関わらず、相続トラブルが発生する可能性は十分にあります。「自分の死後に家族が仲たがいしてバラバラになってしまった」といった事態にならないよう、目的に合った遺言書を生前に作成しておきましょう。
遺言書には複数の種類があり、それぞれ特徴があるので、目的に合った種類を選ぶことが大切です。遺言書の種類をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
>>遺書と遺言書の違いは?効力が及ぶ項目や書き方を紹介
⑤資産の整理をする
自分の資産を棚卸・整理しておくと、相続がスムーズに行えます。例えば利用している銀行や土地、建物などの保有資産の詳細をエンディングノートやメモに記録しておけば、自分の認知が不確かになってきたときにも安心です。
記録したノートやメモの場所を忘れてしまっては意味がないので、保管場所は早めに家族へ共有しておきましょう。
ただしお金に関する情報なので、限られた家族にのみ伝えてください。資産情報は更新されることも多いため、小まめに追加情報を書き加えながら将来の家族の心配や手間を減らしていきましょう。
⑥口座をまとめておく
仕事や育児などで複数の口座を開設している方であれば、できるだけ口座をまとめておくと良いでしょう。自身の財産管理も楽になり、家族の相続時の名義変更や解約手続きなどの負担を減らせます。
お金の流れが見えやすく家族も管理しやすいため、可能であれば口座を一つにまとめるのがおすすめです。まとめた口座は、早めに家族へ共有しておきましょう。口座をまとめて共有することで、死後も円滑に相続が進められます。
またインターネット口座を利用する場合は、紙ベースでの記録が残らないため、エンディングノートやメモなどにしっかりと情報を記録しておきましょう。
⑦お墓の準備をする
先祖代々のお墓があり、そこに入るということであればお墓の準備は必要ありませんが、自分だけのお墓を用意したい場合は、新たにお墓を建てる必要があります。お墓を建てるためには資金が必要なので、最近では生前にお墓を準備しておく「生前墓」という選択肢が人気です。
生前にお墓を準備しておくことで家族に金銭面での負担をかけることなく、自身の資金計画も立てやすくなります。家族への配慮を重視する方にとっては大変魅力ある選択肢といえるでしょう。見晴らしの良い霊園、海風を感じられる霊園など、自分の好きな場所にお墓を立てられることも生前墓のメリットの一つです。
夫婦で一つのお墓にする場合は、夫婦で納得のいく場所やデザインになるよう、よく話し合って決めてください。
⑧葬儀社を決めておく
どのような葬儀をしたいかも含めて、葬儀社は事前に決めておくと良いでしょう。日本では自宅で亡くなる方よりも病院で亡くなる方が多く、その割合は約65%といわれています。
病院で亡くなった場合、病院が紹介する葬儀社に決めてしまいがちですが、自分の意思が反映された葬儀が行えるかは分かりません。「葬儀社を決める」という家族の負担を減らすためにも、事前に3社程度見積もりを取り、比較検討しておくと良いでしょう。
亡くなった後に慌てて葬儀社を決め、納得のいく葬儀ができなかったと家族に後悔させないためにも、元気なうちに葬儀社を自ら調べておくことをおすすめします。
どのように葬儀社を選べば良いのか、より詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
>>葬儀社の選び方で失敗しないコツは?お葬式で後悔しないためのポイント
⑨デジタル終活を行う
デジタル終活とは、デジタル遺品を整理することです。デジタル遺品とは、故人のスマートフォンやパソコンなどのデジタル機器に保存されたデータやインターネットサービス、SNSのログイン情報などを指します。
現代、スマートフォンは老若男女問わず一人1台は持っている必需品で、ある調査では60代では9割、70代でも8割の方がスマートフォンを持っているという結果が出るほどです。
そのためスマートフォンで銀行取引が簡単にできるネット銀行が多く存在し、利用している方も増加しています。便利な反面、ネット銀行のアカウントやSNSのアカウントなどは、死後もそのままにしておくと相続人の経済的損失や、なりすましの被害に遭う恐れがあり大変危険です。
物理的な遺品整理と合わせて、このようなデジタル遺品に関して管理・整理を行うことは、現代社会において必須事項となりつつあるでしょう。
※参考:株式会社NTTドコモ モバイル社会研究所.「70代のスマホ所有率さらに増加し8割を超える」.https://www.moba-ken.jp/project/seniors/seniors20240318.html# ,(2024-03-18).
⑩生前の希望を書き出す
自分の最期をどう終えたいのかについて、希望を書いて残すこともおすすめです。葬儀やお墓、介護が必要になったとき、延命治療をしたいかなど終末期医療の内容も記録しておくと、家族の決断の負担が格段に減らせるでしょう。
特に終末期医療が必要になったときには、冷静な判断ができなくなる可能性は大いにあります。昏睡状態になって意思疎通ができないケースも考えられ、家族が苦しい選択を強いられることになるかもしれません。
正常な判断能力があるうちに自分の意思を明確に残しておくことは、自分の希望に沿った最期を迎える上で、最も大切なことの一つといえます。
終活をするメリット
終活をするメリットは主に4つあります。一つずつ詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
家族間のトラブルを避けられる
家族間のトラブルは相続をめぐって起きることが多いです。終活を通して自分の意思を明確に記録することで、家族間のトラブルを未然に防げます。特に不動産など物理的に分割が難しい遺産は問題が生じやすいです。
エンディングノートや遺言書に財産分与や相続方法などを明確に書くことで、無用な争いが避けられ、円滑な相続が実現できるでしょう。家族の絆をお金で壊さぬよう、事前に細かい部分まで決めることをおすすめします。
家族の負担を減らせる
終末期医療・介護・葬儀・お墓・財産整理・相続の問題に関しては、本人の意思を最大限に尊重したいと思う家族がほとんどでしょう。
しかしその本人が亡くなってしまった後では気持ちを確かめようがなく、家族は推測でしか行動ができません。それは家族にとってもつらいことで、後悔や困惑を抱かせてしまうことにもなります。
大切な家族の負担を少しでも減らしたいと思うのであれば、終活でエンディングノートやメモに自分の希望や意思をはっきりと書き残しておきましょう。終活は愛する人々へ最後の思いやりとなるはずです。
これまでの人生を振り返られる
終活することは、人生の棚卸しにつながります。これまでの人生を振り返り、残された時間をどのように生きるか考えるチャンスです。
「行ってみたかった場所に行く」「会いたかった人に会いに行く」「昔の思い出の地をめぐる」など、今までは忙しくて諦めていたことを思う存分楽しんでみてください。やり残したことにチャレンジする良い機会だと思って、さまざまなことに挑戦するのも良いでしょう。
また医療や介護など漠然と考えていたことを、具体的に考え直す機会にもなるはずです。本当はどうしたいのか、自分の正直な気持ちを確かめるきっかけにしてください。
老後の不安や死への恐怖がなくなる
終活することで「老後の不安や死への恐怖がなくなってくる」というのもメリットの一つです。年齢を重ねて死が近づいてくると、誰しも死に対して恐怖を覚えるのは当然のことです。
終活は一つずつ現状を把握することなので、死への不安を解決できます。今後の生き方や最期の迎え方など、きちんと考えておくだけでも不安が解消され恐怖が薄まってくるはずです。より豊かな気持ちで老後を送るためにも、終活は重要な機会といえるでしょう。
終活準備は何歳から始める?
では終活準備は何歳から始めれば良いのでしょうか。ここからは終活を始める年齢と、その際にやるべきことを紹介します。あくまで参考なので、自分のペースで進めていきましょう。
20代・30代でデジタルデータの整理
スマートフォンなどデジタル機器に残されたデータは膨大で、本人しか分からない情報も多々あります。スマートフォンやパソコンなどに残された情報が重要なものであれば、アクセスできないことによるトラブルが起きかねません。またSNSアカウントなどをそのままにしておくと、犯罪に悪用されてしまう可能性があります。
20・30代という早い段階から、デジタル資産やデジタルデータの整理・管理を意識しておくことで、その後のデジタル終活がスムーズに行えるはずです。
40代・50代は老後資金の準備
40代・50代は仕事・育児・介護など、日々の生活で精一杯という方も多いでしょう。老後のことまで考えられないかもしれませんが、ここでしっかり計画しておくことが豊かな老後生活を送る上で大切です。
まずは退職後の生活費を見積もることから始めてください。現時点での生活費をベースに、教育費を引いて趣味に使うお金をプラスしながら、退職後に必要な生活費を概算します。
次に年金と退職金の見込み額を把握しましょう。「ねんきんネット」を利用すれば、支給見込み額が簡単に計算できるので活用してください。退職金は会社ごとに積み立て方法が異なるので、詳しいことは総務課などに問い合わせてみましょう。
最後に60歳までの目標貯金額を決めて、それを上回るペースで貯金できていれば安心です。漠然としたお金の不安も、このように順序立てて考えていけば解消できるでしょう。
※参考:日本年金機構.「ねんきんネット」.https://www.nenkin.go.jp/n_net/ ,(参照 2024-09-02).
60代は身辺整理
60代は会社も退職して時間のゆとりができるため、終活に本腰を入れられるチャンスです。可能であれば夫婦で一緒に行うことで、終活をより効率的に楽しく進められます。
友人・知人の連絡先の整理や断捨離を少しずつ行うのも大切です。なお、やることが膨大すぎてはかどらない場合は、一つずつ細分化していくと行動に起こしやすくなります。
もし生前に身辺整理が終わらなかったとしても、株式会社サン・ライフでは遺品整理も行っているのでお任せください。
まとめ
漠然と終活を始めようと思っていた方も、10のやることリストを通して、やらなければならないことがより具体的になったかと思います。冷静に判断できる年齢のうちにこれらの内容を決めておくことで、不安のないゆとりある老後が送れるでしょう。
また終活は自分の不安だけでなく、家族の負担も大きく減らせます。残された家族をいたわる気持ちで一つずつ解消しましょう。またデジタル遺品の整理も忘れずに行い、家族間のトラブルを未然に防いでください。
株式会社サン・ライフでは遺品整理にも対応しているため、不明点をご相談いただけます。生前に整理が間に合わなかったとしても、スタッフがご家族と相談しながら丁寧に整理いたしますのでご安心ください。遺品整理や葬儀について、電話での無料相談や資料請求を行っております。お気軽にお問い合わせください。