母が余命一年と宣告されたのは昨年の三月でした。
信じられない、信じたくないと思いながらも、残された時間でこれからの人生でやりたかった事すべてをやり切ろうと決め、母との思い出もたくさん作りました。「葬式とか全然分からないから母ちゃん全部取り決めていってね」と半分冗談半分本気で言った事が、生前相談のきっかけでした。
そう遠くない自分の最期を準備しろというのは残酷な事だったと思いますが、家族皆で斎場巡りを始めました。初めは残される子供達に面倒をかけないようにという気持ちだった母でしたが、実際斎場に足を運び話をしていく内に、自分の理想とする最期が見えてきた様でした。あの世での自分の名前を知らずに逝くのは嫌だと生前戒名を授かり、自分の言葉を伝えたいと式中の挨拶や礼状も母自身が作りました。綺麗なドレスを着て、笑顔で送ってねと言う母は、最後まで自分の人生を生き抜いたのだと思います。強く明るい母らしい旅立ちにしようと、私達も精一杯の笑顔で送る事ができました。
母と家族の思い出に寄り添い、何もわからない私達に的確な助言を下さった菊地さんをはじめ、スタッフの皆様には心から感謝しています。母の思い描いた葬儀にできたことで、辛く悲しい母の死を、新たな旅立ちを見送る前向きな別れとして受け入れることができました。
母の人生の集大成として。これから生きていく遺された家族として。最後の思い出として創り上げられた事を嬉しく、また誇らしく思います。