この記事ではエンディングノートが気になる人へ向けて、メリットや注意点、書き方、選び方などの基本を網羅的に解説します。

エンディングノートは、自分らしい最期を見据え、心置きなく人生を楽しむためのサポートアイテムです。これから始める方もすでに知っている方も、ぜひ参考にしてみてください。

エンディングノート以外にも、終活全般について知りたい方は下記の記事が参考になります。

>>終活は何から始める?10のやることリストやメリットを紹介

エンディングノートとは

エンディングノートとは

エンディングノートは、終活の一環として位置づけられます。ノートに自分の情報や想いを書き残しておくことで、老後・死後に家族や周囲の人が抱える体力的・精神的負担を軽くできるだけでなく、過去を振り返ることで自分自身の「これからやりたいこと」を見つけたり、心の整理をつけたりと、人生を整理するうえで大いに役立つアイテムです。

終わりと向き合う、というとネガティブに聞こえるかもしれませんが、目的を見定め不安を減らしておくことにより、人生をより豊かに生きる助けとなるのがエンディングノート、ひいては終活の意義と言えます。

エンディングノートはいつから書き始める?

エンディングノートを始めるタイミングは、いつでも思い立った時です。若いうちから始める人も増えてきており、むしろ少しずつ更新しておくことで後々慌てずに済むという利点もあります。最近では若い人向けの内容や無料ダウンロード可能なPDFなどもあるので、年齢問わず始めやすい環境になっています。

また一方で、結婚や転職など、ライフステージの変化も始めやすいきっかけの一つです。生活が変化するとノートの内容も変動しがちなので、情報が古くならないよう定期的に見直しましょう。

エンディングノートを書くメリット

ここではエンディングノートのメリットを詳しくご紹介します。生前・死後問わず、自分や大切な人にとって得られる効果はさまざまあるので、ぜひ参考にしてみてください。

家族の負担を減らせる

老後や死後の重要な手続きに必要となる情報を残しておくと、家族が一から調べる心労を大幅に減らすことができます。さらに、自分の好みや要望を伝えておくことで、残される家族としても、相手の好きなようにしてあげられるという安心感があります。

心の整理に役立つ

自分がこれまで何に喜びや悩みを感じてきたか、もしものことが起こる前に後悔はないかと人生を顧みることで、気持ちが整頓されるとともに、自分のできること・やりたいことの輪郭がだんだんと見えてきます。心がすっきりすると、不思議と日々の生活にも張りが出るものです。

生活の整理に役立つ

エンディングノートは終活のためとは限りません。印象的な出来事や通院先、SNSのパスワードなど忘れたくない情報をメモしておけば、普段から活用できる備忘録として役立ちます。

また、クレジットカードやサブスクリプションなどの管理状況を洗い出してみると、普段は気づかない無駄な出費が見つかるかもしれません。身の回りを整理する良い機会として捉えてみるのもおすすめです。

人とのつながりができる

エンディングノートは、家族と老後や死後について話し合うきっかけになるだけでなく、家族以外の大切な人たちとのつながりを見直す機会にもなります。普段から交流のある相手はもちろん、しばらく連絡を取っていないものの心に残っている人などの連絡先やメッセージを残しておけば、生前のコミュニケーションを深めるきっかけになり、さらに死後も家族があなたの想いを届ける助けとなるかもしれません。

エンディングノートには何を書いておく?

エンディングノートには何を書いておく?

エンディングノートを書く際に押さえておきたい基本の項目を解説します。とはいえ、エンディングノートは書く内容の自由度の高さが魅力でもあるため、ここでご紹介した項目に縛られず、書きたいことはぜひ書いてみてください。

自分の情報や要望

情報はできる限り正確に、具体的に記すと円滑な手続きと状況把握に役立ちます。自分に関する情報を大まかに分けると、以下の4点に分類できます。

自分の基本情報

氏名や生年月日、本籍地などの個人情報に加え、身長・体重や血液型、保険証、臓器提供の意思表示など医療関連の情報も可能な範囲でまとめておきます。さらに、印象的な経験や好きなもの、行きつけの場所などを自由に書き留めておくと、人柄が伝わりやすく、葬儀の際に家族が参考にしたり、周りの人があなたについてもっと深く知るきっかけにもなります。

所有している資産・財産

預貯金や株式、不動産、貴金属などの資産・財産情報を具体的に記入します。保険の証券番号や契約内容を控えておくと、保険金の受け取りもスムーズです。負債がある場合もしっかりと記録しておきましょう。

相続や遺言書の有無

遺言書の有無を家族が知っているだけでも、相続にかかる手続きの漏れを防ぐことにつながります。有無を記すとともに、用意している場合は遺言書の形式や保管場所まで記載しておけば、家族に見つけてもらえないリスクも軽減されます。

医療・介護や葬儀の要望

万一のことで意思疎通が困難になった場合に備え、延命治療や緩和ケアの方針、医療機関など早めに希望を示しておきましょう。家族の混乱を防ぐだけでなく、専門家へも自分の意思を正確に伝えやすくなります。

また葬儀に関しても、宗派やお墓、葬儀の種類、参列者などの要望に限らず、使用してほしい音楽や写真などの細かなリクエストも含めれば、より自分らしい最期を迎えられるでしょう。

注意点として、これらの要望には残される家族の事情などが関わってくることもあります。意見の食い違いによる後のトラブルを未然に防ぐためにも、事前に相談し合うなどして互いの齟齬を減らしておくとよいでしょう。

葬儀を検討するうえでどんな種類があるのか知りたい方は、下記の記事もぜひご覧ください。

>>葬儀の種類は何がある? 一般葬や家族葬、一日葬、直葬などのプラン一覧を紹介

日々の生活に関する情報

ペットや観葉植物のように日常的なお世話が必要なものがあれば、その習慣や注意点を記載しておきます。

さらに昨今では、パソコンやSNSを始めとした各種アカウントのID・パスワードのようなデジタル情報も欠かせません。銀行口座やクレジットカード、サブスクリプションなどお金の管理に関わる契約もあるので、リストアップしておくことで、自分や家族が必要に応じて素早く確認できる備えとなります。

親しい人物の情報

普段から交流のある人に限らず、遠方に住む友人や日頃あまり連絡を取らない人でも、万が一の際に知らせたい相手はいませんか。そんな人の連絡先や思い出話を書き添えておくと、後日家族が連絡を入れる手間や混乱が減ります。関係性や共に過ごした時間が分かるようにしておくと、あなたの気持ちも伝わりやすくなるでしょう。

家族や友人などへのメッセージ

普段は伝えにくい感謝の言葉や、これまでお世話になった人への想いを書き残す場としてもエンディングノートは有用です。デジタルのエンディングノートであれば音声や動画で伝えることも可能なので、意思疎通を図ることが難しくなってから後悔しないよう、自分に合うやり方で伝えてみましょう。そのメッセージを受け取る人にとっても、きっと心に残るはずです。

エンディングノートで注意するべきポイント

自分自身、もしくは家族がエンディングノートを効果的に活用するためにも、扱う際は以下の3点に気を付けましょう。

保管場所の共有と安全性の確保

エンディングノートを有事の際に確実に見てもらえるよう、家族や信頼できる人物に保管場所を事前に共有しておくことが必要です。また、外部に漏れると困るデリケートな情報が含まれていることもあるため、自宅の金庫やパスワード管理を徹底するなど、安全な保管環境を用意しましょう。

銀行口座の暗証番号は書かない

銀行口座の暗証番号を直接ノートに書いてしまうと、万が一の紛失時に悪用されるリスクが極めて高くなります。ノートには暗証番号を管理している場所や方法、ヒントなどを残して不正利用に備えることが望ましいです。併せて、口座を1つにまとめたり事前に引き出したりしておくと、後の整理がより楽になるでしょう。

法的拘束力は無い

遺言書と混同されがちですが、エンディングノートを通した指示はあくまで“希望”のため、法的な強制力はかかりません。例えば、遺産分割の方法をノートに記載していても相続人がそれに従う義務はなく、希望の方法通りに進まない可能性があります。

相続など争いの起きやすい分野では、自筆証書遺言や公正証書遺言のように、法的効力を持った遺言書の作成を視野に入れることも大切です。

エンディングノートの種類

自分に合ったエンディングノートの選び方

エンディングノートは大きく、紙に書くタイプとデジタルで記録するタイプに分けられます。

手書き派の人には、市販のエンディングノートやお気に入りのノートに書く方法が向いています。紙ならではの温かさや、デザインへのこだわりが継続へのモチベーションになり得る点が魅力です。

一方、スマートフォンやパソコンで使うデジタル形式は、編集のしやすさが最大のメリットです。写真や動画も一緒に保存でき、必要に応じてすぐに内容を更新できるため、情報量が多い人やライフスタイルが変わりやすい人に適しています。

どちらの方法にもメリットがあるため、まずは“自分が書きやすいのはどちらか”を考えてみるのがよいでしょう。両方に抵抗がない場合は、紙とデジタルを併用し、それぞれの長所を活かす使い方も選択肢のひとつです。

続けやすいエンディングノートの選び方

エンディングノートは項目が多く、一度書いて終わりではなく「長く続けながら自分の情報を更新していく」ことが理想です。そのためには、手書きやデジタルといった手段も含め、使いやすさを考えることが重要となります。

手に取りやすい形か、見やすいレイアウトか、書き直しはしやすいかといったポイントに加え、記録したい項目が揃っているか、自由に書けるスペースが十分あるかなど、自分の目的に沿う構成になっているかも確認しておきましょう。数ある種類の中から「無理なく続けられるもの」を選ぶことが、長期的な活用につながります。

より具体的な選び方や無料のアプリ・PDFなどについては下記のコラムで解説していますので、これからエンディングノートを始める方はぜひ参考にしてください。

>>エンディングノート入手案内-決め方のポイントとおすすめの無料ダウンロード8選

まとめ

エンディングノートは、家族のために、そして自分のために人生と向き合う手段として非常に意義のある終活ツールです。書きやすいところから始めたり、また誰かと相談しながら進めたりするのも自由なので、気軽に人生の整理を始めてみましょう。

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