葬儀と言えば、親族の他に友人や知人、会社の関係者など、故人との関係のある多くの方を招いて盛大に執り行うものでした。しかし、近年では葬儀の多様化が進み、家族葬や直葬などの新しい葬儀の形も生まれています。
今回は、そんな多様化する葬儀について、手順や準備などを一連の流れで紹介していきます。 なお、ここで紹介する葬儀は仏式となります。
目次
葬儀は多様化している
従来は人が亡くなると、親戚や友人・知人、会社等の関係者に知らせて、盛大な葬儀・告別式を行うことが大半を占めていました。これは、「できる限り大勢で故人を見送るのが残された人の務めだ」とする考え方が一般的だったためです。
しかし、近年では葬儀に対する考え方にも多様化が進んでいます。少人数で執り行う家族葬や、通夜を省略した一日葬儀、故人の生前の想いから葬儀等は執り行わないなど、葬儀に対する考え方は異なります。
ここでは、主な葬儀の種類や目安となる費用について紹介していきます。
葬儀 | 特徴 | 費用相場 |
---|---|---|
家族葬 | 親しい友人や知人のみを参列者として招く、小規模な葬儀スタイル。一般葬儀と同様に、通夜や告別式も行う場合がほとんど。 | 100万円 |
一般葬 | 身内に限らず、生前に親交のあった友人や知人、会社の関係者など、さまざまな立場の方を招くスタイルの葬儀。一般的には、通夜と告別式も行う。 | 150万円 |
一日葬 | 告別式から火葬までを行う葬儀。通夜は行わないため、葬儀にかかわる日数が1日でだけで、費用についても比較的安価となる。 | 50万円 |
直葬 | 火葬式とも呼ばれ、火葬のみを行う葬儀。通夜や葬儀、告別式など、宗教的な弔いは行わず、を行わず、必要最低限の葬儀となる。 | 30万円 |
社葬 | 企業が主体となって行う葬儀。企業の会長や社長、その企業で多大なる功績を遺した故人に対して行われる。遺族や親族 | 300万~1000万円 |
区民葬・市民葬 | 葬儀社が自治体と提携して行われる葬儀。故人がその自治体に住んでいた、もしくは喪主が住んでいる場合などに活用することができ、比較的安価となる。 | 50万円 |
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葬儀までの手順1:臨終(死亡当日・1日目)
葬儀を執り行うまでには、さまざまな準備や手続きが必要となります。
ここでは、故人が亡くなってからすぐに行う必要のある手続き等を紹介していきます。
ポイント
・病院や葬儀社、菩提樹の僧侶への支払いなどで現金が必要!
・葬儀する場所を早めに決めておくとスムーズ!
死亡の連絡をする
まずは、故人の臨終に立ち会うことができなかった家族や近親者、故人と仲が良かった友人や知人に、故人の死亡を知らせる必要があります。故人がエンディングノートなどを用意している場合は、それを参考にしながら誰に伝えるかを判断しましょう。
訃報の連絡手段は、伝える相手によっても異なるかと思いますが、基本的には電話で伝えます。また、一度に全ての人に訃報を伝えることは難しいため、死亡したことをすぐに知らせる必要がある人と通夜や葬儀の日程等の詳細が決まってから知らせる人に分けて連絡するとよいでしょう。
基本的に訃報の連絡者は喪主となりますが、葬儀の準備等の負担もあるため、喪主の他にも代表者を2名程度決めて、手分けして連絡することが一般的です。また、菩提寺の僧侶など葬儀でお世話になる宗教者へも早めに連絡しておくと、葬儀の日時などもスムーズに決めることができます。
死亡診断書を受け取る
故人が亡くなると、医師から「死亡診断書」を受け取ることができます。死亡診断書の半分は「死亡届」になっており、その死亡届を故人の死亡後7日以内に役所に提出する義務があります。また、死亡届を役所へ提出しなければ、葬儀後の火葬時に必要な「死体火葬許可証」が交付されません。死亡届はできる限り早く役所へ提出するようにしましょう。なお、たいていの葬儀社は死亡届の提出の代行も行っていますので、葬儀社へ確認しましょう。
遺体の搬送と引き取り
故人が息を引き取った後は「死化粧」や「末期(まつご)の水」を行います。死化粧とは、葬儀にあたって故人の身だしなみを整えたり、化粧を施すことをいいます。末期の水は亡くなった方の口に水を含ませる、仏教の大事な儀式とされています。その由来は諸説ありますが、故人に安らかに旅立ってほしいという願いを込めるために生まれた儀式とされています。これらの儀式は、ご遺体を自宅もしくは葬祭場に移動させてから、遺族が葬儀社とともに行うことがほとんどです。
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葬儀までの手順2:通夜・葬儀の打ち合わせ(死亡当日)
故人の遺体の搬送や引き取りが終わった後は、通夜や葬儀の打ち合わせを行います。葬儀の方針から日程など、重要な打ち合わせとなるので、きちんと準備を進めましょう。
喪主・世話役を決める
葬儀を執り行う際、葬儀の主催者である「喪主」と喪主のサポート役となる「世話役」を決める必要があります。喪主は、故人との関係が深い配偶者や子どもが務めますが、世話役は故人の友人や子どもの友人、信頼できる会社の同僚や近所の方など、故人や遺族の事情に詳しい方であれば、誰が務めてもかまいません。
なお、葬儀ではさまざまな準備が必要となるため、喪主を支える世話役は重要な役目となります。世話役は主に会計や受付、車両手配など葬儀の実務を引き受けることになります。場合によっては、複数人に世話役はお願いすることもありますが、その際は世話役の代表者1名を決めておくと、葬儀の進行もスムーズになります。
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葬儀の方針を決める
遺族は葬儀の大まか方針を決める必要があります。葬儀の宗教的な形式は当然のこと、一般葬や家族葬などの葬儀の規模や予算、通夜や葬儀の場所など、葬儀社との打ち合わせ前に遺族で話し合うようにしましょう。その際、故人のエンディングノートがあれば、それを参考にして方針を決めるとよいでしょう。
【遺族側で決めておきたいこと】
- 葬儀の宗教的な形式(仏式・神式・キリスト教など)
- 葬儀の規模
- 予算
- 通夜や葬儀の場所
現代において、通夜や葬儀を執り行う場所は葬儀場がほとんどです。しかし、昔は自宅で執り行うことが一般的であり、もちろん今でも自宅も選択肢の一つとして挙げられます。
また、依頼する葬儀社は生前から検討しておき、遺体搬送時に決まっていれば、葬儀の準備がよりスムーズになります。とはいえ、不測な事態である場合など、全く検討がつかないこともあるはずです。その場合は希望の葬儀が可能で、対応の良い3社くらいを見積もって決めると安心して葬儀を執り行うことができます。
葬儀社と打ち合わせ日程を決める
葬儀者が決まれば、次に葬儀社と葬儀日程を打ち合わせします。 以下、葬儀日程の一般的なパターンとなります。
例1 | 例2 | |
死亡の当日 | 身内のみで通夜 | 弔問客を招いた本通夜 |
2日目 | 弔問客を招いた本通夜 | 葬儀・告別式・火葬 |
3日目 | 葬儀・告別式・火葬 | ― |
ただし、首都圏では火葬場待ちで3~4日空くことが多く、死亡してから2日目に通夜、3日目に葬儀を行うという上記の葬儀日程通りに進まない場合もあります。近年はご遺体のご安置施設が増えたり、保全技術が向上したこともあり、故人とのお別れの時間をしっかりとるためにあえてゆとりのある日程を組む方もいます。
葬儀の規模によっても日程は異なるため、まずは葬儀社に見積もりプランを立ててもらい、葬儀の方針を決めるとよいでしょう。なお、一般的に葬儀のお日柄として「友引」は避ける傾向があります。これは友引に「友を引く」という意味があり、縁起が悪いとされるためです。こうした習わしから、友引の日を休場日とする火葬場も多いです。
以下は葬儀社が行う仕事の例となります。
■葬儀社が行ってくれる仕事例
- 病院や自宅からの遺体の搬送
- 枕飾りや納棺
- 祭壇の設置・撤去
- 遺影の準備
- 通夜・葬儀・告別式の計画と進行
- 火葬場の手配など
葬儀社が決まると、葬儀社の担当者はスムーズな進行のためにさまざまなアドバイスやするべきことを教えてくれます。故人を亡くした悲しみの中で混乱している喪主や親族の方にとって、葬儀社は強い味方になってくれるはずです。
葬儀までの手順3:通夜の準備(死亡当日)
葬儀社との打ち合わせを行い、葬儀日程が決まれば、次は通夜の準備に入ります。
通夜の準備では、その告知から返礼品や会葬礼状の手配などが必要です。
通夜の告知
まずは通夜の告知を行います。葬儀場や日程を親族や友人、職場の人などに告知しましょう。
なお、訃報では電話の連絡手段が一般的でしたが、告知に関してはメールやファックスで伝えることが多いようです。ファックスで告知する場合は、葬儀社がファックスの訃報書式を作成してくるので、葬儀社へ確認しましょう。
返礼品や会葬礼状の手配
通夜や葬儀等に参列してくれた方に対するお礼として、返礼品や会葬礼状を手渡しするのが礼儀です。そのため、返礼品や会葬礼状の手配も必要となります。多くの場合は葬儀社が準備してくれて、会葬御礼品(参列いただいたお礼)で500~1000円、香典返し(香典に対する返礼品)は3000円~4000円が相場となります。なお、予想以上の弔問客が参列する可能性も考慮に入れて、余った分は返品対応してくれる葬儀社もあるので、打ち合わせの際に確認しておきましょう。
また、僧侶へのお礼も準備しておきましょう。僧侶に渡すお礼は、参列者に渡すものと同じ品物で問題ありません。
葬儀までの手順4:通夜(死亡当日~2日目)
ここでは、通夜の一般的な流れを紹介していきます。
通夜の基本的な流れ
- 受付開始
- 弔問客の着席と通夜の開始
- 僧侶の入場・読経・焼香・僧侶の退場(30~50分)
- 喪主の挨拶
- 通夜ぶるまい
喪主の挨拶後に行われる「通夜ぶるまい」とは、通夜の後に行われる会食をさします。通夜の弔問客への感謝の意を示すための会食であり、故人との思い出を語る場を提供しています。
従来の習わしでは精進料理を用意して夜更けまでの酒宴のようになることも多かったが、最近では1~2時間程度と簡易的になっています。
葬儀までの手順5:葬儀の準備(死亡当日~2日目)
通夜を執り行うまでの間に、並行して葬儀の準備も進める必要があります。
以下は、葬儀前にチェックしておきたい項目となります。この項目をもとに、葬儀の準備を進めていきましょう。
葬儀前にチェックしたいこと
- 葬儀・告別式の席次と焼香の順番
- 弔辞の依頼
- 紹介する弔電の選択
- 会葬のお礼のあいさつをする人
- 礼状の数
- 火葬場に向かう車の手配
- 僧侶へのお礼
- 心付けの用意
- 精進落としの手配
- 精進落としで挨拶や献杯をする人の決定
- 香典を預かる人は誰か
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心づけの相場
葬儀における心づけとは、霊柩車やマイクロバスの運転手、葬儀場や火葬場の係員などへ、お礼の気持ちとして渡すお金のことです。心づけは義務ではありませんが、昔から冠婚葬祭の関係者へ渡す習わしがありました。しかし、今は公営の火葬場のすべての職員、関係者が心づけの受け取りを禁止されています。また、民間の火葬場も最近は心づけを受け取らないようになりました。
強いて言えば、喪主自身で依頼した受付係、会計係、案内係、駐車場係などがいる場合にのみ心づけを用意することがあります。その場合の金額は2000円~5000円程度が相場です。
葬儀までの手順6:葬儀・告別式(2日目~3日目)
ここでは、葬儀・告別式の進行について紹介していきます。なお、現代では葬儀と告別式は同時進行で行われることがほんとです。しかし、本来はそれぞれの意味合いは異なり、葬儀は宗教的な儀式である一方、告別式は故人との最期の別れの式典とされています。
以下では、葬儀と告別式の進行例となります。
葬儀の進行例
一般的な葬儀は、参列者の入場・着席から始まり、僧侶による読経・引導や弔辞・弔電の紹介、焼香などが行われます。以下は、葬儀の基本的な流れを示しています。
葬儀の基本的な流れ
- 参列者の入場・着席
- 僧侶の入堂
- 開式の辞
- 読経・引導(30~40分程度)
- 弔辞・弔電の紹介(5~10分程度)
- 焼香(10分程度)
- 閉式の辞
葬儀の閉式の辞を終えた後、そのまま告別式へうつるケースもあれば、一旦僧侶が退堂して休憩を挟むケースもあります。
告別式の進行例
一般的な告別式は、以下のような流れで進行されます。
告別式の基本的な流れ
- 僧侶の入堂
- 開会の辞
- 焼香
- 僧侶退堂
- 喪主の挨拶
- 閉会の辞
告別式の終了後は、祭壇に供えられた花などを遺体の周りに飾るなどして、故人との最期の対面となります。その後、火葬場への出棺の手続きにうつります。多くの場合、火葬場と葬儀場は違う場所にあるため、喪主と遺族代表者は遺体と一緒に遺影を持って、火葬場まで霊柩車で向かうことになります。また、弔問客は手配したマイクロバスなどに乗って向かいます。
葬儀までの手順7:火葬・遺骨迎え・精進落とし(2日目~3日目)
火葬場へ到着後は、火葬・遺骨迎え・精進落としを行います。 それぞれの手順について、紹介していきます。
火葬
火葬場へ到着したら、まずは火葬場の係員へ火葬許可証を渡し、火葬へとうつります。火葬には1時間程度かかるため、その間は休憩室で待機することになります。待機中は軽食や飲み物等の手配することもできます。
お骨上げとは、遺骨を箸で拾い上げ、骨壺へ収めることです。一般的には喪主から始め、その後は故人との関係の深い人から順に行います。なお、遺骨は足から腕、腰、背骨、頭蓋骨の順で収めていきます。これは骨壺の中の状態が生きている人間と同じようにするためです。ただし、地域によって遺骨を収める順番が異なる可能性もあるため、係員の指示に従うようにしましょう。
遺骨迎え
故人の遺骨を収めた骨壺はすぐにお墓へ埋葬するのではなく、自宅へ迎え入れて安置します。これを「遺骨迎え」といいます。一般的には四十九日を迎えるまでは、自宅に遺骨、位牌、遺影を安置することになります。遺骨迎えを行う際は、葬儀社が自宅用の小さな祭壇(後飾り)を用意してくれます。
精進落とし
精進落としとは、一般的に初七日法要後に行われる会食をさします。近年では葬儀の当日に初七日法要を行う場合も増えているため、葬儀後の会食を精進落としとすることも多くなっています。なお、現代における精進落としは僧侶をねぎらう意味合いを持ち、また親族や故人が生前にお世話になった方を招くことが一般的になっています。
葬儀までの手順8:葬儀後の事務処理(葬儀終了後)
葬儀後には、葬儀への支払いや寺院へのお礼、香典返し・忌明けの挨拶など、いくつかの事務処理を行う必要があります。以下が葬儀後の事務処理の例です。
【葬儀後の事務処理】
- 会葬者名簿の受け取り(当日)
- 香典と香典帳の受け取り(当日)
- 会計の領収書の整理(当日)
- 葬儀への支払い(内容確認後の当日)
※サン・ライフでは、ご葬儀の支払いは「葬儀後2週間以内」とゆとりを持ったスケジュールを組んでいます。 - 寺院へのお礼(当日か翌日)
- 香典返し・忌明けの挨拶(忌明けごろ)
こうした葬儀の事務処理を終え、最後は骨壷をお墓に埋葬する「納骨」を行うことになります。納骨は通常は四十九日もしくは一回忌に行うのが一般的です。この納骨までが、葬儀の一連の流れとなります。
まとめ
今回の記事では、葬儀の手順や準備など、故人が逝去してからの流れを紹介してきました。実際に葬儀を執り行う際の参考にして、故人との最期のお別れを思い出に残るものにしましょう。
「サン・ライフ」では、24時間対応のコールセンターも完備していますので、葬儀に関する疑問やお悩み事がある際は、お気軽にお問い合わせください。スタッフが親身なってご対応いたします。大切な故人との最期のお別れを全力でサポートいたします。