突然の家族の訃報は、心身ともに大きな負担となります。悲しみの中、冷静に葬儀の準備を進めるのは容易ではありません。特に費用について考え始めると、何をどのくらい用意すれば良いのか、途方に暮れてしまうのではないでしょうか。
葬儀を無事に終えるためには「何を優先するか」「どのような式にしたいのか」を考えることが大切です。そこで本記事では、多くの方が不安を抱える葬儀費用について、平均的な費用や内訳を分かりやすく解説します。実際にどのような項目に費用がかかるのかを事前に知っておくことで、必要な準備をスムーズに進めることができるでしょう。
目次
葬儀にかかる費用相場の内訳
実際の葬儀費用の他にも、斎場や火葬場の使用料、会食、香典返しなどさまざまな費用がかかります。ここでは平均的な相場を例として挙げていきましょう。
葬儀費用の平均相場は約121万円
葬儀費用とは、葬儀一式、飲食接待費、僧侶へ支払うお布施や謝礼などの金額を指しています。葬儀全体にかかる費用の平均相場は、約121万円とされています(※)。
一般的な葬儀一式の費用は、祭壇、お棺、棺布団、白木位牌、霊柩車などお通夜から告別式までに使われる物品をはじめ、運搬に関わる費用、生花、式場スタッフ、事務所経費などが含まれています。
葬儀会社ではさまざまなプランを用意していますが、いずれも基本的な料金となっています。湯灌や納棺など、状況によっては他の物品やサービスなども必要になる場合が多く、オプションで追加料金が発生するケースがほとんどです。さらに故人または遺族の要望、参列者の人数などによって料金は変動します。
斎場使用料の相場は10万〜40万円
斎場の使用料は、公営と民営で料金が異なります。公営は市区町村が運営しており、料金は5万〜10万円程度です。斎場のある自治体に住民登録している利用者は、他のエリアからの利用者と比べ割安になります。
一方、民営斎場は葬儀社や寺院などが運営している式場です。相場は立地やサービス、管理業者などによって異なります。寺院、貸し斎場などは15万~40万円程度、葬儀社が運営している斎場であれば10万円程度から利用可能です。
どの斎場が良いかは予算、葬儀内容、利便性などによって異なります。公営は料金が安い反面、利用者が多く時期や日時によって受け入れが難しくなるかもしれません。民営は料金が高くなるものの、受け入れ体制や設備が充実しています。
また葬儀社の斎場であれば、一般葬向けの大ホール、家族葬向けの小ホールなどプランに合わせた斎場を選べるため、遺族の希望に合った葬儀を挙げられるでしょう。斎場の規模それぞれの違いや選び方などについて詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください。
家族葬ホール(家族葬専用式場)と一般式場の違いとは?メリットや注意点を解説
火葬の相場は無料〜15万円
条例により土葬ができない地域が多く、近年は火葬が一般的になりつつあります。厚生労働省によると、日本の火葬率は99.97%です。火葬場も公営・民営があります。公営の場合は、10万円以下で行えるところが多いです。
例えば東京23区の場合、9カ所ある火葬場のうち2カ所が公営となっています。火葬料は都民・あるいは該当する自治体の住民が利用する場合が4.4万〜5.9万円、その他の利用者が7.1万〜8.8万円となっています。
一方で民営施設の料金は、7.8万〜16.5万円程度が相場です。民営の場合は火葬炉に等級があり、20万円を超えるところもあります。公営・民営いずれも地域によって相場には幅があり、公営施設は自治体によってさらに低額、あるいは無料で火葬できるところも存在します。
参考:厚生労働省.「墓地、埋葬等に関する法律に係る行政の仕組み」.“埋葬、火葬等を行おうとする者”.https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000130179.pdf ,(2024-05-15).
飲食の接待費用は一人当たり5,000円前後
葬儀後に行う食事会は火葬後に故人を偲び、参列者との語らいの場として古くから親しまれてきた大切な習慣です。近年では、「精進落とし」と呼ばれる集まりが一般的になっているため、飲食代や接待するための費用が必要となります。
飲食接待費用の平均は約33万円といわれていますが、提供する食事の内容や参加人数によって大きく変動します。一人当たり3,000円から5,000円程度と考えると分かりやすいでしょう。
また通夜に行われる「通夜振る舞い」を行う場合もあります。通夜では弔問客は長居しないことがマナーとなっているため、大皿料理を用意し軽くつまめる程度のものを用意しましょう。一人当たり3,000~4,000円程度が相場です。
なお精進落としの料理やマナーなどについては以下を参考にしてください。
精進落としとは?出す料理や意味・マナーを解説!当日の流れや挨拶も
香典返し・返礼品の相場は一人当たり3,000円前後
香典返しは参列者の香典や故人への思いに対する感謝の気持ちを表すお返しです。香典返しは時代と共に変化しており、忌明け後に贈るのが一般的ですが、近年では葬儀当日に品物を渡す「当日返し」を行うケースも見受けられます。
当日返しは参列者の方々へその場で感謝の意を表現でき、後日挨拶状と共に香典返しする手間が省けるため、人気が高まっています。当日返しの相場は、香典が5,000円の場合、2,000〜3,000円程度の品物を用意しましょう。
また忌明け後に送る香典返しは香典の3分の1程度、または半返しといって2分の1程度の品物を用意するのがマナーとされています。香典返しは故人と参列者の関係性、香典の金額などを考慮しながら選ぶことが大切です。
お坊さんに関連する相場が約25万円
お坊さんに関連する費用とは、読経や戒名の授与などを行っていただいたことに対する感謝の気持ちを表す金銭のことで、お経料や戒名料も含まれます。お布施の金額は葬儀に対し10万〜50万円が相場とされていますが、他にも必要に応じてお車代や御前料など数千円〜数万円程度の費用がかかることもあります。法要のお布施は1万〜5万円程度と考えて良いでしょう。
お布施は決して決まった金額があるわけではなく、あくまでも感謝の気持ちを表す金銭です。なお、地域や寺院、宗派、儀式などによってもお布施の金額は異なります。
またお布施の金額やマナーに関する詳細は以下を参考にしてください。
葬儀形態別で見る費用相場
葬儀はさまざまな形式があり、一般葬、家族葬、一日葬など葬儀の規模によっても相場が異なります。それぞれの違いと金額を見ていきましょう。
一般葬は100万~200万円
一般葬は故人と親しかった方々や地域住民など、多くの参列者を招いて行われる伝統的な葬儀スタイルです。2日間にわたりお通夜・告別式・初七日・火葬までを行います。
一般葬は葬儀場や寺院で執り行われることが多く、費用相場は100万〜200万円です。内訳としては、葬儀場使用料、僧侶への謝礼、祭壇費用、飲食接待費、返礼品費などが含まれますが、葬儀の規模や地域、内容によって異なるためボリュームゾーンに幅があります。
家族葬は約90万円
家族葬は家族や友人など、ごく親しい方たちだけで執り行う小規模な葬儀スタイルです。近年、アットホームな雰囲気の中で故人とゆっくりと向き合いたいという希望から、家族葬を選ぶ方が増えています。
家族葬の平均的な費用は約90万円です。内訳としては葬儀場使用料、僧侶への謝礼、祭壇費用、飲食接待費などが含まれますが、葬儀プランやオプションの有無により金額は変動します。
家族葬の流れを知りたい方は下記のコラムをご覧ください。
家族葬の流れを詳しく解説~ 一般葬との違いや気を付けたいマナーとは?
一日葬は50万~100万円
一日葬は葬儀と告別式を一日で行う葬儀スタイルです。シンプルな葬儀を求める方が増えていることから、近年注目を集めています。
一日葬の平均的な費用は約50万〜100万円です。通夜を行わないため一般葬や家族葬に比べて低く抑えられます。また一日で全てが終わることから忙しい現代人にも適しているといえるでしょう。
直葬(火葬式)の費用相場は20万~50万円
直葬(火葬式)は、葬儀や告別式などの儀式を行わず、火葬のみを行う最もシンプルな葬儀スタイルです。費用を抑えたいというニーズや故人の意思を尊重したいという考えから、直葬を選ぶ方もいます。
直葬の平均的な費用は約20万〜50万円です。火葬炉の使用料や棺、骨壺などの基本的な費用のみが含まれているため、一般葬や家族葬に比べて低額で行えます。告別式はないものの、追加料金を払い、お坊さんに読経をお願いすることも可能です。また火葬後、弔問客が訪れ香典を頂くこともあるため、お返しなどの準備が必要です。
直葬の流れや費用内訳、マナーなどについてはこちらを参考にしてください。
葬儀費用を安く抑える7つのポイントを紹介
それぞれのプランで適切な葬儀費用にするために、どのような点に注意すればよいでしょうか。ここでは、葬儀費用を賢く節約するための7つのポイントを詳しく解説します。
①追加オプションは無料になるか
葬儀社のホームページなどで掲載されている料金は、あくまでも基本的な料金のみが表示されています。実際には祭壇やお棺、食事内容のグレードアップ、追加の物品、返礼品などさまざまなオプションが付いており、多くが別料金です。故人への想いや参列者に対する感謝の気持ちなどにこだわりすぎると、料金は高くなる傾向にあります。
まずは一般葬、一日葬、家族葬、直葬など、葬儀社に提案されるプランをよく比較し、プランに何が含まれているのか、何が必要かを書き出していくことが大切です。その上で葬儀の規模や参列者の人数などを考え、祭壇の種類や料理のランクなどを選択し、故人や施主、家族にとって最適なものを選びましょう。
②複数の葬儀社に見積もりを依頼する
葬儀費用は葬儀社によって大きく異なる場合があります。そのため複数の葬儀社から見積もりを取り、予算に合ったプランを見つけることが大切です。希望する葬儀スタイルと、料理、返礼品、写真撮影など必要なオプションを葬儀社に伝えるとより具体的な見積もりをもらえます。
また料金だけでなく、葬儀会社が提供しているサービスの充実度、スタッフの質などにも目を向けましょう。他の会社と比較して極端に値段が安い場合、人手が少ない、サービスが行き届かないなどの問題があるかもしれません。
③葬儀の予算を決めておく
葬儀にかける予算を決めておくことで、無駄な出費を抑えることが可能です。特に近年は、コロナ禍を経て人々の葬儀に対する意識や、予算に関する考え方に変化が見られます。
40代、50代は新型コロナウイルスが流行した後に葬儀予算を「100万円以上」と考える層が増加しました。コロナ禍での制約が緩和され、故人を思う気持ちや関係者とのつながりを望む傾向にあると考えられます。
一方で70代以上の高齢者は「50万円以下」が増え、小規模かつ簡素な葬儀を望む傾向にありました。これはコロナ禍で友人や知人との交流が薄れたためと推測されています。これらを踏まえ、自分と故人の考え方の違いを認識した上で予算を決めておきましょう。
参考:一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団 冠婚葬祭総合研究所.「ポストコロナ研その後~『第6回葬祭等に関する意識調査』報告」.“#(5) 葬儀の予算感の変化”.https://www.gojokaih.co.jp/wp-content/uploads/3b6cf83760090deb6a957ea803129d34.pdf ,(2022-12).
④補助金制度を利用する
高額になりがちな葬儀費用ですが、条件が合えば補助金制度を利用できます。補助金制度とは、葬祭費として葬儀や埋葬費用の一部を補助する制度のことです。東京都では5万〜7万円ほど支給されており、他の地域でも多くは5万円程度です。葬儀を行う方の負担を軽減する一つの手段となるでしょう。
補助金制度は、故人の国民健康保険証や社会保険証、葬儀費用に関する領収書などの特定の書類を地方自治体に提出すれば支給されます。申請手続きは難しいものではありませんが、申請期間など自治体によって定められているので、お住まいの市区町村で確認してください。
⑤参列者が少ない葬儀スタイルにする
葬儀の規模によって予算を大幅に抑えることが可能です。例えば家族葬、一日葬、直葬などは参列者の人数を限定し、シンプルかつ小規模なスタイルで行えるため予算を組みやすくなります。
特に家族葬はアットホームな雰囲気の中、親しい人々だけで故人を偲べます。また一日葬は通夜と告別式をまとめて完結できるため、忙しい方、遠方から参列する方の負担が軽減できるのが特徴です。また直葬は読経供養などの宗教的な儀礼は行わず少人数で骨上げするため、葬儀の中で最も安価に弔えます。
ただしこれらの葬儀スタイルは、伝統的な一般葬に比べて親族の了承が得られないことがあるので、プランを決める際は慎重に行いましょう。
⑥病院の紹介ではなく葬儀専門事業者を選ぶ
病院で家族が亡くなった場合、ご遺体を搬送・安置するために葬儀社に依頼するのが一般的です。病院にご遺体を安置する時間は限られているため、提携している葬儀会社を紹介されることがあります。しかし病院提携の葬儀社を選ぶと紹介手数料がかかり、割高になるため注意が必要です。病院から紹介されたからといって受ける必要はなく、お断りしても問題ありません。
葬儀社を選ぶ際には、提供されるサービス内容、料金、対応、評判などを総合的に判断します。葬儀会社によっては、会員登録などを事前に行うと葬儀費用に活用できる割引やクーポンなどを発行してくれます。
株式会社サン・ライフでは、LINEのお葬式公式アカウントに友だち追加すれば「すぐ使える1万円クーポン」をプレゼントしています(※2024年5月時点)。少しでも葬儀の費用を抑えるのにおすすめです。また下記では後悔しない葬儀社の選び方を紹介しているのでぜひ参考にしてください。
葬儀社の選び方を失敗しないコツは?お葬式で後悔しないためのポイント
⑦事前に葬儀保険に加入する
葬儀で経済的な負担をかけたくない方は、事前に葬儀保険に加入しておくことをおすすめします。葬儀保険は、被保険者本人の葬儀にかかる費用を事前に準備しておくための保険です。「少額短期保険」「お葬式保険」「終活保険」「就活保険」などと呼ばれることがあります。
80歳以上の高齢者でも加入できるケースが多く、月々の保険料も割安で負担になりにくい料金体系になっています。保険金の支払いも早いのが特徴で、葬儀費用などに充てることが可能です。
葬儀費用を払えない場合は葬祭扶助制度を利用する
葬儀費用は、経済的な困窮を抱えている方にとって大きな悩みとなります。葬儀費用を払えない場合は、国が定める「生活保護法」に基づいた葬祭扶助制度を利用する方法があります。
葬祭扶助制度は、経済的な困難を抱える人々が故人を送り出すための費用を支援する制度です。生活保護を受けている方や、生活保護を受けるほどではないものの、葬儀費用を負担することが困難な方が対象となります。
葬祭扶助制度は基本的に直葬で、ご遺体の運搬・火葬または埋葬・納骨といったシンプルな内容になり、読経などは行われません。支給される基準額は成人が20万9,000円、12歳未満の子どもは16万7,200円です。ただし支給額、必要書類、手続きなどは自治体により異なるため確認しましょう。
葬儀費用は誰が支払うもの?
大切な人が亡くなったとき、現実的な問題として葬儀費用を誰が支払うのかという問題が必ず生じます。後々トラブルにならないためにも確認が必要です。では実際に誰に請求するのか、またどのような支払い方法があるのでしょうか。
特に決まっていない
葬儀費用は、喪主または施主が払うのが一般的ですが、特に法律上の決まりはないため誰が支払っても問題はありません。中には相続人で折半する例や親族以外が支払う例もあります。
葬儀費用は後払いがほとんどで、通常は請求書が届いたら1週間から10日以内に支払うのが基本です。しかし現金の場合、まとまった金額を一括で支払わなければなりません。そのため葬儀会社でもクレジットカード、ローン分割払い、コンビニエンスストア支払いなど、多様な支払い方法に対応しています。見積もりを依頼する段階で確認しておくと良いでしょう。
故人の資産から支払うことも可能
葬儀費用が遺族にとって大きな負担となる場合は、故人の資産を活用する方法があります。しかし銀行では人が亡くなったと分かった時点で口座を凍結するため、本人以外がお金を引き出すことは不可能です。そのため事前に家族の了承を得た上でお金を用意しておく必要があります。
また相続人が故人の預金で仮払い申請を行うことも可能です。なお、相続時の預貯金仮払い制度はあくまでも預金の一部を葬儀費用に充てるための措置で、口座を解約して全額を使えるという制度ではありません。ただし相続人全員の同意が必要な上、戸籍謄本一式をそろえるなど手続きに手間がかかります。いずれの方法にせよ、家族とのトラブルを避けるため必ず話し合うようにしましょう。
葬儀費用に関する注意点
葬儀費用を適切に支払うためにも、事前の準備が大切です。ここでは準備段階でどのような点に注意しておくべきか説明します。
見積もりの料金はしっかり確認する
葬儀社によってサービス内容や料金は大きく異なるため、あらかじめ複数の葬儀社から見積もりを取り、比較検討することが重要です。葬儀プランの内容は、式場使用料や備品、運搬費用、スタッフの人件費などが含まれていますが、どこまでサービスを提供するかは葬儀社によって異なります。担当者から電話で費用の情報を伝えてもらうだけではなく、事実確認を含め書面で見積もりを出してもらい、詳細を確認するようにしましょう。
葬儀社とのイメージのすり合わせ
葬儀会社によって、葬儀の流れや雰囲気は大きく異なります。希望に添った葬儀を執り行うためには、自身の希望を明確にして葬儀全体のイメージを共有することが大切です。
葬儀会社は全国に多数あり、特徴や提供するサービスも多種多様です。打ち合わせする際は希望する葬儀の種類、規模、予算をしっかりと伝えた上でプランを提案してもらいましょう。葬儀までの時間は少ないですが、妥協して後悔しないように慎重に進めていくことが重要です。
香典をあてにしすぎない
参列者から頂いた香典も、葬儀費用の一部に充てることは可能ですが、香典はあくまでも弔問者からの好意で、葬儀費用の資金源として過度に期待するのは避けたいところです。
例えば葬儀費用が80万円、参加人数が40人、香典の平均が1万円だった場合、総額は40万円となります。そのうち3分の1を香典返しに充てると手元に残るのは28万円です。これを葬儀費用に充てても、残り52万円は支払わなければなりません。
参列者が増えれば香典の金額も大きくなることは考えられますが、葬儀の規模も大きくする必要があり、その分葬儀費用が高くなってしまいます。そのため香典をあてにしすぎないようにしましょう。
葬儀費用が控除対象になる項目・ならない項目
葬儀費用は所得扱いにはなりませんが、故人の債務として扱われるため遺産相続から差し引くことが可能です。つまり一定の条件を満たすことで相続財産が減り、余分な相続税を払わなくて良いということになります。以下では控除対象となる項目とならない項目を紹介します。
葬儀費用が控除対象となる項目
相続税は基礎控除額を超える場合に課税対象となり、葬儀にかかった費用は相続税の控除対象となります。国税庁によると、対象となる葬儀費用の内訳は次のような項目です。
- ・通夜、葬儀、告別式など、葬儀に直接必要な費用
- ・親族以外に葬儀を手伝っていただいた方への謝礼金
- ・火葬料、埋葬料
- ・僧侶への読経料や戒名料、お布施
- ・ご遺体・遺骨の運搬にかかる費用
- ・納骨費用
- ・飲食費
- ・生花費用
これらの費用は、故人の葬儀をするために必要最低限の支出と考えられ、相続税を計算するときに相続財産から控除できます。
また葬儀を行ったときの人件費や食費も控除に含まれます。例えば手伝いをしてくれた方への謝礼、葬儀会社が用意した通夜振る舞いや会食での飲食代はもちろん、コンビニやスーパーで購入したおつまみ、菓子代なども控除の対象です。
参考:国税庁.「相続財産から控除できる葬式費用」.“No.4129 相続財産から控除できる葬式費用”.https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4129.htm?_fsi=gQl9KptL ,(2023-5-13).
葬儀費用が控除対象外となる項目
葬儀費用として認識される内容であっても、相続税控除の対象とならないケースがあります。
- ・香典返しの費用
- ・墓石・墓地の購入または借り入れ費用
- ・仏具費用
- ・初七日やその他法事にかかる費用
参列者から頂いた香典は、本来、故人への供養の気持ちを表すもので、相続財産ではありません。そのため香典返しの費用は相続税控除の対象外です。また墓石や墓地、仏具などの購入費用は、故人の供養のために必要ですが、財産とみなされ相続税の課税対象となります。
葬儀費用を控除にするための方法
葬儀費用を控除するためには、支払ったことを証明する領収書や請求書を保存しておく必要があります。領収書には日付、支払い内容、支払い金額、支払った方の氏名などが記載されているかを確認しましょう。
ただし全ての葬儀費用に領収書が発行されるわけではありません。例えば僧侶へ渡すお布施、親族が葬儀を手伝った場合の謝礼などは領収書が発行されない場合があります。そのため支払ったことを証明するメモや証言などを用意しておくことが大切です。
領収書や請求書、メモなどは、相続税を申告する際に必要になるので、なくさないように気を付けましょう。
葬儀費用でトラブルになりやすい事例
近年はインターネットで容易に葬儀会社を探すことができ、情報収集がしやすくなっています。その反面、信用性に欠ける葬儀社も存在するため、信頼できる葬儀社を選ぶ必要があります。選択を間違えないよう、トラブルになりやすいポイントを下記でまとめました。
格安プランなので制約が多かった
注意したいのが、インターネットで検索できる葬儀会社の格安プランです。金額が他社よりも大幅に安い場合は、物品やサービス内容が限られており追加料金を支払わなければならない、葬儀場へのアクセスがよくないなど制約が設けられているケースが多く存在します。
まずは基本料金はどこまでがサービスの範囲かを確認しましょう。もし不明な点があれば、遠慮なく葬儀会社に質問することも大切です。
人数を抑えたので弔問客の対応に追われた
家族葬など参列者の数を限定することで葬儀費用を抑えられる場合がありますが、後日弔問客への対応に追われる可能性があります。前もって連絡をくれる方ばかりではないため、突然の弔問に備えておもてなしできるようにしておかなければなりません。また香典をもらった場合は、香典返しも必要になるでしょう。
家族葬にすると、参列できないことを残念に思う親族や友人・知人が出てくることが考えられます。そのため周囲には事前に通知し、後日訪れた方に対しては弔問に対する感謝と共に葬儀にお招きできなかったお詫びを申し添えておきましょう。
「安くしたい」と言ったらスタッフの態度が変わった
葬儀会社によっては高額なプランをすすめてくることがあり、葬儀費用を抑えたいと相談するとスタッフの態度が冷たくなったという事例があります。
葬儀に関する知識や経験を持つ専門スタッフとの値引き交渉は、簡単ではありません。話し合いの際に予算や希望する葬儀形態、具体的なサービスを明確に伝えましょう。どのような希望を持っているか知ることができれば、スタッフも適切なプランを提案しやすくなります。
葬儀費用に関するよくある質問
葬儀の手配を経験する方はそれほど多くありません。初めて葬儀を執り行う方のために、ここではよくある質問をまとめました。
葬儀費用の支払い期限はいつまで?
葬儀プランの支払いは後払いがほとんどです。葬儀費用の支払い期限は、葬儀が終了してから1週間〜10日以内と設定されている葬儀会社が多い傾向にあります。中には葬儀終了後即日支払いというところもあれば、1カ月以内というところ、事前に全体の〇%といった形で前金を支払い、残りを葬儀終了後に支払うというシステムを設けているところもあります。
葬儀費用は高額になることがあるため、もし期日までに支払いが難しい場合は、事前に支払い期限や支払い方法を相談してみましょう。1カ月程度の延長や分割払いなどに対応してくれる可能性があります。
家族葬を10人程度にするといくらになる?
家族葬は、故人の家族や親しい友人など人数を限定して小規模で行われる葬儀スタイルです。葬儀費用は、どのような内容で行うかによって大きく異なるため約84万〜185万円程度と範囲にも幅があります。
一般的な葬儀会社では、家族葬の参列者数は20人を目安にしていますが、誰を何人呼ぶかという決まりはなく、30人程度、またはごく少数の10人程度でも問題はありません。ただ小規模になることで斎場の広さ、スタッフの人数、参列者へのおもてなしなど、抑えられる費用もあります。葬儀会社に人数や希望する葬儀内容を説明し、具体的な見積もりをお願いしましょう。
失敗しない葬儀社の選び方は?
葬儀会社選びは、家族の希望や価値観に合った業者を選ぶことが大切です。必要以上のオプションをすすめられて断れなかったり、急かされるまま決めてしまったりすると失敗する可能性が高くなります。
まずは落ち着いて情報を集め、複数社に見積もりをお願いしましょう。価格だけでなく、どのようなサービスやサポートを行っているのかを確認し、最適なプランを選ぶようにします。口コミサイトなどで評価を確認するのも一つの方法です。
葬儀社の選び方を失敗しないコツは?お葬式で後悔しないためのポイント
まとめ
葬儀費用は、事前にしっかりと計画を立てることで大幅に節約できます。もし葬儀費用に対して不安や疑問がある場合は、葬儀社に相談することをおすすめします。いざというときに落ち着いて対処できるように、事前に自分に合った葬儀プランを選び、後悔のない最期のお見送りを実現しましょう。
株式会社サン・ライフでは、葬儀に関する相談から葬儀の準備、葬儀後のお手伝いまでトータルでサポートしています。豊富な経験を持つ専門のスタッフが、故人やご遺族さまの気持ちに寄り添い、ご希望に合わせた最適なプランを提案させていただきます。
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