お布施にダメな金額は?相場や書き方、渡し方のマナーを解説 - 葬儀、家族葬なら株式会社サンライフ 【公式】
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お布施にダメな金額は?相場や書き方、渡し方のマナーを解説

お布施にダメな金額は?相場や書き方、渡し方のマナーを解説
お布施にダメな金額は?相場や書き方、渡し方のマナーを解説
作成日:2024/09/11 最終更新日:2024/09/11

葬儀や法事などがあった際は僧侶にお布施を渡しますが、そもそも「お布施って何? 」と疑問に思ったことはありませんか。お布施は僧侶に対する謝礼の意味がありますが、実際にいくら包めばよいのか、どのように渡せばよいのか分からない方もいるでしょう。

お布施には明確なルールや金額が決まっているわけではありません。ただし宗教的な儀式であることから一定のマナーや、しきたりが存在します。本記事ではお布施の意味やお布施の金額相場、お包みの書き方など、準備から僧侶に渡すまでの流れを分かりやすく解説します。

お布施は僧侶に対する謝礼

お布施とは葬儀や法要の際に、僧侶の読経や戒名の授与などの行いに対する感謝の気持ちとして渡す金銭のことです。

もともとお布施とは、仏教の教えに基づいた他者への善意や慈悲の心を表すもので、自分の欲望よりも「施すこと」で徳を高める手段として使われていました。現代においても、お布施は行為に対する対価(報酬)ではなく、あくまでも自らの意志で渡す謝礼(善意)です。

お布施は僧侶へ直接渡しますが、金額に明確な決まりはありません。渡したお金は主にご本尊の維持・活動のために使われます。また地域や宗派、儀式の規模によって渡すべき相場やマナーには違いがあるため、事前に確認しておくことが大切です。

お布施の金額相場を葬儀・法事・法要別で解説

お布施を渡す機会には葬儀だけでなく四十九日や法要などがありますが、供養行事によって渡す金額が異なります。ここでは大まかな目安を行事別に紹介します。

葬儀・告別式は10万〜50万円

葬儀は僧侶による読経や焼香、戒名授与などが行われ、故人をあの世へ送り出すための儀式となります。一方で告別式は、参列者が故人と別れを告げる儀式です。焼香や献花、弔辞などが行われ、故人との思い出を振り返り、感謝の気持ちを伝える場となります。このように葬儀と告別式は厳密には異なるものですが、まとめて執り行うケースが多いため、お布施もまとめた金額を渡しましょう。

このときのお布施の費用相場は10万〜50万円程度です。全国平均で26万円前後という調査もありますが、実際は宗派や地域、葬儀の規模によって大きく異なります。一般的に葬儀のお布施金額が一番高く、その後に続く四十九日や法要など時間が経つほど徐々に金額は低くなるのが特徴です。

四十九日法要は3万〜5万円

四十九日法要は大切な人が亡くなってから49日目に行われる法要です。故人の魂が7日ごとに閻魔王の裁判を受け、49日目に極楽浄土へ行くかどうかが決まるとされている日です。僧侶を招いて読経や供養を行い、故人の冥福を祈りながら新たな旅立ちを祝います。

お布施の相場は一般的に3万〜5万円程度です。この金額は葬儀や告別式で渡したお布施の10〜20%を目安にする考え方が多いとされているためです。他にもお車代や御膳料などが発生する場合もあるので、事前に確認しておくことをおすすめします。

なお浄土真宗では亡くなるとすぐに成仏するという考え方のため、四十九日は故人を偲ぶ日として行われるか、四十九日自体行わない地域もあります。

納骨法要3万〜5万円

納骨法要は火葬された遺骨を墓地や納骨堂に納めることで、故人を永眠の地へ送り出し、冥福を祈る大切な儀式です。特に厳密な日にちは決められていません。

多くの場合は故人が極楽浄土へ行く四十九日のタイミングとして選ばれていますが、近年はお墓を探すのに苦慮される方も多いことから、親族が故人の悲しみに区切りを付ける「百か日法要」、または「一周忌」までに行うのが増加傾向にあります。

納骨法要では僧侶による読経が行われるため、お布施が必要です。お布施の相場は一般的に3万〜5万円程度で、四十九日法要のお布施と同額となることが多いです。ただし先祖代々から続くお墓に納骨する場合や開眼供養を行う場合は10万円ほどになることもあります。

納骨法要にかかる費用に関して詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

納骨費用の項目や金額の目安とは?納骨式の概要や流れ・安く抑える方法など分かりやすく解説

新盆・初盆法要は3万〜5万円

お盆はご先祖様が帰ってくる日といわれており、8月13日から3日間で行われるのが一般的です。新盆・初盆法要は、故人が亡くなってから初めて迎えるお盆の期間に行われる法要です。

故人を偲び供養するための大切な儀式であり、遺族が気持ちを整理するための節目でもあることから、僧侶を招いて読経や供養を行います。お布施の相場は、3万〜5万円程度で四十九日法要や納骨法要のお布施と同程度です。

一周忌法要は3万〜5万円

一周忌法要は故人が亡くなってから一年が経過した命日に執り行う儀式です。故人の冥福を祈り、偲ぶ大切な節目となります。

一周忌法要では僧侶を招いて読経や供養を行い、家族や友人など近しい人々が故人の冥福を祈ります。命日が平日の場合は、仕事や学校の都合もあるため亡くなった日と同じにできない方も多いため、その場合は命日の後ではなく前倒しで行うのが習わしです。

お布施の相場は四十九日や新盆と同じように3万~5万円が目安とされていますが、地域や宗派によって金額が異なるケースがあります。

一周忌法要の意味や決め事など詳細を知りたい方は下記を参考にしてください。

一周忌とは?一周忌法要の流れや準備、基本的なマナーについて解説

三回忌以降は1万〜5万円

三回忌法要は故人の死から満2年後に執り行う法要です。一周忌法要と同じように僧侶を招いて読経や供養を行い、故人の冥福を祈ります。

三回忌以降は故人が亡くなって2年が経過した月の命日である、祥月命日に年忌法要(ねんきほうよう)を行います。年忌法要は七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十五回忌、三十三回忌と続きます。法要の頻度は宗派によって異なりますが、一般的には三十三回忌を最後とするところが多いです。

三回忌以降のお布施の相場は、一般的に1万〜5万円程度です。一周忌法要より少し低めか同等の金額となります。基本的に法要は年月を重ねるごとに徐々に小規模となっていくため、お布施金も少しずつ低くなります。

お布施の金額相場を宗派別で紹介

葬儀や法要の際に出すお布施の費用は、宗派によっても異なります。それぞれの宗派でどのくらい必要なのか、目安を見ていきましょう。

浄土真宗は25万〜50万円

浄土真宗にとってお布施はもともと徳を積むための修行であり、現代では僧侶の読経などに対する感謝の気持ちとして渡します。お布施の相場は、葬儀・法要で25万〜50万円程度です。

通夜

1万~3万円

葬儀

25万~50万円

四十九日法要

3万~5万円

新盆・初盆法要

3万~5万円

一周忌法要

3万~5万円

三回忌以降

1万~5万円

浄土真宗では戒名料やお車代、御膳料などの別途費用が発生しないことが多いです。お寺によっては、お布施の金額を定めているところもあるので確認しておきましょう。

曹洞宗は30万〜60万円

曹洞宗は釈迦を祭りひたすら座禅を行う禅宗の一つで、日本では比較的多くの檀家がいる宗派です。曹洞宗のお布施の相場は、葬儀で30万〜60万円とされています。

通夜

1万~2万円

葬儀

30万~60万円

四十九日

3万~5万円

新盆・初盆法要

2,000~1万円

一周忌法要

3万~5万円

三回忌以降

3万円前後

曹洞宗をはじめ、浄土真宗以外の宗派は戒名料が必要です。戒名にはさまざまなランク付けがされており、料金は30万円が相場ですが、ランクが高くなると100万円以上になるケースもあります。

浄土宗は20万〜50万円

浄土宗は南無阿弥陀仏を唱える宗派で「唱えることによって救われる」という考え方があります。お布施の相場は葬儀で20万〜50万円です。年収の1〜2割、または1カ月の給与分という考え方もできます。戒名料は別途かかります。

通夜

1万~3万円

葬儀

20万~50万円

四十九日法要

3万~5万円

新盆・初盆法要

3万円前後

一周忌法要

3万~5万円

三回忌以降

1万~5万円

浄土宗のお布施は、地域またはお寺との付き合いなどによっても金額が変わることもあるので、確認が必要です。

お布施以外にお金を包む費用

大切な人を偲ぶ行事にかかる費用はお布施だけではありません。僧侶への交通費やお食事代なども支払います。一つずつ見ていきましょう。

御車料は5,000~1万円

御車料とは、葬儀や法要のために僧侶が足を運んでくれたお礼と、バス、電車、タクシーなど移動にかかった交通費をかねて渡す費用です。一般的には移動距離を目安に金額を決めることが多く、近郊や同市内であれば5,000〜1万円支払うことが多いようです。

飛行機や新幹線などを使って僧侶に遠方から来てもらう場合は、その分の料金を調べて加算します。一方で遺族が僧侶を送迎する、タクシーを手配する、またはお通夜や葬儀をお寺で執り行う場合は御車代を支払う必要はありません。

御車料は運賃をきっちりと払うのではなく、その後の法要や僧侶とのお付き合いも考えた謝礼として切りのよい金額を多めにお渡ししましょう。

御膳料は5,000~1万円

葬儀や法要の後には「精進落とし」または「お斉」と呼ばれる食事の席が設けられます。その会食に僧侶が参加しない場合は、おもてなしができなかった代わりとして「御膳料」を渡します。

御膳料の相場は5,000〜1万円が目安で、食事代一人当たりの金額と考えましょう。僧侶が複数名なら人数分の金額を一つにまとめて渡します。また僧侶が会食に参加する場合は渡す必要はありません。

戒名料は10万~100万円

戒名は仏教徒が亡くなった際に授けられる名前です。仏様の弟子としての新しい名前であり、仏教における故人の修行を表すもので、死後の極楽浄土への道しるべとして安息を願い贈られます。

戒名料は戒名を授けた僧侶に支払う謝礼で、金額の相場は10万~100万円です。かなり幅が広くなっていますが、宗派や地域、寺院の格などによっても異なるためです。適切な戒名料を支払うためにより詳細を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

戒名の値段相場は?構造や宗派のランク別・トラブルを回避する方法をご紹介

お布施にダメな金額は?

お布施には明確な金額は決まっていませんが、いくつか注意すべき点があります。まず4と9は、「死」「苦」を連想させる数字として忌まわしいとされています。

また4、6などのように割り切れる数字も「縁が切れる」ことを連想させるとして、慶事・弔事ともに避けられている数字です。そのため4万円、6万円、9万円をお布施として渡すのは避けた方が無難でしょう。

お布施は本来ご本尊への感謝の気持ちを表すものなので、縁起の悪い数字を渡すのは無礼と受け取られてしまう可能性があります。法要の機会がある場合は、マナーとして3万円、5万円、7万円などを用意するように覚えておきましょう。

お布施の正しい書き方や入れ方を解説

お布施には表書き、裏書きともに正しい書き方があり、袋の選び方やお札の入れ方にもマナーがあります。謝礼として失礼のないようにポイントを押さえておきましょう。

お金を入れる封筒の選び方

お金を入れる封筒は、主に奉書紙(ほうしょがみ)または封筒の2種類があります。奉書紙は和紙の一種で、古くから公文書などの紙として使用されてきたものです。お布施に使われる奉書紙は、中包みと呼ばれるお札を包む半紙と、外包みである奉書紙がセットになったタイプが販売されています。

封筒を購入する際は、郵便番号欄のない白い厚手のタイプを選びましょう。封筒には半紙がありませんが、別の封筒で中袋を作る必要もありません。また封筒を二重にして使うと「不幸が重なる」ことを思い起こさせるため使用しないように気を付けましょう。

表書きは「御布施」や「お布施」と書く

お布施は奉書紙もしくは封筒の中央上部に「御布施(お布施)」と書きます。中央下部には喪主の名前を苗字またはフルネームで記載します。お布施は葬儀や法要に対する家族からの感謝であるため、「〇〇家」としてもよいでしょう。ただしその場合は、喪主が分かるように裏面に名前をフルネームで入れておくのがマナーです。

裏書き(中袋)は「住所」と「金額」を書く

お布施の中袋とは、お布施の紙幣を入れるための袋のことで、裏書きとは上袋に包む前にお布施の詳細を書き記すことです。基本的に中袋の表面には金額、裏面には住所・氏名を記入します。

中袋がない封筒を使用する場合には、表の中央上部に「お布施」と記しましょう。中央下部に喪主の名前を入れ、裏面に住所・氏名・金額を記入するのが正しいやり方です。中袋は喪主として詳細な情報と感謝の気持ちを伝える部分であるため、丁寧に記入することが大切です。

お布施の漢数字の書き方

お布施の金額は漢数字で書くのが一般的です。漢数字には新字体と旧字体がありますが、お布施では旧字体を使います。旧字体には壱(一)、弐(二)、参(三)、四(四)、伍(五)などがあり、「金+〇〇(金額)+圓也」と表記します。

例えば10万円であれば「金拾萬圓也」、5万円なら「金五萬圓也」、1万円なら「金壹萬圓也」、そして5,000円は「金五千圓也」となります。普段書き慣れない漢字が多いので間違えないように注意しましょう。

お札の入れ方

お布施として渡すお札は新札を用意するのがマナーです。使用感の少ないものは清潔感があり、感謝の気持ちが伝わりやすくなります。そしてお札の肖像画が封筒の表面に来るように入れましょう。お札を取り出したときに金額が一目で分かるようにするためです。

なお香典はお札の肖像画が裏面に来るようにし、慌てて駆け付けたように演出するのがマナーですが、お布施はお悔やみとは違って僧侶への感謝の気持ちであるため、新札を使い、整えた状態で入れましょう。

お布施を僧侶に渡すタイミング

葬儀や法要ではお布施を渡すタイミングも考慮しておきましょう。僧侶が供養を行う前後が考えられますが、どちらがよいのでしょうか。

葬儀でのタイミング

お布施を渡す明確なタイミングに決まりはありませんが、僧侶が葬儀会場に到着し、喪主や遺族が挨拶に出向いた際にお布施を渡すのが一般的です。切手盆や袱紗などの上に乗せて渡すのがマナーとされています。

ただ当日は喪主も打ち合わせや準備の対応で忙しいため、挨拶するタイミングを逃してしまうことも考えられます。そのときは葬儀後または後日僧侶へ直接渡しても問題はありません。

法事でのタイミング

法事でも始まる前の挨拶時にお布施を渡すのが一般的ですが、法事はタイトな時間配分になっているケースが多く、タイミングを逃してしまうことも考えられます。そのため、挨拶時にすぐ渡せるよう準備しておきましょう。

もし渡せなかった場合は、法事後の一息ついたタイミングで渡しても構いません。葬儀場などで受付がある場合は、受付係に預け僧侶に渡してもらうという方法もあります。また後日ご本尊に出向いて直接手渡しをする方もいます。

お布施に関するよくある質問

お布施を渡す機会はそれほど多くないため、いざというときに不安を感じる方も少なくないでしょう。ここではお布施に関するよくある質問をまとめましたので、参考になさってください。

お布施の金額を横書きで書いてもいいですか?

お布施は奉書紙や封筒に縦書き、漢数字で記入するのがマナーです。とはいえ、もともと特別なルールはなく、お布施を受け取る側がその気持ちや内容を理解することが大切であるため、横書きにしても問題はありません。

近年は横書きで記入できる封筒も販売されています。その場合は算用数字(アラビア数字)を使用することが可能です。記入するときは、「金」または「¥」+金額を書きましょう。自分が書きやすい方を選んでください。

七回忌のお布施の金額は?

七回忌のお布施は1万〜5万円が相場といわれています。ただし三回忌以降は、これまで納めてきた金額よりも少なくならないようにするのがマナーです。

七回忌のお布施金額は地域や寺院、宗派によって異なりますが、これまで築いてきた寺院との関係性、ご自身が過去に渡してきたお布施の金額などを参考に適宜調整しましょう。

お布施の金額を書かないのはOK?

お布施は本来、故人の供養に対する謝礼であるため金額は重要ではありません。そのため書かないのはマナー違反にはなりませんが、金額を書いた方が親切です。後日、僧侶がお布施の金額を確認したり、経費計算や帳簿付けをしたりする際に役立つからです。

またお布施は相続財産の課税対象から控除できる可能性があるため、領収書をもらっておくと確定申告時に役立ちます。

ただしお布施は「お気持ち」なので、お寺側は領収書を出してくれないことがほとんどです。その場合は記録を残すことで控除の対象になるケースがあるため、お寺の名称や連絡先、日付、目的、金額などをメモしておくことが大切です。

まとめ

お布施の金額は一律にダメとされる金額はありませんが、相場は考慮する必要があります。喪家の経済状況や関係性、地域の慣習などを考慮して適正な金額を決定しましょう。ただし一番大切なのは形式よりも真心です。故人への冥福を祈り、僧侶に感謝する気持ちを忘れないようにしましょう。

株式会社サン・ライフでは、故人やご家族それぞれの希望に合わせた葬儀プランを用意しております。一般葬プランではお迎えからお通夜、お葬式当日の進行をはじめ、葬儀後に喪主様が関わる各種手続きのサポートまで手厚いサービスをご提供いたします。

故人様やご家族の希望をくみ取りながら、大切な方の供養を全力でサポートいたします。葬儀に関する不安や悩みはもちろん、お布施やマナーなどについてもご相談賜りますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

葬儀や法事などがあった際は僧侶にお布施を渡しますが、そもそも「お布施って何? 」と疑問に思ったことはありませんか。お布施は僧侶に対する謝礼の意味がありますが、実際にいくら包めばよいのか、どのように渡せばよいのか分からない方もいるでしょう。

お布施には明確なルールや金額が決まっているわけではありません。ただし宗教的な儀式であることから一定のマナーや、しきたりが存在します。本記事ではお布施の意味やお布施の金額相場、お包みの書き方など、準備から僧侶に渡すまでの流れを分かりやすく解説します。

お布施は僧侶に対する謝礼

お布施とは葬儀や法要の際に、僧侶の読経や戒名の授与などの行いに対する感謝の気持ちとして渡す金銭のことです。

もともとお布施とは、仏教の教えに基づいた他者への善意や慈悲の心を表すもので、自分の欲望よりも「施すこと」で徳を高める手段として使われていました。現代においても、お布施は行為に対する対価(報酬)ではなく、あくまでも自らの意志で渡す謝礼(善意)です。

お布施は僧侶へ直接渡しますが、金額に明確な決まりはありません。渡したお金は主にご本尊の維持・活動のために使われます。また地域や宗派、儀式の規模によって渡すべき相場やマナーには違いがあるため、事前に確認しておくことが大切です。

お布施の金額相場を葬儀・法事・法要別で解説

お布施を渡す機会には葬儀だけでなく四十九日や法要などがありますが、供養行事によって渡す金額が異なります。ここでは大まかな目安を行事別に紹介します。

葬儀・告別式は10万〜50万円

葬儀は僧侶による読経や焼香、戒名授与などが行われ、故人をあの世へ送り出すための儀式となります。一方で告別式は、参列者が故人と別れを告げる儀式です。焼香や献花、弔辞などが行われ、故人との思い出を振り返り、感謝の気持ちを伝える場となります。このように葬儀と告別式は厳密には異なるものですが、まとめて執り行うケースが多いため、お布施もまとめた金額を渡しましょう。

このときのお布施の費用相場は10万〜50万円程度です。全国平均で26万円前後という調査もありますが、実際は宗派や地域、葬儀の規模によって大きく異なります。一般的に葬儀のお布施金額が一番高く、その後に続く四十九日や法要など時間が経つほど徐々に金額は低くなるのが特徴です。

四十九日法要は3万〜5万円

四十九日法要は大切な人が亡くなってから49日目に行われる法要です。故人の魂が7日ごとに閻魔王の裁判を受け、49日目に極楽浄土へ行くかどうかが決まるとされている日です。僧侶を招いて読経や供養を行い、故人の冥福を祈りながら新たな旅立ちを祝います。

お布施の相場は一般的に3万〜5万円程度です。この金額は葬儀や告別式で渡したお布施の10〜20%を目安にする考え方が多いとされているためです。他にもお車代や御膳料などが発生する場合もあるので、事前に確認しておくことをおすすめします。

なお浄土真宗では亡くなるとすぐに成仏するという考え方のため、四十九日は故人を偲ぶ日として行われるか、四十九日自体行わない地域もあります。

納骨法要3万〜5万円

納骨法要は火葬された遺骨を墓地や納骨堂に納めることで、故人を永眠の地へ送り出し、冥福を祈る大切な儀式です。特に厳密な日にちは決められていません。

多くの場合は故人が極楽浄土へ行く四十九日のタイミングとして選ばれていますが、近年はお墓を探すのに苦慮される方も多いことから、親族が故人の悲しみに区切りを付ける「百か日法要」、または「一周忌」までに行うのが増加傾向にあります。

納骨法要では僧侶による読経が行われるため、お布施が必要です。お布施の相場は一般的に3万〜5万円程度で、四十九日法要のお布施と同額となることが多いです。ただし先祖代々から続くお墓に納骨する場合や開眼供養を行う場合は10万円ほどになることもあります。

納骨法要にかかる費用に関して詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

納骨費用の項目や金額の目安とは?納骨式の概要や流れ・安く抑える方法など分かりやすく解説

新盆・初盆法要は3万〜5万円

お盆はご先祖様が帰ってくる日といわれており、8月13日から3日間で行われるのが一般的です。新盆・初盆法要は、故人が亡くなってから初めて迎えるお盆の期間に行われる法要です。

故人を偲び供養するための大切な儀式であり、遺族が気持ちを整理するための節目でもあることから、僧侶を招いて読経や供養を行います。お布施の相場は、3万〜5万円程度で四十九日法要や納骨法要のお布施と同程度です。

一周忌法要は3万〜5万円

一周忌法要は故人が亡くなってから一年が経過した命日に執り行う儀式です。故人の冥福を祈り、偲ぶ大切な節目となります。

一周忌法要では僧侶を招いて読経や供養を行い、家族や友人など近しい人々が故人の冥福を祈ります。命日が平日の場合は、仕事や学校の都合もあるため亡くなった日と同じにできない方も多いため、その場合は命日の後ではなく前倒しで行うのが習わしです。

お布施の相場は四十九日や新盆と同じように3万~5万円が目安とされていますが、地域や宗派によって金額が異なるケースがあります。

一周忌法要の意味や決め事など詳細を知りたい方は下記を参考にしてください。

一周忌とは?一周忌法要の流れや準備、基本的なマナーについて解説

三回忌以降は1万〜5万円

三回忌法要は故人の死から満2年後に執り行う法要です。一周忌法要と同じように僧侶を招いて読経や供養を行い、故人の冥福を祈ります。

三回忌以降は故人が亡くなって2年が経過した月の命日である、祥月命日に年忌法要(ねんきほうよう)を行います。年忌法要は七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十五回忌、三十三回忌と続きます。法要の頻度は宗派によって異なりますが、一般的には三十三回忌を最後とするところが多いです。

三回忌以降のお布施の相場は、一般的に1万〜5万円程度です。一周忌法要より少し低めか同等の金額となります。基本的に法要は年月を重ねるごとに徐々に小規模となっていくため、お布施金も少しずつ低くなります。

お布施の金額相場を宗派別で紹介

葬儀や法要の際に出すお布施の費用は、宗派によっても異なります。それぞれの宗派でどのくらい必要なのか、目安を見ていきましょう。

浄土真宗は25万〜50万円

浄土真宗にとってお布施はもともと徳を積むための修行であり、現代では僧侶の読経などに対する感謝の気持ちとして渡します。お布施の相場は、葬儀・法要で25万〜50万円程度です。

通夜

1万~3万円

葬儀

25万~50万円

四十九日法要

3万~5万円

新盆・初盆法要

3万~5万円

一周忌法要

3万~5万円

三回忌以降

1万~5万円

浄土真宗では戒名料やお車代、御膳料などの別途費用が発生しないことが多いです。お寺によっては、お布施の金額を定めているところもあるので確認しておきましょう。

曹洞宗は30万〜60万円

曹洞宗は釈迦を祭りひたすら座禅を行う禅宗の一つで、日本では比較的多くの檀家がいる宗派です。曹洞宗のお布施の相場は、葬儀で30万〜60万円とされています。

通夜

1万~2万円

葬儀

30万~60万円

四十九日

3万~5万円

新盆・初盆法要

2,000~1万円

一周忌法要

3万~5万円

三回忌以降

3万円前後

曹洞宗をはじめ、浄土真宗以外の宗派は戒名料が必要です。戒名にはさまざまなランク付けがされており、料金は30万円が相場ですが、ランクが高くなると100万円以上になるケースもあります。

浄土宗は20万〜50万円

浄土宗は南無阿弥陀仏を唱える宗派で「唱えることによって救われる」という考え方があります。お布施の相場は葬儀で20万〜50万円です。年収の1〜2割、または1カ月の給与分という考え方もできます。戒名料は別途かかります。

通夜

1万~3万円

葬儀

20万~50万円

四十九日法要

3万~5万円

新盆・初盆法要

3万円前後

一周忌法要

3万~5万円

三回忌以降

1万~5万円

浄土宗のお布施は、地域またはお寺との付き合いなどによっても金額が変わることもあるので、確認が必要です。

お布施以外にお金を包む費用

大切な人を偲ぶ行事にかかる費用はお布施だけではありません。僧侶への交通費やお食事代なども支払います。一つずつ見ていきましょう。

御車料は5,000~1万円

御車料とは、葬儀や法要のために僧侶が足を運んでくれたお礼と、バス、電車、タクシーなど移動にかかった交通費をかねて渡す費用です。一般的には移動距離を目安に金額を決めることが多く、近郊や同市内であれば5,000〜1万円支払うことが多いようです。

飛行機や新幹線などを使って僧侶に遠方から来てもらう場合は、その分の料金を調べて加算します。一方で遺族が僧侶を送迎する、タクシーを手配する、またはお通夜や葬儀をお寺で執り行う場合は御車代を支払う必要はありません。

御車料は運賃をきっちりと払うのではなく、その後の法要や僧侶とのお付き合いも考えた謝礼として切りのよい金額を多めにお渡ししましょう。

御膳料は5,000~1万円

葬儀や法要の後には「精進落とし」または「お斉」と呼ばれる食事の席が設けられます。その会食に僧侶が参加しない場合は、おもてなしができなかった代わりとして「御膳料」を渡します。

御膳料の相場は5,000〜1万円が目安で、食事代一人当たりの金額と考えましょう。僧侶が複数名なら人数分の金額を一つにまとめて渡します。また僧侶が会食に参加する場合は渡す必要はありません。

戒名料は10万~100万円

戒名は仏教徒が亡くなった際に授けられる名前です。仏様の弟子としての新しい名前であり、仏教における故人の修行を表すもので、死後の極楽浄土への道しるべとして安息を願い贈られます。

戒名料は戒名を授けた僧侶に支払う謝礼で、金額の相場は10万~100万円です。かなり幅が広くなっていますが、宗派や地域、寺院の格などによっても異なるためです。適切な戒名料を支払うためにより詳細を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

戒名の値段相場は?構造や宗派のランク別・トラブルを回避する方法をご紹介

お布施にダメな金額は?

お布施には明確な金額は決まっていませんが、いくつか注意すべき点があります。まず4と9は、「死」「苦」を連想させる数字として忌まわしいとされています。

また4、6などのように割り切れる数字も「縁が切れる」ことを連想させるとして、慶事・弔事ともに避けられている数字です。そのため4万円、6万円、9万円をお布施として渡すのは避けた方が無難でしょう。

お布施は本来ご本尊への感謝の気持ちを表すものなので、縁起の悪い数字を渡すのは無礼と受け取られてしまう可能性があります。法要の機会がある場合は、マナーとして3万円、5万円、7万円などを用意するように覚えておきましょう。

お布施の正しい書き方や入れ方を解説

お布施には表書き、裏書きともに正しい書き方があり、袋の選び方やお札の入れ方にもマナーがあります。謝礼として失礼のないようにポイントを押さえておきましょう。

お金を入れる封筒の選び方

お金を入れる封筒は、主に奉書紙(ほうしょがみ)または封筒の2種類があります。奉書紙は和紙の一種で、古くから公文書などの紙として使用されてきたものです。お布施に使われる奉書紙は、中包みと呼ばれるお札を包む半紙と、外包みである奉書紙がセットになったタイプが販売されています。

封筒を購入する際は、郵便番号欄のない白い厚手のタイプを選びましょう。封筒には半紙がありませんが、別の封筒で中袋を作る必要もありません。また封筒を二重にして使うと「不幸が重なる」ことを思い起こさせるため使用しないように気を付けましょう。

表書きは「御布施」や「お布施」と書く

お布施は奉書紙もしくは封筒の中央上部に「御布施(お布施)」と書きます。中央下部には喪主の名前を苗字またはフルネームで記載します。お布施は葬儀や法要に対する家族からの感謝であるため、「〇〇家」としてもよいでしょう。ただしその場合は、喪主が分かるように裏面に名前をフルネームで入れておくのがマナーです。

裏書き(中袋)は「住所」と「金額」を書く

お布施の中袋とは、お布施の紙幣を入れるための袋のことで、裏書きとは上袋に包む前にお布施の詳細を書き記すことです。基本的に中袋の表面には金額、裏面には住所・氏名を記入します。

中袋がない封筒を使用する場合には、表の中央上部に「お布施」と記しましょう。中央下部に喪主の名前を入れ、裏面に住所・氏名・金額を記入するのが正しいやり方です。中袋は喪主として詳細な情報と感謝の気持ちを伝える部分であるため、丁寧に記入することが大切です。

お布施の漢数字の書き方

お布施の金額は漢数字で書くのが一般的です。漢数字には新字体と旧字体がありますが、お布施では旧字体を使います。旧字体には壱(一)、弐(二)、参(三)、四(四)、伍(五)などがあり、「金+〇〇(金額)+圓也」と表記します。

例えば10万円であれば「金拾萬圓也」、5万円なら「金五萬圓也」、1万円なら「金壹萬圓也」、そして5,000円は「金五千圓也」となります。普段書き慣れない漢字が多いので間違えないように注意しましょう。

お札の入れ方

お布施として渡すお札は新札を用意するのがマナーです。使用感の少ないものは清潔感があり、感謝の気持ちが伝わりやすくなります。そしてお札の肖像画が封筒の表面に来るように入れましょう。お札を取り出したときに金額が一目で分かるようにするためです。

なお香典はお札の肖像画が裏面に来るようにし、慌てて駆け付けたように演出するのがマナーですが、お布施はお悔やみとは違って僧侶への感謝の気持ちであるため、新札を使い、整えた状態で入れましょう。

お布施を僧侶に渡すタイミング

葬儀や法要ではお布施を渡すタイミングも考慮しておきましょう。僧侶が供養を行う前後が考えられますが、どちらがよいのでしょうか。

葬儀でのタイミング

お布施を渡す明確なタイミングに決まりはありませんが、僧侶が葬儀会場に到着し、喪主や遺族が挨拶に出向いた際にお布施を渡すのが一般的です。切手盆や袱紗などの上に乗せて渡すのがマナーとされています。

ただ当日は喪主も打ち合わせや準備の対応で忙しいため、挨拶するタイミングを逃してしまうことも考えられます。そのときは葬儀後または後日僧侶へ直接渡しても問題はありません。

法事でのタイミング

法事でも始まる前の挨拶時にお布施を渡すのが一般的ですが、法事はタイトな時間配分になっているケースが多く、タイミングを逃してしまうことも考えられます。そのため、挨拶時にすぐ渡せるよう準備しておきましょう。

もし渡せなかった場合は、法事後の一息ついたタイミングで渡しても構いません。葬儀場などで受付がある場合は、受付係に預け僧侶に渡してもらうという方法もあります。また後日ご本尊に出向いて直接手渡しをする方もいます。

お布施に関するよくある質問

お布施を渡す機会はそれほど多くないため、いざというときに不安を感じる方も少なくないでしょう。ここではお布施に関するよくある質問をまとめましたので、参考になさってください。

お布施の金額を横書きで書いてもいいですか?

お布施は奉書紙や封筒に縦書き、漢数字で記入するのがマナーです。とはいえ、もともと特別なルールはなく、お布施を受け取る側がその気持ちや内容を理解することが大切であるため、横書きにしても問題はありません。

近年は横書きで記入できる封筒も販売されています。その場合は算用数字(アラビア数字)を使用することが可能です。記入するときは、「金」または「¥」+金額を書きましょう。自分が書きやすい方を選んでください。

七回忌のお布施の金額は?

七回忌のお布施は1万〜5万円が相場といわれています。ただし三回忌以降は、これまで納めてきた金額よりも少なくならないようにするのがマナーです。

七回忌のお布施金額は地域や寺院、宗派によって異なりますが、これまで築いてきた寺院との関係性、ご自身が過去に渡してきたお布施の金額などを参考に適宜調整しましょう。

お布施の金額を書かないのはOK?

お布施は本来、故人の供養に対する謝礼であるため金額は重要ではありません。そのため書かないのはマナー違反にはなりませんが、金額を書いた方が親切です。後日、僧侶がお布施の金額を確認したり、経費計算や帳簿付けをしたりする際に役立つからです。

またお布施は相続財産の課税対象から控除できる可能性があるため、領収書をもらっておくと確定申告時に役立ちます。

ただしお布施は「お気持ち」なので、お寺側は領収書を出してくれないことがほとんどです。その場合は記録を残すことで控除の対象になるケースがあるため、お寺の名称や連絡先、日付、目的、金額などをメモしておくことが大切です。

まとめ

お布施の金額は一律にダメとされる金額はありませんが、相場は考慮する必要があります。喪家の経済状況や関係性、地域の慣習などを考慮して適正な金額を決定しましょう。ただし一番大切なのは形式よりも真心です。故人への冥福を祈り、僧侶に感謝する気持ちを忘れないようにしましょう。

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