大切なご家族を亡くされた方は、喪中の時のお正月はどうやって過ごしたらいいのか?普段通りお参りに行ったり、おせちを食べたりなど、正月を過ごしていいのか?といった疑問があると思います。喪中期間は基本的にお祝い事や派手な行事に参加しないなどの習わしがあります。お正月にやっていいこと・やらない方がいいことなどを中心に、喪中の過ごし方の気を付けたいポイントをご紹介いたします。
喪中とは
喪中という言葉は日常生活でも学校や仕事場などでよく耳にすることがあると思いますが、本来は親族を亡くした際に、お通夜やお葬式を経て、四十九日が過ぎるまでは忌中期間とされ、一年間は喪中期間となります。喪に服すともいう言葉があるように、故人を亡くした悲しみを乗り越えるまでの期間となり、喪中の間は故人の冥福を祈り、お祝い事や派手な行事を控える習わしがあります。結婚式などの慶事への参加や派手な宴会への参加は、控えた方がよいとされています。
喪中と忌中の意味
喪中と忌中について…似ている言葉であることから間違えることもある喪中と忌中ですが、親族を亡くした際に喪に服す一定期間のことをいいます。
忌中(きちゅう)とは、身近に不幸があった人が死の穢れがある間(四十九日まで)は社会的な活動を控えるというもの。昔は、遺族が喪服を身につけ、外部との接触を完全に避け、肉や魚は食べずに精進料理を食べて過ごしていた時代があったそうですが、現代はこのような風習はほとんどありません。
喪中(もちゅう)とは…親族が亡くなった時に、故人の冥福を祈りお祝い事など派手なことは控えて慎ましく暮らす期間のこと。親族を失った悲しみを乗り越えて、日常に戻るための期間ともいわれます。期間は忌中含む3ヶ月〜1年間。
関連記事
喪中の範囲は誰まで?
喪中を過ごすべきとされている人の範囲は、一般的に二親等までです。ただし故人との関係性によって三親等の親族まで含まれることもあります。
一親等 | 父母・配偶者の父母・子・子の配偶者 |
二親等 | 祖父母・配偶者の祖父母・兄弟姉妹・兄弟姉妹の配偶者・孫・孫の配偶者 |
喪中の期間
喪中の期間は、故人との関係性によって3ヶ月〜1年と期間が異なります。たとえば父母を亡くした際は、七七忌(四十九日)までが忌中、一周忌(一年間)までが喪中とされることが多いです。それぞれの違いをみていきましょう。
【喪中の一般的な期間】
- 父母:12~13カ月
- 義父母:3~6カ月
- 子供: 3~12カ月
- 兄弟姉妹:3~6カ月
- 祖父母:3~6カ月
喪中期間に関する法律(服忌令)は昭和22年に廃止されましたが、現在の喪中期間の長さは当時の法律を参考にしたものになっています。
喪中の年末年始・お正月はどのように過ごす?
喪中の間はお正月であっても祝い事は慎む方が多いです。初詣やお正月飾り、年始の挨拶などの正月行事は避けた方が良いとされています。忌の期間である忌(約50日間)が明けていれば、本人や周囲が不快でなければ神社・寺問わず参拝しても基本的に問題はありません。
喪中の年末年始・お正月にしてはいけないこと
- お正月飾り
- 新年の挨拶
- 年賀状
- おせち料理
■お正月飾り
鏡餅やしめ飾り、門松などの祝い事や神事を意味するお正月飾りは控えましょう。お正月に「年神様」をお迎えしますが、神道では、死は穢れと考えられているため、お正月飾りをして年神様をお迎えすることは避けるようにします。神棚は、神道の忌中期間(50日間)は封印します。
■新年の挨拶
新年の挨拶は、喪中の期間は「おめでとう」という言葉を使うことは避けましょう。職場や学校などで年末年始の挨拶をする場合は、おめでたい意味をもつ言葉は避け、「昨年はお世話になりました」「どうぞ良いお年をお迎えください」「今年もよろしくお願いいたします」などと伝えるようにしましょう。
■年賀状
年賀状は新年を祝う意味があるため、喪中の期間は控えましょう。事前に年賀状を出せないことを知らせる「喪中ハガキ」を11月~12月上旬までに投函するようにしましょう。喪中はがきは、喪に服しているため、年賀の挨拶欠く失礼を詫びる知らせとなります。喪中はがきを送らずに、年賀状をいただいてしまい、返せなくなる失礼がないようにしましょう。
■おせち料理
おせち料理は、季節の変わり目のお祝いをする日に食べる節目の料理でしたが、いまはお正月をお祝いの食べ物とされています。おせちには祝いを意味する鯛や海老、紅白かまぼこなどが入っているため、喪中の期間は控えましょう。その代わりに、「ふせち料理」をおせちの代替として食ベることができます。精進料理が基になっているため、お祝いを意味する食材は用いません。百貨店などでも取り扱いがされています。
喪中の年末年始・お正月にしても大丈夫なこと
【喪中の年末年始にしてはいけないこと】
- 大掃除
- お歳暮
- 除夜の鐘を鳴らす
- 年越しそば
- お雑煮
- お年玉
- 初詣
■大掃除
大掃除は年末の定番行事となっていますが、大掃除は祝い事ではないので、問題ありません。家の中を整理することは心の整理にも繋がるため、迷わず行ってよいです。気持ちよく新年を迎えましょう。
■お歳暮
お歳暮は、日頃からお世話になっている方への感謝をお伝えする贈り物のため、祝い事とは関係ありません。そのため、贈っても問題ありません。ただし、祝いの熨斗(のし)は使わないようにしましょう。喪中の間は白い無地のものを使用します。もしも年が明けてしまった場合は、お年賀とならないように、時期を遅らせて寒中見舞いとして贈るとよいです。
関連記事
供物とは?選び方の種類や相場を解説!葬儀に関するマナーや送り方も紹介
■除夜の鐘を鳴らす
除夜の鐘を鳴らす(突く)ことは、人の煩悩を払う意味があります。大晦日に除夜の鐘を突くことで、人間の煩悩(人間の欲求)を払い、新しい年を迎えるとされています。しかし、除夜の鐘を鳴らす行為は、祝い事にならないため、喪中に行っても問題ありません。
■年越しそば
そばは縁起物で健康的であることから、毎月末(みそか)や季節の変わり目に食べられるようになりました。細く長く伸びることから「延命・長寿」の意味もあり、年越しそばには「健康で長生きできますように」という願いが込められています。そばは切れやすいので「一年の苦労や災厄を断ち切る」という意味もあります。縁起やゲンを担いだもののため、喪中に年越しそばを食べても問題ありません。
■お雑煮
お雑煮は元々、お祝い事や記念日などの特別な日に食べるものでしたが、いまでは一般的な食べ物とされているため、お正月用のお祝いとしてではなく、普段の食事として食べる場合は喪中のお正月に食べても問題ありません。喪中のお正月はお雑煮の具材を豪華にしないようにするなど、工夫をしてみてもよいでしょう。
■お年玉
お年玉には神様からいただいた賜物(たまもの)という意味がありました。お正月に神様にお供えしたお餅を、みんなで分けたことがお年玉の始まりといわれています。喪中のお正月は、「あけましておめでとう」など、新年を祝う言葉が書かれていないお年玉袋を使うようにしましょう。また、お年玉という言葉を使わずに「おこづかい」や「ほんの気持ち」などの工夫をしてみてもよいでしょう。
■初詣(四十九日・五十日以降)
喪中の初詣は控える人が多いですが、初詣は仏教と神道によって考え方が少し異なりますしかし、忌の期間である忌(約50日間)が明けていれば、本人や周囲が不快でなければ神社・寺問わず参拝しても基本的に問題ありません。
神社は神道の考えに基づくため、死は穢れとして忌み嫌われます。そのため、忌中期間のうちは神社への参拝は行かない方がよいとされています。しかし、神社本庁によれば四十九日(五十日)を過ぎれば、初詣も問題ないとの見解もあります。
お寺の場合は、仏教に基づくため、死は極楽浄土への旅立ちという扱いになります。忌中であってもお寺に参拝するのであれば問題は無いというのが一般的な認識です。
参照:https://www.jinjahoncho.or.jp/omairi/gyouji/bukki
関連記事
初盆(新盆)で包む香典の相場|香典袋の選び方と表書きを徹底解説
喪中時は喪中ハガキか寒中お見舞いを送る
喪中の時は年賀状のやり取りも控えましょう。その代わりに喪中であることをお知らせする「喪中ハガキ」や「寒中お見舞い」を送る習慣があります。以前から年賀状を交わしている人や故人が生前にお世話になった方々に向けて送ります。お知らせを受け取ることで、相手も祝いの言葉を添えた年賀状を送らずに済みます。「喪中ハガキ」や「寒中お見舞い」送る時期が決まっているため、注意しましょう。
喪中ハガキを送るケース
喪中ハガキとは…
親族に不幸があった場合に、普段から年賀状をやりとりしている方々に対して「新年のあいさつを控えさせていただきます」と伝えるためのものです。一般的には、二親等以内の親族を指しますが、親しくしていた故人を偲びたい場合にも喪中ハガキを送ることができます。
<喪中ハガキを送る時期>
事前に年賀状を出せないことを知らせる「喪中ハガキ」は、11月~12月上旬までに投函するようにしましょう。しかし、早く送り過ぎても忘れてしまう人もいるため、タイミングは配慮した方がよいでしょう。
喪中期間中は控えるべきイベント
年末年始やお正月の他にも、喪中期間中に控えた方がよいイベントがいくつかあります。
【喪中期間は控えるべきイベント】
- 結婚式への出席
- 旅行
- 大々的なパーティー(クリスマス、ハロウィーン、誕生日会など)
喪中の間は基本的に華やかなことや慶事は控えるべきですが、実際には仲の良い友人の結婚式を控えることなどはあまりなく、現代ではそこまで厳密にはされていないこともあります。行事によってはキャンセルする必要はないこともあるため、個人で判断しましょう。考え方はそれぞれ異なるため、参加される場合は、豪遊せず慎ましく行動するように気を付けるなど、喪中のイベントごとは配慮するといいでしょう。
まとめ
大事な家族を亡くして喪に服す期間はとても大切です。喪中の期間は祝い事や派手な行事は控え、慎ましく過ごすことがよいとされています。特に世間がお祝いの雰囲気に包まれるお正月は、年賀状や挨拶などに気を付けながら過ごしていきましょう。喪中の一般的な習わしをご紹介いたしましたが、行事への参加に関しては、個人の考え方によって異なる場合もあるため、ご自身で判断してみてください。
サン・ライフでは葬儀や法要をはじめ、様々なお悩みやお困りごとをサポートしています。どうぞお気軽にご相談ください。
株式会社サン・ライフホールディングWEBマーケティング課 課長 高橋 竜一