葬儀やお通夜では、「ご冥福をお祈りいたします」と、幅広く口にする言葉ですが、実は宗教や宗派によっては使わないほうがいい場合もあります。人によっては気にされる方もいるため気を付けましょう。葬儀で失礼のないように、「ご冥福をお祈りします」の使い方や宗派による違いを覚えておきましょう。また、他の言い方もあるため、どの宗派の葬儀にいっても困らないように覚えておくといいでしょう。そして、お悔やみの言葉に加えて、自分の気持ちを丁寧に相手に伝えることが大切です。
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■「ご冥福をお祈りします」の意味
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■「ご冥福をお祈りします」を使うときの注意点
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■「ご冥福をお祈りします」の言い換え表現
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■「ご冥福をお祈りします」の使い方の例
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■「ご冥福をお祈りします」への返答
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■まとめ
目次
「ご冥福をお祈りします」の意味
冥福(めいふく)とは…
- ご冥福の冥とは、冥土(死後の世界)
- ご冥福の福は、幸せという意味
つまり冥福とは、「死後の幸福や無事に死後の世界に辿り着けるよう」にということを意味します。ご冥福は仏教や道教を由来とする言葉として、日本の文化に根付いた言葉です。亡くなった後に「冥土の旅」ともいわれる死後の旅に出ますが、迷いの世界、三悪道ともいわれ、魂がさまよう旅路を乗り越えて、幸せになってほしいと願い、お悔やみの言葉として使われるようになりました。
「ご冥福をお祈りいたします」とは、死者が冥土や冥界でさまようことなく、無事に転生できるようにという想いが込められています。そのため、この言葉は、お通夜や葬儀などで故人に対して使われる表現になります。
喪中と忌中の意味
喪中と忌中について…似ている言葉であることから間違えることもある喪中と忌中ですが、親族を亡くした際に喪に服す一定期間のことをいいます。
忌中(きちゅう)とは、身近に不幸があった人が死の穢れがある間(四十九日まで)は社会的な活動を控えるというもの。昔は、遺族が喪服を身につけ、外部との接触を完全に避け、肉や魚は食べずに精進料理を食べて過ごしていた時代があったそうですが、現代はこのような風習はほとんどありません。
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「ご冥福をお祈りします」を使うときの注意点
身近な人を亡くし、気を落とされている方への気遣いとして、「ご冥福をお祈りします」などのお悔やみの言葉は、適切に使う必要があります。また、「ご冥福をお祈りします」という言葉は、宗派によっては不適切な場合があります。気にされる方もいるため気を付けましょう。葬儀で失礼のないように、「ご冥福をお祈りします」の使い方や宗派による違いを覚えておきましょう。
必ず主語をつけて使う
「ご冥福をお祈りします」の言葉は、遺族ではなく、故人に対してのみ使える言葉です。そのため、お通夜や葬儀などで使うときは「〇〇(故人様)様のご冥福をお祈りいたします」のように、故人に宛てたものであることがわかるよう、最初に「○○様(故人の名前)」または、「故人様」と主語をつけるようにしましょう。
宗教や宗派によってはふさわしくない場合がある
それぞれの宗教・宗派によって死や死後の考え方が違うことから、「ご冥福をお祈りします」という言葉は、宗派によっては不適切になる場合があります。例えば、宗教・宗派として「冥福」という考え方がない神道やキリスト教、浄土真宗の方に「ご冥福をお祈りします」と声をかけるのは不適切になります。
一般的に使われている言葉であっても、異なる考え方があることを覚えておきましょう。相手の宗教がわからない場合に、他の言葉に言い換えるとよいでしょう。
「ご冥福をお祈りします」の言い換え表現
宗教・宗派によって、「ご冥福をお祈りします」という言葉は、不適正になることもあるため、他の言い方として以下のものがあげられます。
【「ご冥福をお祈りします」の言い換え表現】
「お悔やみ申し上げます」
「謹んでお悔やみ申し上げます」
「御案霊(ごあんれい)の安らかならんことをお祈りいたします」
「安らかな眠りにつかれますよう、お祈りいたします」
など・・・
浄土真宗・曹洞宗の場合
浄土真宗には、「臨終即往生(りんじゅうそくおうじょう)」、「疑うことなく信じて念仏を唱えれば、死後は浄土に生まれて仏になる」という教えがあります。冥土は死者がさまよう場所であり、死者にとって望ましくない世界と考えられています。そのため、「ご冥福をお祈りします」は「死後の世界である冥界に迷い込む」という意味に捉えられてしまいます。
【言い換え表現】
「お悔やみ申し上げます」
「心よりお悔やみ申し上げます」
「謹んでお悔やみ申し上げます」(目上の方にむけて適切)
神道の場合
神道では、故人は「家の守り神」になると考えられていることから、死後の世界である冥土という考え方は適していません。
また、成仏や供養といった言葉は仏教用語になるため、神道には不向きな言葉になります。
【言い換え表現】
「御霊(みたま)のご平安をお祈りします」
「御安霊(ごあんれい)の安らかならんことをお祈りします」
キリスト教の場合
キリスト教では、死とは「地上での罪を許され天に召されること」をいいます。死は祝福されるべきものであることから、葬儀でも故人の死を悲しむお悔やみの言葉を使いません。
【言い換え表現】
「安らかな眠りにつかれますよう、お祈りいたします」
「ご冥福をお祈りします」の使い方の例
宗教・宗派によって異なることを説明しましたが、一般的に使われることが多い「ご冥福をお祈りします」という言葉の使い方を覚えておくともしもの時に困らないでしょう。話し言葉(対面・電話)と書き言葉(メール・弔電)によって、少しずつ異なるため、例文をあげてご紹介します。
対面の場合
遺族へ挨拶する時は「御愁傷様でございます」「お悔やみ申し上げます」といったお悔やみの言葉が適切です。また、通夜や葬儀の場で遺族へ直接挨拶する時は、遺族を「ご自愛ください」のように、気遣った言葉も添えるとよいでしょう。
(親戚に対しての例文)
この度はお悔やみ申し上げます。
この度はご愁傷様です。
哀悼の意を表します。
この度は大変なことで、ご冥福をお祈りしますこの度はご愁傷様です。突然のことでお慰めの言葉もございません。心からお悔やみ申し上げます。
お辛いと思いますが、どうぞお体を大切にお過ごしください。
(友達・知人に対しての例文)
この度はお悔やみ申し上げます。
この度はご愁傷様です。
突然のことでお慰めの言葉もございません。心からお悔やみ申し上げます。
この度は誠に残念なことになりまして、心からお悔やみ申し上げご冥福をお祈りいたします。
お辛いと思いますが、どうぞお体を大切にお過ごしください。
(職場の方に対しての例文)
この度はお悔やみ申し上げます。
この度はご愁傷様です。
この度はご愁傷様です。突然のことでお慰めの言葉もございません。心からお悔やみ申し上げます。
※敬語表現のため、ビジネスシーンなど目上の人に対して使うことができます。通夜や葬儀の場でなくても、相手の身内に不幸があったことを耳にすれば、「ご愁傷さまです」と伝えて問題ありません。
電話での使い方例文
電話で訃報の連絡を受けた場合、まずは連絡をいただいたことへのお礼を述べるようにしましょう。
(親戚に対しての例文)
お辛い中、お知らせいただきありがとうございます。
故人のご冥福をお祈りします/この度はお悔やみ申し上げます。
すぐに準備して伺います。
(友達・知人に対しての例文)
お辛い中、お電話いただきありがとうございます。
○○君(さん)のご冥福をこころよりお祈りし致します。/この度はお悔やみ申し上げます。
ご迷惑でなければ、これからご自宅に伺いたいのですが、伺ってもよろしいでしょうか。
(職場の方に対しての例文)
ご連絡いただきありがとうございます。
突然のことで言葉も見つかりません。
○○様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。/この度はお悔やみ申し上げます。
よろしければ生前お世話になっていた故人にお礼を述べたいのですが、今後の日程はお決まりでしょうか。
弔電での使い方例文
弔電を送る際には、宗派に合ったお悔やみの言葉を伝えることを意識しましょう。宗教・宗派がわからないときは、宗教色のないお悔やみの言葉を用いるのがおすすめです。悲しむ気持ちを伝える「哀悼の意を表します」や、故人を弔う「謹んでお悔やみ申し上げます」などは、宗教色を持たない言葉です。
(親戚に対しての例文)
ご尊父さまのご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます。
ご生前は未熟な私に多くのことを教えてくださいました。
ご尊父さまからいただい言葉は、これからも私の背中を押し続けてくださると信じております。
ご遺族の方々のご心痛をお察し申し上げますとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。
(友達・知人に対しての例文)
このたびは〇〇さんの突然の訃報に接し 大変驚いております。
お元気だった頃のお姿ばかりが目に浮かび いまだに信じられません。
ご遺族の方々のお悲しみはいかばかりとお察し致します。
心から〇〇さんのご冥福をお祈り申し上げます。
〇〇様のご逝去を悼み 謹んでお悔やみ申し上げます。
ご家族皆様のご心痛いかばかりかとお察し申し上げますとともに、心より〇〇様のご冥福をお祈り致します。
(職場の方に対しての例文)
このたびは〇〇様のご逝去に接し 惜別の念を禁じ得ません。
いつも精力的に仕事をされていた〇〇様には 語り尽くせない恩義を感じております。
ご生前のご功績を偲び 弊社社員一同 心から〇〇様のご冥福をお祈り申し上げます。
貴社〇〇様の不慮のご逝去に際し 驚愕しております。
生前の多大なる功績に 尊敬と感謝の意を表します。
社員ご一同様のお嘆きをお察し申し上げますとともに、心から〇〇様のご冥福をお祈り申し上げます。
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「ご冥福をお祈りします」への返答
葬儀や通夜で参列者から「ご冥福をお祈りいたします」と言われた際は、故人の代わりとなって感謝の意を伝えましょう。
遺族としてお悔やみの言葉を頂いた時の、一般的な返答に使われる表現として、3つの表現を覚えておくと安心です。また、その場の状況により、どうしても言葉が出てこない時には、無理に返事をしようとせず、一礼するだけでも問題ありません。
返答例
お気遣いいただき、ありがとうございます。
お心遣い痛み入ります。
恐れ入ります。
「生前は、〇〇(故人)が大変お世話になりました」など、感謝の気持ちを伝える言葉を加えるのもいいでしょう。
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まとめ
一般的に使われることの多い「ご冥福をお祈りします」という言葉がですが、宗教・宗派によっては、考え方の違いから、不適切になる場合があります。通夜や葬儀に参列する場合に備えて、「御愁傷様でございます」「お悔やみ申し上げます」といった、宗教・宗派問わず使いやすい言い換えの言葉を覚えておくといいでしょう。メールや電話でも使い回しが異なるため、すぐに送らずに適切な言葉を調べてから送るように気を付けましょう。サン・ライフでは葬儀や告別式、お通夜のお困りごとにお応えいたします。お気軽にご相談ください。
【監修者】
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査 1級葬祭ディレクター
高橋 竜一