遺体を自宅などの安置先に運ぶ際、「どのようにすべき?」と悩む人は多いです。また、できる限り費用を抑えたいとの考えから、「自分で搬送しよう」と考える場合もあるでしょう。しかし遺体搬送においては、基本的な流れや注意点を押さえておくことが大切です。そのためこの記事では、遺体搬送の流れや自分で搬送する際の注意点などについて解説します。
遺体搬送を業者に依頼する際の流れ
自宅以外の場所で人が亡くなった際には、遺体を安置する先へ移さなくてはなりません。そのためここでは、遺体搬送の流れと費用について、搬送する距離によって3パターンに分けて解説します。
近隣(県内)の場合
ここでは、近隣で亡くなったケースにおける搬送の流れや費用について解説します。近隣にて亡くなった場合、搬送車両を手配して引き取りを行うのが基本的な流れです。
流れ
近隣で亡くなった方の遺体を搬送する際の流れは、以下の通りです。
- 1. 臨終
- 2. 死亡診断書を受け取る
- 3. 葬儀社や遺体搬送業者を手配する
- 4. 遺体搬送業者が病院に到着する
- 5. 業者がストレッチャーにて遺体を霊安室に移動する
- 6. 葬儀社とやり取りをして、搬送先などについて伝える
- 7. ストレッチャーごと寝台車に故人を乗せる
- 8. 病院を出て安置先に向かう
上記では、病院にて亡くなったことを想定しています。
費用
一般的には、走行距離によって費用が決まります。10㎞までの基本料金(1万5,000円程度が目安)にプラスして、10㎞ごとに2,000~5,000円程度加算されていく計算方法が一般的です。
ただし上記は搬送料金だけであり、付帯品についても費用がかかることを忘れてはいけません。ドライアイスや防水シーツなど、一式で4万円程度が目安です。
また、深夜や早朝に搬送依頼する場合、通常は割増料金が1割程度発生します。さらに家族の事情で車両を待機させるのであれば、「留置料金」として待機時間に合わせた費用が加算されることもあるでしょう。
遠方(県外)の場合
ここでは、遠方(県外)で亡くなったケースにおける搬送の流れや費用について解説します。
流れ
遠方(県外)で亡くなった方の遺体を搬送する際の流れは、以下の通りです。以下の通り、基本的な流れは近隣のケースとほとんど変わりません。
- 1. 臨終
- 2. 死亡証明書・死体検案書を受け取る
- 3. 葬儀社や遺体搬送業者へ依頼する
- 4. 遺体搬送業者が病院に到着する
- 5. 業者がストレッチャーにて遺体を霊安室に移動する
- 6. 葬儀社とやり取りをして、搬送先などについて伝える
- 7. ストレッチャーごと寝台車に故人を乗せる
- 8. 病院を出て安置先に向かう
ただし、遠方で亡くなった場合には車だけでなく船や飛行機も必要になることがあります。自分だけで手配することが大変になることから、葬儀社に相談してサポートを受けた方がよいでしょう。
費用
遠方から搬送する場合でも、車両による搬送料金は近隣の場合と同様です。10㎞までの基本料金(1万5,000円程度が目安)に、10㎞ごとの追加料金(2,000~5,000円が目安)を加算します。
ただし、高速道路を使用した場合、実費分が追加されることを忘れないようにしましょう。また、500㎞を超える長距離の場合、交代のドライバーを用意するために人件費が増えることもあります。
船や飛行機を使用する場合、その料金がプラスされます。距離にもよりますが、数十万円程度を目安としてイメージしておくとよいでしょう。
海外の場合
ここでは、海外で亡くなったケースにおける搬送の流れや費用について解説します。
流れ
海外で亡くなった方の遺体を搬送する際の流れは、以下の通りです。
- 1. 外務省より亡くなった旨の連絡を受ける
- 2. 現地の在外公館に連絡・相談する
- 3. 現地へ向かう
- 4. 必要な手続きを行う
- 5. エンバーミングを行う
- 6. 納棺する
- 7. 飛行機を使って搬送する
- 8. 空港に到着する
- 9. 安置先へ搬送する
海外で亡くなった場合は、流れが大きく異なるといえるでしょう。また上記はあくまでも一般的な例であり、実際には国によって法令や慣習が異なります。
専門業者や領事館などに相談しつつ、進めていくことが大切です。
費用
海外で亡くなった場合、航空運賃に諸手続きの費用、エンバーミング費用などを合わせて100~150万円程度が費用の目安です。
特に航空機ではドライアイスを使用できないことから、「エンバーミング」と呼ばれる遺体の防腐処置を行う必要があります。状況や亡くなった国によって費用が異なるため、よく話を確認しながら進めることが大切です。
専門業者に相談しながら進めることで、不安は軽減されるでしょう。
注意点
海外で亡くなったケースでは、亡くなった国の法令や慣習を確認しながら進めることが求められます。
また、航空運賃だけでなく空港から安置先までの車両搬送費用もかかるため、注意しましょう。さらに、海外から搬送されてきた際に遺体が入っていた棺は、日本国内では火葬できません。葬儀を行うためには別の棺に入れ替えを行う必要があるため、ご注意ください。
その際、使用済みの棺を解体する費用として数万円程度、新しい棺を用意するための費用として5~10万円程度の負担が発生します。
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遺体搬送は自分たちでしても問題ない?
遺族が自分たちで遺体搬送をしても、実は問題ありません。遺体搬送に自家用車を使用することが、法律で禁止されているわけではないためです。
ただし、許可を得ていない一般の方が費用をもらって遺体搬送を行うと、法律違反になってしまいます。遺体搬送を業務として実施できるのは、「一般貨物自動車運送事業者」として認可されている業者のみだからです。
また、遺体の取り扱いは非常に難しくさまざまなトラブルや危険につながりやすいことからも、葬儀社に相談することをおすすめします。
自分たちで遺体搬送をする場合の注意点
自分で遺体搬送をするにあたっては、以下の点に注意しなくてはなりません。
- 衛生管理
- 遺体の損傷
- 運搬車両の手配
- 死亡診断書もしくは死体検案書の携帯
遺体の衛生管理
注意すべきこととしてまず挙げられるのが、遺体の衛生管理です。たとえ病院や警察で一定の処理をしてもらったとしても、遺体からは体液が流れ出てしまうことが避けられません。
体液が流れてしまうと車両が汚れるだけでなく、衛生上のリスクも発生してしまいます。
たとえば何らかの病気で亡くなったケースでは、体内に病原菌が残っている可能性があるのです。遺族でもシーツやビニールを活用して搬送することは可能ですが、やはり不安は残ります。
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遺体の損傷
遺体を損傷させてしまうリスクも、搬送時には考慮しなくてはなりません。不慣れな人が遺体を運ぼうとすると、周囲へぶつけてしまったり、落下させてしまったりする可能性が高いためです。
遺体には想像以上に重さがあり、棺に入った状態で運ぶにはストレッチャーをはじめとする設備が必要だと考えなくてはなりません。遺体の搬送は初めてという方がほとんどである状態で、専門業者のようにしっかりと搬送することは難しいため、やはり葬儀社に依頼した方が安全です。
運搬車両の手配
遺体の搬送にあたっては、運搬車両を手配しなくてはなりません。遺体の搬送にはある程度のスペースや固定できる設備も必要なためです。
棺ごと乗せて固定できる車両を、平時より持っている方はほとんどいないでしょう。また、運搬にあたってレンタカーを使用することはできません。
そのため、遺体を運ぶことに適した車両を、改めて用意しなくてはならないのです。車両手配の観点からも、やはり葬儀社に依頼することがおすすめされます。
死亡診断書もしくは死体検案書の携帯
人が亡くなったときには、病院で「死亡診断書」または警察で「死体検案書」を発行してもらう必要があります。この書類をもとに葬儀や火葬の手配を進めていくため、必ず発行してもらいましょう。
また、書類を持たずに遺体を搬送することは法的に問題ありません。ただし搬送中に何かあった場合、手元に書類がないと事件性を疑われる可能性があります。
事件性を疑われないためにも、遺体を搬送する際には死亡診断書や死体検案書のコピーを携帯しましょう。
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まとめ
自宅以外で亡くなった人がいる場合、遺体搬送を行わなくてはなりません。国内であれば近隣でも遠方でもあまり大きな流れの違いはありませんが、費用は距離によって大きく異なります。
また、海外で亡くなった場合には手続きが大きく異なるため、領事館や専門業者に相談することが大切です。遺体は個人でも搬送できますが、衛生面や遺体の損壊などのリスクを考えると専門業者に依頼した方がよいでしょう。
「サン・ライフ」では、お客様からの遺体搬送の相談に対して24時間365日体制で対応しています。お電話一本で、24時間いつでもすぐに故人さまがお休みの場所へお迎えにうかがうことが可能です。
施設の安置室については個室を用意しており、1日無料で対応しています。遺体搬送についてお困りであれば、ぜひお気軽にご連絡ください。