「忌明け」とは、故人が冥途の旅を終わらせて裁きを受けて旅立つ日を指します。この忌明けのときには四十九日法要が営まれるのが一般的です。そこでここでは、「忌明けと四十九日」をキーワードに、「忌明け後に行う四十九日法要の内容」「そのときの準備」「四十九日法要の流れ」「香典返しのマナー」「忌中に避けるべきこと」を紹介していきます。
忌明けとは
「忌明け」は「きあけ」あるいは「いみあけ」と呼びます。
仏教の死生観では、「人は亡くなってから旅をし、49日目に裁きを受けて、行く場所が決まる」と考えています。このため、ご家族はこのときまでに、故人のための追善供養を行っていくべきであると考えられていました。
なお同じ「仏教」でも、浄土真宗の場合は「人は仏様を信じて念仏を唱えればすぐに成仏できるのだ」と考えます。このため、追善供養や忌明けの概念はありません。ただ浄土真宗において「忌明け」「四十九日」は必ずしも否定されておらず、「故人に対する感謝をする日」のようにとらえられています。
なお下記では主に仏教のことを記していきますが、神道の場合は50日を、キリスト教の場合は30日をひとつの目安として、宗教的儀式を行います。
忌明けにおこなう四十九日法要について
ここからは忌明けに行う「四十九日法要」について取り上げて、「そもそも四十九日法要にはどのようなことをすいるのか」「どんな準備をすればよいのか」「四十九日法要の流れ」について解説していきます。
四十九日の儀式
まずは、四十九日法要を行う日や、そのときに行われる儀式を紹介します。
四十九日の法要のスケジュール
四十九日法要は、厳密には「故人が亡くなった日を1日目として数えて、49日目」に行うべきものです。ただし「この日、ちょうど」に行おうとすることはなかなか難しいものです。そのため、当日にできない場合は、直前の土日で行うことが多いといえます。また、11月25日などに亡くなった場合、49日が来るのは1月となりますが、この場合は12月の終わりくらいに行われるケースが多く見られます。
初七日法要が繰り上げ式で火葬の直後に行われることが多くなった今、「葬儀の後にくる初めての別日の法要」はこの四十九日法要になるのが一般的です。
納骨法要
四十九日法要では、「納骨法要」が営まれることもよくあります。
これはお墓に故人のお骨を入れるための儀式です。
ただしこれは絶対的なルールではありません。日本の法律では「死後〇日以内に遺骨を納めなければならない」という定めはありません。そのため、葬儀当日に納骨をしても構いませんし、一周忌以降に納骨をしても構いません。
開眼法要
四十九日法要が終わるまでの間は、仮の位牌である「白木位牌」が飾られています。しかし四十九日法要をもって、これは「本位牌」にと代えられます。白木位牌は文字通り白木で作られたもので、本位牌は漆塗などの技法で作られた位牌です。ちなみに白木位牌は、四十九日法要後は菩提寺に納めることになります。
なお、お墓や仏壇を新しく開いたり、本位牌に魂を入れたりするために行われる儀式のことを「開眼供養(あるいは魂入れ)」といいます。
お斎(おとき)
四十九日法要の後には、食事を振る舞われるのが一般的です。
かつては「四十九日が過ぎるまで、家族は肉や魚を避ける」とし、このときの食事で「精進落とし」とする形式がとられていました。しかし現在は火葬の日に精進落としを済ませてしまうケースも多く見られます。
四十九日法要のときの食事の席に出される料理は、精進料理のこともあれば、一般的な肉魚類を使った料理のこともあります。このあたりは、地域差やご家庭によって考え方に違いがあるでしょう。
四十九日の準備
ここからは、喪家側となったときのことを想定して、「四十九日法要の準備」について解説していきます。
日取りと場所の準備
まず、日取りと場所を決めます。日取りを決める場合は、「絶対に参加しなければならない人」のスケジュールをまず確認し、その後で菩提寺の予定を聞きます。そこまで決まったら、会場や食事の場所(後日でも構わない)を抑えましょう。納骨をする場合は、石材店にも連絡します。それらが決まり次第、参列者に対して案内のハガキ(往復ハガキ)を出します。電話での案内でも問題ありませんが、ハガキの方が間違いにくいでしょう。
参列者と会食の準備
参列者の数が決まったら、食事をする場所に連絡をし、会食の手配を行います。なお、菩提寺を会場とする場合は、菩提寺の部屋を利用できることもあります。
四十九日法要の後には引き出物を持って帰ってもらうことになるため、これも用意しておきましょう。3,000円~5,000円程度がひとつの目安です。
その他の準備
上記で述べたように、四十九日法要では白木位牌から本位牌への変更を行います。そのため、本位牌の注文もしておきましょう。四十九日法要の2週間程度前に手続きを行うのが理想です。
法要を機に納骨をする場合は、石材店に墓石への彫刻をお願いしておくとより良いでしょう。
四十九日法要の流れ
四十九日法要の流れは、以下の通りです。
- 施主による開式の挨拶
- ご僧侶による読経、家族→親族→参列者の順番で焼香
- ご僧侶による法話
- 白木位牌から本位牌への魂の移動、開眼供養
- 納骨・お墓参り
- 施主による閉式の挨拶
- 食事
- 食事の終わり、施主による挨拶、引き出物を引き渡して終了
なおご僧侶がどこまで付き合うかはケースによって異なります。最後まで付き合う場合もありますが、納骨を終わらせた時点で帰ることもあります。また、納骨を伴わない四十九日法要の場合は、4が終わり次第帰ることもあります。
香典返しのマナー
「忌明け」とも関わる「香典返し」のマナーについて見ていきましょう。
香典返しの選び方
香典返しは、「後に残らないもの」を選ぶのが原則です。特に洗剤などは「悲しみを洗い流す」という意味があり、よく選ばれています。また、タオルなどの日用品や、お茶などもよく選ばれています。
肉や魚などの生臭物、カツオブシなどの慶事を連想させるものは避けます。一部の地域では可とされていますが、ビール券などに代表される「金額がはっきりわかるもの」も避けるべきです。
なお現在では、カタログギフトもよく選ばれています。詳しくは後述しますが、多額の香典を頂いた場合は、カタログギフトでなければお返しが難しい場合もあります。
香典返しの相場
香典返しの相場は、「頂いた金額の2分の1から3分の1」です。ただし、ご親族などから寄せられる香典は金額が大きくなりがちで、場合によっては100,000円を超えることもあります。このような場合は、15,000円程度を上限としてお返ししてもよいとされています。
また、現在よく見られるスタイルである「即日返し(後述します)の場合は、相手の香典の金額が分からないため、3,000円程度のものを一律でお返しし、多額の香典を頂いた方には後日改めてお返しする……という手法が取られます。
会社関係・部署一同の名義で出されたものや、「香典返し不要」で出されたものに関しては、香典返しが必要ない場合もあります。また、「子どもが小さいのに一家の大黒柱が亡くなった」「故人の遺志で、香典はすべて寄付する」などのような場合は、香典返しを行う必要はありません。ただしこの場合は、お礼状などを後日お出ししましょう。
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香典返しを行うタイミング
香典返しを行うタイミングは、大きく分けて2つです。
- ・即日
- ・忌明け後
香典返しは本来は、「忌明け後に、それぞれの香典の金額に応じたものを用意し、拝眉のうえでお渡しするもの」でした。しかし、一般葬で「故人やご家族とも個人的な付き合いがあったわけではないが、会社の取引先ということで伺う」などのようなケースに一つひとつお返しするのはなかなか大変です。
そのため、現在では「即日返し」として、通夜~葬儀に香典を持参してくれた人に対して、3,000円程度の香典返しをその場でお渡しするかたちが増えてきました。10,000円程度の香典ならば、後日にお返しする必要がなくなるわけです。
しかし即日返しの場合は、「頂いた香典の金額に応じた香典返し」ではなく、一律でのお返しとなります。そのため、多くの香典を包んでくれた人に対しては、忌明け後にその金額に応じた香典返しを別途送るかたちがよくとられるようになりました。
なお後日のお返しは、「忌明け後1か月以内」に送るようにします。
香典返しの熨斗(のし)について
香典返しは、
- ・結び切りもしくはあわじ結びの黒白の水引
- ・無地の懸け紙
- ・表書きは「志」「粗供養」
とし、喪主の名前を書いたかけ紙を掛けます。
かけ紙は外側でも内側でも問題ありませんが、開封時にカッターなどで切ってしまわないようにするために、郵送の場合は内側にかけた方が無難でしょう。
挨拶状の書き方
香典返しに同数する挨拶状には、以下のお礼を記します。
- ・法要が滞りなく終えることができたこと
- ・忌明けができたこと
- ・お供えに感謝していること
- ・故人が生前に世話になったこと
時候の挨拶は用いず、句読点も使いません。日付に関しては、四十九日法要が行われた日を記すとよいでしょう。
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忌中に控えた方がいいこと
最後に、忌中のときには控えた方がいいことを紹介します。
- ・「慶事」である、結婚式や七五三などのイベント
- ・娯楽としての飲み会への参加や旅行
- ・お正月のお飾りや年賀状を出すこと、年明けの神社への参拝など(※年賀状に関しては、「忌中」でなくなっても「喪中」の場合でも避ける傾向があるli>
もちろん、令和の世では「忌中」は絶対的な拘束力のあるものではありません。たとえば「亡くなった故人が、孫娘の結婚式を非常に楽しみにしていた」などのような場合は、結婚式を行うことも必ずしも悪いとはいえません。
このあたりはご家族とも話し合って考えていくとよいでしょう。
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まとめ
「忌明け」とは、故人が冥途での旅を終わらせて裁判を受けて、次に行く場所が決まったタイミングをいいます。仏教ではこのときに四十九日法要を行い、白木位牌から本位牌に魂を移したり、納骨をしたりすることがよくあります。
四十九日法要の準備は、「スケジュール」と会場の設定」「参列者への声掛けと、会食および引き出物の手配」「必要に応じて納骨のための手配」に分けられています。
また、「香典返しは後日に」とした場合は、忌明け後~1か月までの間にこれを用意します。「キエモノ」を選ぶのが基本で、頂いた金額の2分の1~3分の1程度のものを用意します。掛け紙は、黒白の結び切りの水引で無地のものを選び、表書きは「志」などにします。
忌中は、慶事のイベントや娯楽としての飲み会などへの参加、正月飾りなどは控えるとよいとされています。
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