家族葬でも喪主の挨拶が必要なのか、疑問に思う方もいるかもしれません。家族葬は遺族や親戚、故人の親しい友人だけで集まるため、一般的な葬儀と比べて小規模なケースが多いでしょう。
本記事では家族葬で喪主の挨拶は必要なのか、実施するタイミングや例文を解説します。挨拶のポイントや、葬儀で使ってはいけない言葉も併せて紹介するのでぜひ参考にしてください。
家族葬でも喪主の挨拶は必要なのか
家族葬でも一般葬と同じく、基本的には喪主の挨拶が必要です。家族葬とは遺族や親族、故人の友人など、故人と近い身内のみで執り行う葬儀です。葬儀の区切りとなる場面では、喪主が参列者に対して感謝の意を述べるのが一般的です。
喪主は遺族の代表であり、葬儀を執り行う責任者でもあります。葬儀の日程や場所、参列者への連絡など、葬儀に関する内容は喪主が取り決めなくてはなりません。喪主は挨拶することで故人の冥福を祈り、参列者を労う役割も担います。
ただし、家族葬は親しい間柄で集まるため、一般葬と比べて肩の力を抜いた挨拶にしてもよいでしょう。生活を共にする家族のみの葬儀では、堅苦しい挨拶は不自然な場合があります。
家族葬で喪主が挨拶するタイミングと簡単な例文
家族葬で喪主が挨拶するタイミングは以下のとおりです。
● 僧侶がみえた際
● 弔問客がみえた際
● 通夜
● 通夜振る舞い
● 出棺する際
● 精進落とし
それぞれの場面における挨拶の例文を紹介します。
僧侶がみえた際の挨拶・例文
まずは僧侶が到着したタイミングで挨拶を述べましょう。僧侶がみえた際の挨拶の例文は以下のとおりです。
本日はご多用の中、ご足労いただき恐縮です。 予定の通り通夜(葬儀)を執り行いますので、何卒よろしくお願いいたします。 |
本日はご足労いただき、感謝申し上げます。 予定通り通夜(葬儀)を執り行います。 どうぞよろしくお願いいたします。 |
ご足労くださりありがとうございます。 予定通り通夜(葬儀)を始めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 |
僧侶に対して通夜に来ていただいた感謝の気持ちを述べます。同じタイミングでお布施をお渡ししましょう。
弔問客がみえた際の挨拶・例文
弔問客が到着した際は、一人ひとりをお迎えして挨拶を述べます。弔問客がみえた際の挨拶の例文は以下のとおりです。
本日はご多用の中、ご参列いただきありがとうございます。 生前は〇〇(故人)が大変お世話になりました。 |
ご多用の中お越しくださり、感謝申し上げます。 生前は〇〇(故人)が大変お世話になりました。 |
本日はご多用の中、お運びくださいましてありがとうございます。 故人の生前はひとかたならぬお世話になりました。 亡き〇〇(故人)に代わりお礼申し上げます。 |
到着時の挨拶では長々と話し込む必要はないため、簡単に感謝の気持ちを伝えましょう。
通夜で行う挨拶・例文
通夜では僧侶の読経や参列者の焼香などが終わり、僧侶が退出した後に喪主が挨拶を述べます。通夜で行う挨拶の例文は以下のとおりです。
本日はご多用の中、〇〇(故人)の通夜にご参列いただき誠にありがとうございます。 〇〇もこうして皆さまに見守られ、喜んでいることと思います。 去る〇月〇日、〇〇は息を引き取りました。享年〇〇歳でした。 生前はひとかたならぬご厚誼を賜り、心から感謝しております。 |
葬儀は明日、〇〇〇(会場名)にて、午前〇時より執り行う予定ですので、何卒よろしくお願いいたします。
心ばかりではありますが、別室にてお食事の用意をいたしました。
今しばらくお付き合いいただき、〇〇の思い出話などをお聞かせいただければと存じます。
本日は誠にありがとうございました。
通夜での挨拶に盛り込むべきポイントは以下のとおりです。
● 参列への感謝
● 通夜振る舞いの案内
● 告別式の案内
故人と喪主の関係性に合わせて、例文をアレンジしてください。
通夜振る舞いで行う挨拶・例文
通夜振る舞いとは、通夜が終わった後に設けられる食事の場です。通夜振る舞いで行う挨拶の例文を紹介します。
本日は突然のことにもかかわらず、〇〇(故人)の通夜にご参列いただき、誠にありがとうございました。 みなさま方においでいただき、〇〇もさぞ喜んでいることと思います。 故人に代わり、厚くお礼申し上げます。 ささやかではありますが、お食事をご用意させていただきました。 |
通夜振る舞いの挨拶に盛り込むべきポイントは以下のとおりです。
● 参列への感謝
● 故人との思い出を語らう場にしてほしい旨
通夜振る舞いには喪主が参列者に対して感謝の気持ちを表し、故人を偲ぶ意味があります。挨拶でも参列していただいたことへの感謝の気持ちを伝えましょう。
通夜振る舞いの締めに述べる挨拶の例文は以下のとおりです。
本日は突然のことにも関わらず、〇〇(故人)のためにお集まりいただき心から感謝申し上げます。 〇〇(故人)の思い出話をもっと聞きたいところではありますが、夜も更けてまいりましたので、本日はこのあたりでお開きにさせていただきたいと存じます。 |
なお、明日の葬儀は〇時〇分より執り行わせていただきます。
あらためまして、本日は遅くまでありがとうございました。
通夜振る舞いの締めの挨拶に盛り込むべきポイントは以下のとおりです。
● 弔問への感謝
● 告別式のご案内
通夜振る舞いの締めのタイミングで、葬儀の時間を伝えておくとよいでしょう。
出棺する際の挨拶・例文
告別式の出棺前の挨拶は、通夜での挨拶よりも少し長めに述べるのが一般的です。故人の人柄が分かるエピソードや思い出話などが語られる場合も多く見られます。出棺する際の挨拶の例文は以下のとおりです。
本日はご多用の中、〇〇(故人)の葬儀告別式にご参列いただき、ありがとうございました。 故人もこうして皆さまにお集まりいただき、喜んでいることと思います。 〇〇は生前よき友人に恵まれ、週末は毎週のように趣味の場へ出かけるなど、充実した日々を過ごしておりました。 今後とも故人の生前と変わらぬお付き合いをお願い申し上げ、お礼の言葉に代えさせていただきます。 |
出棺する際の挨拶に盛り込むべきポイントは以下のとおりです。
● 参列への感謝
● 故人との思い出
● 告別式を無事に終えられたことの感謝
出棺する際に参列者に対して挨拶をするタイミングは、霊柩車に棺を乗せる前か乗せた後になるのか、葬儀社によって異なります。家族葬の場合は出棺時の挨拶を省略することもあります。
精進落としで行う挨拶・例文
精進落としとは、葬儀や火葬の後に行われる食事の場です。精進落としの開始時に述べる挨拶の例文を紹介します。
本日はご多用の中、〇〇(故人)のためにお集まりいただき、心から感謝申し上げます。 おかげさまで、つつがなく葬儀を終えることができました。 最後にささやかではありますが、精進落としの席をご用意しました。 |
精進落としの終了時に述べる挨拶の例文は以下のとおりです。
本日は最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。 みなさまにお集まりいただき故人も感謝していることと存じます。 もっと故人の思い出話など伺いたいところではありますが、ご列席の皆様もお疲れのことと存じますので、このあたりでお開きとさせていただきます。 なお、四十九日の法要は〇月〇日を予定しております。 |
精進落としでの挨拶に盛り込むべきポイントは以下のとおりです。
● 参列への感謝
● 葬儀を無事に終えられたことへのお礼
● 四十九日の法要の告知
精進落としの締めのタイミングで、併せて四十九日法要のお知らせをしておくとよいでしょう。
家族葬で喪主が挨拶する際に使ってはいけない言葉
喪主が挨拶する際に使ってはいけないとされる言葉があります。
● 忌み言葉
● 重ね言葉
● 続き言葉
● 不幸を連想させる言葉
● 宗教的に避けるべき表現
上記に該当する言葉や表現は葬儀の挨拶では避けましょう。それぞれ具体例を紹介します。
忌み言葉
忌み言葉は葬儀の場では控えるべき言葉です。忌み言葉となる理由には、不幸を連想させる点や、宗教上の事情などがあります。忌み言葉の例は以下のとおりです。
● 死ぬ
● 死亡
● 急死
● 自殺
● 生存中
命に関わる直接的な表現は葬儀では避けるべきです。「死亡」は「逝去」、「急死」は「突然のこと」、「生存中」は「元気な頃」と言い換えられます。
また、四や九の数字は、音が死や苦を連想させることから、避けた方がよいとされています。
重ね言葉
同じ言葉や意味を重ねて使う重ね言葉も葬儀の場では避けるべきとされています。不幸が続けて起こることを連想させるためです。重ね言葉の例は以下のとおりです。
● いよいよ
● くれぐれも
● さまざま
● つぎつぎ
● わざわざ
重ね言葉は日常会話で何気なく発する表現なので、つい葬儀の場でも使ってしまわないよう注意しておきましょう。
続き言葉
続き言葉も重ね言葉と同じく、不幸が続くことを連想させるため、葬儀では避けるべきとされています。続き言葉の例は以下のとおりです。
● 今一度
● 追って
● 重ねて
● 繰り返し
● 引き続き
例えば「重ねて」なら「深く」、「続いて」や「追って」なら「後ほど」などと言い替えられます。続き言葉も重ね言葉のように日常会話で使う表現ですが、葬儀の場では控えるよう気を付けることが大切です。
不幸を連想させる言葉
不幸を連想させるような言葉は、葬儀では使わないようにしましょう。不幸を連想させる言葉の例は以下のとおりです。
● 褪せる
● 衰える
● 落ちる
● 倒れる
● 離れる
例えば「本日はお忙しいところ〜」というフレーズは普段使われるものです。しかし、葬儀の場ではふさわしくないとされるため、「ご多用のところ」と言い替えるとよいでしょう。
宗教的に避けるべき表現
葬儀では宗教的に避けるべき表現がいくつかあります。
仏式葬儀における忌み言葉 |
● 浮かばれない ● 迷う ● 天国 |
神式・キリスト教式葬儀における忌み言葉 |
● 成仏 ● 供養 ● 冥福 ● 往生 |
仏教でも宗派によって使ってはいけない言葉が異なるため注意が必要です。葬儀でよく使われる言葉でも、実は仏教用語に該当する場合があります。仏式の葬儀以外で仏教用語を使ってしまうとマナー違反となるため、事前に確認しておきましょう。
例えば、冥福は仏教用語に該当するため、神式・キリスト教式の葬儀では避けるべき表現です。「ご冥福をお祈りします」というフレーズは、「哀悼の意を表します」または「安らかなお眠りをお祈り申し上げます」と言い換えられます。
家族葬で喪主が挨拶する際のポイント
家族葬で喪主が挨拶する際は、以下のポイントが重要です。
● 挨拶に含める内容を意識する
● 長すぎないようにまとめる
● 原稿を見ながら話してもよい
それぞれ解説します。
通夜や葬儀では挨拶に含める内容を意識する
通夜や葬儀で行う喪主の挨拶は、以下の内容を含める必要があります。
1. 故人と喪主の関係
2. 通夜や葬儀に参列していただいたお礼の言葉
3. 故人との生前のお付き合いに対するお礼の言葉
4. 今後も故人と変わらないお付き合いをしていただくお願い
その他、葬儀や告別式の予定に関する説明も挨拶に含めておくとよいでしょう。通夜が終わった後の予定分かれば参列者に安心して頂けるからです。参列者があまり多くなく、顔ぶれが変わらない場合は、内容が同じ説明は省略しても構いません。時間に余裕がある場面の挨拶では、故人の生前の思い出話やエピソードを盛り込むとより故人を身近に感じてもらえるでしょう。
喪主の挨拶は長すぎないようにする
喪主の挨拶は長すぎないように心がけてください。1〜3分程度が適切な挨拶の長さです。挨拶が長くなる場合でも5分以内に収めましょう。会食前の挨拶なら食事が冷めてしまわないよう、挨拶を短く切り上げることがおすすめです。
家族葬では親しい方が集まっているため、かしこまった挨拶にせず短くまとめても構いません。なごやかな雰囲気なら、故人に関する思い出を語る場にしてもよいでしょう。
通夜や葬儀の挨拶は原稿を見ながら話してもよい
通夜や葬儀の場で長めの挨拶を行う場合、原稿を見ながら話してもマナー違反とは見なされません。身内を亡くした状況で葬儀を取り仕切らなくてはならない喪主にとって、挨拶を完璧にこなすことは大きな負担がかかるからです。
葬儀で使う原稿はスマートフォンではなく、紙媒体にしましょう。人によっては葬儀の最中にスマートフォンや携帯電話を使用するのはマナー違反だと考える場合があるからです。
また、スマートフォンの使用は肝心の挨拶の場面で充電が切れてしまったり、気付かないうちに誤って原稿を消してしまったりするリスクがあります。不要なトラブルを防止するためにも紙媒体の原稿を用意しましょう。
まとめ
故人を偲び参列者に感謝の気持ちを伝えるために、家族葬でも喪主の挨拶が必要です。家族葬では気心が知れた間柄の人たちが集まるため、肩肘を張らない挨拶で問題ありません。状況に応じて挨拶を簡易にしたり、省略したりするのがおすすめです。
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