家族葬とは近親者のみで故人と最期のお別れをする形式の葬儀です。少子高齢化や生活スタイルの変化に伴い、小規模な家族葬を選択する方が増加しました。背景には参列者への負担を減らしたい、葬儀費用を抑えたいなどの理由があります。
家族葬を執り行う場合、訃報連絡のマナーで悩む方が多いようです。本記事では訃報のお知らせに関する基礎知識を解説します。
「いつ誰に訃報連絡をすればいい?」
「訃報連絡の手段にはどのような種類がある?」
「訃報のお知らせに使えるテンプレートはある?」
これらのよくある疑問を解消する内容をまとめました。訃報連絡の文面を作成する際に知っておきたいルールも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
訃報のお知らせをするタイミング
身内が亡くなった後、訃報連絡をする時期は相手との関係性により異なります。家族や親戚であればなるべく早めに、故人の知人や近隣の住民などに対しては家族葬が終わってから連絡するのが一般的です。
家族葬の前に訃報連絡を伝える場合
家族葬では参列者が限られているため、事前に訃報連絡をするのは近親者やごく親しい友人・知人のみです。それぞれ適切な連絡手段を用いて、できるだけ早く訃報連絡をしましょう。故人が会社員だった場合は忌引き休暇の取得が必要なため、速やかに訃報を知らせる必要があります。喪主の勤務先についても同様です。
家族や親族(3親等内)に訃報連絡する場合は、電話で連絡するのがマナーとされます。電話がつながらないときは先にメールで訃報を伝え、時間を置いてかけ直せば確実に連絡が行き届くでしょう。また故人と親しく交流していた友人に対しては、連絡先が分かれば直接電話をかけて訃報を伝えると親切です。
家族葬の後に訃報連絡を伝える場合
限られた人のみで故人を弔うという家族葬の特徴上、葬儀の後で訃報連絡をする方が多くなるのは避けられません。家族葬の事後報告を入れる時期は決まっていないものの、葬儀を終えてから1〜2週間以内に済ませるのが望ましいとされています。遅くとも四十九日までには、故人の関係者に訃報を伝えるようにしましょう。
事前に訃報連絡をすると、故人が亡くなったことを知った方が葬儀に駆け付けるかもしれません。わざわざ家族葬を選んだにもかかわらず、一般葬と同じような規模の葬儀になっては意味がなくなってしまいます。
特に訃報連絡を受けた直後は気が動転するため、一般葬と勘違いすることも考えられます。想定外の弔問を避けるためにも、相手によっては事後報告が良いでしょう。
家族葬で訃報のお知らせをする方法は主に5つ
故人が亡くなったことを知らせるには、直接関係者を訪問したり電話や手紙などで伝えたりするのが一般的です。ここでは5つの方法を紹介しますので、これから訃報連絡を入れる予定があれば参考にしてください。
訃報のお知らせ①対面
連絡したい相手が近所に住んでいて、なおかつ故人と旧知の間柄だった場合は、その方のご自宅を訪ねて口頭で故人の死を伝えるのが確実です。身内に不幸があった直後は葬儀の準備で慌ただしくなるため、時間に余裕があればおすすめします。
直接相手を訪問するメリットとして、相手に遺族の意向を的確に伝えられる点が挙げられます。第三者と悲しみを共有できるのも対面の利点でしょう。
訃報のお知らせ②電話・FAX
多数の関係者に訃報連絡をするなら効率の良さも考慮する必要があります。電話やFAXなどの手段を選ぶ遺族が多いのは、それが理由だと考えられます。
夜間や早朝などの時間帯でなければ、電話で訃報を伝えるのが確実な手段です。FAXの使用率は減少しているとはいえ、まだ使っている家庭もあります。特に高齢で耳の遠い親族に連絡する場合は、あえてFAXを使う方が良いかもしれません。
訃報のお知らせ③手紙・ハガキ
手紙やハガキはフォーマルな連絡手段であり、丁寧な印象になります。遠方にお住まいで連絡先が分からない方に訃報を伝える際に便利な方法です。また家族葬を執り行ってから事後連絡の形で身内の不幸をお知らせするケースにも適しているでしょう。
ハガキで訃報を伝える場合は「死亡通知状」となります。文面を作成して郵送する手間はかかりますが、テンプレートがあるためそれほど難しくないでしょう。インターネットで例文を検索する、もしくは葬儀社に書面作成について相談するなどの方法もあります。
訃報のお知らせ④メール
電話をかけたり手紙を書いたりする時間がない場合は、メールで訃報連絡をしても差し支えありません。喪主や故人が会社員であれば、仕事の関係者にメールで知らせるのが一般的です。
相手が海外に住んでいてすぐに連絡が取れないなど、時差や物理的な距離があるケースにも有効な手段でしょう。
なお会社に一斉送信はせず、直属の上司や取引先の担当者などへ個別にメールを送るようにしてください。
訃報のお知らせ⑤SNS
LINEやInstagramなど、SNSが相手との連絡手段になっている場合もあります。日常的に交流があれば、一度に多くの方々とやりとりできるSNSで身内の不幸を伝えても、マナー違反とは見なされません。若者はメールよりSNSを使う機会が多く、メインの連絡ツールとして機能している可能性もあるからです。
ただしSNSでは広範囲に情報が広がるリスクも想定されるため、家族や友人などに限定するのが無難です。メッセージを受け取った相手がどう感じるかを考慮しつつ、故人への弔意を込めた文面を作成してください。
家族葬で訃報のお知らせをする例文を関係別に紹介
訃報連絡の種類が分かったところで、実際に使える例文を知っておくと、いざというときに役立ちます。相手との関係によって文面を調整する必要があるため、テンプレートとして活用してみてください。
親族・故人の友人に訃報を伝える例文
故人の兄弟姉妹など、親族に訃報を伝える場合は電話がベストです。葬儀まで余裕があるならハガキで連絡しても構いません。
【電話の例文】
突然のご連絡、失礼いたします。○○の長女の××と申します。 長らく闘病していた父の○○が、本日の昼過ぎに逝去しました。お通夜や葬儀の日時が決まり次第、改めて電話にてお伝えします。なお、葬儀は家族のみで執り行う予定ですので、ご了承ください。何かありましたら私の携帯までご連絡ください。 番号は090-■■■■-■■■■です。 |
【ハガキの例文】
令和○年○月○日の夕方に 父の○○が永眠いたしました ここに生前のご厚誼に感謝し 謹んでお礼申し上げます なお 葬儀および告別式は家族葬にて執り行います 1. 日時 お通夜 令和○年○月○日 ○時~○時 葬儀 令和○年○月○日 ○時~○時 2. 葬儀会場 〒○○○-○○○○ ○○セレモニーホール(○○市○○区○-○) 電話番号 090-■■■■-■■■■ 喪主 ○○ ○○ |
会社の人に訃報を伝える例文
自分の勤務先に家族の訃報を連絡する場合は、電話またはメールが好ましいとされます。例文は以下のとおりです。
【電話の例文】
おはようございます。○○です。昨晩私の母が亡くなり、急きょ通夜と葬儀を執り行うこととなりました。突然で申し訳ないのですが、○月○日から3日間の忌引き休暇をいただけますでしょうか?故人の遺志により家族葬とするため、誠に勝手ながらご厚志は辞退いたします。業務の引き継ぎ事項については、後ほどご連絡します。 |
【メールの例文】
件名:忌引き休暇の申請について お世話になっております。○○です。 昨晩、私の母○○が逝去いたしました。つきましては○月○日〜○月○日の日程で忌引き休暇を取得させていただきたく存じます。 故人の遺志により、葬儀は近親者のみで執り行います。香典や供花は辞退申し上げますので、何卒ご了承ください。引き継ぎについては、改めてお伝えします。 至急の用件があれば、以下の番号までご連絡ください。 090-■■■■-■■■■ |
故人の勤務先に訃報を伝える例文
故人の勤務先に訃報連絡する際も、電話またはメールで伝えるのがベストです。以下、例文を紹介します。
【電話の例文】
突然のお電話、失礼いたします。○○の妻です。長期にわたり療養していましたが、今朝夫が息を引き取りました。故人の希望により、家族葬を執り行う予定です。恐れ入りますが、弔問や供花などのご厚志は辞退させていただきます。今後の手続きに関しては、私の携帯番号090-■■■■-■■■■までご連絡ください。 |
【メールの例文】
件名:訃報のお知らせ お世話になっております。 ○○の妻の××と申します。 以前から療養中だった夫が、今朝亡くなりました。 故人の遺志により、近親者のみで葬儀を執り行う予定です。 誠に勝手ながら、弔問や供花などのご厚志は辞退させていただきます。 今後の手続きに関しては、私の携帯番号090-■■■■-■■■■までご連絡ください。 |
また故人の会社に訃報を伝える場合のマナーを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
会社に身内が亡くなった報告をする際の言い方は?マナーや文例をご紹介
町内会の人に訃報を伝える例文
家族葬の場合、町内会の方々に訃報連絡をするのは事後になるのが一般的です。町内会の方々を直接訪問して伝えるか、もしくは電話で連絡して回覧板にお知らせを掲載するかのどちらかの方法を選びます。
【電話の例文:個別に連絡する場合】
突然のお電話、失礼いたします。○○の父の××です。本日の夕方、次男の○○が亡くなりました。葬儀に関しては本人の遺志により、家族葬にて執り行います。 ご近所の方々におかれましては、生前のご厚誼を賜り深く感謝申し上げます。何かあれば、喪主の私までご連絡ください。 電話番号は090-■■■■-■■■■です。 |
【電話の例文:町内会に連絡する場合】
突然のお電話、失礼いたします。○○の父の××です。本日の夕方、次男の○○が亡くなりました。葬儀に関しては本人の遺志により、家族葬にて執り行います。お手数をおかけしますが、回覧板に訃報のお知らせを掲載していただけますでしょうか? 後ほど文面を作成してお渡ししますので、よろしくお願いいたします。何かあれば、喪主の私までご連絡ください。 電話番号は090-■■■■-■■■■です。 |
気心のある友人に訃報を伝える例文
喪主の友人や知人など、親しい間柄の方にはSNSで訃報連絡をしても問題ありません。以下、例文を紹介します。
【SNSの例文】
突然のご連絡、失礼いたします。○○の妻××です。 SNSでこのようなご報告をする無礼をお許しください。今朝、夫の○○が逝去しました。ここに生前のご厚誼に深く感謝し、謹んでお礼申し上げます。葬儀は近親者のみで執り行う予定です。 なお、○月○日まで自宅にて故人と対面することが可能です。お会いになりたい方がいらっしゃれば、このメッセージ宛にご返信ください。 |
事後報告するときの伝え方
家族葬が終わってから事後報告する場合は、メールや電話で連絡するのが一般的です。メールはいつでも送信でき、連絡を受けた方も都合の良いタイミングで返信できるメリットがあります。電話は直接やりとりできるため、正確な情報を伝えられる利点があります。
【メールの文例】
件名:訃報のお知らせ 突然のお知らせ、失礼いたします。○○の長女××です。 ○月○日に、母の○○が息を引き取りました。ここに生前のご厚情に深く感謝し、通知申し上げます。勝手ながら、去る○月○日に家族葬にて故人を見送りました。本来であれば速やかにご連絡すべきでしたが、本人の遺志によりご連絡が遅くなりましたこと、お許しください。 また弔問・供花・香典などの受け取りは辞退させていただきますので、ご了承ください。 令和○年○月○日 |
【電話の文例】
○○の長女の××です。去る○月○日に、母の○○が逝去しました。家族葬にて葬儀は済ませております。母の生前にご厚情を賜り、感謝申し上げます。○○様には直接お礼の気持ちを伝えたく、電話でご連絡いたしました。誠にありがとうございます。 |
また家族葬の事後報告に使える例文を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
家族葬の挨拶状の例文を5つご紹介|注意点や送るタイミングを解説
家族葬で訃報連絡する際の注意点
家族葬に限った話ではありませんが、訃報連絡の文面を作成する際に知っておくべきマナーが存在します。ここでは3つのルールをご紹介しますので、実際に訃報連絡のお知らせを送る際に参考にしてください。
忌み言葉に注意する
忌み言葉とは、慶弔で使ってはいけないとされている言葉を指します。日常会話に登場する単語が多いため、ぜひ覚えておきましょう。
【忌み言葉の一例と言い換え】
- ・たびたび⇒よく
- ・亡くなる⇒逝去
- ・急死⇒急逝
- ・忙しい⇒ご多用中
- ・重ね重ね⇒深く、加えて
- ・ますます⇒一段と
直接的に死を想起させる言葉や、同じ単語が連なる「重ね言葉」はNGとされています。また数字の四や九も、死や苦しみに結びつくため避けてください。
句読点を付けない
訃報連絡の文面には句読点を付けない決まりがあります。通常の文章には「、」や「。」を付けますが、訃報のお知らせでは文を区切らないのが正しいルールです。ただしメールの場合は句読点を打っても問題ありません。
筆で文字を書き記していた時代の名残で句読点を付けない、葬儀が無事に終わるよう願う意味で区切りを付けないなど、理由は諸説あります。いずれにしろ句読点を打たないのが正式な作法であると覚えておきましょう。
簡潔に分かりやすく伝える
訃報のお知らせに記載する項目は決まっており、葬儀に関係ない情報は書く必要がありません。具体的には以下のとおりです。
【訃報連絡に載せる内容】
- ・故人との続柄(配偶者、子どもなど)
- ・逝去した日時
- ・死因
- ・家族葬を執り行う日時
- ・葬儀会場に関する情報
- ・喪主の氏名と連絡先
死因は詳しく書かずに「病により」などあいまいな表現にとどめるのが無難です。また弔問の有無の他、香典・供花の辞退についても明記しておくと、受け取った方が迷わずに済みます。
まとめ
適切な訃報連絡の方法は、相手との関係により異なります。兄弟姉妹やおじ・おばなどの近親者なら電話で伝えるのが望ましいですが、故人や喪主の職場に対してはメールで連絡しても大丈夫です。その時々によって臨機応変に対応してください。
身内に不幸があった直後は死後の手続きで慌ただしく、冷静に訃報連絡をするのは難しいかもしれません。誰にどのような内容を伝えるべきか悩んだら、この記事を参考に対処してみてください。
昨今では家族葬や一日葬などさまざまな葬儀プランがあります。ベーシックな一般葬もご希望のお客様は、株式会社サン・ライフへお気軽にお問い合わせください。専門スタッフがお客様の疑問や不安にお応えします。