
家族葬は、現代人に合った葬儀のあり方として近年注目を集めている葬儀形式です。本記事では家族葬を検討している方向けに、家族葬の定義や執り行う際のマナーと注意点を解説します。また家族葬に参加する際の服装マナーも男女別に詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
家族葬とは小規模で行うお葬式のこと
家族葬とは、故人の家族やごく親しい友人を中心に執り行う葬儀のことです。「家族」という言葉が入ってはいますが、参列者は家族に限りません。また「何人以下・未満」など人数が決まっているわけではありません。故人と関わりの深かった方たちのみが集まり、内々で行う葬儀スタイルというイメージです。
家族葬のメリットは喪主や家族・友人が弔問客の対応に追われることなく、静かに故人を送れる点です。故人とゆっくり最期のお別れがしたいという場合に向いている葬儀の形式といえます。また新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、近年では家族葬を選択するケースが増えました。
家族葬における遺族側のマナー
家族葬を執り行う際に、遺族側が気を付けなくてはならないマナーを4つ紹介します。家族葬に参列いただく方への配慮はもちろんのこと、参列を遠慮いただく方にも配慮が必要です。速やかな連絡と丁寧な対応を心掛けましょう。
どこまで呼ぶかを考慮する
家族葬で呼べる参列者の範囲に明確な決まりはありません。家族葬といっても、親族以外の方を呼んでも良く、故人の近親者を中心としながらも、生前親しかった友人や仕事関係者を呼ぶことも可能です。
家族葬で呼ぶ参列者の範囲で迷ったら、生前の故人の交友関係を思い出してみましょう。家族葬で最終的に尊重されるのは、故人や喪主の意向です。故人が生前非常に親しくしていた方がいるならば、親族であるか否かにかかわらず参列してもらうと良いでしょう。また喪主が故人のために呼んであげたいと思う方を呼ぶことも大切です。
このように家族葬で呼べる参列者の範囲は、故人や喪主の意向に沿って柔軟に決められます。
参列者への連絡は速やかに行う
家族葬に参列してもらう方が決まったら、速やかに連絡しましょう。まずは故人の訃報を電話で早めに伝えます。亡くなったことはできるだけ早く確実に知らせることが望ましいため、メールやSNSよりも電話で伝えてください。その後、葬儀社と葬儀の日程や場所などの打ち合わせをし、決まったら改めてメールやFAXで案内状を送付するのが一般的です。
家族葬では、香典や供花を辞退することがほとんどです。その際は案内状の中で併せて伝えましょう。
家族葬における参列者への連絡マナーをさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事をご参照ください。
>>【例文あり】家族葬で訃報のお知らせにマナーはある?タイミングや注意点を解説
呼ばない方へ配慮をする
家族葬では、葬儀に呼ばない親族や関係者に配慮することも大切です。家族葬への参列を遠慮いただく方には、必ず事後報告を忘れずにしましょう。
家族葬が終了したら、ハガキなどの文書で故人の逝去と家族葬で見送ったことを伝えます。丁寧に伝えることがマナーのため、メールやSNSではなく文書で伝えるのが望ましいです。家族葬が年末近くに行われた場合は、喪中ハガキに代えることも可能です。
家族葬に呼ばれなかった方の中には、故人を心配している方もいるでしょう。従って、訃報と家族葬の連絡はしっかり行うのが大切なマナーです。
弔問客を丁寧にもてなす
弔問に訪れてくれた方一人ひとりに対し、丁寧な対応を心掛けましょう。弔問客は故人の突然の訃報にもかかわらず、時間をとってお悔やみを述べに来てくれています。家族としてはその思いに応え、感謝の気持ちを込めて丁寧に挨拶を行うことが大切です。丁寧な対応は、故人を尊重することにもつながります。
また玄関先でお悔やみを述べるだけで帰ろうとする弔問客には、家に上がってお線香をあげていただけるよう声を掛けても構いません。もし断られた場合は無理にすすめることはせず、相手の意向を尊重した対応をするのがマナーです。
家族葬における参列側のマナー
家族葬において、参列者側が気を付けたいマナーを2つ紹介します。小規模な葬儀であっても、故人や遺族の思いを尊重した行動を心掛けることが大切です。香典や供花など遺族が辞退したものに関しては、たとえ善意であっても無理に押し付けないようにしましょう。
遺族から参列願いがあったときのみ参列する
家族葬で故人を見送ることになった場合、遺族から参列の呼びかけがあったときのみ参列しましょう。家族葬は、遺族が弔問客の対応に追われることなく「故人と最期の時間を大切に過ごしたい」という思いから選択されることの多い葬儀形式です。従って、遺族に対応の負担をかけることのないよう配慮する必要があります。
「故人を弔いたいのに家族葬に呼ばれなかった」「参列願いがあったにもかかわらずどうしても出席できない」という場合は、葬儀以外の方法で故人へ感謝とお別れを伝えることも可能です。
香典を辞退しているときは用意しない
遺族が香典を辞退している場合は言葉通り受け止め、香典は用意しないようにしましょう。家族葬では受け取りやお返しといった遺族の負担を減らすため、香典や供花を辞退するケースが多いです。
その場合は遺族の意向を尊重し、辞退の申し出があれば従うようにします。参列者側が気を遣ったつもりでも遺族側にとっては負担になることもあるため、辞退の連絡があったときは無理に香典を渡すことのないよう配慮することが大切です。
香典の辞退について特に言及がなかった場合は、念のため用意して持っていくと良いでしょう。式場で辞退を申し出られたらそれに従います。
家族葬の服装マナー
ここでは家族葬における服装マナーの注意点を2つ紹介します。近年は昔のような黒紋付の着物以外を着用しても問題なく、準喪服でも良いとするのが一般的です。以下では正喪服と準喪服の違いや、性別ごとの服装マナーを具体的に説明します。
ご遺族の服装
家族葬における遺族の服装は、参列者と同様の準喪服が一般的になってきています。昔は男性がモーニングや紋付羽織袴、女性が黒のフォーマルや黒紋付着物といった正喪服を着用するのがマナーでした。しかし近年では葬儀の簡略化や正喪服所持者の減少などの理由から、正喪服に準ずる服装でも良いとされています。
準喪服では正喪服ほど格式高くある必要はなく、ダークカラーのスーツやワンピースなどを着用し、装飾品はパール以外のものを避けるのが一般的です。準喪服は家族葬だけでなく、一周忌法要など弔事全般で広く用いられる服装です。
参列者の服装
参列者は、準喪服を着用するのが一般的なマナーです。男性の場合は、光沢のない生地のブラックスーツを選びましょう。ワイシャツは白の無地を選び、ネクタイ、靴、靴下は黒で統一します。結婚指輪以外のアクセサリーは外し、腕時計も派手なデザインは避けてください。
女性の場合は、ブラックフォーマルのワンピースやアンサンブルを着用します。必要以上の肌の露出は避け、スカート丈はふくらはぎから膝下くらいまでにしましょう。アクセサリーは、パールのネックレスとイヤリングであれば付けていてもマナー違反ではないとされています。ただし2連、3連のネックレスは不幸が重なることを連想させるため、着用は避けましょう。
まとめ
家族葬は遺族の負担を減らし、故人との最期の時間をゆっくりと過ごせることから、近年選択する方が増えている葬儀形式です。家族葬では遺族側も参列者側も互いの意向を尊重し合い、故人を偲ぶという点では通常の葬儀と同じです。また遺族側としては、家族葬に呼ばれなかった方に対する配慮も欠かせません。
株式会社サン・ライフでは、通常の葬儀はもちろん、家族葬についても故人とご遺族の意向を最大限尊重した全面的なサポートを行っています。家族葬でのマナーや振る舞い、弔問客の対応など、お困りの点や疑問点がありましたら、ぜひ一度ご相談ください。