
自身にもしものことがあった場合のために、葬式費用の準備をしておきたいと考える方もいるでしょう。生前のうちから葬儀費用の積立をしておくことで、子どもや親族への負担も軽減できます。
本記事では葬式の費用の積立を詳しく解説します。制度に関する基本知識はもちろん、積立と葬儀保険との違いや葬式の費用相場、積立のコツに関しても紹介するので、葬儀費用の準備を検討したい方は参考にしてください。
積立制度の互助会とは?
葬儀費用積立制度の互助会とは、冠婚葬祭業者の会員制サービスのことで、葬儀に備えて必要なお金を積み立てていく会です。業者であれば誰でも立ち上げられるわけではなく、経済産業省の認可を受けた業者のみが提供できる事業です。葬儀費用積立制度の互助会は全国に約300あり、そのうち約8割が「一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会」(全互協)に加盟しています。
互助会の掛け金は一般的に、月々数千円を60〜120回積み立てる形式です。払込金額に応じてコースが分かれています。最終的に掛け金に応じた葬儀サービスを受けることになります。保険や共済とは異なり、満期時の現金の受け取りや利子はありません。仮に未払い分を残したまま亡くなった場合は、残金を支払うことで葬儀サービスの利用が可能です。
葬儀積立制度の互助会の特徴をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
お葬式における互助会とは? 受けられるサービスやメリット、加入する前の確認事項などを紹介
葬儀保険とは?積立との違い
葬儀の積立制度に似た将来への備えとして、葬儀保険があります。葬儀保険はその名の通り保険の一種です。以下では葬儀保険の内容を紹介します。また葬儀保険と積立との違いを表でまとめ、比較しながら説明しているので参考にしてください。
葬儀保険とは?
「葬儀保険」は葬儀に関する費用に備えるための保険商品の総称です。多くの場合、保険代理店などのオンラインで販売されており、対面型の店舗では取り扱いが少ないことが特徴です。
葬儀保険の多くは1年更新の掛け捨て型死亡保険で、少額の保険金額から加入できます。一般的な生命保険よりも割安であることが特徴です。死亡保険なので、契約期間中に被保険者が死亡した段階で受取人に死亡保険金が支払われる仕組みです。保険金の支払いは、保険会社から葬儀社に直接行われるケースもあります。
また葬儀保険は人生の終わりに備えるための保険であることから「終活保険」と呼ばれることもあります。保険金の使途は葬儀関連費用に限る必要はなく、受取人が自由に決められるタイプの保険です。
葬儀用の積立と保険の違い
葬儀用の積立と葬儀保険は一見似ていますが、内容や条件に違いがあります。2つの違いは以下の通りです。
条件 | 葬儀用積立 | 葬儀保険 |
年齢 | 制限なし | 制限あり |
元本保証 | あり | なし |
解約返金 | あり | なし |
葬儀用の積立は、年齢に関係なく始められます。一方、葬儀保険は年齢制限があることに注意が必要です。上限の年齢よりも長生きすると、それまでに支払った掛け金が無駄に終わる可能性があります。
また葬儀保険は、長期にわたって支払い続けると元本割れの可能性があることにも要注意です。
さらに葬儀保険は掛け捨てのため、解約時の返戻金が発生しません。一方、積立制度の場合は互助会の精神に則り、会員が共同で掛け金を出し合って積み立てていく形式を取ります。従って解約する際は、互助会の契約に基づいて一定割合の積立金を返金してもらえるメリットがあります。
葬儀用に積立するメリット
葬儀用の積立は、いつか訪れる自身の葬儀へ向けて着実に準備したい方におすすめです。以下では、葬儀用に積立をするメリットを3つ紹介します。積立のメリットを知り、始めるかどうかの検討材料としてください。
急な出費を抑えられる
葬儀や葬儀に関連する費用は意外にかかるものです。葬儀の積立をしておくことで、いざというときの急な出費を抑えられます。特に急な葬儀が発生すると、遺族に金銭的負担をかけることになります。そこで葬儀費用に充当するために積立をしておけば、遺族の金銭的負担を軽減することが可能です。
実際、終活の一環として葬儀の積立制度を利用する方が増えています。「子どもや親族に迷惑をかけたくない」という思いから、自身の死後に備える方法として注目を集めています。
思い立ったときから少しずつ積み立てていけば、家族や親族への配慮となると同時に、自身も安心できるでしょう。
葬儀までスムーズに進む
葬儀の積立制度に加入しておけば、自身にもしものことがあった場合、スムーズに葬儀まで準備を進めやすくなります。なぜなら万が一の際は、互助会に指定された連絡先へ連絡するだけで、迅速に葬儀の手配ができるからです。
葬儀や関連する手続きなどは、一生のうちに決して何度も経験するものではありません。遺族にとっては初めてのことだらけで不安や負担が大きいでしょう。その点、互助会は相互補助の精神の元で、負担を減らすよう物事を進めてくれます。
また葬儀社では、生前に葬儀プランや必要な準備などを相談できる無料の事前相談会を開催していることがあります。自身の希望に添った葬儀の準備をしつつ、家族の負担を減らしたい場合は、こうした相談会を利用するのもおすすめです。
会員特典が受けられる
葬儀の積立制度を利用すると、互助会で会員限定の割引サービスなどが受けられるのもメリットです。さまざまなサービスを受けることで、葬儀にかかる金銭的な負担を減らすことにつながります。
具体的には、一般の利用者よりも安い会員特別価格で葬儀の準備が可能です。自分の希望に添う形で葬儀を行おうとすると、意外と料金がかかるものです。その点、積立制度を利用すれば割引を受けられるので、金銭面の負担が減ります。
また僧侶に依頼する法要、仏壇・仏具の購入、納骨など、供養に関する準備をスムーズに進められる点もメリットです。
積立する際の注意点
葬儀費用の積立にはメリットが多いですが、一方で注意点もあります。
例えば積立金は、加入した互助会でのサービスでしか使えません。決められたプラン内で葬儀をすることになるため、希望に添った葬儀ができない可能性があります。
また積立金はあくまで葬儀費用の一部をカバーするものです。全額をカバーできると考えて加入すると、期待外れになる可能性があるので注意してください。不足分は自身や遺族が別にお金を用意しておかなければなりません。あらかじめ全体の見積もりを取っておくと良いでしょう。
さらに途中解約の場合は、全額返金されない点にも要注意です。積立金から約20%の解約手数料が差し引かれた金額が返還されることを認識しておく必要があります。後でトラブルに発展しないよう、解約金に関する内容を事前に調べるようにしてください。
また互助会は民間企業のため、将来的に倒産する可能性があります。互助会がなくなった場合は、半額程度しか返金されない可能性があることも念頭に置きましょう。
葬儀費用はいくらかかる?
葬儀費用の積立を検討する際は、葬儀費用が具体的にどれくらいかかるのかを想定しておくことが大切です。まず葬儀費用として含まれる項目は、葬儀一式の他に飲食接待費、僧侶に支払うお布施や謝礼などがあります。
葬儀一式には祭壇やお棺、棺布団、白木位牌、霊柩車など、お通夜から告別式までに使われる物品から始まり、運搬にかかる費用、生花、式場スタッフ、事務所経費までさまざまなものが含まれます。葬儀費用は葬儀社や地域によって異なりますが、株式会社サン・ライフのご葬儀プランで見ると、平均相場は約121万円です。
葬儀社によってさまざまなプランがありますが、サン・ライフでは祭壇や棺、霊柩車、スタッフ経費は基本料金に含まれます。湯灌や納棺などはオプションサービスです。また故人や遺族の希望、参列者数によっては、さらに追加料金が発生するため、費用は個別に変動します。
平均相場を知識として覚えておき、状況に応じていくら追加料金が生じるのかを葬儀社としっかり打ち合わせして納得することが大切です。
葬儀費用の平均相場についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
葬儀費用の平均相場は約121万円?お葬式にかかる料金の内訳を紹介
葬儀費用の積立をする際のコツ
葬儀費用の積立をする際は、なるべく遺族や親族にかかる負担を減らせるよう賢く積み立てることが大切です。ポイントを押さえながら積み立てることで、費用負担の軽減につながります。以下では葬儀費用の積立をする際のコツを2つ紹介します。
60代で満期を迎えるようにする
葬儀の積立制度を利用するなら、60代に満期を迎えられるよう計画しましょう。なぜなら、高齢になればなるほど身体的リスクや経済的負担が増すからです。
日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳ですが、健康寿命は74.3歳と約10年もの差があります。そのため70歳を過ぎての積立は、健康上の理由や経済的な理由から困難になる可能性があります。
年金生活開始前に葬儀の準備を整えることで、将来の不安を軽減できるといえるでしょう。また健康で経済的に余裕のある時期に計画的に準備することで、高齢になった際の負担を減らし、安心して人生の終盤を過ごすことにつながります。
以上のことから葬儀の積立は早期に開始し、できるだけ60代までに満期を迎えることが理想的です。
※参考:厚生労働省.「令和5年簡易生命表の概況」.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life23/index.html ,(参照 2024-11-14).
解約金に関しては考えないようにする
解約金に関してあまり気にし過ぎないことも、葬儀の積立で将来の負担を軽減するためには必要です。
確かに解約金は損になるかもしれませんが、総額で見た場合に他の葬儀社へ依頼する方が大幅に安くなる可能性が高いでしょう。解約金を惜しむのではなく、高額な追加費用のリスクを考慮しながら積立する方が負担を減らせます。
積立は葬儀費用の一部として考えておく
積立は葬儀費用の全てをまかなうのではなく、あくまで一部に充当するお金と認識しておくことも大切です。
積立金は「子どもたちや親族に経済的負担をかけたくない」という思いから始めるケースがほとんどです。しかし積立金だけで葬儀費用が完全にカバーできるわけではなく、あくまで葬儀費用の一部に過ぎません。遺族が予想外の高額な追加費用を負担することを避けるため、あらかじめ総額の見積もりを取ってから積立を始めることが大切です。
見積もりによって具体的な費用を把握し、計画的な積立ができます。そして家族への経済的影響を最小限に抑えられることにつながるのです。
まとめ
葬儀費用の積立は、もしもの際の備えとしてはもちろん、家族の経済的負担を減らすために計画的に準備することが大切です。あらかじめ葬儀の費用相場を把握してから積立を開始するのがコツです。
サン・ライフメンバーズの互助会は、全ての葬儀プランに基本的な商品が含まれています。特に家族葬プランでは、通常のサービスが半額以上安く利用できる点が大きなメリットです。また会員は葬儀に必要不可欠なサービスを事前に確保しつつ、経済的な負担を軽減できるメリットもあります。
サン・ライフメンバーズの互助会について詳しく知りたい方は、下記をご参照ください。