
家族や親族が亡くなった際、または自身が亡くなった場合の供養方法として注目を集めているのが、海に遺骨をまく「海洋散骨」です。この方法は自然への回帰を望む方々に選ばれており、実施件数も年々増加傾向にあります。
本記事では海に散骨をする「海洋散骨」の特徴や守るべきルール、実施上の注意点を解説します。また海洋散骨をする際の服装や費用も解説しているので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
目次
海洋散骨とは?
海洋散骨は、伝統的な供養方法に代わる選択肢として広がりを見せています。以下では海洋散骨とは具体的にどのような散骨方法かを説明します。また海洋散骨が選ばれるようになった背景や、実施する際の注意点を解説しているので参考にしてください。
海洋散骨の特徴
海洋散骨は、遺骨を粉状にして海にまく供養方法です。遺族や知人が船で沖に出て行うのが一般的で、小型飛行機からの散骨も可能です。この供養方法は、故人が生前に希望した場合や、従来の墓地を選ばない方に選ばれています。
「思い出の海へ散骨をしたい」「自然への回帰を願う」また「遺族への負担を減らしたい」と考える方など、選択の理由はさまざまです。お墓を持つことを希望しない方が増える中、故人の意思を尊重する新しい供養の形として、海洋散骨は一つの選択肢となっています。
このようにさまざまな事情でお墓を持つことを希望しない方も多く存在します。そうした故人の意思を尊重し、海洋散骨は行われるのです。
海に骨をまくのは違法にならない?
海に骨をまいて供養すること自体は、法律で禁止されていません。ただし散骨を担当する業者は法律(墓地、埋葬等に関する法律、海上運送法、刑法、民法など)やガイドラインを守る必要があります。
また散骨を行うに当たっては、法律やガイドライン以外にも、他者や環境に配慮しながら行わなければなりせん。地域住民や漁業者などに迷惑が掛からないよう、十分に配慮することが大切です。自然環境を守るため、プラスチックやビニールなどを原材料とする副葬品として投げ入れることも避けましょう。
このように海洋散骨自体は違法ではありませんが、一定の節度やルールを守ることが重要です。
※参考:厚生労働省.「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」.https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001321304.pdf ,(参照 2024-11-12).
散骨することで海への影響は?
海にまく遺骨には、六価クロムが含まれる可能性があります。六価クロムは発がん性が認められる他、皮膚炎症を引き起こす原因となる有害物質です。六価クロムが含まれる骨をそのまま海にまくと、環境汚染のリスクがあります。
従って散骨をする際には、あらかじめ専門業者に依頼して六価クロムが含まれているかどうかを調べてもらう必要があります。もし含まれていることが判明したならば、無害化処理をしてもらいましょう。そうすることで「海にまいてほしい」という故人の意思を尊重しつつ、海の環境および生態系を保護できます。
海へ散骨するまでの流れ
実際に故人の遺骨を海へ散骨するにはどのようにすれば良いか、事前準備、業者選び、当日、終了後に分けて解説します。海洋散骨は法令やガイドラインを守って実施することが重要であることを押さえておきましょう。
自治体のガイドラインを確認する
海洋散骨は自治体ごとに異なるガイドラインが設けられています。法律を遵守することも大切ですが、自治体で定められたガイドラインに沿って実施することも非常に重要です。
そこで海洋散骨を計画するに当たっては、居住地域や散骨をする予定の場所におけるガイドラインを事前に調べておきましょう。具体的には散骨を許可してもらうための手続き方法や、散骨が認められるための条件、実際に骨をまく際のルールなどを確認します。
後になってから自治体や地域住民とのトラブルに発展しないよう、しっかりルールを守ることが大切です。
散骨が可能な会社に依頼する
自治体のルールを確認したら、散骨をしてくれる専門の会社に依頼します。複数の会社があって迷う場合は、細かい希望や質問にも丁寧に対応してくれる業者を選びましょう。
また遺骨を全て散骨するのではなく、一部を手元に残したい方は、手元供養品の取り扱いがある業者を選ぶと良いでしょう。「海に散骨してほしい」という故人の意思を尊重しつつ、遺族の心の拠り所も残せる供養ができます。
さらに業者を選ぶ際は、必ず法令やガイドラインに沿って散骨を行っている業者を選びましょう。特に散骨をするには「内航不定期航路事業」の届出が必要です。しかし中には届出をせずに散骨を行おうとする業者がいるのも事実です。規定の手続きをして事業を行っているかどうかも忘れずに確認してください。
出航・献酒・献花を行う
海洋散骨の当日は指定された場所に集合し、乗船、出向、献酒、献花を行います。散骨式は散骨ポイントを旋回しながら行われます。船には遺骨だけでなく、故人が生前好きだったものを持ち込める場合があるため、何を持ち込んでも良いのかは、事前に業者に確認しましょう。
当日の服装は、喪服ではなく普段着が適切です。なぜなら海洋散骨では公共の桟橋を使用することが多いため、周囲にいる儀式に関係ない方たちに配慮する必要があるからです。また船内は濡れやすくなっているため安全面を考慮し、ヒールの高い靴や滑りやすい靴は避けましょう。
散骨証明書を受け取る
海洋散骨を終えると、業者から散骨証明書と実施時の写真が届きます。お墓参りはできませんが、この写真や証明書は、故人を偲ぶ大切な形見となり、遺族の心の支えとなるでしょう。
また散骨証明書と写真は、海洋散骨が適切に実施されたことを証明する重要な記録です。万が一トラブルになりそうな場合や、すでにトラブルになってしまった際、ルールに則って適切に散骨が実施されたことを証明する必要が出てきます。散骨証明書と写真は法的な証明として証拠能力を持つため、大切に保管しておきましょう。
個人で海へ散骨する際の注意点
海洋散骨は個人で実施することも可能です。ただし気を付けなければならない点がいくつかあります。以下では個人で海洋散骨をする際の注意点を解説します。後でトラブルにならないよう、しっかり確認しておきましょう。
許可が必要なケースがある
個人での散骨は、多くの地域で許可申請の手続きなく実施可能です。なぜなら法律上、散骨に関する具体的な規制がないためです。ただし自治体によっては手続きが必要なケースもあります。実施する地域の自治体に、個人で海洋散骨をするにはどのような手続きが必要か事前に確認しましょう。
また一度埋葬された遺骨を取り出して散骨を行う場合は「改装許可証」が必要です。お墓での埋葬から海洋散骨に変更することになるため、市区町村にある役所や役場で改装許可を申請する必要があります。
このように個人での散骨自体は違法ではないものの、状況によっては適切な手続きが必要となる場合があることを念頭に置きましょう。
自分で散骨するなら遺骨を粉末化させる
個人で海洋散骨を行う場合は、遺骨をきれいに粉砕しておくことが必要です。遺骨の粉砕は、1〜2ミリメートル程度の粒子サイズにしなければならないルールが定められています。具体的には専用の粉骨機と乳鉢・乳棒を使って、パウダー状になるまで粉骨をしなければなりません。
遺骨の粉砕は個人で行うことも可能ですが、粒子サイズまで砕くのは素人の手では非常に困難です。そして「故人の遺骨を粉々にしなければならない」というのは、遺族にとって精神的負担も大きいでしょう。従って、遺骨の粉砕は専門業者に依頼するのがおすすめです。
本当に散骨で良いのか考える
海洋散骨を行うに当たっては、「本当に散骨で良いのか」「お墓への埋葬ではなくて大丈夫か」を再度よく考えることも大切です。なぜなら後になって「お墓を建ててあげたい」「毎年お墓参りをして供養したい」と思っても叶わず、後悔する可能性があるからです。
もし心配であれば遺骨の一部だけ手元に残し、残りの骨を散骨する「分骨」という供養方法もあります。分骨であれば「自分の骨は海にまいてほしい」という故人の願いを叶えつつ、「お墓を建てたい」という遺族の気持ちも尊重できます。
海洋散骨をするに当たっては、将来の遺族の心境の変化も踏まえた上で慎重に検討することが大切です。
遺品はまかない
海洋散骨の際は、骨と一緒に遺品をまかないよう注意しましょう。なぜなら個人で海洋散骨を実施する際も、業者に依頼する場合と同様に環境や生態系への配慮が必要だからです。
もし遺骨と一緒に副葬品をまきたい場合は、自然に還るものだけを選べば可能です。お墓へのお供えもののように、故人の好物や思い出の品を一緒にまくことはできない一方、環境に優しい方法でなら故人を偲べます。例えば花や草木を一緒にまくのがおすすめです。
花束を副葬品とする場合は、ラッピングフィルムやリボンは全て取り除き、花びらだけをまくようにします。
海へ散骨する際にかかる費用相場
海洋散骨をする際にかかる費用相場を「委託散骨」「合同散骨」「個別散骨」の3つに分けて紹介します。
散骨方法 | 料金相場 |
委託散骨(散骨を業者に委託) | 5万円程度 |
合同散骨(複数の家族が乗り合わせて合同で散骨) | 10万〜20万円 |
個別散骨(1組の家族が船をチャーターして散骨) | 20万〜30万円 |
委託散骨は一定数の遺骨が揃った段階で散骨をするため、業者側にかかるコストが低めで、安く費用を抑えられます。合同散骨は参加組数で船のチャーター代を等分できれば、比較的安く抑えられます。そして個別散骨では費用は高いですが、一組の家族のみで実施するので、他の誰にも邪魔されずに散骨に集中できる点がメリットです。
また散骨を業者に委託した場合、専門業者による粉骨までプランに含まれているかどうかは事前の確認が必要です。遺骨を粉状にする粉骨は、散骨業者への依頼以外にも、火葬場で対応できる施設があります。粉骨専門の業者もあるため、家族の状況や希望に応じて最も利用しやすい方法を選択できます。それぞれの特徴を確認し、家族に合った方法を選びましょう。
散骨時の服装マナーを紹介
海洋散骨時の洋服を選ぶ際のポイントやマナーを紹介します。海洋散骨時の服装マナーは、一般的な葬儀の際と異なる点に注意が必要です。特に海上での周囲の一般客への配慮や、安全面での配慮を忘れないことが大切です。
平服や普段着でOK
海洋散骨では一般的な葬儀と異なり、喪服ではなく平服や普段着が適切です。まず、屋外で第三者の目がある海上での儀式であるため、周囲への配慮が必要です。また宗教や宗派に縛られない供養方法であることから、必ずしも喪服である必要はありません。
さらに大切なのは、船上での安全性です。デッキは濡れていることが多く滑りやすいため、動きやすい服装を選ぶことが推奨されます。これらの点を考慮し、参列者それぞれに適した服装を選びましょう
洋服を選ぶ際のポイント
海洋散骨での服装を選ぶときは、以下のポイントを中心に選ぶと良いでしょう。
- 天候や気温に合わせる
- 濡れても良い服装にする
- ズボンスタイルを選ぶ
海洋散骨は海の上で実施するため、陸地よりも寒暖差が大きい場合が多いです。そのため羽織物を持っていき、温度調節しやすいよう工夫するのがおすすめです。
船上では、水しぶきや海水で服が濡れる可能性があることから、濡れても問題ない服装が適しています。革製品は濡れるとシミや劣化の原因になるため、避けた方が良いでしょう。
また海洋散骨時の服装は、ズボンスタイルがおすすめです。スカートは風で煽られやすく、船上での動きも制限されがちです。一方、ズボンは動きやすく、突然の揺れにも対応しやすい利点があります。そして船上での着席や階段の上り下りも行いやすいです。安全で快適な散骨のために、ズボンの着用をおすすめします。
株式会社サン・ライフの代行散骨サービスについて
株式会社サン・ライフでは、海洋散骨を望む方のために代行散骨サービスを提供しています。葬祭ディレクターなどの専門資格を持つ経験豊かなスタッフが散骨のサポートを担当します。
また自社でクルーザーを所有しており、内航不定期航路事業を届出済みです。相模湾沖で散骨を実施するため、晴れた日には富士山を見ることも可能です。法令遵守や地元組合への配慮も徹底しており、お客さまの不安を軽減して海洋散骨をしていただけるよう努めています。
サン・ライフでは代行散骨について「おまかせプラン」と「あんしんプラン」の2つのプランをご用意しています。
プラン名 | 料金 | プラン内容 |
おまかせプラン | 55,000円(税込) |
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あんしんプラン | 66,000円(税込) |
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ご予算に合わせてプランをお選びいただけます。気になる点やご質問があれば、どのような細かい点でもお気軽にお問い合わせください。
まとめ
海洋散骨は故人の遺骨を粉骨し、海にまく供養方法です。自然に還って眠りに付きたいという故人の思いを尊重する方法として注目されています。
海洋散骨の方法には、個人で実施する方法と専門業者に依頼する方法があります。海洋散骨は法的に禁止されているわけではないものの、注意しなければならないルールなどが複数あるため、個人での実施には不安があるかもしれません。
株式会社サン・ライフの代行散骨であれば、経験豊かな専門スタッフが、お客さまのご要望を丁寧にヒアリングし、希望の散骨を叶えるお手伝いをいたします。海洋散骨をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。