私の夫は生涯にわたり、土に関わる仕事を行ってきました。主に下水道と道路の整備に携わりましたが、土地家屋調査士の資格取得後は自らの事務所を設立。それからは夫婦二人三脚で17年間、いつも一緒に時を過ごしてきました。夫が常々思い描いていた老後の生活は、海が臨める日当たりの良い小さな家に住み、高齢の方を助ける仕事を始めることでした。その実現に向け、終活アドバイザーの資格を取るなどの準備を着々と進めていましたが、3年ほど前に肺の病気を患い、昨年にはライフワークにしてきた土と関わる仕事も続けることが難しくなりました。体調の回復を信じ、懸命な治療を続けてきましたが、入院して2カ月で病状の悪化は進み、63年の生涯を閉じました。夫は真正直な性格で、何事にも誠実に向き合う人でした。亡くなる少し前に「これまで関わってきた現場を順番に思い出している。全ての仕事に思い出があり、楽しい人生だった」とつぶやいた夫の言葉が、昨日のことのように私の耳に残っています。
夫は生前、私たちに子どもがいないことからお墓を存続させるのは難しいだろうと考え、墓じまいについて思案していました。また、私は、冷たい墓石の中へ夫を閉じ込めたくないという想いがありましたので、サン・ライフの山の自然葬は、私たち夫婦の希望を叶える理想的な見送り方に思えました。私の想いを義母にも伝えたところ、しっかりと受け止めてくれ、サン・ライフへお願いする気持ちが固まりました。
散骨当日は天候に恵まれ、夫が少年時代によく泳いでいたという大磯の海や彼方に伊豆半島を見渡しながら、参加した親族も心あたたまる時間を過ごせたようです。自然葬担当スタッフの伊藤さんが散骨ポイントへ案内してくれ、夫を土に還し、毎朝2人で飲むのを楽しみにしていたドリップコーヒーを供えてあげることもできました。
夫とお別れした後は、平塚駅前にあるサン・ライフの施設へと移動。会食の席で揚げたての天婦羅や季節のお料理を味わうことができ、義母をはじめ親族一同、スタッフのおもてなしにとても満足した様子でした。
老後に住みたいと話していたような、日当たりが良く海が臨める場所で、ずっと人生のそばにあった「土」に包まれゆっくり休むことができ、きっと夫も喜んでくれているはずです。遺骨を土へ還して自然の一部にすることは、生き物としてとても自然なことだと感じます。理想的な見送り方をサポートしてくれたサン・ライフの皆さんに改めて感謝したいと思います。ありがとうございました。