
葬式は故人との最後の別れの場であり、普段はなかなか集まれない親族が集合する機会でもあるため、思い出として写真を撮りたいと考える方もいるでしょう。しかし葬式中に写真を撮るのは、マナー違反にならないかが心配な方もいるかもしれません。スマートフォンの普及により、写真撮影が手軽にできるようになったからこそ、葬式中の写真撮影では喪主や遺族に失礼のないようにしたいものです。
本記事では、葬式の写真に関するマナーや撮影のタイミング、撮影後の活用法などを徹底解説します。葬式で写真を撮りたい方や撮っても良いのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
葬式での写真は撮っても良い?
葬式の写真撮影は基本的には問題ありません。しかし、地域や葬儀場によってルールが決められている場合は、それに従いましょう。
一般的に葬式では参列者が写真撮影をすることはあまりなく、親族が葬式の記録を残すために撮影するケースがほとんどです。ただし、親族が参列者に記録用の写真撮影を頼むこともあり、その際は参列者が写真撮影を行います。もし記録用の写真撮影を頼まれたときには、他の参列者にも分かるように撮影係などの記載のある腕章を付けておくと良いです。また撮影の際にはスマートフォンではなく、一眼レフカメラやデジタルカメラを使用するのが望ましいです。
他にも地域や家柄などによっては、葬式後や合間に記念として集合写真を撮る風習もあります。これも遺族の希望で葬式に参列した親族や友人の記録用として撮影されることが多く、中にはプロのフォトグラファーに依頼して、棺や祭壇の前で写真撮影をする地域もあるようです。
葬式の写真撮影では故人や遺族に失礼のないよう、十分な配慮が必要です。特に気を付けたいポイントを二つ解説します。
葬式の写真を撮る前には許可を取る
葬式の写真を撮影したい場合は、撮る前に必ず遺族や葬儀社に許可を取りましょう。遺族によっては故人を撮影されることを良く思わない方もいますし、葬儀場によっては撮影を禁止されているケースもあるため、事前の確認が必要です。もし遺族から写真撮影を依頼されたときは、葬儀場のスタッフにもその旨を伝えておくと良いです。
また読経や焼香などのタイミングでは、葬式の進行を妨げてしまうため、撮影ができないこともあります。写真撮影の許可が取れたら、葬儀場のスタッフに撮影できないタイミングや場所の確認もしておきましょう。
葬式の写真撮影では遺族に配慮することはもちろんですが、参列者の中には写真に写ることに抵抗のある方もいるため、他の参列者の気分を害さないようにすることも大切です。
火葬場や収骨室は撮影禁止であるケースが多い
火葬場のスタッフから事前に説明される場合もありますが、多くの火葬場や収骨室は写真撮影を禁止しています。特に火葬場は親族以外にも多くの方が利用するため、外部の方が写真に写ってしまう可能性が高く、むやみに撮影するとトラブルにつながりかねません。
写真だけではなく、動画の撮影も禁止しているケースがほとんどです。必ずその場のルールに従い、勝手に撮影しないようにしましょう。
葬式の写真撮影中のマナー
遺族や葬儀場から葬式の写真撮影の許可が得られたからといって、むやみに撮影して良いわけではありません。遺族に失礼のないよう、必要最低限のマナーを守って行うことが大切です。
ここでは葬式で写真撮影を行う際のマナーをご紹介します。
参列者に配慮する
葬式には遺族の他にも参列する方がおり、中には写真に写りたくない方や葬式の写真撮影を好ましく思わない方もいます。葬式で写真撮影を行う際に参列者が写ってしまうときは、参列者の気分を害することのないように配慮しましょう。
例えば以下に挙げる二つは配慮に欠けた行為となるため、避けるべきです。
- 他の参列者の邪魔になる場所・タイミングで撮影する
- 無断で参列者の表情にフォーカスして撮影する
葬式の写真撮影では遺族の意向だけではなく、参列者の気持ちも考慮することが大切です。
フラッシュの使用を避ける
葬儀場ではフラッシュ撮影が禁止されている場合が多いです。フラッシュ撮影は穏やかに故人を送り出そうとする葬儀の雰囲気を崩してしまうだけではなく、遺族や参列者を突然の光で驚かせてしまい、葬式に集中できなくしてしまいます。進行を妨げたり、場の雰囲気を壊したりする行為はマナー違反に当たるため、葬式で写真を撮る際は、必ずフラッシュがオフになっているかを確認し、周囲の状況を見ながら行いましょう。
音を鳴らさないようにする
葬式の写真を撮影する際は、シャッター音や物音に注意が必要です。スマートフォンや一眼レフカメラ、デジタルカメラは撮影する際にシャッター音が鳴ります。葬式は静かな場所で行われるため、小さいシャッター音でも思いの外大きく響いてしまい、読経の進行を妨げたり、遺族や参列者が不快に感じたりして迷惑がかかります。葬式が始まる前に、撮影する機材のシャッター音が鳴らないよう静音モードにしたり、操作音が鳴らないように設定したりしておきましょう。
読経や焼香の妨げにならないようにする
読経や焼香の際に写真撮影すると進行の邪魔をしてしまうことになりかねないため、控えた方が良いでしょう。特に読経中は故人を供養する時間であるため、写真撮影自体がマナー違反とされています。また遺族や参列者の焼香中も撮影する姿が気になって焼香に集中できないと、故人をしのぶ大切な時間を妨げてしまうことになります。
どうしても読経や焼香の途中で写真撮影をしたい場合には、葬儀場のスタッフに相談して、撮影可能なタイミングや場所を確認しておくと良いです。
祭壇に背を向けない
故人に背を向けることは失礼に当たるため、祭壇に背を向けるのはマナー違反です。祭壇の写真を撮りたいときは、正面から撮影しましょう。
祭壇以外の写真を撮る際も、撮影に集中し過ぎて祭壇に背中を向けないように注意が必要です。もし撮影したい場所や角度があったとしても、マナーやルールを守った上で行ってください。
故人や遺族に近づき過ぎない
故人や遺族に過度に近づき、カメラを向けるのは配慮に欠ける行為です。遺族から頼まれている場合を除いて、棺に納められた故人の姿を写真に撮るのは避けましょう。故人の写真を残したいときには、飾られている遺影の写真を撮影するのが一般的です。
葬式の写真撮影では遺族の意向をくみ取ることが大切です。どうしても故人の最後の姿を写真に収めたいのであれば、遺族に理由を伝えて、許可を得た上で行いましょう。許可を取ったとしても、撮影のタイミングや枚数には配慮して、遺族や参列者を不快にさせないように気を付けてください。
撮影した写真をSNSにアップしない
SNSが普及し、自分が行った場所などを発信する方が増えてきました。そのため、中には葬式に参列していることを写真付きでアップする方もいるかもしれません。しかし葬式の写真を無断でSNSに公開するのは、故人や遺族に対して大変失礼な行為です。写真撮影を許可されたからといって、その写真をSNSに投稿するのはやめましょう。
SNSは不特定多数の方が見られる状態にあるツールです。最悪の場合、投稿から場所が特定され、香典泥棒に入られるなどのトラブルにつながる恐れがあります。
葬式に参列するのは故人や遺族と関係のある方々です。葬式の内容は参列した方の中でのみ共有し合い、写真は個人で思い出として見返すために保管してください。
葬式で写真を撮影する目的
遺族や葬儀場の許可を得たり、ルールやマナーを守ったりすれば、葬式で写真撮影を行うことは可能です。一般的に葬式の写真を撮るのにはどのような意味があるのでしょうか。
ここでは葬式で写真を撮影する目的について解説します。
最後のお別れを記録に残す
葬式の写真を撮影するのは、故人との最後のお別れを記録に残すことを目的としている場合が多いです。生前に故人と過ごした思い出を覚えていられるように形として残したいときに写真撮影を行います。供花などで飾られた祭壇や遺影は、故人との最後の写真を華やかで印象的なものにしてくれます。
祭壇や供花を撮影する際には、以下のような点に注意しましょう。
- 読経や焼香の途中での撮影は控え、葬儀の進行を妨げないようにする
- 祭壇や供花に必要以上に近づかず、適切な距離を保って撮影する
- 祭壇や供花の近くに他の参列者がいるときは、撮影を控える
葬式はあくまでも故人をしのぶことがメインです。遺族や参列者に配慮して、祭壇や供花の撮影に集中し過ぎないようにしてください。
なかなか集まれない親戚一同の集合写真を撮る
葬式は、普段はなかなか集まれない親戚が一堂に会する機会です。遠方に住んでいる親戚や友人が葬式に駆け付けることもあるため、久しぶりに集まった記念として、親戚一同の集合写真を撮ることがあります。
集合写真を撮るときには、以下の点に気を付けましょう。
- 写真に写るかどうかは本人の希望を優先し、強要しない
- 故人をしのぶ気持ちを忘れず、撮影時間を長く取らないようにする
- 撮影した写真のデータを共有する
集合写真を撮っておくと、次に親戚が集まった際にその写真を見て故人との思い出などを語り合うこともできるため、大切に保管しておくと良いです。
今後の葬儀の参考にする
中には今後の葬儀の参考として、葬式の写真を撮影する方もいます。葬儀場の様子が分かるように全体の写真や祭壇、供花などの写真を残しておけば、どの葬儀場を利用して、祭壇や供花の規模はどの程度だったのかなどを見返すことが可能です。また次に葬式を行う際は、葬儀社との打ち合わせでイメージを伝えるときに写真を活用できます。他にも後日、葬式に誰が来たかを確認したいときにも写真が役立ちます。
葬式の写真撮影はフォトグラファーに依頼できる
葬式の写真撮影は、葬儀社に依頼したり、プロのフォトグラファーに依頼したりすることも可能です。料金体系は葬儀社などにより異なりますが、事前に葬儀社に写真撮影を行いたいことを相談すると、遺族の予算や希望に合ったプランを提案してくれます。依頼する際は、追加料金の有無やキャンセル料などについても併せて確認しておくのがおすすめです。
葬式の写真撮影では、進行を妨げないように注意しなくてはなりません。しかし遺族や参列者が撮影を行う際には、席から離れる必要があるため、葬式の進行に影響を与える可能性があります。プロのフォトグラファーであればそのような心配がなく、スマートフォンなどで撮影するよりクオリティの高い写真が残せます。
さらに撮影時には腕章などでスタッフと分かるようにしてくれるため、他の参列者にも嫌悪感を抱かせにくいです。写真撮影を親族や知人に依頼することもできますが、人によっては依頼することに申し訳ないという気持ちを抱く方もいるでしょう。プロのフォトグラファーを手配すれば、そのような気持ちを抱くことなく、葬式に集中できます。
葬式の写真撮影に関するQ&A
最後に葬式の写真撮影に関するQ&Aをご紹介します。ここまでに解説してきた内容を振り返りつつ、確認してみてください。
Q1. 葬式の写真を撮っても良いか迷う場合は?
葬式の写真を撮っても良いか迷う場合は、まずは喪主や遺族に確認し、許可を取りましょう。ただし喪主や遺族が許可しても、葬儀場によっては撮影を禁止しているタイミングや場所を指定している場合もあるため、葬儀場にも事前の確認が必要です。葬儀場のスタッフから写真撮影を行う際の注意事項を聞いた上で、定められたルールに従って写真撮影を行ってください。
Q2. 記録係として葬式の写真を撮る際の注意点は?
参列者の中には葬式を撮影することに疑問を持つ方もいます。遺族から記録係として葬式の写真を撮るように頼まれた際は、腕章などを付けて、依頼されて撮影していることが他の参列者にも伝わるようにしましょう。また遺族から撮影を頼まれたとしても、葬儀社やお坊さんに撮影を行うことを事前に伝えておいてください。
Q3. 故人の姿の撮影はしても良い?
遺族から故人の姿を撮影するように頼まれている場合を除いて、基本的には故人の姿を撮影するのは避けましょう。葬式での故人の姿を撮りたい場合には、遺影の写真を撮るのが一般的です。理由があって故人を撮影したいときには、遺族と相談し、許可を得てから行ってください。
まとめ
故人との最後のお別れを写真に残したいと考える方は少なくないでしょう。葬式の写真撮影は基本的には問題ないものの、タイミングや場所によっては控えた方が良い場合があります。また遺族が写真を好ましく思っていなかったり、葬儀場が撮影を禁止していたりすることもあるため、必ず遺族や葬儀場に確認した上で撮影してください。
サン・ライフでは故人の生前の軌跡を形にし、遺族や参列者の方が故人をしのび、語らう時間を作れるようなメモリアルコーナーを設けています。故人の最後をどのように送り出したいのか具体的なイメージがある方も、どうしようかお悩みの方も、まずはお気軽にお問い合わせください。