日本では、昔から「友引の日にお葬式を行ってはいかない」という習わしがあります。このように、暦を中心とした日取りは戦後に始まったとされています。では、なぜ友引のお葬式は縁起が悪いとされているのでしょうか。また、本当に友引にお葬式を執り行ってはいかないのでしょうか。
今回の記事では、友引におけるお葬式や宗教との関係性について、注意点を含めて紹介していきます。
友引でもお葬式はしてもよい
友引とは、大安や仏滅などとともにカレンダーに記載される「六曜」のひとつです。六曜には「結婚式は大安に行うとよい」「友引の葬式は演技が悪い」などの言い伝えがあります。しかし、結論として、友引でもお葬式はしてもかまいません。では、なぜ友引での葬式は縁起が悪いとされているのでしょうか。
「友引のお葬式は縁起が悪い」は迷信
六曜は14世紀ごろに中国から日本に伝えられたとされており、全部で6種類、1日ずつ順番に変わっていきます。それぞれの曜には意味があり、主に冠婚葬祭に結びついて使用されてきました。特に大安や仏滅などが広く知られていると思います。
順序 | 六曜 | 旧暦の1日目 | 意味 |
1 | 先勝 | 1月・7月 | 急ぐことは吉。午前は吉、午後は凶。 |
2 | 友引 | 2月・8月 | 友を引く。祝い事は良いが葬式などの凶事を忌む。朝夕は吉、正午は凶など。 |
3 | 先負 | 3月・9月 | 何事も控えめに平静を保つ日。午前は凶、午後は吉。 |
4 | 仏滅 | 4月・10月 | 万事凶。葬式や法事は構わない。 |
5 | 大安 | 5月・11月 | 万事大吉。特に婚礼に良い。 |
6 | 赤口 | 6月・12月 | 凶日。特に祝事は大凶。火の元、刃物に要注意。正午は吉、朝夕は凶。 |
参照:国立国会図書館「日本の暦ー第三章 暦の中のことばー吉凶を表す言葉①六曜」(https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter3/s3.html)
大安や仏滅と同じように、昔から友引に葬式を行うと「友が引かれる」という言い伝えがあり、縁起が悪いとされてきました。しかし、これに科学的根拠はなく、六曜は迷信に過ぎないとされています。
また、たとえ六曜を考慮して葬儀の日程を決める場合でも、友引は葬儀・告別式や火葬をする場合にいわれてきたことであり、通夜に関してはもともと問題ありません。これは通夜がお別れの場ではなく、故人との思い出に浸る場であり、友引の意味に当てはまらないためです。
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友引のお葬式は宗教的にも問題はない
六曜は暦の一つであり、そもそも宗教との関連はありません。そのため、在来仏教や神道、キリスト教など、一般的な宗教では友引でも気にする必要がなく、お葬式や法要、ミサも問題なく執り行うことができます。また、最近は宗教への関心が低下していることから、無宗教で葬儀を行う人も増えているため、昔からの習わしも考慮に入れない方も増加しているようです。
仏教
仏教と六曜に関係性はありませんが、葬儀を執り行う日に六曜の「友引」を避ける傾向にあります。これは仏教の教えからではなく、昔からの習わしから避けられているようです。
神式
神道においても、六曜との関係性はありません。しかし、仏教と同様、昔からの習わしによって、神式の葬儀でも「友引」を避ける傾向にあるようです。また、神道の行事においては、仏滅の日の参拝等は避けられ、祭礼は大安に行われることが多いようです。
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キリスト教
キリスト教においても六曜との関係性はなく、行事等で六曜を意識することもありません。この点は仏教や神道と異なります。ただし、場合によっては、火葬場が友引の日を休館日とする可能性もあるため、注意が必要となります。
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友引のお葬式を避ける理由
宗教と六曜には関係性がないため、友引での葬儀は問題ありません。しかし、それでも友引での葬儀が避けられる傾向にあり、それには主に2つの理由があります。以下では、その2つの理由を紹介します。
六曜を重んじている人たちがいる
友引のお葬式がタブーという習慣が根付いたのは、戦後に六曜が流行したためと言われています。その習慣が冠婚葬祭等のマナーとして、親からの教えを代々大事に受け継いでいる家系では、現在でも六曜を重んじているケースが多く見られます。
喪主が六曜を気にしていない場合でも、参列者の中には六曜を重んじている人がいるかもしれないため、友引のお葬式が避けられる傾向にあるようです。なお、関西地方には、友引の葬儀や火葬が気になる場合に「友人形」という身代わり人形を棺に入れて葬儀を行う風習があります。
友引を休業にしている火葬場が多い
宗教と六曜との関係性でも記載していますが、友引を避ける人がいることから、友引の日を休業にしている火葬場があります。友引にお葬式を執り行う方は、火葬場の定休日を忘れずに確認しておくとよいでしょう。なお、友引明けの火葬場は込み合う可能性が高く、日にちが決まったら早めに予約するようにしましょう。
友引以外にも日取りに配慮が必要な事項
宗教・宗派によって、「ご冥福をお祈りします」という言葉は、不適正になることもあるため、他の言い方として以下のものがあげられます。
以下では、友引以外にも、日取りについて配慮が必要な項目を紹介していきます。
日取りに関する法律を知る
・日本の法律では、火葬や死亡届提出のタイミングが決められているため、必ず所定の手続きを行わなければなりません。以下は、手続きを行う際の注意点となります。
【手続きの注意点】
死亡後、24時間以内に火葬してはならない。
火葬を行う際は、事前に火葬許可証の取得が必要である。
死亡届は7日以内に提出しなければならない。
手続き等は葬儀社へ一括して依頼すると安心です。
葬儀社との事前打ち合わせが重要
お葬式で後悔しないためにも、またトラブルにならないためにも、葬儀社との打ち合わせと事前準備が重要となります。全てを葬儀社に任せるのではなく、何が必要で、その費用はどのくらいなのか、一つひとつを確認しながら進めていきましょう。
【葬儀サービスのトラブル事例】
祖父の葬儀を行ったが、葬儀会社から十分な説明がなく、余計なオプションを付けられた。
葬儀を行ったが、契約代金よりも追加代金の方が高額だった。
一括サイトで葬儀場のパンフレットを取り寄せ、綺麗な建物の寺に申し込みをしたが、実際の葬儀場は写真と異なる古い寺で、パンフレットの写真は葬儀を行わない別の建物だとわかった。
国民生活センター:https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/sougi.html
故人を偲ぶ人が集まれるようにする
お葬式では故人を偲ぶために、問題なくお葬式へ集まり、参列できるように配慮する必要があります。しかし、遠方の親族は航空券や宿泊施設の予約、仕事が忙しい人は日程の調整など、葬儀へ参列するためにバタバタしてしまう可能性があります。できる限り、ゆとりのある日取りを考慮するとよいでしょう。
火葬場やの空き状況を確認する
火葬場や斎場は事前予約が必要となります。しかし、地域によっては空き状況が少なく、スムーズに取れないケースもあることから、確実に場所が確保できるよう努めなければなりません。できる限り早く葬儀社を決め、火葬場や斎場の予約、またお葬式までに日数を要する場合は遺体の保存など、担当者に相談するようにしましょう。
友引にお葬式をする際の対処
友引の日のお葬式に抵抗を示す人がいるかもしれません。そうした方の気持ちに理解を示すことが、トラブル防止につながるはずです。できる限り、友引の日はお葬式を避けるようにして、やむを得ず友引となる場合は、火葬への対処を検討するようにしましょう。また、あらかじめ遺族だけでなく、近親者へ相談することを心掛けましょう。
まとめ
今回の記事では、友引の日のお葬式について、宗教との関係性や注意点について紹介してきました。「自分は気にしていない」と思っていても、参列者の方は同じ考えではないかもしれません。きちんと日取りに関する法律についても知識を持ち、無理のない日程を組む。そうして参列者一人ひとりの気持ちを配慮して、全員が故人との大事な時間を過ごせるようなお葬式にしていきましょう。
お葬式を執り行う上で、次々と悩みが出てくるかもしれません。「サン・ライフ」では、24時間対応のコールセンターも完備していますので、葬儀に関する疑問やお悩み事がある際は、お気軽にお問い合わせください。スタッフが親身なってご対応いたします。大切な故人との最期のお別れを全力でサポートいたします。