喪主の挨拶では、参列者へのお礼や故人への想いを伝えることが大切です。しかし突然の訃報で悲しみに暮れる中、「何を話せばいいのか、何を伝えればいいのか迷ってしまう」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では喪主の挨拶の役割とポイントを解説するとともに、通夜、告別式、精進落としそれぞれのシーンで使える例文や、挨拶をする際のマナーなどを紹介します。例文を参考に、故人への想いと参列者へ感謝の気持ちを述べましょう。
喪主の挨拶のタイミングを葬儀の流れで解説|例文あり
葬儀で喪主が挨拶をする場面はいくつかあります。ここではシーンごとの例文や注意点を紹介します。
挨拶文の構成
喪主の挨拶は、以下に挙げた4つの要素を基本構成として組み立てると良いでしょう。
- ・自己紹介(故人との関係)
- ・参列者への感謝の言葉
- ・故人の人柄が伝わるエピソード
- ・お礼の言葉
まずは喪主の名前と故人との関係を簡潔に述べ、参列していただいたことに対するお礼を伝えます。その後に故人の性格や趣味、心に残る思い出話などを具体的に語り、想いを共有します。そして故人への感謝や今後の決意などを述べ、挨拶を締めましょう。
喪主の挨拶①お通夜の例文
お通夜での挨拶は、一般的に通夜終了時に行います。以下の内容を押さえておきましょう。
- ・参列者へ感謝する言葉・故人の代弁など
- ・告別式の場所・日程
- ・締めの挨拶
例文1 皆さま、本日はご多忙の中、私の父(関係性)である○○(故人の名前)の通夜にお越しいただき、誠にありがとうございます。 生前は○○が皆さまに大変お世話になり、厚くお礼申し上げます。突然の悲しい出来事に、いまだ現実を受け止められない状況ではございますが、皆さまからお言葉を頂戴し、心より感謝申し上げます。 明日は××で□□時より葬儀を執り行う予定ですので、ご足労いただければ幸いです。ささやかではございますが、酒宴の席も設けておりますので、ぜひ思い出話などお聞かせ願えればと存じます。本日は誠にありがとうございました。 |
例文2 皆さま、本日はお忙しい中、○○(故人)のためにお越しいただき心よりお礼申し上げます。皆さまのおかげで通夜の儀も滞りなく終えることができました。故人もさぞ喜んでいることと思います。 まだまだ語り合いたいところではございますが、ご遠方の方もいらっしゃいますのでこの辺で終了させていただきます。 明日の告別式は××で□□時より執り行う予定でございます。その後はささやかではございますが、お食事の席を設けさせていただきますので、ぜひお付き合いいただければと存じます。本日は誠にありがとうございました。 |
通夜式の挨拶に加え、通夜振る舞いの前後にも挨拶をする場合もあります。基本的に同じ構成で、感謝の意と告別式の案内など伝えるべき内容をしっかりと押さえておきましょう。
喪主の挨拶②告別式の例文
告別式での喪主挨拶は、遺族を代表して参列者へ感謝の気持ちを伝える重要な役割を担っています。以下のポイントを押さえて文章を考えましょう。
- ・自己紹介(故人との関係)
- ・参列者への感謝の言葉
- ・故人の人柄が伝わるエピソード
例文1 皆さま、本日はお忙しい中、○○(故人名)の告別式にお越しいただき、誠にありがとうございます。○○の長男、△△(本人の名前)でございます。 初めに、故人のために多くのご厚情を賜りましたこと、心よりお礼申し上げます。また葬儀の準備に際し、多大なるご協力とご支援をいただき深く感謝いたします。故人もきっと、皆さまのご厚情に感謝していることでしょう。 ○○は持ち前の明るさで友人も多く、いつも笑顔でした。 私たち家族は、○○の意志を継いで日々を生きていく所存です。どうか今後とも変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。 本日は誠にありがとうございました。 |
例文2 本日はご多用にもかかわらず、妻○○(故人名)のご会葬、ご焼香を賜り誠にありがとうございます。夫の××です。 ○○は働きながら私たち家族を支え、たくさんの愛情を注いでくれました。特に印象に残っているのは、(具体的なエピソード)です。 突然の旅立ちとなり、まだ○○のいない生活は想像できませんが、ご友人の皆さま、ご近所の皆さまの暖かいご支援により滞りなく葬儀を執り行うことができました。 心より感謝申し上げますとともに、今後とも変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。 |
一般葬、家族葬などで参列者が異なります。挨拶を聞く方が分かる自己紹介や共感できる生前のエピソードなどを盛り込みましょう。形式にこだわらず故人への想いなども正直に伝えることが大切です。
喪主の挨拶③精進落としの例文
精進落としでは宴の前と後の両方で喪主の挨拶が必要です。下記のポイントに注意します。
- ・参列者への感謝の言葉
- ・精進落としの趣旨
- ・四十九日法要の案内
例文1 皆さま、本日はご多忙の中、○○(故人名)の精進落としにお越しいただき、誠にありがとうございます。この場では○○をしのび、皆さまと歓談しながら、送り出して参りたいと思います。料理が用意でき次第、順次お食事をお召し上がりください。 |
例文2 皆さま、本日は誠にありがとうございました。○○(故人名)も、皆さまに囲まれて、きっと喜んでいると思います。まだお引き止めしたいところですが、これにてお開きにさせていただきます。 なお、○○の四十九日法要は○月×日を予定しております。どうぞお気を付けてお帰りください。ありがとうございました。 |
ここでは挨拶は簡潔にしましょう。参列者に故人の思い出を共有しながらくつろいでもらうことを説明し、帰りには法要の説明も簡単にします。
喪主の挨拶で注意したいポイント・マナーを紹介
葬儀は限られた時間の中で執り行われるため、喪主の挨拶にもルールとマナーがあります。どのような点に注意するべきか見ていきましょう。
話す内容を2〜3分にまとめる
長すぎる挨拶は参列者に負担がかかる可能性があります。また通夜や告別式では、会食の料理が冷めてしまうといった心配もあるでしょう。話す内容は2〜3分程度、長くても5分以内に簡潔にまとめます。長く語るよりも、心を込めることが大切です。
忌み言葉や重ね言葉に気を付ける
忌み言葉や重ね言葉(繰り返す言葉)は避けましょう。これらの言葉は死や不幸を連想させるため、慎重に言葉を選ぶことが求められます。
忌み言葉 |
死亡、急死、生存中は |
重ね言葉 |
重ね重ね、ますます、しばしば、再び、追って、もう一度 |
不吉を連想する言葉 |
九・四、浮かばれない、迷う、落ちる、消える |
不安な場合はカンペ(メモ)を見てもOK
緊張や不安を感じる場合は、カンペ(メモ)を用意し、それを見ながら話しても問題ありません。普段使わない言葉や言い回しなどもあるため、メモがあれば落ち着いて話せるでしょう。言葉を暗記するのが重要なのではなく、今の自分の気持ちを伝えることが重要です。
ゆっくり丁寧に話す
参列者一人ひとりに気持ちが伝わるように、ゆっくりと丁寧に話すことを心掛けましょう。焦らずに、言葉を一つひとつ大切にしながら話すことで、より感謝の気持ちが伝わります。また、葬儀では高齢者がいることも多いため、はっきりと声を出して話すことも大切です。
挨拶は代理を立てても良い
心情的にどうしても挨拶が難しい場合や高齢で体調が優れないなどのときは、代理の方に挨拶をお願いしても構いません。代理の方に感謝の気持ちをしっかりと伝えてもらうようにしましょう。
喪主の代理を立てる場合は、以下の役割も必要です。
- ・儀式のスケジュールや物品の選定、予算の決定
- ・弔問客への対応
- ・お坊さんや葬儀スタッフとのやり取り
- ・法要・お布施の準備
- ・供花・供物の並び順、弔電を読む順番の決定
参列者に感謝の意を示す
挨拶で最も重要なのは、参列者に対して感謝の意を示すことです。忙しい中、故人をしのび参列してくださったことに心から感謝の気持ちを伝えましょう。挨拶文では故人と参列者が共有できるエピソードなどを加えると、より共感しやすくなります。
喪主の挨拶に関するよくある質問
喪主の挨拶はなぜ必要なのでしょうか。ここでは多く寄せられる質問に回答します。
家族葬でも喪主の挨拶はする?
家族葬とは、故人の近親者や親しい友人のみが参列する小規模な葬儀形式を指します。親しい方たちだけで故人をしのぶことができるため、アットホームな雰囲気になるのが特徴です。
家族葬の場合でも喪主による参列者への挨拶は必要です。家族のみの参列であれば省略することは可能ですが、葬儀の規模に関わらず、基本的に喪主は葬儀を主催する代表と見なされます。故人をしのび、参列者に対して感謝の意を示すためにも挨拶をしましょう。
家族葬について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
直葬で喪主の挨拶はある?
直葬は通夜や告別式を行わずに、火葬のみを行う形式の葬儀です。直葬に参列者が集まる場合や、火葬前に短いセレモニーを行う際には簡単な挨拶をすることもありますが、正式な挨拶の場が設けられないことが多いため、喪主の挨拶は必ずしも必要ではありません。
ただし挨拶をしなくても、故人が亡くなったことを知らせるため挨拶状を送ることをおすすめします。
なお、直葬の手順や注意点など詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
>>直葬とは。直葬・火葬式を行う理由やメリット・デメリット、注意点などを解説
喪主の挨拶は誰が行う?
喪主は、故人の最も近しい親族(配偶者、長男、長女など)が務めることがほとんどです。
ただし喪主が挨拶をすることが難しい、心情的に困難な場合は、親族や信頼できる友人・知人など、代理の方が挨拶をすることも許されます。その際は故人や喪主の感謝の気持ちをしっかりと伝えることが重要です。
喪主に関して詳しく知りたい方は下記を参考にしてください。
>>喪主の役割と決め方を紹介|挨拶で気を付けるべき3つのポイント
まとめ
喪主の挨拶は、故人への思いと参列者への感謝を伝える大切な場面です。現在はさまざまな葬儀プランがあり、形式に応じて挨拶のタイミングや回数も異なります。例文を参考にしつつ、状況に応じて柔軟に対応し、心のこもった言葉を伝えるように心掛けましょう。
株式会社サン・ライフでは、一般葬や家族葬、直葬などお客さまのご要望に応じてさまざまな葬儀プランをご提案しております。実績のあるスタッフが、ご遺族さまの気持ちに寄り添いながら、葬儀がスムーズに行えるよう全力でサポートいたします。
なお、同社では24時間対応のコールセンターを設けております。葬儀に関する小さな疑問や悩みにもお答えしますので、ぜひご活用ください。