
死亡届とは、人が亡くなったことを公的に記録・証明するため、市役所・区役所・町村役場のいずれかに提出する書類です。
死亡届を提出しなかった場合は火葬許可証が発行されないことで葬儀や納骨ができなくなったり、他の行政手続きがスムーズに進まなくなったりするため、必ず期限内に提出する必要があります。
身内が亡くなった際は、親族や同居人などが手続きを行うことになりますが、提出期限や書き方、事前に準備するものなど、初めて手続きする場合は不明点も多いことでしょう。
そこで本記事では死亡届の手続きに関して詳しく解説します。提出する際の流れや注意点に加え、後半ではよくある質問についても回答しているのでぜひ参考にしてください。
死亡届はどこに・いつまでに出す?
死亡届の提出期限は亡くなった場所が国内か海外かで異なります。国内で亡くなった場合の提出期限は、死亡したことを知った日から7日以内、国外で亡くなった際は、死亡したことを知った日から3カ月以内です。
期限を過ぎると、法律上の罰則として5万円以下の罰金が課せられるため、必ず期限内に提出しましょう。
また死亡届は以下のいずれかの役所に提出します。
- 亡くなった方の本籍地
- 死亡地
- 届出人の所在地
死亡届を提出する役所として、故人の居住地という選択肢はないので注意しましょう。
なお死亡届を提出する際に必要な書類や書き方は、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
死亡届を出す前にするべきこと
ここからは死亡届を提出する際に事前にやっておくと良い点をいくつか紹介します。遺族の負担を減らせる上に、他に必要な行政手続きがスムーズに進むポイントにもなる内容なのでぜひ参考にしてください。
葬儀社に相談する
死亡届を提出できるのは、親族・同居人・後見人や家主など特定の関係者です。死亡届を提出するのは、必ずしも親族である必要はありません。
葬儀社によっては、スタッフが代行して死亡届を提出するサービスを受け付けているケースもあるので、事前に聞いておくのがおすすめです。
家族が亡くなると、遺族は悲しむ暇もないほど、葬儀の手配やさまざまな手続き・対応に追われることになります。心身共に疲弊していることが考えられるため、必ずしも遺族がやらなくてはならないこと以外は、葬儀社や病院などに相談して代行してもらうのが良いでしょう。
ただし提出代行は可能ではあるものの、葬儀社は届出人ではなく書類作成者という扱いになるため、書類上で自身の立場を記入する際は注意が必要です。
死亡届は必ずコピーしておく
死亡届は、以下の手続きをする際に提出を求められるケースがあります。
- 医療保険の停止
- 雇用保険の停止
- 自動車保険・損害保険の停止
- 生命保険の請求
- 労災保険の請求
- 銀行口座の名義変更
- 自動車や不動産などの名義変更
- 公共料金の名義変更
- 国民年金・厚生年金などの受給
- 携帯電話の解約
死亡届は役場に提出した後は返却されないため、提出前に必要枚数のコピーをとっておく必要があります。
死亡届を再発行するには死亡が確認された病院での手続きが必要になり、3,000〜10,000円の費用がかかります。また死亡届の再発行の請求が可能なのは、故人の配偶者または三親等以内の親族のみとなるので注意しましょう。
死亡届提出後は銀行の口座が凍結される?
金融機関が名義人の死亡を認知したタイミングで、銀行口座は凍結される仕組みになっています。役所に死亡届を出したことにより、役所から金融機関へ通達されて口座が凍結することはありません。名義人の家族からの連絡や新聞・葬儀の看板などで死亡を知ったときに、凍結されます。ただし故人の預貯金は相続の対象となる財産であるため、死亡の事実を金融機関に知らせ、凍結申請を行いましょう。
ここからは、故人の預貯金の引き出しや、相続手続きについて知っておくべきことを解説します。
死亡届提出前に口座から預金を引き出すのはNG
法律や金融機関の規定により、死亡届の提出前に故人の口座から預金を引き出す行為は原則として禁止です。金融機関は預金者の死亡を認知したらすぐに預貯金の入出金を停止する仕組みになっており、預貯金は故人の意思を尊重し遺産分割を終えてから手続きを行う流れになります。
相続人が複数いる場合、故人の預貯金は相続人の財産となり、他の相続人の同意なくATMからお金を引き出すことは財産侵害に当たります。場合によっては法的責任を問われる可能性もあるので、金融機関に名義人の死亡を知らせる前に預貯金を引き出すことは避けましょう。
遺言書に従う必要がある
故人が残した財産は全て、故人の意思を確認して相続の手続きを行う必要があります。
遺言がある場合、故人の預金を相続人が引き出すには、2019年7月から始まった一定額引き出し制度を利用する方法もあります。一定額引き出し制度とは、相続分と故人の預金額に応じて、遺産分割前にも一定の金額を引き出せる制度です。
一定額引き出し制度を利用する際は、相続人は遺言書を使って預金を引き出せます。遺言書は原則、公証役場で作成した遺言書が推奨されています。
なお相続分に応じて引き出すことも可能ですが、いずれの場合も戸籍などの書類提出が必要となり、銀行の審査にも時間がかかるので死亡直後に引き出すことは難しいでしょう。
以下の記事では、遺言書の書き方を解説しているので、気になる方は参考にしてください。
>>【例文あり】遺言書(自筆証書遺言)の書き方は? 無効にならないコツや管理方法
死亡診断書を受け取った後にすること
ここからは死亡診断書を受け取ってから葬儀の準備をするまでの流れを解説します。親族が亡くなった場合、全体的な流れを知りたい方はぜひ参考にしてください。
ご遺体を搬送する
死亡届を提出する前後で、遺体を搬送するまでの流れは以下のような手順となります。ここでは、病院から近隣(県内)まで搬送する場合を想定し、一般的な流れについて説明します。
- 医師により死亡が確認される
- 医師から死亡診断書を受け取る
- 葬儀社または遺体搬送業者に手配する
- 葬儀社または遺体搬送業者到着後、遺体をストレッチャーに載せて霊安室に移動する
- 遺体の搬送先を業者に伝える
- ストレッチャーごと寝台車に乗せ搬送先に向かう
全体の流れは病院または葬儀会社がサポートしてくれるケースが多いため、分からないことや不安なことは相談すると良いでしょう。
なお遺体搬送に関してさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
>>「寝台車とは? 霊柩車との違いやご遺体を搬送するまでの流れを解説」
訃報連絡を入れる
ご遺体の搬送が済んだら訃報の連絡を入れます。葬儀の規模などが決まっていない場合、このタイミングで連絡するのは近親者や故人の親しい知人のみが基本です。家族や3親等内の親族に訃報連絡を入れる場合は、電話で行うのがマナーとされています。
電話が通じない場合はメールを送り、その後改めて電話するのが良いでしょう。また生前故人と親しかった友人への連絡も、できる限り電話で直接訃報を伝えます。なお故人や喪主が会社員の場合は忌引き休暇の取得が必要に異なるため、会社への連絡もすぐに行いましょう。
訃報を知らせる際のタイミングをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
>>【例文あり】家族葬で訃報のお知らせにマナーはある?タイミングや注意点を解説
葬儀の準備を行う
訃報連絡が済んだら次は葬儀の準備が必要です。葬儀社と打ち合わせを行い、葬儀の準備に取り掛かります。葬儀社は病院が紹介してくれることもありますが、病院と提携している葬儀社は相場よりもコストがかかるケースがあります。そのため葬儀社を複数に絞り、プラン内容や費用を比較しながら検討するのがおすすめです。
葬儀と打ち合わせをする際の注意点を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
>>葬儀社との打ち合わせ内容や服装は?所要時間や注意点を解説
死亡届に関するよくある質問
ここからは死亡届に関する質問として多く挙がる内容をピックアップし、それぞれ回答します。印鑑証明書や年金など、行政手続きに関する内容にも触れるので、気になる方はぜひ参考にしてください。
亡くなった後に印鑑証明書は取得できますか?
本人による意思表示ができなくなるため、死亡届が受理された後に印鑑証明書を取得することはできません。
故人自身が登録した実印と、書面に押された印影の一致を証明する印鑑証明書は、生存していることを前提に定められた書類です。死亡届が受理された時点で印鑑証明書の登録も消去されるため、印鑑証明書を発行することは制度の趣旨に反するので困難といえます。
必要な場合は生前に取得しておくか、相続手続きに必要な戸籍謄本や遺産分割協議書などを代用するのが良いでしょう。
死亡後に行う優先順位を知りたい
医師による死亡が確認された後、遺族はさまざまな手続きが必要です。亡くなってから提出するまでの期限が短いものを優先的に以下にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
優先順位 | 手続き | 提出するまでの期限 |
1 | 死亡届の提出 | 死亡確認後7日以内 |
2 | 火葬許可証の取得 | 死亡確認後7日以内 |
3 | 雇用保険の喪失手続 | 死亡確認後10日以内 |
4 | 世帯主の変更 | 死亡確認後14日以内 |
5 | 健康保険・介護保険の請求 | 死亡確認後14日以内 |
6 | 雇用保険受給者資格証の返還 | 死亡確認後1カ月以内 |
7 | 住民票の除票の取得 | 早期 |
8 | 年金の喪失手続き | 早期 |
9 | 公共料金の解約・名義変更 | 早期 |
10 | 健康保険・葬祭費の請求 | 死亡確認後3年以内 |
年金受給者が亡くなったらどうすればいい?
年金受給権者が亡くなった場合は死亡届を提出し、年金受給の権利が必要なくなったことを知らせる必要があります。死亡届の提出を行わないとそのまま年金が支払われ続けてしまい、不正受給として法的に課される可能性があるので注意しましょう。
また未支給の年金がある場合も、遺族年金をもらうために必要になるので手続きを行いましょう。
まとめ
死亡届は人が亡くなったことを公的に記録・証明するための書類で、市役所・区役所・町村役場のいずれかに提出する必要があります。死亡届には提出期限があり、過ぎると5万円以下の罰金が課せられることがあるので必ず期限内に提出しましょう。
死亡届の提出は代行も可能で、葬儀社によっては提出代行を依頼できるケースもあります。
主に東京都・神奈川県を中心に斎場・葬儀場を持つ株式会社サン・ライフは、死亡届提出の代行サービスを設けています。他にもお客さまに寄り添った葬儀を執り行うための豊富なプラン・サービスを用意している上に、電話相談も24時間365日通話無料で行っています。
死亡届のような行政手続きに関する内容はもちろん、葬儀に関わるご質問も随時受け付けているので、気になる方はぜひ一度ご相談ください。