
初盆は故人の御霊(みたま)が初めてこの世に帰るとされる大切な機会です。そのため、通常のお盆よりも手厚く供養するのが一般的とされています。近年では家族葬の増加に伴い、初盆の法要も家族や身内だけで執り行うケースが増えており、服装について悩む方もいるのではないでしょうか。
本記事では、初盆にふさわしい服装のマナーについて、招く側である家族と、招かれる側である参列者、それぞれの立場に分けて詳しく解説します。
初盆(新盆)とは
初盆(はつぼん・ういぼん)とは、故人が亡くなって四十九日の忌明け後に初めて迎えるお盆のことです。「新盆(にいぼん・あらぼん)」とも呼ばれますが、地域によって呼び方が違うだけで意味は同じです。もし、四十九日を迎える前にお盆の時期が来た場合は、その年ではなく翌年のお盆が初盆となります。
初盆は、故人の霊が初めて自宅へ里帰りする特別な機会です。そのため、通常のお盆よりも丁寧に、そして盛大に供養するべき行事とされています。
現代における初盆の傾向
これまでは親族や故人と親しかった方々を招き、僧侶に読経を依頼して法要を営むのが通例でした。しかし最近では、家族葬が普及した影響もあり、初盆も家族やごく近しい身内だけでささやかに行うケースが増えています。
家族だけで行う場合であっても、初盆の法要に誰を招くか、または招かないかについては、親族など関係者にあらかじめその旨を伝えておくのがマナーです。後々のトラブルを避けるためにも、事前の丁寧なコミュニケーションが求められます。
初盆にふさわしい服装【招く側(家族)】
初盆の法要を執り行う家族は、参列者に対して失礼のないよう、服装のマナーを守りましょう。従来、招く側は参列者よりも格式の高い服装をするのがマナーとされてきましたが、現代ではその考え方も少しずつ変化しています。
ここでは、招く側の服装について「法要や会食がある場合」と「家族・身内だけで行う場合」に分けて解説します。
法要や会食がある場合の服装
僧侶や親族、故人の友人などを招いて法要や会食を行う場合、一般的には「喪服(正喪服・準喪服)」を着用するのが基本です。どの服装にすべきか迷う場合は、葬儀のときと同じ喪服を着用しておけば問題ありません。
ただし、お盆の時期に厳格な形式を重んじる方は少なくなりつつあります。そのため「家族側が招待客よりも格式高い服装でお迎えする」という考え方も、現代では実情にそぐわない側面があるのも事実です。現在では、後述する「略礼服(平服)」でも問題ないとされています。
男性:準喪服であるブラックスーツに、白無地のワイシャツと黒無地のネクタイを合わせます。正喪服はモーニングコートや紋付き羽織袴を指しますが、葬儀・告別式以降の法事で着用されることはほとんどありません。
女性:ブラックフォーマルと呼ばれる、黒のアンサンブルやワンピース、スーツなどが基本です。正喪服は染め抜き五つ紋の黒喪服ですが、こちらも法事で着用されることは稀です。
子ども:学校指定の制服があれば、それが正装となります。なければ、黒や紺、グレーといった暗い色のズボン・スカートに、白のシャツやブラウスなどを合わせましょう。
家族・身内だけで行う場合の服装
家族や親しい身内だけで初盆の供養を行う場合は、前述した喪服よりも格式を下げた「平服(略喪服)」でも差し支えないとされています。
ただし、故人をしのぶ気持ちを表すためにも、カジュアル過ぎる服装は避けるべきです。また家族内で服装の格式がバラバラにならないよう、事前にドレスコードを決めて統一しておくと良いでしょう。
平服とは
弔事における「平服」とは「略喪服」のことであり、普段着(カジュアルウェア)とは異なります。具体的な服装は以下の通りです。
男性の平服:黒、紺、グレーなどのダークスーツを着用します。派手でなければ、ストライプなどの柄が入っていても問題ありません。ワイシャツは白、ネクタイ・靴・靴下は黒で統一するのがマナーです。
女性の平服:黒、紺、グレーといった地味な色のワンピース、アンサンブル、スーツなどを着用します。こちらも無地が基本ですが、派手でなければ柄物でもよいとされています。スカート丈は膝が隠れるもの、袖は七分丈以上のものを選びましょう。ストッキングは黒またはベージュ、靴は黒の他紺やグレーなど暗い色のパンプスを合わせます。
初盆にふさわしい服装【招かれる側(参列者)】
ここからは、初盆の案内を受け、参列者として法要などに参加する場合の服装について解説します。
基本的に案内状に記載してある服装を選べばよい
初盆の案内状に「平服でお越しください」など、服装に関する指定がある場合は、その指示に従うのがマナーです。
もし、案内状に服装の指定がない場合は、自己判断で服装を決めずに、事前に施主や家族に確認を取りましょう。当日に周囲から浮いてしまったり、かえって失礼に当たったりする事態を避けるためです。
「平服」や「略喪服」と指定された場合
案内状で「平服」や「略喪服」と指定された場合は、黒やグレー、紺といったダークカラーのスーツやワンピースを着用します。これは前述した、招く側(家族)が身内だけで行う場合の服装と同様です。
男性はダークカラーで無地のスーツに、白無地のワイシャツ、黒のネクタイを合わせます。女性は無地で暗い色のワンピースやアンサンブルが望ましいでしょう。
初盆の服装における注意点
初盆の服装を選ぶ際には、ここまで解説してきた基本的なマナーに加え、いくつか共通する注意点があります。特に、アクセサリーの選び方や、暑い時期に気を付けたい肌の露出については、故人や他の参列者に失礼のないよう配慮が必要です。
装飾品・アクセサリーは身に着けない
弔事の場では、きらびやかな装飾品はふさわしくありません。服装と同様に、アクセサリーもシンプルさを心掛け、華美なアイテムの使用は避けましょう。
結婚指輪は着用したままで問題ありませんが、派手なデザインのものは外しておくのが無難です。アクセサリーは、涙の象徴とされる一連のパールのネックレスや、一粒タイプのイヤリング・ピアス程度にとどめます。「不幸が重なる」ことを連想させる二連のネックレスや、揺れるデザインのイヤリングなどは避けましょう。光沢の強い金属や宝石類は身に着けないのがマナーです。
過度な肌の露出は控える
お盆は夏場の暑い時期に行われますが、過度な肌の露出は避けましょう。たとえ家族や身内だけで行う場合でも、露出度の高い服装は初盆の場にふさわしくありません。
暗い色でシンプルなデザインであれば、半袖の着用は問題ないとされていますが、肩が出てしまうノースリーブなどは避けましょう。またスカートは膝が隠れる丈のものを選び、胸元が大きく開いたデザインも控えます。特に、素足で法要に参列することはマナー違反となるため、男性は黒の靴下、女性は黒またはベージュのストッキングを着用しましょう。
まとめ
初盆は、故人を供養する厳粛な仏事です。家族や身内だけで行う小規模な集まりであっても、故人をしのぶ気持ちを表すために、一定の服装マナーを守ることが求められます。
服装は、法要の有無、行われる場所や規模、そして地域ごとの習わしによって適したものが異なります。もしどの服装を選ぶべきか不安な場合は、自己判断せずにご家族や周りの方、菩提寺などに事前に相談し、当日の服装を決めると良いでしょう。
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