
供花や献花など葬儀の際に花を手配したいと思っても、葬儀の花はどこに頼むのかを知らない方もいるのではないでしょうか。また花を贈る際には失礼がないように、マナーについても知っておきたいものです。
本記事では、葬儀に関係する花の種類や手配の流れ、注意点、マナーなど葬儀の花について詳しくご紹介します。故人を最後に華やかに送り出したいとお考えの方は、ぜひ確認してみてください。
葬儀に関係する花の種類
葬儀の花には供花、献花、花輪、枕花の4種類があります。ここではそれぞれの花について解説します。
供花
供花は、通夜や告別式などの際に故人への哀悼の意を表すために贈られる生花のことです。「きょうか」や「くげ」と読みます。葬儀に参列する親族だけではなく、遠方に住んでいるために参列がかなわなかった方や、故人と親しい間柄であった方も贈ることが可能です。
供花には葬儀会場や祭壇を華やかに飾る役割もあり、お供え物と併せて祭壇の脇に飾られます。スタンド花やかご花で用意されることが多いですが、祭壇の形に合わせて、直接花を供える生花祭壇が採用されることもあります。
供花の数え方は、一つであれば「一基(いっき)」、二つでは「一対(一対)」です。基本的に供花は一対で贈るのがマナーですが、現在では一基でもマナー違反として扱われることは少なくなっています。
献花
献花(けんか)は、キリスト教の葬儀のときに祭壇や棺に飾る花のことです。仏教の葬儀で行う焼香のような意味を持ち、参列者が一人1本の花を故人の祭壇や棺に献花を行います。故人に贈る花という意味では供花と変わりませんが、供花が故人への弔いの気持ちを表すものである一方、献花には、故人に直接お別れの言葉を伝えるという意味合いがより色濃く込められています。
花は供花と同じく、菊やカーネーション、バラなど白を基調にしたものが基本ですが、現在では故人の好みに合わせて花の種類を選ぶことも増えてきています。
花輪
花輪(はなわ)とは、白と黒を基調とした生花や造花を円環状にしてスタンドを付けたものです。故人への哀悼の気持ちを表し、故人の遠縁の親戚や生前に勤務していた会社などから送られます。
供花は祭壇近くに飾りますが、花輪は葬儀会場の入り口や駐車場などの屋外に飾ります。葬儀会場の立地や大きさによっては飾れない場合もあるため、贈る際には確認が必要です。
枕花
枕花(まくらばな)は、故人が亡くなってから通夜までご遺体の枕元に飾る花です。親族をはじめ、故人と関係の深かった方が、故人の訃報を受けてすぐに自宅へ贈ります。
自宅のご遺体の近くに飾るため、かご花のような控えめな大きさのものを選び、花は白を基調として、故人の好きだった花や季節の花などをアレンジメントすると良いでしょう。供花と同様、故人の死を悼む気持ちを込めて贈りますが、飾る期間と場所に違いがあります。
葬儀の花を手配する流れ
葬儀の花は、葬儀社や花屋、インターネットで手配できます。
ここでは葬儀の花の中でも贈ることの多い供花を手配するときの流れを解説します。故人への哀悼の意を込めて花を贈りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
葬儀社
葬儀の供花は、基本的には葬儀社に頼むのがおすすめです。葬儀社であれば、葬儀の宗教や宗派、会場の雰囲気に合った花を用意してくれます。また葬儀社は、開式の数時間前という急な注文でも対応してくれる可能性が高いため、通夜や葬儀の日程が迫っていても手配ができます。
葬儀社によっては供花プランを用意しているケースが多いです。花の種類や大きさによって価格が変わるため、故人との関係性や予算に合ったものを選びます。
葬儀社に供花を頼む際の流れは以下の通りです。
- 喪家に葬儀社名や斎場名を確認する
- 葬儀社へ連絡して供花を頼みたいことを伝える
- 喪家の名前と葬儀の日程、斎場名を伝える
- 供花プランを選ぶ
- 氏名や故人との関係などの立て札に必要な情報を伝える
- 指定の支払い方法で支払いをする
花屋
供花は花屋に直接依頼することも可能です。花屋では花の種類が幅広く、故人の好きな花やイメージに合う花を選べるため、故人への思いを表現しやすいです。
ただし花屋に供花を頼むときには、注意したい点が二つあります。
一つ目は、場所によっては葬儀社が用意した供花以外は持ち込み料を設定していたり、受け入れ不可としていたりするところがある点です。花屋に依頼する際は必ず葬儀社へ連絡し、供花の持ち込みが可能かどうかを確認してから注文しましょう。
二つ目は、宗教や宗派に適した花を選ぶことです。宗教や宗派によって、葬儀に使用できる花の種類が決まっていることがあるため、事前に確認する必要があります。また花屋で用意した供花は、葬儀社が用意する供花と雰囲気が異なるため、葬儀会場の統一感を乱さないかを確認しましょう。
花屋に供花を依頼する流れを紹介します。
- 喪家に葬儀社名や斎場名を確認する
- 葬儀社へ連絡して花屋で頼んだ供花を贈りたいことを伝える
- 葬儀社に宗教や宗派、供花の種類などを確認する
- 花屋へ連絡して供花を注文する
- 喪家の名前と葬儀の日程、斎場名、宗教や宗派、供花の種類など必要な情報を伝える
- 氏名や故人との関係などの立て札に必要な情報を伝える
- 供花を注文する
インターネット
近年、インターネットで供花を注文できるサービスが増えています。中には葬儀社への連絡を代行しているところもあり、斎場名や時間、宗教・宗派、花の種類などの確認を全て行ってくれるため、利用者の負担を軽減できます。また値段設定も一律であることが多いので、予算の設定がしやすい点もメリットです。
ただしインターネットで供花を頼む際にも、葬儀社へ外部の供花の持ち込み料や受け入れの可否の確認は必ず行いましょう。
インターネットで供花を注文するときの流れは以下です。
- 喪家に葬儀社名や斎場名を確認する
- 葬儀社へ連絡してインターネットで供花を注文したいことを伝える
- 葬儀社に宗教や宗派、供花の種類などを確認する
- インターネットで宗教や宗派、供花の種類など確認した情報を基に花を選ぶ
- 斎場名と喪家の名前、葬儀日程などの必要な情報を入力する
- 氏名や故人との関係などの立て札に必要な情報を入力する
- 供花を注文する
葬儀の花の費用相場
葬儀の花の費用相場は、供花であれば一基当たり税抜15,000~30,000円(税込16,500~33,000円)程度です。ただし、費用は選ぶ花の種類や季節、葬儀社、葬儀会場の規模などによって異なります。かご花は比較的料金が低く、スタンド花は料金が高く設定されているケースが多いです。
また供花は本来一対で祭壇に飾るもののため、特に故人と近い親族の方は一対で用意することが多く、そうなると金額も二基分になります。予算が限られている場合には、葬儀社や花屋にその旨を伝え、相談すると良いでしょう。
供花を手配する際の注意点
供花の手配は、いくつかの注意点を押さえた上で行う必要があります。供花を贈ろうと考えている方は、ここで解説する注意点をしっかり確認し、遺族に負担をかけないよう、十分に配慮しましょう。
手配前に遺族に確認する
供花の手配はできるだけ早い方が良いですが、手配する前に供花を贈っても問題ないかを、必ず遺族に確認しましょう。遺族の中には「供花の受け取りを辞退したい」と考えている方もいますし、故人の意向で供花を辞退する場合もあります。故人への哀悼の意を表すために供花を贈りたいという思いがあったとしても、一方的に贈ってしまうと遺族に負担がかかることになってしまいかねません。遺族や故人の気持ちを最優先に考えることが大切です。
親族と相談する
親族の葬儀で供花を贈る場合は、親族と相談してから手配しましょう。喪主が葬儀社との打ち合わせの際にまとめて手配することもありますし、他の親族も供花を注文してしまい、二重手配となる可能性も考えられます。特に兄弟や孫から供花を贈る際は、「兄弟一同」や「孫一同」というようにまとめて贈るのが一般的です。
当日に間に合うように注文する
供花は、葬儀の日程が決まり次第、早急に手配し、通夜や葬儀の開始前に届くように注文するのが基本です。できれば通夜の前日に届くのが理想ですが、間に合わないときは遅くとも当日の午前中には会場に届くようにするのが良いでしょう。
故人との関係を伝えておく
供花の並び順は故人との関係性で決まるため、あらかじめ葬儀社に故人との関係を伝えておき、適した順番で供花を飾ってもらいましょう。近親者、故人と関わりの深い友人、勤務していた会社の関係者という順で、故人と関係の深い方の供花を祭壇の中心に置きます。ただし、祭壇のバランスを見て多少場所が入れ替わることもあるため、葬儀社に任せた方が良いです。
宗教により供花は異なる
供花に使う花の種類や色は宗教によって異なるため、注意が必要です。
ここでは、各宗教の葬儀に使われる花の種類や色を解説します。
仏教
仏教では百合や菊、胡蝶蘭、デンファレ、カーネーションなどの花を使うケースが多く、バラのようにとげのある種類の花は避ける傾向にあります。従来の葬儀では菊や百合のような和花を使うことがほとんどでしたが、最近は胡蝶蘭やカーネーションといった洋花も使われる機会が増えました。
花は生花であることがほとんどですが、プリザーブドフラワーなどを選ぶ方も増えてきています。スタンド花はある程度置くスペースが必要になるため、かご花やフラワーアレンジメントなど小スペースでも置けるものを選ぶ方が多いです。
神道
神道の葬儀は「神葬祭(しんそうさい)」といい、菊や百合といった仏教と同じ種類の花が使われ、特に白い菊はよく採用されます。しかし仏教で使われている胡蝶蘭はあまり採用されない点に、仏教との違いがあります。
神道の葬儀の祭壇は白木を使うため、色合いを合わせた白い花を飾り、色花はあまり好まれません。そのため、色花を含める場合には確認してから贈るのが良いでしょう。
また神道の葬儀で行う玉串奉奠(たまぐしほうてん)は、仏教の焼香にあたる儀礼で、その際に用いられる榊(さかき)を喪主である祭主が供え、他の参列者は花を供えるのが基本となっています。
キリスト教
キリスト教では、百合やカーネーションといった仏教と同じ花も使います。仏教で使われる菊はあまり選ばれませんが、小菊やスプレー菊を利用することもあります。またキリスト教の供花には仏教の葬儀では使わないバラも使うことが可能です。
キリスト教の葬儀で供花を贈る際は、かごなどに花をアレンジメントして、自宅に贈ることが多く、葬儀のときに供花を教会や斎場に持ち込むのが一般的です。中には故人との関係性に応じて「クロス」や「ハート」を含めたアレンジメントを施した供花を贈ることもあります。しかしキリスト教の中でも地域によって供花の贈り方が異なる場合があるので、失礼のないように喪家や葬儀社に確認してから贈るのがおすすめです。
供花を手配する際のマナー
供花を贈る際は、札名の書き方と花の選び方を知っておくとスムーズに対応できます。
ここでは上記2点に関する供花を手配する際に押さえておきたいマナーを解説します。供花を手配する前にしっかりと確認しておきましょう。
札名の書き方
供花には、誰が贈ったのかが分かるように必ず札名を付けます。札名の書き方は個人、夫婦や家族など贈る方の人数や立場などによって異なります。
さまざまなパターンの札名の書き方をまとめたので、確認しましょう。
個人名で贈る場合 | 名前をフルネームで記載する。 故人以外と付き合いのなかった場合は、名前の前に所属する団体名などを記載して、遺族に分かるようにする。 |
夫婦や家族で贈る場合 | 基本的には世帯主(夫)の名前のみを記載する(一対で贈る場合も同様)。 妻や子どもも故人と深い関わりがあり、名前を入れたい場合には、夫の名前をフルネームで記載し、妻と子どもは下の名前だけを入れる。 その際、右から夫、妻、子どもの順に記載する。 |
連名や複数名で贈る場合 | 連名は2~4名程度まで可能。 4名以上の連名の場合は、以下のように「~一同」とするのが一般的。 ● 兄弟一同 ● 孫一同 ● 〇〇家親戚一同 ● 〇〇様△△高校同級生一同 など |
会社で贈る場合 | 会社名のみの場合と代表者名を含めるケース、部署名を記載するパターンがある。 部署名を入れるときは、「株式会社〇〇 管理部一同」あるいは「株式会社〇〇 管理部」と記載した後に、連名で名前を書くことも可能。 札名は縦書きのため、会社名が英語表記の場合は、カタカナで記載する。 |
花の選び方
供花の花の色は、白や淡いピンク、紫などを選ぶのがマナーとされており、花の種類は前述した宗教に合わせたものを選びます。中には故人の好きだった花やイメージに合ったものを選ぶこともありますが、基本の色以外を含めたい場合には確認しておくのがおすすめです。しかし、赤い花や派手な印象を受ける花は、なるべく避けた方が良いでしょう。
まとめ
供花や枕花などの葬儀の花は、葬儀社に頼むのがおすすめです。宗教や地域によって葬儀の形式が異なりますが、葬儀社であれば、葬儀に適した花を選んでくれる他、急な依頼にも対応できる可能性が高いです。
サン・ライフは、24時間365日いつでもお電話での無料相談を受け付けています。通話料も無料ですので、葬儀に関してお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。