
家族の死期が近いと感じたときには自分に何ができるのか、どのような心構えでいればいいのかが分からなくなる人も少なくありません。本記事では、死期の近い人が亡くなる前に見せる心と体の変化の前兆や現れる特徴、家族の対応などを詳しく解説します。
家族の死期が近いと感じたときに準備すべきことや避けるべき行動、注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
目次
死期が近い人に現れる主な特徴とは?
死期が近くなる人は、睡眠時間が増えたり食事や水分の摂取量が減ったりするなど、目で見て分かる変化が現れるようになります。本章では、死期が近い人に現れる主な特徴を解説します。
目の様子が変化する
死期が近い人に現れる主な特徴は、目の様子の変化です。死期が近いと目が弱々しく力がなくなったり、うつろになったりすることがあります。面と向かっていても目の前にいる人と焦点が合わなくなるばかりか、白目を剥いたような状態になることも少なくありません。
また目の色が白っぽく見えたり濁って見えたりするなど、目の色に変化が見られるケースもあると言われています。死期が近い人の目に変化が見られるのは、身体機能の低下やエネルギーの減少などが原因です。
眠る時間が極端に増える
死期が近い人は眠気に襲われることが多くなり、睡眠時間が極端に増えます。話しかけてもぼんやりしていたり、体を揺らして覚醒を促してもすぐに眠ってしまったりするケースも少なくありません。強い眠気に襲われてしまうのは体力が落ちている上に、脳機能も低下しているためです。体は疲れやすく、疲労が回復するまでに長い時間を要します。次第に昼と夜の区別もできなくなり、死期が近くなるほど意識レベルが低下します。
食事・水分摂取の減少
死期が近い人は睡眠時間が極端に長くなって起きている時間が減るため、食事や水分の摂取量も少なくなります。本人が好きなものでも食欲が湧かず、食べられなくなることも珍しくありません。食事や水分の摂取量が減少するのは、体の代謝機能が著しく低下するためです。体を動かす機会が少なく、体内で必要とされるエネルギーが減ることで、お腹が空かなくなります。また食事量の減少は、胃腸機能の低下や物を噛んだり飲み込んだりする力を弱めてしまいます。
手足の冷えと皮膚の変色
死期が近い人の主な特徴は皮膚の色の変化や手足の冷えです。死期が近くなると心臓や腎臓などの内蔵機能が低下して血液が全身に行き渡らず、皮膚や爪の先が紫や青白く見えたり、手足が冷えたりすることがあります。血液には酸素や栄養を運ぶ役割があり、循環機能が正常に働かなくなると、体温の低下や皮膚の変色などが現れます。血流量が減ると、手足の末端や皮膚、爪先まで必要な酸素や栄養が行き渡らなくなるのです。
呼吸の変化
死期が近い人は心肺機能の低下や喉の筋肉の衰えによって呼吸の仕方が変化し、チェーンストークス呼吸や下顎呼吸が見られるようになります。チェーンストークス呼吸とは、浅い呼吸が段々と深くなったと思いきや再び浅い呼吸になり、短時間の無呼吸が繰り返される呼吸のことです。脳にある呼吸を司る中枢機能の低下によって引き起こされます。
下顎呼吸は下顎を動かしながら大きな口を開いてする呼吸です。喉の奥に唾液や痰がたまっていると、ゴロゴロという音を鳴らしながら呼吸をすることがあります。
意識がはっきりしなくなる
死期が近い人に見られる特徴は意識レベルが下がり、意識の混濁が見られるようになることです。そばで声をかけてもぼんやりしている、反応が鈍い、うとうとして目を覚まさないなどの変化が見られるようになります。
ただし、意識レベルが低下してぼんやりしているようでも聴覚の機能は最期まで残っているかもしれないので、聞きやすい声で優しく話しかけるようにすると良いでしょう。本人と話し合うことがある場合は、意識が混濁する前に話を済ませておくことをおすすめします。
死期が近い時に現れる心理的・行動的な前兆
死期が近い人は話し方に変化が見られたり、突然身辺整理を始めたりすることがあります。人によっては幻覚を口にする人も少なくありません。本章では、死期が近い人に現れる心理的な前兆や行動的な前兆を解説します。
話し方や言葉が変化する
死期が近い人に見られる前兆は、感謝や謝罪の言葉を繰り返すようになることです。特に、普段から「ありがとう」「ごめんね」などの言葉を口にしない人が繰り返し家族や親しい人に伝えるようになったり、頑固だった人が穏やかな性格になったりすることがあります。一説には、本人が自分の死期が近いことを察知しているためだと言われています。お世話になった人や大切な人たちに最期のお別れでもするかのように感謝の言葉を口に出すようになったら、死期が近いサインかもしれません。
身辺整理をする
家族や身近な人が身辺整理をするような行動が見られた場合は、死期が近い可能性があります。死期が近い人は突然のように身の回りの物を処分したり、遺言や遺産分配の準備を始めたりする傾向があります。例えば、思い出の写真や物を整理する、遺言書を作成する、生前分与の手続きを始めるなどです。身辺整理をするのは「身の回りをきれいに整理してから旅立ちたい」「自分の死後、家族の手を煩わせたくない」という気持ちがあるためでしょう。
スピリチュアルな発言・幻覚が増える
死期が近い人の中には、スピリチュアルな発言が増えたり、幻覚を見たりするケースがあるようです。突然「故人の姿が見える」と言ったり、亡くなった人やペットの名前を呼んだりすることもあるでしょう。故人が見えることをお迎え現象という言葉で表しますが、お迎え現象では、まるで故人が迎えに来たかのような不思議な経験をする事もあるようです。
死期が近い人の身体的特徴
死期が近い人にはいくつかの身体的特徴が現れます。その特徴には血圧や脈拍が不安定になるものから、意識が混濁するものまであり、死期が近い人ほど変化に気付きやすくなるでしょう。本章では、死期が近い人に見られる身体的特徴を解説します。
血圧・脈拍が不安定になる
死期が近い人に見られる身体的な特徴は、血圧や脈拍が不安定になることです。心機能の低下によって心拍数が減少していくとともに、血圧も低下していきます。死期が近くなるほど血圧が測れなくなるまで低下する場合もあります。
また脈拍が急激に高くなったり低くなったりを繰り返すのは、死期が近いことを表すサインかもしれません。血圧や心拍数の減少によって血液が循環しにくくなり、手足の先が紫になるチアノーゼを起こしやすくなります。
尿・排泄の変化が起きる
死期が近い人は体力の低下によって食事や水分の摂取量が減るのと同時に、排泄量にも減少が見られます。特に尿量の減少は、腎臓や心臓の働きの低下が原因になるケースも少なくありません。体力をつけるには、食事や水分の摂取量を増やす、点滴による栄養と水分を補給させるなどの方法があるものの、内蔵機能が低下しているため体内で十分に吸収されない可能性もあります。無理に実施しても本人に大きな負担を強いることになるため、医師と相談して、本人が食べたいものを与えるようにしましょう。
意識の混濁・せん妄が現れる
死期が近い人は注意力の散漫や思考力の低下が起こることで意識の混濁やせん妄が現れやすくなるようです。名前を呼んだり話しかけたりしても意識がぼんやりして会話が成立しない場合もあるでしょう。せん妄は幻聴や幻覚、妄想などの症状が見られる意識障害です。脳機能の低下が原因の一つで、突然症状が現れます。日中よりも夕方以降に症状が悪化するケースも少なくありません。ただし、他の病気や処方薬の副作用が原因の場合もあるため、せん妄の症状が見られたら医師に相談することをおすすめします。
死期が近いと感じたときの家族の対応
家族の死期が近いと感じた場合、どうすれば良いのでしょうか。本章では、家族の死期が近いと感じたときの家族の具体的な対応と心構えを紹介します。
そばにいて声をかける
死期が近い人は意識が混濁して話しかけても反応が見られなくなるものの、五感の中でも聴覚は最後まで残っているといわれているため、家族は優しく話しかけてあげてください。声をかける際は手を優しくさすったり握ったりするのもおすすめです。たとえ会話ができなくても優しい声で話しかければ、本人の不安や心配を軽減してあげられるでしょう。付き添いの家族は、看取ってから後悔しないためにも、これまでの感謝の気持ちを伝えておきましょう。
無理に起こさず見守る
家族の死期が近い場合は無理に起こそうとせずに、家族としてそばで見守ってあげることが大切です。本人が穏やかな気持ちで最後の時間を過ごせるように、快適な環境を整えてあげましょう。例えば、病室の温度や湿度を調整したり、少し照明を暗くしたりする方法が挙げられます。場合によっては、心地よさを感じられるような音楽を流すことで本人も付き添いの家族もリラックスできるでしょう。死期が近い本人が安心できるように、できる限りそばで見守ってあげてください。
死期が近い人に対して避けるべき行動と注意点
家族の死期が近いと感じたとき、家族としてどのようなことに気を付ければいいのか、避けるべき行動はあるのか気になる人もいるでしょう。本章では、死期が近い人に対して避けるべき行動や、具体的な注意点を解説します。
不満や愚痴をぶつけない
死期が近い家族の前でこれまでの不満や愚痴を言わないように気を付けましょう。死期が近くても聴覚ははっきりしているため、本人が反応していなくても気分を害するような話題は避けることをおすすめします。これまでに不満があったとしても、感情的に言葉を発してしまうと相手を動揺させる恐れがあるからです。言ってしまった本人も家族の死後に「あんなこと言わなければ良かった」と悔やんでしまうこともあるでしょう。後悔しないためにも、言葉選びには注意してください。
遺産や相続の話を本人の前でしない
死期が近い人の前では、遺産や相続の話題を避けましょう。死を目前にした本人の前で死後の手続きについて話すことで、本人の不安をさらに煽ってしまう恐れがあるからです。死期が近い家族が最期の時間を穏やかな心で過ごせるように、遺産相続の話は本人の前でしない、親族との相談が必要な場合は本人がいない場所で話すなど、死期が近い人に配慮した対応を心掛けてください。
死期が近いと感じたときに準備しておくこと
家族の死期が近いと感じた場合は、家族を看取った後の葬儀の段取りや訃報の連絡先などの準備が必要です。本章では、家族の死期が近いと感じたときにすべき準備について解説します。
葬儀社の手配や費用の相談
家族の死期が近いと感じたら葬儀社の手配や、葬儀に必要な費用の相談をしておくことも大切です。例えば病院で看取った場合、院内の霊安室にご遺体が安置され、その後自宅へ搬送されることが多いでしょう。このタイミングの間に葬儀社を決める場合は、あらかじめ複数社のサービス内容や料金プランなどを比較した上で、信頼度の高い会社に相談しておくことが大切です。24時間365日対応の葬儀社なら、時間帯に関係なく相談できます。
誰に知らせるかリストアップする
家族の死期が近い場合は、葬儀に誰を呼ぶのかを確認しておくことが大切です。家族の死後は近親者や故人が生前にお世話になった人に訃報を伝える必要があります。訃報の伝え漏れを起こさないためにも、家族の死期が近いと感じたときにリストアップしておくと良いでしょう。また本人の意識があるうちに、葬儀に参列してほしい人のリストを作成しておくのもおすすめです。相手の電話番号が分からない場合は、SNSを利用するのも方法の一つです。
エンディングノートや希望の整理をする
家族の死期が近いときには、本人が作成したエンディングノートや本人からの希望に配慮して死後の準備を進めることです。エンディングノートとは、自分が亡くなった後の葬儀の希望や遺された家族へのメッセージを書き留めておくノートのことです。家族の死後はできる限り本人の意思を尊重した葬儀を行うことが、旅立った家族にできる最後の孝行でしょう。
本人の意識がはっきりしている場合は、本人の意思を尊重して葬儀の準備や所有物の整理に当たるようにしましょう。他にも、延命措置や自宅での看取りの希望の有無なども確認しておくと、いざというときの家族間のトラブルを避けられます。
まとめ
死期が近い人には、心理的・身体的特徴にいくつかの共通点が見られます。看病する家族がやるべきことや避けるべき行動を知っておくことで、死期が近い家族の大きな支えとなれるでしょう。家族の最期の時間を悔いなく過ごすためには、正しい知識と心構えを持つことが大切です。
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