将来的に葬式について知っておきたい、慌てないために葬儀の準備や段取りが知りたいという方は多いでしょう。特に喪主になった経験がない人は、突然のできごとで戸惑う中、何から手を付けたら良いのか分からず、パニックになってしまうこともあります。
この記事では、葬式の前に準備しておくことや葬儀までの流れ、葬儀後の手続きについて詳しく解説します。今すぐ必要な知識ではないと思っていても、別れは突然訪れるものです。知っておくと、いざというときに慌てず冷静な判断ができます。ぜひ参考にしてください。
亡くなった後から葬儀までの流れ
一般的な仏式で、亡くなってから葬儀を行うまでの流れは以下の通りです。
- 危篤・ご臨終
- 遺体搬送・安置
- 葬儀の準備
- 友人や仕事関係者への訃報の連絡
- 納棺・通夜の準備
- 通夜・告別式
一般葬の場合、亡くなった当日は遺体を搬送し、葬儀の準備や訃報の連絡を行います。2日目にご遺体を納棺して通夜を行い、3日目に告別式を行います。身近な人が亡くなっても、悲しむ暇もなく準備をしなければなりません。近年は一般葬や家族葬よりも短い期間で行う火葬式・直葬、一日葬などもあります。葬儀の形式については後述します。
危篤から告別式までの基本的な手順を、以下で一つずつ説明します。少しでもゆとりをもって故人を送り出せるよう葬儀までの流れを把握しておくと、戸惑うことも少なくなるでしょう。
危篤からご臨終
あらかじめ入院をしている状態であれば、病院から危篤の連絡を受けることになります。自宅や外出先で危篤になった場合は、かかりつけの病院に連絡して指示を仰ぎましょう。次に危篤者の親族や危篤者が会いたい関係者に連絡します。
連絡をする際に、危篤者の状態やお見舞いの可否などについて聞かれることが多いため、現在どのような状態であるか、面会はできるかどうか、先に病院に聞いておくとスムーズです。亡くなった後は、医師に死亡診断書を書いてもらいます。かかりつけの病院がないまま亡くなってしまった場合は、救急隊や警察に連絡して死体検案書を受け取ることになります。
遺体搬送から安置
故人が亡くなった後、24時間は火葬できないよう法律で決まっています。葬儀までは遺体を葬儀社の霊安室に搬送します。昔は自宅に安置するケースもありましたが、死亡後に行う儀式や、遺体の腐敗を防ぐ処置、お供え物の準備、移動などの手間がかかるため、現在は葬儀社の霊安室に搬送するケースが多いようです。
死亡後に行う儀式は「末期の水(まつごのみず)」「清拭(せいしき)」「着替え」「死化粧」などです。一般的な安置期間は2~3日間ですが、葬儀場や火葬場が混雑していた場合は、安置期間が長くなるケースもあります。
葬儀の準備
葬儀社は事前に2~3社に絞っておくと選びやすいですが、何も決めていない場合はまず葬儀者を選ぶところから始めます。葬儀社が決定したら、葬儀の内容や段取りを担当者と打ち合わせします。
必要なことは全て葬儀社から聞かれますが、喪主・施主・世話役・受付などを決める必要があるため、事前に誰が何の担当をするのかを話し合っておくとスムーズです。
また死亡した日を含めて7日以内に市区町村役場へ死亡届を提出し、火葬許可書を受け取る必要があります。死亡届の提出と火葬許可申請の手続きは、葬儀社が代行してくれるケースもあるので、自分で行うのが難しい場合は相談してみましょう。
友人や仕事関係者への訃報の連絡
葬儀の日程が決まったら、故人の生前の関係者(学校・職場・取引先・友人など)への連絡と遺族の関係者に葬儀の日時を連絡します。遠方に在住している関係者には早めに連絡すると親切です。親族への連絡は3親等あたりまでが一般的ですが、故人の希望などを事前に聞いておくと「聞いていなかった」「知らせてほしかった」などの連絡が来てしまうトラブルを防げます。
日頃から連絡を取っておく、年賀状などで連絡先をチェックしておくなどして、いざというときに連絡がスムーズに取れるよう準備しましょう。
納棺・通夜の準備
故人を見送る際に身なりを整え、お棺に納めることを納棺といいます。親族の立ち合いは不要ですが、湯灌・死化粧・死装束の順に行う「納棺の儀」は、故人の記念品や思い出の品などを棺に入れるため、遺族や親族が立ち合います。火葬場によっては入れられないものもあるので、判断に迷うときは葬儀社の担当者に確認しておきましょう。
通夜・告別式
納棺を終えたら通夜を行います。通夜とは、故人と親交の深かった人が故人をしのんで最後の夜を過ごす儀式です。通常は夕方から始まり、僧侶による読経・焼香など1時間ほどの儀式を経て故人の冥福を祈ります。食事の席などを設ける場合、一般の方は1~2時間過ごします。
かつては、遺族や親族は灯りを絶やさずに夜通し過ごしていましたが、近年は夜のうちに散会する「半通夜」が一般的です。
また告別式は、通夜に比べると社会的な式典であり、遺族・親族をはじめ故人の友人・知人などの関係者が最後の別れを惜しみます。
葬式の前に準備すべきこと
危篤の連絡を受けてから通夜・告別式を執り行うまで、さまざまな準備や段取りがあります。役所に提出する書類や手続きなどもあり、手続きを済ませていないと火葬できません。
大切な方が元気なうちから希望を聞いておくと、いざというときにも慌てずに済みます。家族が集まったときなどに自分はどうしたいか、それぞれ希望を言い合うのも良いでしょう。
ここでは葬式の前に準備すべきことを、ポイントを押さえながら詳しく解説します。
死亡診断書の発行および火葬許可証の受領
火葬を行うには火葬許可証が必要です。火葬許可証を受領するためには死亡診断書もしくは死体検案書が必要になります。病院で亡くなった場合は医師が死亡診断書を作成しますが、自宅で亡くなった場合でもかかりつけ医がいれば死亡診断書を発行してもらえます。
かかりつけ医がいない場合は、状況に応じて救急隊か警察に連絡しましょう。救急隊や警察では死体検案書が発行されます。解剖が必要な場合は解剖の後発行されます。
死亡診断書または死体検案書を取得したら、死亡を知った日を含めて7日以内(国外で亡くなった場合は3カ月以内)に故人の本籍地または亡くなった場所を管轄する市区町村役場へ提出しましょう。
役場で死亡診断書または死体検案書が受理されると、火葬許可証が発行されます。火葬許可証は火葬と納骨の際にも必要です。紛失しないように注意しましょう。
葬式を依頼する葬儀会社を決める
葬式を執り行うために葬儀社に依頼します。希望に合った式にするためにも予算や一般葬・家族葬などの葬儀形式をある程度決めておくと選びやすくなります。
希望や内容が固まったら、いくつかの葬儀社を厳選し、料金やプランなどを比較して決定するのがおすすめです。
喪主を決める
葬式を行う際には喪主を決めます。故人が遺言で喪主を決めていれば故人の希望に従いましょう。故人の希望がない場合は、基本的に故人の配偶者が務めます。配偶者がいない場合、高齢で務めるのが難しい場合、病気や身体が不自由な場合などは、以下の順で決めるのが一般的です。以下に該当する人物がいない場合は、知人から喪主を選ぶケースもあります。
- 長男
- 次男以降の直系男子
- 長女
- 次女以降の直系女子
- 故人の両親
- 故人の兄弟姉妹
葬儀会社と打ち合わせを行う
基本的に葬儀社との打ち合わせは喪主が行います。通夜や葬儀・告別式の日程を決めるため、まずは葬儀場や火葬場の空き状況を確認します。葬儀場や火葬場が埋まっていると葬儀が執り行えず、日程がずれることがあるので早めに確認することが大切です。
打ち合わせの際は、葬儀の規模や形式、費用、サービス内容を細かくチェックします。故人や家の宗派に沿った形式で行えるかの確認も必要です。菩提寺がない場合は無宗教や自由葬で葬儀を行うケースもあります。おおよその参列者数が分かっていれば、葬儀社から規模やプランを提案してもらえます。
葬儀の日取りを決める
葬儀の日取りは葬儀場や火葬場が埋まっているかどうかの他に、六曜なども考慮しなければなりません。六曜とは、吉凶や勝ち負けを占うもので、手帳やカレンダーに漢字で記載されていることが多く、目にしたことがある方も多いでしょう。
葬儀の日取りとして問題ないのは「先勝」「先負」「仏滅」です。吉日にあたる「大安」、大凶とされる「赤口」でも特に問題はありません。友引は「故人の道連れとなる」という考えから火葬場などが休みである可能性があります。
僧侶のスケジュールを考慮しつつ、葬儀の日取りを決定します。
親族・知人へ訃報や葬儀の連絡を行う
葬儀の場所と日取りが決まったら、親族・知人などの参列者へ連絡します。連絡がつかないと時間がかかってしまうため、家族が元気なうちから希望を聞いて連絡リストを作っておくと良いでしょう。連絡リストを作成する際は、「参列の案内が必要」「訃報の連絡のみで良い」といった要領で、連絡先を分けておくとスムーズです。
葬儀形式を決める
葬儀には以下のようにさまざまな形式があります。故人や遺族の希望に合った葬儀形式を選ぶためにも、各形式を知っておくと決めやすくなります。形式を決めるときは親族のみなのか、一般の方も招くのか、参列者はどのくらいか、予算はいくらまでかを決めておきましょう。宗教儀式をどのくらい重視するかも決め手になります。
一般葬
一般葬とは、遺族・親族以外にも故人の関係者(会社・学校・友人など)にも参列してもらう葬儀です。一般的な形式の葬儀ですが、近年は葬儀形式の種類も増えたため「一般葬」と呼ばれています。通常は2日目に通夜式を行い、3日目に葬儀・告別式・火葬を行います。参列者数の目安は50名以上です。葬儀形式の中では規模が多い形式です。
家族葬
家族葬も一般葬と同じ流れではありますが、遺族・親族・親しい友人を中心とした小規模な葬儀です。 家族葬には明確な定義がなく、喪主が葬儀のスタイルを決めるケースが多いです。
参列者が一般葬よりも比較的少なく、顔見知りが多いため、遺族が対応に追われずに済みます。ゆっくり故人とのお別れができるのもメリットです。最近では家族葬が選ばれることが多くなったため、家族葬のプランを提供している葬儀社も増えてきました。
火葬式・直葬
通夜や告別式を省略し、火葬のみを行う葬儀を火葬式または直葬といいます。参列者は、遺族・親族・親しい方が中心で、家族葬よりも規模が小さく数名から10名程度です。参列者が少ない場合や宗教儀式をあまり重視しない場合に選ばれることが多いようです。
一般的には、火葬炉の前で故人とのお別れを行います。火葬のみのため1日で済みますが、24時間以内は火葬ができないため、ご逝去の翌日以降に行われます。
一日葬
一般葬では、通夜・葬儀・告別式・火葬を2日か3日に分けます。一日葬は通夜を省略し、葬儀・告別式・火葬を1日で行います。通夜振る舞いの「飲食代」が必要ないため、その分の費用がかからない点はメリットです。家族葬と火葬式の間を取った形式で「親しい人のみで故人を見送りたいけれど、儀式は大切にしたい」などの考えを持つ方に選ばれる傾向があります。火葬式・直葬と同様に、ご逝去の翌日以降に行われます。
遺影にする写真を選ぶ
遺影写真は葬儀当日以降も飾っておくことが多いので慎重に選びましょう。できるだけ顔がアップになっているもので、写りがはっきりとして、良い表情の写真を選びます。生前の姿や人柄が分かりやすいものだと、なお良いでしょう。
背景や服装が気になるようであれば、葬儀社の担当者に相談するのもおすすめです。場合によっては加工で背景を消したりスーツや着物などに着せ替えてくれたりします。画像容量が小さいと加工できないものもあるので、候補となる写真を何枚か用意しておくと安心です。
僧侶との打ち合わせ
葬儀社との打ち合わせの他に、僧侶との打ち合わせも必要です。葬儀の日程、通夜・告別式の内容を決定します。戒名を依頼する場合も打ち合わせの際にお願いし、葬儀までに準備してもらいます。
一般的にお布施を多く包めば位の高い戒名を付けてもらえますが、先祖と同じ墓に入るときは高い位の戒名は付けられません。費用の目安は宗教によって異なるので事前に確認しておきましょう。
棺に入れるものを用意する
納棺の際には副葬品を入れます。副葬品とは故人と一緒に棺に入れる品物です。故人の愛用品や日記、故人が希望していた品物を入れます。故人との思い出の品や感謝の手紙を入れるのも構いません。
洋服やお菓子なども可能ですが、不燃物・有毒性・爆発性のものは入れられません。また洋服のボタンやお菓子の缶・瓶、眼鏡・腕時計・指輪・現金なども入れられません。入れられないものは写真に撮って棺に入れると良いでしょう。判断に迷うときは葬儀社のスタッフに確認するのがおすすめです。
喪服を準備する
葬儀では男女ともに喪服を着用し、黒を基調とした小物でまとめます。男性は光沢のないブラックスーツに黒無地のネクタイを着用します。靴下や靴も黒でそろえましょう。時計は付けていても構いませんが、派手なものなら外しておくのがベストです。
女性はブラックフォーマルに黒のパンプスを合わせます。バッグやストッキングも黒でそろえましょう。女性の場合は派手な化粧やネイルには注意が必要です。凝ったネイルなどをしている場合は外してから参列します。数珠やハンカチなども忘れないようにしましょう。
子どもは制服で構いません。制服がない場合は大人と同様に黒を基調とした服装でまとめます。
葬儀後の動き
葬儀前は慌ただしく時間が過ぎていきますが、葬儀が終わっても喪主や遺族にはやるべきことが多くあります。具体的には、葬儀費用の清算と諸手続きです。期限がある手続きもあるので、下記を参考に漏れのないように気を付けてください。
葬儀費用の清算
葬儀の際に受付・会計を依頼した人から、以下を受け取ります。
- ・会葬者名簿
- ・弔問客の名刺
- ・香典(香典帳)
- ・弔辞、弔電
- ・会計収支記録
- ・請求書
- ・領収書
次に、お布施や献金など葬儀の謝礼を準備します。葬儀社との清算も必要です。清算の際は、見積書と明細書の確認を必ず行いましょう。
葬儀後に行う諸手続き
葬儀後は、行政などの諸手続きとともに故人のクレジットカードやサブスクリプションなどの名義変更、解約も行います。特に以下の名義変更・解約手続きは忘れやすいですが、できるだけ早くに済ませるのがおすすめです。
- ・運転免許証
- ・パスポート
- ・死亡退職届
- ・公共料金
- ・NHKの受信契約
- ・住居賃貸契約
- ・電話加入権
- ・固定回線
- ・クレジットカード
- ・携帯電話の契約
- ・サブスクリプションの契約
行政の諸手続きは期限があるものが多いので、計画的に行いましょう。以下は、死亡後すぐに必要な手続きです。
- ・年金受給権者死亡届(死亡後、厚生年金10日以内・国民年金14日以内)
- ・介護保険資格喪失届(死亡後14日以内)
- ・住民票の抹消届(死亡後14日以内)
- ・国民健康保険の脱退(死亡後14日以内)
まとめ
ご臨終の直後から遺族が進めなければならないことは多くあり、体力的にも精神的にも疲弊します。ある程度の流れが分かっていれば、生前から少しずつ準備することも可能です。
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