火葬を行うためには多くの手続きが必要です。書類に不備が生じると火葬ができなくなることがあるため、注意しなければなりません。そこで本記事では、火葬する際に必要な手続きや流れ、注意したいポイントを紹介します。
また火葬するまでの手続きだけでなく、実際の火葬場での流れも順を追って詳しく解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
火葬とは?
火葬は遺体処理の一つで、日本ではスタンダードな方法です。ここからは、なぜ土葬ではなく火葬が日本で主流になったのか、宗教的背景を踏まえて解説します。また火葬に関する法律や仕組みも併せて紹介するので、参考にしてください。
日本における火葬とは
火葬とはご遺体を焼却する葬儀方法です。日本ではほぼ100%のご遺体が火葬されているといわれています。しかし今でこそ当たり前の方法だと思われていますが、火葬が広まったのはわずかここ数十年のことです。
明治以前は火葬できるのは上流階級の限られた人のみで、一般庶民は土葬が主流でした。しかし、伝染病予防法の制定や仏教の輪廻転生の考え方(魂は肉体に宿るのではなく、死後は新しい肉体に転生する)が影響し、日本でも火葬が主流となったのです。
こういった歴史的背景以外に、狭い土地の有効活用・衛生面での安全性からも火葬が合理的だと判断され、現在のように一般社会にも広がったとされています。
火葬に関する仕組み
火葬は墓地、埋葬などに関する法律に従い行われます。法律では、心肺停止後に蘇生する可能性を考慮して、死後24時間以内に火葬を行ってはならないと定められています。
ただし例外があり、エボラ出血熱などの1類感染症で亡くなった場合は、ご遺体から感染が広がる危険性を考え、死後24時間以内に火葬することが義務付けられています。
その他遺体搬送方法も細かく決められており、新型コロナウイルス感染症か新型インフルエンザ等感染症(2類感染症相当)が死因だった場合は、これらの法律が適用され、遺族であっても故人の顔を見ることなく、火葬されたケースもありました。
参考:厚生労働省.「一類感染症により死亡した患者の御遺体の火葬の取扱いについて(通知)〔墓地、埋葬等に関する法律〕」.https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc1272&dataType=1&pageNo=1 ,(2024-05-10).
火葬までの手続きを紹介
火葬までの手続きは死亡診断書の受け取り、死亡届などの必要書類の提出、火葬許可証の返却の3ステップがあります。以下にて、それぞれ詳しく解説します。
死亡診断書を受け取る
死亡診断書は、医学的・法律的に死亡を証明する書類です。病院や自宅などかかりつけの医師がいる場で亡くなった場合に受け取れます。一方、かかりつけの医師がいない場所や事故、自殺、事件などで死亡した場合は、監察医による死体検案書が作成されます。死亡診断書や死体検案書は、今後火葬許可申請書の作成などに必要な書類です。
死亡届・死亡診断書・火葬許可申請書を提出する
死亡診断書(死体検案書)は死亡届とセットになっており、遺族が死亡届の必要事項に必要事項を記載して役所に提出します。死亡届は同居中の親族、同居人、故人の家の地主などの死亡届出義務者に当たる人が、死亡の事実を知った日を含めて7日以内に提出するよう定められています。死亡届の提出は、葬儀社が代行してくれることがあるので担当者に確認しましょう。
火葬許可書は死亡届・死亡診断書の受理後に発行され、火葬許可書を火葬場に提出することで、合法的に火葬が実施できます。
火葬場で押印された火葬許可証を返却してもらう
火葬場で火葬許可書を提出し、無事に火葬が行われた後は、火葬許可証に押印・返却してもらいます。火葬許可証には火葬場の証印や火葬した日付が記されて、正式に火葬が執り行われたことの証明となります。お墓に骨壺を埋葬する際に必要になるので、なくさずにきちんと保管しておきましょう。
ほとんどの場合は、火葬許可証が埋葬許可証を兼ねていることもあります。また火葬許可証は手渡しで受け取るというより、骨壺が入れてある霧箱の中に入れられていることがほとんどです。見当たらない場合は慌てずに、まずは骨壺を確認してください。
火葬場での流れを解説
火葬は、納めの式・僧侶の読経、火葬、お骨上げ、精進落としの順に執り行われることが一般的です。ここからは一つずつ儀式を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
火葬当日に必要なもの
火葬当日に必要なものは主に火葬許可証と位牌、遺影の3つです。特に火葬許可証は、忘れてしまうと火葬が執り行えないため、忘れないよう確実に持参しましょう。
次に必要なものは位牌です。位牌は故人の魂が宿る場所とされ、戒名、没年月日、俗名、享年が記されます。葬儀の際には白木の位牌を使用し、霊柩車で移動する際に喪主が持つことが一般的です。
なお神式の場合は位牌の代わりに霊璽(れいじ)と呼ばれる祖霊の依り代(よりしろ)を持ちますが、火葬場へは持参しません。
そして3つ目に必要なものは、遺影です。遺影は位牌と共に火葬場へ持参します。喪主が位牌、喪主の次に故人と親しかった方が遺骨、その次に親しかった方が遺影を持つのが一般的です。
納めの式・僧侶の読経
火葬場に到着後は棺を炉の前に置き、納めの式が行われます。納めの式では僧侶が読経し、故人への最後の敬意を表して安らかに旅立てるよう祈る儀式です。読経が終わると、喪主、遺族、親族、友人など、故人と関係の深かった順番で焼香を行い、故人と最後のお別れをして火葬へと移ります。
故人と最後の時間となるため、心の中で今までの感謝や思い出などを語りかけてみてください。
火葬
納めの式が滞りなく終了した後は、棺を焼却炉に入れて火葬を開始します。火葬時間は故人の体格や副葬品によって差があり、通常1~2時間程度かかります。火葬が終わるまでは控室で待機し、しばらく休憩しましょう。
火葬の流れに関する案内は、葬儀社の担当者が行ってくれることがほとんどなので、案内に従って執り行えばスムーズに進みます。何か不明点がある場合は、躊躇せず担当者に質問しましょう。
お骨上げ
火葬が終了した後は、遺骨を骨壺に入れるお骨上げを行います。炉の周りに親族が集まり、二人一組となって竹製の長い箸を使いお骨を拾い上げます。足、腕、腰、背骨、肋骨、歯、頭蓋骨、最後に喉仏の骨を納めるのが一般的です。喉仏は仏様が足を組んで座っているように見えることから、一番見えやすい位置に納めることが一般的です。
お骨上げの詳しいやり方や順番は、火葬場のスタッフもしくは葬儀社の担当者が説明してくれるので、手順を覚えていなくても問題ありません。
精進落とし
精進落としとは、火葬の前後に遺族と参列者で故人を偲びつつ食事する儀式のことです。故人との別れを受け入れ、遺族が日常に戻るという意味合いで行われます。
かつては仏教の教えにより、故人が亡くなってから49日間は肉や魚などを使わない精進料理を食べていました。そして忌明け後に普通の食事に戻すことを「精進落とし」と呼んでいましたが、現在では生活に合わせて火葬後に精進落としを行うことが一般的となっています。
なお、精進落としは火葬中の時間を利用して行われることもあります。
精進落としに用意する料理や儀式中のマナーについて、さらに詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
精進落としとは?出す料理や意味・マナーを解説!当日の流れや挨拶も
火葬する際に注意したいポイント
火葬する際に注意したいポイントは3つあります。意外と知られていないことが多いので、この機会にしっかり確認しておきましょう。
棺に入れられないものがある
火葬は棺ごと燃やすため、可燃性の物質や加熱すると有害物質が発生するものなどは棺に入れられません。故人の遺志で一緒に入れてほしいと言われていたものであっても、火葬場から断られることもあります。
棺に入れられない代表的なものとして時計またはアクセサリーなどの金属製品、お金、革製品などが挙げられます。もし棺に入れて燃やしても良いかどうか迷うことがあったら、火葬場や葬儀社の担当者へ事前に確認しておくと安心です。
棺に入れられないものでも、どうしても入れたい場合の対処法などを詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
棺に入れるものは何がおすすめ?入れてはいけない副葬品や葬儀のマナーを解説
公営と民営の違いを知っておく
葬儀場には公営斎場と民営斎場の2種類あり、それぞれ運営元が異なります。公営斎場は各市区町村の自治体が運営し、民営斎場は葬儀社などの民間企業や寺院が運営しているのが特徴です。そのため料金や設備に違いがあります。
公営斎場の場合は運営が税金でまかなわれているため、故人がその土地で住民登録をしていたら利用でき、利用料金も抑えられます。どの宗教・宗派にも対応できるよう、さまざまな設備が整えられている点も魅力でしょう。
また民営斎場ではサービスや設備が充実しており、斎場へのアクセスが良く、利便性に優れている点が多くあります。自由度が高く大人数の葬儀にもおすすめです。
火葬中の待ち時間のマナー
火葬には1~2時間程度かかり、その間はロビーや休憩室で静かに待つのがマナーとされています。他の家族の火葬が行われていることもあるため、大きな声で話したり騒いだりして故人との最後のお別れを邪魔しないように注意しましょう。
また火葬場での撮影は原則禁止されているところが多いです。火葬が無事に終わるまでは、静かに待ちましょう。
火葬するプランの決め方
火葬といっても、火葬のみ執り行う直葬・火葬式、小規模な葬儀を行える家族葬、特に制限を設けない一般葬の3つがあります。それぞれどのような方が向いているのか、メリット・デメリットを詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
火葬のみにする場合
通夜、葬儀、告別式を執り行わず火葬のみを行うプランは、できるだけ費用を抑えたい方や故人・遺族がシンプルな弔いを望んでいる場合におすすめです。「直葬」または「火葬式」と呼ばれ、宗教への考え方や費用面、参列者が高齢で葬儀に参加できないなどさまざまな背景事情から選ばれています。
費用や時間、手間を抑えられますが、火葬式にする際は関係者に対して十分に配慮して行いましょう。火葬式は比較的新しい葬儀スタイルなので、昔ながらの葬儀を重んじている親族がいる場合、トラブルになる可能性があります。また菩提寺によっては葬儀での読経を必須としている寺院があり、直葬では納骨できないといわれるかもしれません。火葬のみにしたい場合は、関係各所へ事前に確認するのがおすすめです。
家族葬にする場合
家族葬とは、遺族や友人を中心に執り行う小規模な葬儀のことです。最後までゆっくり故人と過ごしたい方や、親しい関係者だけで静かに故人を見送りたい方に向いています。葬儀の規模が小さく参列者が限定されるため、事前の準備なども比較的少なく、当日の遺族の負担も減らせる点がメリットです。
ただし誰を呼ぶか呼ばないかについては、慎重に検討しましょう。故人の友人や親戚から「本当は葬儀に参列したかったのに」と不満が出るリスクがあります。また家族葬を終えた後、参列できなかった方が自宅へ弔問するケースも考えられます。故人の交友関係が広かった場合は、弔問客の対応をするのが大変になるかもしれません。その場合は、一般葬にする方が向いている可能性があります。
また家族葬とはどのような葬儀なのか、費用や流れなどを具体的に知りたい方は以下の記事をご覧ください。
一般葬にする場合
一般葬とは家族や友人以外にも、会社関係者など多くの参列者を迎えて、故人を見送る葬儀を指します。昔から行われている葬儀のスタイルで、故人の社会的なつながりを大切にしたい方におすすめのプランです。通夜、葬儀、告別式それぞれの準備や手続きが必要となり、大変だと感じるかもしれませんが、葬儀後の対応は他のプランよりも負担が少ないのが特徴です。
株式会社サン・ライフであれば、ご遺族の負担を減らせるよう、葬儀準備をお手伝いいたします。サン・ライフの一般葬プランは、格調高い白木祭壇にてお別れするプランがあり、つつがなく故人とお別れしていただけるサービスを幅広く提供しているのが特徴です。また葬儀場までの送迎や、面会可能な個室タイプのご安置室などもご用意しています。当社の一般葬プランについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
家族が亡くなった直後は葬儀のことを考える余裕はないかもしれませんが、火葬には決められた手続きがあり、不備がないように処理しなければなりません。また火葬プランの種類についても遺族内で事前に話し合っておくと、いざというときに慌てずに済みます。
神奈川・東京で葬儀を執り行いたい方は、株式会社サン・ライフにご相談ください。一般葬から一日葬、家族葬まで幅広く対応しているため、ご希望にそったお別れをしていただけます。
また葬儀の他にも遺品整理や法事法要に関するご相談も承ります。電話での無料相談や資料請求などから、ぜひお気軽にご連絡ください。