香典(不祝儀)は、葬儀のときに持っていくお金のことをいいます。もともと相互扶助の精神で包まれるようになったこの「香典(不祝儀)」を取り上げて、ここでは「香典(不祝儀)とはそもそも何か」「香典(不祝儀)の目安」「通夜と葬儀、どちらに香典」(不祝儀)を持っていくべきか」「不祝儀の目安」「宗教別の表書き」「香典袋(不祝儀袋の書き方)「香典(不祝儀の渡し方)」などについて解説していきます。
目次
告別式やお葬式に持参する香典とは?
香典(※厳密には「香典」は仏教に限った呼び方。正しくは「不祝儀」だが、実際には宗教を問わずに広く使われている言葉であるため、ここでは「香典」の表記に統一する)は、相互扶助の精神から生まれたものです。
かつては文字通り、線香を包んでお渡ししていましたが、現在はそれに代わるものとして、現金が包まれるようになりました。
通夜と葬儀、どちらで香典を持っていくべきか
一般的な葬式の場合、夜に行われる「通夜」と、翌日に行われる「葬儀・告別式」の2日間にわたって、故人とのお別れの場が設けられます。
両方ともに参列する場合、どちらに香典を持っていくべきか迷うことでしょう。
この問いの答えは、「どちらのタイミングで持って行っても構わない」です。ただ現在は通夜に持っていく人の方がやや多いように思われます。その場合は、葬儀・告別式の際は、「香典は通夜のときにお渡ししました」と受付の人に一言告げて、記帳だけをするとよいでしょう。
※通夜/葬式/葬儀/告別式の定義は葬儀社ごとで異なりますが、ここでは通夜=夜に行われるもの/葬式=通夜や葬儀、告別式を含む葬送儀礼すべて/葬儀=通夜の翌日に行われる、宗教的な儀式を含むお別れの式/告別式=葬儀の後に行われる、宗教的な儀式を含まないお別れの式、とします。
香典の金額の目安
「香典」をキーワードとしたとき、もっとも迷うのは、「包む金額はいくらにするか」でしょう。
- 故人との関係性
- 参列する人の年齢
- (地域差)
で異なります。ただ地域差については細かく述べることはできないため、ここでは「関係性」と「年齢」のみで解説します。
20代 | 30代 | 40代 | |
祖父母 | 10,000円 | 10,000円-30,000円 | 30,000円-50,000円 |
親 | 30,000円-50,000円 | 50,000円-100,000円 | 100,000円 |
おじ・おば | 10,000円 | 10,000円-30,000円 | 10,000円-30,000円 |
兄弟姉妹 | 30,000円-50,000円 | 30,000円-50,000円 | 50,000円-100,000円 |
職場関係 | 3,000円-5,000円 | 5,000円-10,000円 | 5,000円-10,000円 |
友人やその家族 | 3,000円-5,000円 | 5,000円-10,000円 | 5,000円-10,000円 |
近所の人 | 3,000円 | 5,000円 | 5,000円 |
※職場関係の場合は、「部内全員でお金を集めて出す」「取引先なので、会社名義で経理から出す」などのケースがあります。個人で送ってもNGとまではいえませんが、周りに確認するようにしてください。
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【宗教別】不祝儀袋の表書き・不祝儀袋のマナー
不祝儀袋の表書きは、宗教によって異なります。ここでは宗教ごとの不祝儀袋の表書き・選ぶべきデザインのマナーについて解説していきます。
一般的な表書きは「御霊前」
「相手の宗教が分からない」という場合は、以下のようにします。
- 表書きは「御霊前」
- 無地の不祝儀袋を選ぶ
- 黒白あるいは双銀の結び切りもしくはあわじ結びの水引を掛ける
厳密には「御霊前」という言い方は、浄土真宗やプロテスタントではNGです。しかし参列者の立場でこの書き方をとったとしても、それがマナー違反だと責められることはありません。
仏教の表書きは「御霊前」「御香料」
仏教の場合は、基本的には「御霊前」「御香料」とします。ただし、上でも述べたように、浄土真宗の場合は「人は亡くなったらすぐに仏様になる」ということから、厳密には「御霊前」はNGです。そのため、相手の宗教が浄土真宗であると明確に分かっている場合は、「御仏前(御佛前)」としましょう。
選ぶ不祝儀袋は無地のものでも構いませんが、ハスの花が入ったものも使えます。
黒白あるいは双銀の結び切りもしくはあわじ結びの水引を掛けます。
神道の表書きは「御玉串料」もしくは「御榊料」
神道の葬式の場合は、「御玉串料」「御榊料」あるいは「御神前」とします。ちなみに「榊」は、神道の葬式に用いられる「玉串」に使われている植物の名前です。
不祝儀袋は、無地のものとします。ハスの花や十字架の入ったものは使いません。
水引は仏教と同じです。
キリスト教の表書きは「御花料」もしくは「お花代」
キリスト教の場合は、カトリックとプロテスタントで異なります。
カトリックの場合は「御ミサ料」が使えますし、プロテスタントの場合は「忌慰料」「献花料」が使えます。なお両方に使える表現として「御花料」「お花代」があるので、迷ったらこれを使うとよいでしょう。
不祝儀袋は、十字架やユリの花の入ったものが使えます。
キリスト教では水引は必要としません。ただ、「水引をつけたものはバッドマナー」というわけではありません。そのため、無地+黒白あるいは双銀の結び切りもしくはあわじ結びの水引を掛けたものを選んでも構いません。
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葬式で渡す香典袋の書き方
ここからは、香典袋の書き方について、「外包み」「内袋」に分けて解説していきます。
外包みに書くこと
外包みは、水引より上の部分に表書きを書き、水引より下の部分に名前を書きます。葬式では同じ苗字の人が多く足を運んできますから、自分の名前はフルネームで記します。夫婦の場合は、まず夫の名前をフルネームで書き、その横に妻の名を添えます。連名の場合は各個人の名前を横に並べて書きますが、人数が多い(目安は4人以上)の場合は、別紙に記します。
香典袋の外包みは、薄墨の筆(筆ペンでも良い)で書くのがマナーです。これは、「故人が亡くなったショックで墨をする力がありません」「涙で墨もにじみました」という意味を表すと言われています。
内袋に書くこと
内袋には、住所氏名、それから香典の額を記載します。香典の額は漢数字を使うのが一般的ですが、内袋に「___」と印刷がされているのならば横書きでも構いません。
なお内袋は、濃い色のペンを使って書きます。
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葬式で香典を渡すまでの流れ
香典を包む
まず、香典の包み方と、用いるふくさについて確認していきましょう。
相手を思いやってたたむ
香典袋の外包みをたたむ際は、「向かって右→左→下→上」の順番でたたみます。これは、「悲しみで顔を伏せている」を表すたたみ方といわれています。
落ち着いた色味のふくさを使う
香典は、裸のままでは持ち歩きません。必ずふくさを使います。
ふくさは、その色によって慶事用と弔事用に分けられます。慶事用は暖色系、弔事用は寒色系とされています。なお新しいものを買い求めるときは、紫色のものを買うとよいでしょう。紫色は、慶弔どちらでも使えます。
袱紗のたたみ方は、右→下→上→左、の順番でたたみます。なおふくさは、一枚布になっているものがもっとも正式ですが、現在はポケットタイプのふくさでも失礼にはあたらないとされています。
受付の担当者に香典を渡す
式場に到着したら、受付に足を運びましょう。そして「この度はご愁傷様です(※仏教の場合)」などのように簡単に挨拶をし、ふくさを開き、香典を渡します。香典を渡す場合は、受付の人から見て正位置にくるようにしてください。
芳名帳に住所と氏名を記入する
香典を渡し終えたら、芳名帳に記載します。なお現在はプライバシー保護の観点から、芳名帳ではなく、芳名カードを用いる場合もあります。
受付にはペンが用意されているので、自分で筆記用具を持参する必要はありません。
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葬式に参列できない場合の香典は?
冠婚葬祭のなかでも「葬」はもっとも重要なものですから、何をおいてでも駆けつけるべきものです。
しかし現在は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響もあり遠方からでは足を運びにくかったり、また病気やけがを患っていたりして、葬式に参列できない場合もあるでしょう。
その場合は、代理人を立てるもしくは郵送でお送りするのが一般的です。香典は郵送で送っても、まったく問題はありません。なお香典を郵送するときも、その表書きなどは直接持っていくときと同じです。香典を送る際は、事前にご家族に一声掛けておきましょう。
また、香典は必ず現金書留で送るようにします。普通郵便や宅配便を使って現金を送ることは、郵便に関する法律で禁じられています。
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まとめ
香典はもともと相互扶助の精神から生まれたものです。
通夜と葬儀・告別式、両方に参列する場合は、どちらか片方に持っていくかたちで問題ありません。
なお香典の金額は、出す人の年齢と、故人との関係性によって異なります。
表書きや不祝儀袋は宗教・宗派によって異なりますが、「御霊前」+「無地の不祝儀袋」+「黒白あるいは双銀の、結び切りもしくはあわじ結びの水引」を選べば、どんな宗教・宗派でも対応できます。
外包みには表書きと名前を薄墨で記し、内袋には住所氏名金額を濃墨で記します。
香典袋は、右→左→下→上、の順番で包みます。香典袋を包むふくさは寒色系もしくは紫色を選び、右→下→上→左、の順番で包みます。
葬式当日、受付に到着したら、受付係から正の位置に見えるようにして香典を私、芳名帳に記載します。
なお、葬式に参列できない場合は、代理人や郵送を使って香典を届けても構いません。
「サン・ライフ」では、香典に関するご質問もお受けしております。ご不明点があればお問い合わせください。