香典の金額は故人との関係や参列者の年齢によって異なるのが一般的です。香典は多く包めばよいわけではありません。適切な金額を包むことで故人への尊敬と哀悼の気持ちを示せます。とはいえ、近年では葬儀の種類が多様化していることもあるため、いくら包めばよいのか悩む場面も多いでしょう。
この記事では、適切な香典の金額の相場を分かりやすく解説します。香典を包む際の参考にしてください。
【故人との関係別】香典として包む金額の相場
香典の金額相場は、故人との関係性や自分の年齢によって異なります。ここでは、香典の適切な金額を故人との関係別に解説します。
両親の場合
亡くなった方が自分の両親の場合、参列する側の年齢別による香典の金額相場は以下のとおりです。
参列者の年齢 |
香典の金額相場 |
20代 |
30,000円〜100,000円 |
30代〜40代 |
50,000円〜100,000円 |
50代以上 |
100,000円 |
配偶者の両親(義理の父母)が亡くなった場合も同じ金額を包みます。
なお、自分が喪主または葬儀費用を負担する場合、香典を包む必要はありません。自分が未成年や学生などで両親に扶養されている場合も香典は包まないのが一般的です。
祖父母の場合
亡くなった方が祖父母の場合、参列する側の年齢別による香典の金額相場は以下のとおりです。
参列者の年齢 |
香典の金額相場 |
20代 | 10,000円 |
30代 | 10,000円〜30,000円 |
40代 | 30,000円〜50,000円 |
50代 |
50,000円 |
配偶者の祖父母(義理の祖父母)が亡くなった場合も同じ金額を包みます。
祖父母への香典は立場によって対応が異なり、未成年や学生などで両親に扶養されている場合は香典を包む必要がありません。基本的に香典は世帯で一緒に用意するため、世帯主である親が香典を用意しますが、成人して働いている子どもは個人で香典を包みます。結婚して家庭を持っている場合は夫婦連名で包むのが一般的です。
兄弟・姉妹の場合
亡くなった方が兄弟・姉妹の場合、参列する側の年齢別による香典の金額相場は以下のとおりです。
参列者の年齢 | 香典の金額相場 |
20代 | 30,000円〜50,000円 |
30代 | 50,000円 |
40代以上 |
50,000円 |
配偶者の兄弟姉妹(義理の兄弟姉妹)が亡くなった場合も同じ金額を包みます。
なお、兄弟姉妹への香典は父母よりも少ない額にするのが一般的です。父母の葬儀に参列したことがある場合は父母への香典の額を超えないよう調整する必要があります。また、故人の他に兄弟姉妹がいる場合は、香典に包む金額について事前に相談しておくとよいでしょう。
叔父・叔母の場合
亡くなった方が叔父・叔母の場合、参列する側の年齢別による香典の金額相場は以下のとおりです。
参列者の年齢 | 香典の金額相場 |
20代 | 10,000円 |
30代 | 10,000円以上〜30,000円 |
40代以上 |
30,000円以上 |
香典の金額は生前の関係性によって異なります。叔父や叔母といっても何年も会っていない、もしくは会ったこともないケースもあるでしょう。親密な関係でない場合は、年齢にかかわらず10,000円でも問題ありません。叔父叔母への香典の金額は相場を参考にするだけでなく、普段の付き合い方も考慮して決めてください。
その他の親戚の場合
故人とあまり会う機会がなかったり、遠方に住んでいたりなどで、近しくない親戚の場合、用意する香典の一般的な金額相場は5,000円〜10,000円です。参列する側の年齢はさほど重要ではなく、生前の関係性が金額を左右します。会ったことがない親戚では5,000円、年に数回会う親戚では10,000円を包みましょう。
また、亡くなった親戚が遠方に住んでいる場合は、通夜や葬儀に参加せずに香典を郵送するだけでも十分です。その際は、弔電を打ったり供花を送ったりして哀悼の気持ちを表しましょう。
会社関係の場合
会社関係の方が亡くなった場合、用意する香典の金額は故人の役職や自分の立場によって異なります。
亡くなった方が上司の場合、部下として参列する人の年齢別による香典の金額相場は以下のとおりです。
参列者の年齢 |
香典の金額相場 |
20代 | 5,000円 |
30代 | 5,000円〜10,000円 |
40代以上 |
10,000円以上 |
また、上司の家族(上司の父母や子どもなど)が亡くなったときも同額を包みます。
亡くなった方が同僚の場合は、香典の金額相場は以下のようになります。
参列者の年齢 |
香典の金額相場 |
20代 | 5,000円 |
30代 | 5,000円~10,000円 |
40代以上 |
10,000円以上 |
また、同僚の家族が亡くなった場合も香典を包むのが一般的です。金額相場は以下のとおりです。
参列者の年齢 |
香典の金額相場 |
20代 | 3,000円〜5,000円 |
30代〜40代 | 3,000円〜10,000円 |
50代以上 |
10,000円 |
個人で包む場合は、金額が上司よりも多くならないよう注意するのがポイントです。上司がいくら包むのか分からないときは、上司の年齢から相場を参考にするか、もしくは事前に相談しておくとよいでしょう。
職場の人たちと連名で包む場合は、1人あたり1,000円〜3,000円程度を出し合うのが一般的です。ただし、合計金額に不幸を連想させる4(死)と9(苦)が入らないように気を付けましょう。
友人・知人の場合
友人・知人の場合は、生前の親交の深さによって香典の金額相場が決定します。亡くなった方が友人の場合、参列する側の年齢別による香典の金額相場は以下のとおりです。
参列者の年齢 |
香典の金額相場 |
20代 | 5,000円 |
30代~40代 | 5,000円〜10,000円 |
50代以上 |
10,000円 |
親友と呼べるほど親しい人が亡くなった場合は、年齢にかかわらず10,000円以上包むケースも少なくありません。
近所の人や疎遠になっていた同級生などの知人に対しては、以下の金額が香典の相場になります。
参列者の年齢 (近所付き合いや疎遠の同級生として参列する場合) |
香典の金額相場 |
20代 | 3,000円〜5,000円 |
30代~40代 | 3,000円〜10,000円 |
50代以上 |
10,000円 |
香典の金額は多ければよいわけではありません。亡くなった方との関係性や親交の深さを考慮し、適切な金額を包んでください。
【法要別】香典として包む金額の相場
香典は通夜や葬儀だけでなく、法要にも包む必要があります。香典を包む法要は以下の3つです。
- ・初七日から四十九日まで
- ・一周忌・三回忌
- ・初盆
法要に出席する際、香典を適切に用意できるように確認しておきましょう。
初七日から四十九日までの場合
故人が亡くなってから七日目に行われる法要を初七日といいます。初七日に参列する場合、香典の金額は葬儀で持参した半額を包むのがマナーです。
ただし、金額が偶数で割れる数字や端数になる場合は、奇数になるように変更する必要があります。例えば、葬儀の香典が5,000円の場合、半額の2,500円は端数になるため3,000円を包みます。偶数で割り切れる数字や端数は縁起が悪いため、奇数に変更して故人や遺族に誠意を示すことが重要です。
近年では、初七日と葬儀を同日に行うケースもあります。初七日と葬儀の香典は別々ではなく一括で用意してもマナー違反にはなりません。包む金額は葬儀の香典に初七日の分を上乗せする必要はありませんが、地域や宗派によっても異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
一周忌・三回忌の場合
一周忌は故人が亡くなって1年後、三回忌は満2年後(数え年で3年目)の命日に行われる法要です。法要に参列する場合は香典を包むのがマナーです。
香典の金額は故人との関係性によって異なります。一般的な相場は以下のとおりです。
故人との関係性 |
香典の相場 |
両親 | 10,000円〜50,000円 |
祖父母 | 5,000円〜30,000円 |
兄弟姉妹 | 10,000円〜50,000円 |
親戚 | 3,000円〜30,000円 |
友人 |
3,000円〜10,000円 |
自分の年齢や社会的地位が高い場合は高額な香典を包むのが望ましいとされています。また、故人が親戚や友人の場合は、生前の親交の深さによって金額を決定します。近い親戚では30,000円、遠い親戚で会った回数も数えるほどの関係では3,000円を用意しましょう。
なお、一周忌・三回忌の後に会食が予定されている場合は、食事代として5,000円〜10,000円程度上乗せするのがマナーです。
初盆の場合
故人が亡くなってから四十九日以降に迎える初めてのお盆を初盆といいます。初盆は故人が初めて家族のもとに帰ってくる大切な日です。通常のお盆よりも手厚く供養する必要があります。具体的には、僧侶を招き読経してもらったり会食したりするのが一般的です。
初盆に参列する場合も香典を用意します。香典の相場は5,000円〜10,000円で、故人との関係性によって3,000円・5,000円・10,000円のいずれかを選ぶのが一般的です。例えば、遠い親戚や友人の親族では3,000円、友人・知人では5,000円、親族・親しい友人では10,000円を用意するとよいでしょう。
また、地域によっては親族や親しくしていた人の初盆の際に、盆提灯を贈る風習があります。提灯代は香典とは別に故人との関係性によって5,000円〜20,000円程度を用意するのが相場とされますが、風習によっても変わるため、葬儀社や親戚などに事前に確認しておくとよいでしょう。
【葬儀の種類別】香典を包む際のマナー
近年は一般葬だけでなく、家族葬・一日葬・直葬など葬儀の種類が多様化しています。それに伴い、香典を包むマナーも葬儀の種類によって異なります。
どのようなマナーがあるのか、葬儀の種類別に詳しく見ていきましょう。
一般葬の場合
一般葬は家族や親族の他、会社関係者や友人など故人と生前に親交があった方々を招いて執り行う葬儀のことです。昔からあるオーソドックスな葬儀といってよいでしょう。
一般葬では、特別な事情や前述のような香典を用意する立場にない場合を除き、香典を持参します。参列する際は、故人との関係性や自分の年齢に合わせて相場の金額を包みましょう。
家族葬の場合
家族葬は身内を中心に、故人と親交が深かった人だけを招待し執り行う葬儀のことです。生前に故人がお世話になった方々を招待するため、遺族側が香典を辞退するケースが少なくありません。香典辞退の申し出があった場合は、香典を用意せず参列します。
故人のために何かしたい場合は、供物や供花を贈るのも故人を偲ぶ方法の一つです。供物や供花は葬儀社に相談すると用意してもらえます。ただし、香典だけでなく供物や供花に関しても辞退の申し出があった場合は遺族の意向に従いましょう。
一日葬の場合
一日葬は通夜を行わず、告別式と火葬で故人を弔う葬儀のことです。簡易的ですが、香典に関するマナーは一般葬と変わりません。香典辞退の申し出がない限りは香典を用意し、一般葬と同じように相応の金額を包みましょう。
直葬の場合
直葬は通夜と告別式を行わず、火葬のみで故人を見送る葬儀のことです。一般葬よりも規模が小さく費用も抑えられるため、香典を辞退する遺族は少なくありません。
しかし香典辞退の申し込みがない限りは、葬儀の規模にかかわらず香典を用意するのが基本です。一般葬と同じように相応の金額を包みます。
葬儀に参列できない場合
遠方に住んでいて葬儀に参列できない、体調を壊しており参列できないなどの場合は香典を送るのがマナーです。
香典を送る際は以下の点に注意しましょう。
- ・現金書留で送る
- ・喪主の自宅に送る
- ・香典袋には現金だけでなく手紙も同封する
- ・香典を郵送する前に弔電を送る
香典はポストに直接投函せず、現金書留で喪主の自宅宛てに送ります。紛失や盗難を防止する理由の他、現金を普通郵便で送ることは法律で禁止されているため、香典を送る際は必ず現金書留を利用しましょう。
香典袋には手紙を同封し、お悔やみの言葉とともに通夜や葬儀に参列できなくて申し訳ない気持ちを記載しましょう。
また、葬儀に参列できない場合は速やかに弔電を送り、香典を郵送する前にお悔やみの気持ちを伝えておくことが大切です。
まとめ
香典の金額は故人との関係や参列者の年齢によって異なり、適切な金額を包むことで故人への尊敬と哀悼の気持ちを示せます。葬儀や法要で適切な金額を包めるよう、本記事で紹介した相場を一つの目安として参考にしてください。
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