ご逝去とは？　言葉の意味や死去との違い、実際の使い方を解説

身内が亡くなった場合「逝去」か「死去」か迷う方も多いでしょう。逝去と死去は、シーンによって使い方を分ける必要があり、間違えると失礼に当たる可能性もあり、慎重に使用しなければいけません。

この記事では逝去の意味や死去との違い、言葉の使い方を解説します。また逝去に近い意味を持つ言葉や、マナーに関してもご紹介しますので、いざというときに間違えないよう参考にしてください。

逝去（せいきょ）とは？

逝去（せいきょ）は、どのような状況で使用される言葉なのかを明確に理解している方は少ないかもしれません。「死」にまつわる言葉であるため、意味を理解した上で使用しなければ失礼な印象を与えてしまいます。ここでは逝去の意味や死去との違いを詳しく解説します。

逝去の意味

逝去は死を意味する言葉で、「死ぬ」の尊敬語です。亡くなった方への敬意を込めて使用するのが一般的です。そのため身内が亡くなった際は使用せず、友人や知人、職場関係の方などが亡くなったことを伝える際に使用します。

基本的には自分よりも立場が上の方が亡くなった際に使用することがほとんどですが、年下に対しても敬意を込めて使用するケースがあります。

逝去と死去との違い

逝去と死去はどちらも亡くなることを意味する言葉ですが、使用するシーンは異なります。

逝去は先述した通り、亡くなった方に対するより敬意を込めた表現です。尊敬する人物や目上の方が亡くなった際に使用されることが多いといえます。

一方、死去は逝去と比べると事実を直接的に表現する言葉となり、尊敬の意味を含んでいないのが特徴です。特に身内の死を訃報連絡として伝える際に使用することが多いです。また新聞記事やニュースなど、広く一般的に使われます。

逝去と死亡との違い

死亡という言葉は人が亡くなったことを客観的かつ直接的に表現する言葉で、逝去とは異なります。亡くなったという事実に感情を乗せず、そのまま伝える際に使用することが多い表現です。

一般的には以下のようなときに用いられます。

• 警察からの発表や事故報告
• 医療現場の記録における死亡者数の報告

上記のように公式な場面でよく使用されるのが特徴です。主に人の死という事実を淡々と述べる際に使用されるため、亡くなった方に対して特別な敬意や配慮を示す言葉ではありません。

逝去と死去を使った例文を紹介

逝去と死去の意味を理解できても、実際どのように使用すれば良いのか迷う方も多いでしょう。ここでは逝去と死去を用いた例文を紹介しますので、困ったときは参考にしてください。

逝去を使った例文

逝去を使用し、人が亡くなったことを伝える例文をいくつかご紹介します。急な場面でも困らず使用できるように、伝え方を覚えておきましょう。一般的には身内以外の年上の方や目上の立場の方、友人・知人などが亡くなった際に使用します。

• 〇〇様が、逝去しました
• 逝去した〇〇様のご冥福をお祈りいたします
• 〇〇様の逝去の報に接し、心からお悔やみを申し上げます
• 〇〇様の逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます

本来、逝去という言葉は尊敬語であり、「ご逝去」や「逝去された」とすると二重敬語となります。ただし皇太后様が逝去した際、ある新聞社の見出しに「ご逝去」が使われたことから、この言葉が一般的になってきています。

言葉の使い方は時代とともに変化し、以前は誤用とされていた表現でも広く受け入れられることがあるため、一概に使用禁止とはいえなくなってきました。

死去を使った例文

死去という言葉を使用して、人が亡くなったことを伝えるための例文をご紹介します。一般的には家族や親族、会社の上司や部下などが亡くなった際に使用します。

• 先日、闘病中だった〇〇が死去いたしました
• 弊社社長の〇〇が死去いたしましたので、ご報告申し上げます

しかし「死」という言葉を直接使用しているため、場合によっては他の表現方法が求められることがある点に留意しましょう。

逝去に近い言葉の意味と使い方

逝去と近い意味合いで使用できる言葉はいくつかあります。逝去以外の使いやすい言葉を使用して亡くなったことを伝えても問題ありません。ここでは逝去に近い言葉の意味と、その使い方をご紹介します。

亡くなりました

「亡くなる」は「死ぬ」の尊敬語です。死ぬという言葉は直接的に死を意味しますが「亡くなる」にすることで、柔らかい印象を与えられます。以前は身内の訃報を伝える際に使用されることが多かった言葉ですが、身内以外の訃報を伝える際にも使われる機会が増えました。使用例は以下の通りです。

• 先日、〇〇が亡くなりました
• A社の〇〇様が、亡くなられました

亡くなるという言葉はすでに尊敬語であるため「お亡くなりになられました」と表現すると、基本的には二重敬語に当たります。

息を引き取りました

「息を引き取る」は、最後の呼吸が止まる瞬間を表現した言葉です。闘病の末に死を迎えた方の死を伝える際に使用されることが多く、主に身内が亡くなったときに使います。また身内以外で訃報を伝える際は「息を引き取られる」と表現することで、故人への敬意を示せます。「息を引き取る」の使用例は、以下の通りです。

• 昨日、〇〇が息を引き取りました
• 〇〇様が闘病の末、病院で息を引き取られました
• 最期は眠るように息を引き取りました

死という直接的な表現を避けて不幸があったことを伝えられるため、受け手の気持ちを配慮した伝え方だといえます。

他界いたしました

「他界（たかい）」という言葉は、文字通り「他の世界へ行く」という意味を持ちます。死後は輪廻転生を繰り返して、また生まれ変わるという仏教の考えに則した言葉だといわれています。

故人が別の世界に旅立つという意味合いがある言葉として、伝える相手にやわらかい印象を与えることが可能です。身内や身内以外にも使用できます。「他界」の使用例は、以下の通りです。

• 〇月〇日に、入院していた〇〇が他界しました
• 先日〇〇様が他界なされました
• 先月末、〇〇が他界しましたことをご報告いたします

仏教の考えに基づく言葉であり、他の宗教における葬儀では使用を避けるのがおすすめです。なお浄土真宗では死後の世界は存在しないと考えられているため、宗派によって言葉の選択に注意しなくてはなりません。

永眠いたしました

「永眠（えいみん）」は長い眠りにつくという意味で、死を比喩的に表現した言葉です。間接的な表現であるため、報告を受けた相手の心的負担を軽減できるでしょう。

永眠は一般的に文面で使用する言葉で、身内同士の会話では使用しません。遺族が喪中ハガキや寒中見舞いなどの文面で、友人や知人、近親者、仕事関係者などへ伝える際に用いる表現です。「永眠」の使用例は、以下の通りです。

• 令和〇年〇月〇日、〇歳で〇〇が永眠しました
• 先日、〇〇会社の〇〇様が永眠されました

身内以外に使用する際は「永眠された」と表現すると、敬意を表せます。

急逝いたしました

「急逝（きゅうせい）」は突然亡くなるという意味を持つ言葉です。予期せぬ死や突然の死の丁寧な表現ですが、尊敬語や謙譲語ではありません。高齢の方が自然死した場合、急逝を使用することはほとんどなく、事故や急な病状の悪化によって急に亡くなった際に使用します。「急逝」の使用例は、以下の通りです。

• 〇〇が交通事故により、急逝しました
• 〇〇様の病状が悪化し、急逝されました

身内や身内以外の方が亡くなった際のどちらでも使用が可能です。会話の中で使用するよりも、文章で使用するケースが多い表現となります。

急死しました

「急死（きゅうし）」は、事故や急な病状の悪化により、突然亡くなったことを直接的に表現する際に使用します。亡くなった方に対する配慮や敬意を示すよりも、ニュースやメディアのように、事実をありのまま伝える際に使用されることが多いです。「急死」の使用例は、以下の通りです。

• 〇〇が先日、急死しました
• 事故により多くの方が急死しました

急死は、文章よりも口頭で伝える際に用いるのが一般的な表現です。

身内に死を伝える方法とマナー

身内に対して訃報を伝える際は、デリケートな内容であるため最低限のマナーが求められます。亡くなったことを伝えるタイミングや相手、方法などを解説しますので、意識して連絡をしましょう。

訃報を伝えるタイミング

訃報を伝えるタイミングは、身内か身内以外かで異なります。身内へ連絡する場合は、亡くなってすぐに伝えるのが基本です。深夜であっても近親者への連絡は早急に行いましょう。「今電話をかけると迷惑かもしれない」という理由で連絡が遅れるのは、マナー違反となるため注意が必要です。

また身内以外へ連絡を行うのは、葬儀の日程が決定してからで問題ありません。具体的に葬儀の日程が決まってから連絡をする方が、相手も予定を立てやすくなります。

家族葬を執り行う場合における訃報の伝え方に関しては、以下の記事で紹介していますので、参考にしてみてください。

＞＞【例文あり】家族葬で訃報のお知らせにマナーはある？タイミングや注意点を解説

誰に連絡する？

身内が亡くなったときは訃報連絡を行いますが、誰に連絡をすれば良いのか悩む方も多いでしょう。亡くなったことを伝える相手の範囲と順番は決まっているため、例外がなければ決められた範囲の方へ連絡すれば問題ありません。

一般的な連絡を行う範囲と順番は、以下の通りです。

1. 家族・親族・近親者
2. 故人と親交が深かった友人
3. 知人・会社・学校の関係者
4. 遺族の知人・会社・学校の関係者など
5. 自治会・町内会・近所の人

故人と関係の深い方から順番に連絡を行うのが基本です。関係性の深さごとに連絡のタイミングにも配慮しながら、訃報を伝えましょう。

家族葬を執り行う場合における訃報連絡の範囲は、以下の記事で紹介していますので、確認してください。

＞＞家族葬の範囲はどこまで？呼んだほうがいい人の目安や葬儀の流れ

訃報連絡する手段

亡くなったことを知らせる連絡手段は定められていないため、伝える相手によって方法を変えて伝えます。一般的に訃報を伝える連絡手段として用いられるのは、以下の通りです。

• 電話
• メール
• 書面（訃報通知書・手紙・ハガキなど）
• 死亡広告

いち早く訃報を伝える相手には、電話やメールで報告すると確実に情報を伝えられます。ただし伝える相手の立場や年齢によっては、メールでの連絡を不快に感じる方もいるため、相手に合わせた連絡手段を取りましょう。

また以下の記事では、身内が他界した後の連絡や必要な準備を解説しています。

＞＞葬儀の流れと準備｜人が逝去してからの手順を解説します！

訃報連絡を行う際の例文

訃報連絡を行う際の例文を、電話とメールに分けてご紹介します。

電話の場合

お忙しい中、連絡してしまい申し訳ありません。〇〇の息子の〇〇です。昨日、闘病中であった〇〇が亡くなりました。通夜は〇日の〇時から〇〇斎場で、告別式は〇日の〇時から同じ場所で、仏式で執り行います。

何かありましたら、私の携帯（000-0000-0000）までご連絡いただけましたら幸いです。

メールの場合
件名：【訃報】〇〇他界のお知らせ

本文：〇〇がかねてから病気療養中のところ 〇年〇月〇日に他界いたしました
ここに故人が生前中賜りましたご厚情を深謝し 衷心より御礼申し上げます

また通夜・葬儀は仏式にて以下の通り執り行います

故　〇〇儀　葬儀告別式
通夜　〇年〇月〇日（〇）午後〇時より
葬儀告別式　〇年〇月〇日（〇）午前〇時より〇時まで
場所　〇〇斎場（住所・電話番号）
仏式　浄土宗
喪主　〇〇（長男）
連絡先　000-0000-0000

逝去の連絡を受けたときの返答の仕方

逝去の連絡を受けたときは急なことで驚きますが、落ち着いてお悔やみを遺族へ伝えましょう。遺族を傷つけないように言葉遣いに配慮して伝える必要があります。ここでは電話とメールで逝去を伝えられた際の返答方法を例文付きでご紹介します。

電話で逝去を伝えられたときの返答

電話で逝去を伝えられた際は、遺族は悲しみと忙しさの中にいるため、簡潔かつ遺族の心情に寄り添った言葉遣いでの返答を心掛けます。

訃報の連絡をもらったことに対する感謝とお悔やみの言葉、お悔やみに伺いたい気持ちを伝えましょう。

お知らせいただきありがとうございます。突然のことで言葉も見つからず、残念でなりません。心よりお悔やみ申し上げます。

ご迷惑でなければ早い段階でお悔やみにお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか。

メールで逝去を伝えられたときの返答

亡くなったタイミングによっては、メールで訃報連絡をもらう可能性があります。メールで返信を行う際も、遺族の心情や忙しさを考慮した内容を心掛けましょう。

またメールで連絡する場合、句読点を付けないようにするのが一般的です。句読点を付けないことで、通夜や葬儀が何事もなくスムーズに進むようにという意味を込められ、遺族へ配慮していることを伝えられます。

この度は〇〇様の逝去につきまして 驚いております

突然のことで大変な日々かと思いますが ご冥福を心よりお祈り申し上げます

本来であればすぐにでも弔問にお伺いすべきところ 略式ながら書中をもちましてお悔やみ申し上げます

葬儀に参列した際のお悔やみの伝え方

葬儀に参列する際、遺族にお悔やみの気持ちを伝える必要があります。ご遺族の心情に配慮し、なるべく簡潔にお悔やみの気持ちを伝えましょう。

• この度は突然のことで、言葉もありません。心よりお悔やみ申し上げます。
• この度はご愁傷様でした。ご遺族のお気持ちを思うと、胸が痛みます。謹んでお悔やみ申し上げます。
• 〇〇と申します。〇〇さんには、いつもお世話になっておりました。突然のことで驚いております。何の恩返しもできておらず、無念でなりません。私にできることがございましたら、遠慮なくお申し付けください。心からお悔やみ申し上げます。

お悔やみを伝える際は、死因を聞かないことがマナーです。また忌み言葉の使用も避けなければなりません。忌み言葉には「大変」「四」「九」などの不吉な言葉や「重ね重ね」「次々」などの重ね言葉があります。その他にも、不幸が続くことを連想させる「再び」「また」などの言葉が該当します。

まとめ

逝去は死を意味し、亡くなった方に敬意を払う言葉です。身内ではなく友人や知人、仕事関係の方が亡くなったことを報告する際に使用します。身内の訃報を伝える場合は死去をはじめとする別の言葉を使用するのが一般的です。言葉の意味を理解した上で、遺族や報告の受け手に配慮した言葉遣いを心掛けましょう。

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