
三回忌は、故人をしのぶ大切な節目の一つです。亡くなってから満2年目に行う法要であり、家族や親族が再び集まる機会にもなります。しかし「何から準備すべきか分からない」「親戚に失礼がないようにしたい」と悩む施主は少なくありません。
本記事では、三回忌の基礎知識から当日の流れ、準備のチェックリスト、費用相場、参列者向けの作法までを細かく解説します。加えて案内状の文例や会場選びのコツ・費用を抑える方法も具体的にご紹介しています。本記事を参考に、心のこもった三回忌法要の準備を整えてください。
目次
そもそも三回忌とは? 数え方と意味を分かりやすく解説
三回忌は、故人が亡くなってから満2年目の祥月命日(しょうつきめいにち)に営む重要な法要です。「なぜ二回忌を行わないのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。これは仏教独特の数え方によるものです。以降で詳しく解説します。
三回忌はいつ行う?
三回忌とは、故人が亡くなってから満2年が経過した祥月命日(故人が亡くなった同月同日)に行う法要を指します。
例えば2023年8月1日に他界した場合、一周忌は2024年8月1日、三回忌は2025年8月1日です。祥月命日に法要を行うのが理想的とはいえ、平日の場合は参列者の都合を考慮し、直前の土日に繰り上げて行うケースも珍しくありません。
三回忌までは親族や故人と親しかった友人を招き、比較的規模の大きな法要を営むのが一般的です。なお、三回忌の施主は葬儀の喪主が務めるのが慣習とされています。三回忌は故人への供養として重要な節目であり、遺族にとって心の整理を付ける大切な機会でもあるのです。
なぜ「三」回忌?
「三回忌」という名称に疑問を持つ方は多いかもしれません。これは年齢の数え方である仏教の「数え年」と同じ考え方に基づいています。故人が亡くなった日を「一回目の命日」に含めるため、翌年の一周忌が「二年目」、その翌年が「三年目」になります。「回忌法要の年数-1」が没後の年数になると考えれば分かりやすいでしょう。
三回忌の法要は一つの区切りであり、故人の来世を決める重要な節目であると考えられています。遺族や親族が祈りを捧げることで、故人がより良い世界へ導かれる手助けにつながります。このため三回忌は単なる供養の儀式ではなく、故人の魂の行く末を左右する重要な法要として位置付けられているのです。
法要の日程は命日より前倒しが基本マナー
本来であれば、祥月命日の当日に三回忌法要を行うのが基本です。しかし参列者の都合を考えると平日の開催は難しい場合が多いでしょう。その際は、命日よりも前の土日祝日に日程を調整して行うのが一般的です。
なお法要の日程を命日より後にずらす「後ろ倒し」は、故人をないがしろにすることにつながると考えられており、避けるべきとされています。やむを得ないケースを除き、命日より前の日で調整するようにしましょう。
一般的には命日の1週間から1カ月前程度で設定することが多く、親族間での都合を調整して決定します。会場の予約や僧侶の手配も考慮し、スケジュールに余裕を持たせることが大切です。
三回忌当日の流れ|開始の挨拶から会食まで
三回忌法要は決まった進行があり、スムーズに執り行うために前もって流れを把握しておく必要があります。読経から会食まではたいてい2〜3時間ほどかかるため、参列者も法要の流れを知っておくと良いでしょう。
僧侶入場〜読経・焼香
三回忌の開始時間になったらまず僧侶が入場し、祭壇の前に着席します。施主は僧侶の後ろに座り、その他の参列者は血縁関係の近い順に着席するのが一般的です。
施主による開始挨拶の後、僧侶による読経が始まります。読経の時間は宗派により異なりますが、30分程度が目安です。読経の途中で焼香が行われ、施主から血縁関係の近い順に焼香を済ませます。ただし宗派によって焼香の作法が違う部分もあるため僧侶に確認しましょう。
なお最近は椅子を常備しているお寺が増えており、足腰に不安がある方でも参列しやすくなっています。
法話〜僧侶退場
焼香が終わると、僧侶から仏教の教えに基づく短いお話(法話)があります。法話の時間は5〜10分程度で、故人への思いや仏教の教えにまつわる内容が語られます。故人の人柄や生前のエピソードを交えながら、遺族の心の支えとなる温かい言葉をかけてくれることもあるでしょう。
法話が終わると僧侶は退場します。このタイミングで、施主は僧侶にお布施・お車代・御膳料などを渡しましょう。これらは黒いお盆に乗せて渡すのが丁寧な作法とされます。お布施の金額は地域や宗派ごとに違うため、事前に菩提寺に確認しておくのが望ましいです。
お布施に関する詳しい内容は下記でもご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
>> お布施にダメな金額は?相場や書き方、渡し方のマナーを解説
施主の挨拶
僧侶が退場した後、施主は参列者に向かって終了の挨拶を行います。法要が無事に終わったことへの感謝と、この後の会食の案内などを簡潔に伝えましょう。
挨拶の冒頭では、参列者に対してお忙しい中お集まりいただいたことへの謝意を述べ、僧侶による読経と法話のおかげで故人をしのぶ良い時間を過ごせたことを感謝します。続いて故人への変わらぬご厚情に対するお礼と、今後とも末永くお付き合いいただきたい旨を伝えてください。
最後に心ばかりの会食を用意していることを案内し、ゆっくりと故人をしのんでもらえるよう、参列者を席へと促します。
会食(お斎)
法要後は故人をしのび、参列者をもてなす会食(お斎)の席が設けられるのが一般的です。お斎は単なる食事ではなく、故人への供養の一環として大切な意味を持ちます。
施主は会食の開始時と終了時に挨拶をします。開始時には、改めて参列への感謝を述べ、故人の思い出話を交えながら和やかに過ごしてもらえるよう促しましょう。終了時は、改めて感謝を述べ、そろそろお開きにする旨を知らせます。参列者は、退場の際に施主から引き出物(香典返し)を受け取り、解散となります。
法要全体の詳しい進行については、以下の記事をご覧ください。
>> 法事・法要の進行はどうすればいい?進め方や流れを解説
【施主向け】三回忌の準備やることリスト
三回忌法要を円滑に進めるに当たり、施主は中心人物となります。決めるべきことや手配する項目が多岐にわたるため、計画的に準備を進めましょう。ここでは、法要を進行するために知っておくべき事柄を解説します。
2〜3カ月前|日程と場所、誰を呼ぶかを決める
まずは法要を執り行う「日時」「場所」「招待する方の範囲」から決めるとスムーズです。命日より前の土日祝日を中心に日時の候補を挙げ、お寺と主要な親族の都合を確認しながら決定します。
菩提寺で法要を執り行うのが一般的ですが、最近は自宅や法要会館を利用するケースも増えました。誰を呼ぶかについては、一周忌と同様です。近年は家族だけで三回忌を行うことも増加しています。
招待する方の範囲を決める際は、故人との関係性や参列者同士の関係も考慮し、円滑な法要となるよう気を配りましょう。早めに決定することで、参列者への案内状送付や会場・僧侶の手配もスピーディーに進められます。
2カ月前|僧侶(お寺)へ連絡・依頼する
日程と場所の候補が決まったら、なるべく早めに読経を依頼する僧侶(菩提寺)へ連絡することが重要です。土日祝日は法要の依頼が集中しやすいため、早めに連絡しないと希望の日時が埋まってしまう可能性があります。
連絡する際は、三回忌法要であることに加えて希望の日時と場所を伝え、僧侶の都合を確認します。お寺以外で法要を行う場合は、僧侶の送迎が必要かを相談しておくと良いでしょう。法要の所要時間や当日の流れも確認すると安心です。
お布施の金額に不安がある場合は、この時点で相談しても失礼には当たりません。地域の相場や宗派の慣習について質問しておけば、滞りなく法要の準備を進められます。
1〜2カ月前|案内状を作成し、送付する
三回忌の1〜2カ月前になったら、参列をお願いする方への案内状を送付します。遅くとも法要の1カ月前には相手の手元に届くように手配しましょう。
案内状には、以下のような項目を記載します。
- 誰の三回忌法要か
- 日時
- 場所・会食の有無
- 出欠の返信期日
往復はがきで返信してもらう、もしくは返信用封筒を同封すると親切です。案内状の文面には正式な敬語を用いて作成し、故人との関係性に応じて内容を調整すると良いでしょう。
会場への交通アクセス・駐車場の有無・服装なども、案内状に記載しておくことをおすすめします。返信期日は法要の2週間前程度に設定し、人数確定後の会食や引き出物の手配に余裕を持たせることが重要です。
1カ月前|会食の場所と引き出物(香典返し)を手配する
案内状の返信が届き、参列者の人数が確定したら、会食(お斎)の手配を行います。お斎とは法要後に僧侶や参列者を招いて行う食事会のことで、故人をしのびつつ感謝の気持ちを表す大切な場です。
会食の場所は法要会場と同じ施設内のレストランを利用したり、近隣の料亭やホテルを予約したりするのが一般的です。予算は一人当たり3千〜1万円程度が相場となります。
日用品やお茶、お菓子などが選ばれるケースが多く、金額は2千〜5千円程度が目安です。引き出物は参列者への感謝の気持ちを込め、のしを掛けて丁寧に包装してもらいましょう。
お斎に関する詳しい内容は下記でもご紹介しています。
>> お斎とは?意味やマナー、挨拶例文まで徹底解説|お葬式後の食事の基本を知ろう
1週間前〜前日|お布施・お車代・御膳料を準備する
三回忌の直前になったら事前に新札を用意しておき、お布施や御前料などの封筒に包んでおくと、当日に慌てずに済みます。封筒は白無地のものを使用し、表書きは毛筆または筆ペンでしたためましょう。
お布施の相場は1万〜5万円とされるものの、地域やお寺との関係性によって異なります。お車代は、僧侶に会場まで足を運んでいただいた際の交通費として、5千〜1万円が目安です。僧侶が会食を辞退された場合に、食事代としてお渡しするのが御膳料で、こちらもお車代と同程度が目安となります。
お布施は奉書紙または白い封筒に包むのがマナーとされますが、お車代や御膳料はお年玉用の袋でも構いません。
前日|当日の挨拶を考え、持ち物を確認する
施主は法要の開始時や会食の前後など、要所で挨拶をする役割があります。長々と話す必要はありませんが、参列者への感謝や労いの言葉などを簡潔に述べられるよう、事前に内容を考えておくのが望ましいです。
最後に、当日の持ち物をリストアップして確認します。必要な持ち物は以下の通りです。
- お布施
- お車代
- 御膳料
- 遺影
- 位牌
- 数珠
- 引き出物
- 案内状の控え
- 参列者名簿
- 供花やお供え物(必要に応じて)
- 施主用の念珠入れ
これらをひとまとめにしておき、忘れ物がないよう準備しましょう。法要の当日は慌ただしくなりがちなため、余裕があるときに用意しておくと安心です。前日には最終確認として、僧侶や会食会場への連絡も済ませておきましょう。
どこでやる? 三回忌の会場候補とメリット・デメリット
会場選びは、法要の満足度を左右するポイントです。自宅・お寺・斎場・ホテルなどが一般的で、いずれも一長一短です。それぞれのメリット・デメリットを理解し、家庭の状況に適した場所を選びましょう。
自宅|費用を抑えられるが準備が大変
自宅で法要を行うメリットとして、会場の費用を抑えられる点が挙げられます。移動の負担がなく、リラックスした雰囲気で故人をしのべるため、小規模な法要であれば検討可能です。時間の制約が少なく、家族のペースで進められるのも魅力でしょう。
一方で、仏壇の掃除や飾り付け、参列者用の駐車スペースの確保、会食の手配など、準備を自分たちで行う必要があります。座布団や食器の準備、当日の接客なども施主とその家族が担うため、負担になる場合もあるでしょう。参列者が多い場合は、スペースの都合で手狭に感じられる可能性もあります。
お寺|準備の負担は少ないが、他の法要と重なる可能性も
菩提寺で三回忌を行う場合、祭壇や仏具がそろっているので準備の負担は減ります。お寺という場所ゆえに落ち着いた雰囲気があり、僧侶との連携もスムーズです。宗派に沿った正式な作法で法要を営めるため、故人にふさわしい供養となるでしょう。
デメリットとしては、お盆やお彼岸の時期に他の法要と重なりやすい点が挙げられます。希望の日時に予約が取れない場合もあるかもしれません。お寺に会食用の設備があるとは限らないため、別の場所に移動する必要がある点も考慮すべきでしょう。
また交通アクセスが不便な立地にあるお寺では、高齢の参列者の移動手段にも気を配る必要があります。
斎場・ホテル|サービスが充実しているが費用は高め
民間の斎場(セレモニーホール)やホテルを選ぶと、法要から会食に至るまで移動の手間がかからないのがメリットです。専門のスタッフがいるため、準備の相談から当日の進行まで手厚いサポートを受けられます。
また駐車場やバリアフリー設備が整っていることが多く、遠方からの参列者や高齢の方への配慮も抜かりありません。音響設備や照明なども付属しており、参列者にとって快適な環境で法要を執り行えるでしょう。他の選択肢に比べて会場使用料がかかるため費用はやや高くなる傾向にありますが、故人を手厚く送りたい方におすすめです。
サン・ライフでは法事や法要に適した会場をご用意しており、経験豊富なスタッフがご家族の思いに寄り添ったサポートを提供しています。詳しくは以下をご覧ください。
そのまま使える三回忌の案内状の文例
案内状は参列者への最初の案内となる重要な文書です。適切な敬語と丁寧な文章を用いて、必要な情報が分かりやすく端的に伝わるような文面を作成しましょう。ここでは文例を紹介しますので、参考にしてください。
基本的な案内状の文例
まずはベーシックな案内状の文例を、会食あり・なしのパターンに分けて記載します。
【会食ありの文例】
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
さて 亡○○(続柄・故人の名前)の三回忌法要を左記により営ませていただきます
ご多忙中恐れ入りますが ご参列賜りますようご案内申し上げます
敬具
令和○年○月吉日
施主 ○○○○
記
一、日時 令和○年○月○日(○曜日)
午前○時より法要
午後○時より会食
一、場所 ○○寺(○○会館)
住所:〒○○○-○○○○ ○○県○○市○○町○-○-○
電話:○○○-○○○-○○○○
一、会食 法要後、心ばかりの会食をご用意いたします
なお 恐れ入りますが ○月○日までにご都合をお聞かせください
【会食なしの文例】
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
さて 亡○○(続柄・故人の名前)の三回忌法要を左記により営ませていただきます
ご多忙中恐れ入りますが ご参列賜りますようご案内申し上げます
敬具
令和○年○月吉日
施主 ○○○○
記
一、日時 令和○年○月○日(○曜日)
午前○時より
一、場所 ○○寺(○○会館)
住所:〒○○○-○○○○ ○○県○○市○○町○-○-○
電話:○○○-○○○-○○○○
なお 法要のみとさせていただき 会食は控えさせていただきます
恐れ入りますが ○月○日までにご都合をお聞かせください
家族・親族のみで行う場合の文例
続いて、家族・親族のみで三回忌を行う場合の文例を記載します。
拝啓 皆さまにおかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます
さて 早いもので亡○○(続柄・故人の名前)が他界いたしまして満二年が経過いたします
つきましては左記日程により三回忌法要を執り行います
ささやかではございますが 近親者のみにて心静かに故人をしのびたいと思います
ご多用中とは存じますが ご都合をつけてご参列くださいますようお願い申し上げます
敬具
令和○年○月吉日
○○家一同
記
一、日時 令和○年○月○日(○曜日)
午前○時より法要
午後○時より会食
一、場所 ○○家自宅(○○寺)
住所:〒○○○-○○○○ ○○県○○市○○町○-○-○
電話:○○○-○○○-○○○○
一、その他 平服でお越しください
なお お忙しい中恐縮ですが ○月○日までにご都合をお聞かせください
案内状作成で知っておくべき注意点
案内状作成時に注意すべき注意点は、以下の6つです。
- 文字は毛筆または万年筆を使用し、薄墨ではなく黒墨で書く
- 「拝啓」「敬具」などの頭語と結語を正しく対応させる
- 句読点は使用せず、適切な間隔で改行する
- 忌み言葉(重ね重ね、たびたびなど)は避ける
- 故人の名前に敬称は不要(【○○さま】ではなく【○○】と記載)
- 返信期日は法要の2週間前程度に設定する
これらのマナーを守ることで、参列者に失礼のない案内状を作成できます。句読点の使用は弔事では避けるべきとされており、文章が途切れることなく続くよう配慮します。案内状は正式な文書のため、略語や現代的な表現は避けて格調高い文語調で統一しましょう。
三回忌にかかる費用はいくら?内訳と相場、費用を抑える3つのコツ
三回忌法要を執り行う際の費用は決して安くありません。事前に費用の内訳と相場を把握し、何にいくらくらいかかるのかを知っておきましょう。支払い時に慌てないよう、計画的に準備を進めることが大切です。
費用総額の目安は10万〜30万円程度
三回忌法要にかかる費用の総額は、参列する人数や会場によって大きく変動しますが、10万〜30万円程度が目安です。三回忌にかかる費用は、4つの項目に分けられます。
項目 | 内容 | 料金相場 |
お布施 | 僧侶への読経料・お車代・御膳料 | 1万~5万円 |
会場費 | お寺・斎場・ホテルなどの使用料 | 1万~10万円 |
会食費 | 参列者への食事代(一人当たり) | 3千~1万円 |
引き出物代 | 参列者への返礼品(一人当たり) | 3千~5千円 |
参列者が10人の場合、会食費と引き出物代だけで6万〜15万円程度かかる計算になります。これにお布施と会場費を合わせると、最低でも8万円、多い場合は30万円を超えることも想定されるため、大きな支出となるでしょう。
法要の費用を賢く抑える3つのコツ
三回忌法要の費用を適切に抑えながら供養を行うコツは、以下の3つです。
<法要の規模を小さくする>
親族のみや家族だけで行うことで、会場費や会食費を大幅に削減できます。少人数であれば自宅での開催も可能で、会場費を完全に抑えられます。
<会食の代わりに仕出し弁当や折り詰めを用意する>
会食(お斎)を省略し、仕出し弁当や折り詰めを用意して参列者にお持ち帰りいただく方法もあります。一人当たり1,000〜3,000円程度で済み、会食費を半分以下に抑えられます。
<香典を辞退する>
案内状に「香典はご辞退申し上げます」と記載することで参列者の負担を軽減し、同時に香典返しの費用も不要になります。
これらの方法を組み合わせることで、総費用を5万~10万円程度に抑えることも可能です。大切なのは故人への気持ちであり、規模や費用の大小ではありません。
【参列者向け】三回忌の服装・香典・持ち物の三大マナー
三回忌法要に参列する際には、故人への敬意を表すためのマナーを守ることが重要です。ここでは男性・女性に分けて参列者が知っておくべき服装の知識を紹介しますので、参考にしてください。
服装のマナー|施主から指定がなければ「準喪服」が基本
施主から服装の指定がないなら、三回忌法要では「準喪服」を着用するのが基本です。男性の場合はブラックスーツまたは濃紺やダークグレーのスーツを選び、白いワイシャツに黒のネクタイを締めます。靴は黒の革靴を選び、靴下も黒で統一しましょう。
女性の場合は、黒・グレー・濃紺のワンピースやアンサンブル、パンツスーツなどが一般的です。肌の露出は控えめにし、アクセサリーは真珠のネックレスや結婚指輪などに留めます。ストッキングは黒、靴は黒のパンプスを着用してください。
家族のみの法要で「平服で」と案内された場合も、カジュアル過ぎず落ち着いた色合いの服装を心掛けることが大切です。
法事時の服装については、以下の記事をご覧ください。
>> 法事の時の服装はどうしたらいい?男女別に解説
香典のマナー|相場は1万〜5万円、「御仏前」と書く
故人との関係性や自身の年齢、会食の有無によって香典の金額は変わります。1万円から5万円が相場とされ、親や兄弟姉妹なら1万〜5万円、その他の親族や友人・知人は3千〜3万円程度が目安です。会食に出席する場合は、相場に1万〜2万円ほど上乗せして包むのがマナーとされています。
また仏式であれば、香典袋の表書きは黒墨で「御仏前」と記入しましょう。三回忌は忌明け後の法要なので、「御霊前」ではなく「御仏前」を使用するのが正しいマナーです。お札は程よく使用感のあるものを用意し、袋に入れる際は肖像画が見えないよう裏向きにします。
香典袋の書き方や渡すタイミングに関しては、以下の記事をご覧ください。
>> 香典袋の書き方のマナー│金額相場と渡すタイミング
持ち物・お供えのマナー|数珠は必須、「消えもの」を選ぶ
当日の持ち物として、香典を包む袱紗(ふくさ)と、焼香の際に使う数珠は忘れずに持参しましょう。数珠は貸し借りをしないのがマナーなので、自前で用意します。お供え物を持参する場合は、お菓子や果物、お線香といった、後に残らない「消えもの」を選ぶのが基本です。
仏壇にお供えした後で遺族が参列者に分けられるため、個包装かつ日持ちのするものが喜ばれるでしょう。金額の相場は5千〜2万円程度が適切です。お供え物にはのしを付け、表書きは「御供」または「御供物」と記入します。
果物を選ぶ場合は縁起が良いといわれるりんごやみかんなどの丸い形のもの、お菓子なら和菓子や焼き菓子が一般的です。
「のし」のマナー|書き方や渡すタイミング
お供え物には、のしと呼ばれる掛け紙を付けるのがマナーです。水引は、黒白または黄白の結び切りを選びます。
表書きを記入する際は濃い墨を使い「御供」と書くのが一般的です。表書きの真下にフルネームを記載し、文字の大きさは表書きよりもやや小さめに書きます。夫婦で参列する場合は、世帯主の名前のみを記載するか、連名で書くかのいずれかであり、その場合は右側に夫、左側に妻の名前を書きます。
仏事用の場合は、慶事に用いられるのし紙を選ばないように注意してください。会場に到着して受付を済ませた後、施主に挨拶する際にお供え物を渡すと違和感がありません。その際は「心ばかりの品ですが、お供えください」と一言添えましょう。
年忌法要はいつまで?
故人が亡くなってから満32年目に行う三十三回忌を持って、最後の年忌法要とするのがよくあるケースです。地域や寺院の考え方によっては、五十回忌を最後とするところもあります。最後の年忌法要を「弔い上げ(とむらいあげ)」または「問上げ(といあげ)」と呼びます。
三十三回忌が節目とされるのは「亡くなってから長い時間を経るうちに魂が浄化され、どのような魂も極楽浄土へ行くことを許される」という仏教の思想や、「故人の魂が完全に個性を失い、ご先祖様の霊(祖霊)に一体化する」という考え方があるためです。
近年では少子化やライフスタイルの変化により、遺族の負担を考慮して三十三回忌を待たずに弔い上げとするケースも増えています。七回忌や十三回忌で弔い上げを行う家庭も珍しくありません。
法事の回忌に関して詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>> 法事は何回忌まで行う?法要との違いや弔い上げのタイミング
まとめ
三回忌とは、施主や参列者が故人をしのびつつ冥福を祈るために設けられる貴重な機会です。準備には多くの手間と配慮が必要ですが、故人への感謝の気持ちと愛情を込めて営むことで、心に残る有意義な法要となるでしょう。
大切なのは、形式にとらわれ過ぎることなく、故人を思う気持ちを第一に考えることです。ご家庭の事情や経済的な負担も考慮しながら、無理のない範囲で法要を執り行いましょう。
法事・法要でお困りの方や、専門家のアドバイスが必要な場合は、経験豊富なサン・ライフにお気軽にご相談ください。故人にふさわしい法要となるよう、スタッフが心を込めてサポートいたします。