密葬とは
まず、密葬の定義とほかの葬儀との違いについて解説していきます。
密葬の定義
密葬とは、ごく近しい人やご家族、ご親族だけで火葬までを済ませて、その後に本葬を行う形式の葬送儀礼を指す言葉です。
弔問客が多く訪れることが予想される著名人の葬式においてよく取られる形式であり、「まずは近しい人だけで落ち着いてお別れをして、その後でほかの弔問客にお別れをしてもらう」というスタイルをとります。
「落ち着いてお見送りをしたい」というご家族のニーズと、「大切な人とのお別れをしたい」という弔問客のニーズ、両方に応えられる葬式形態だといえるでしょう。
他の葬儀方法との違い
密葬とほかの葬儀方法との違いについても解説していきます。
一般葬との違い
密葬は、「まず近しい人とのお別れを行い、その後一般に広く告知する」というスタイルをとります。
対して一般葬は、初めから多くの人に広く告知をするスタイルをとります。
また、密葬の場合は火葬までを身内で済ませてから弔問客を別日に受け入れるかたちをとりますが、一般葬の場合は火葬前に弔問客が故人と対面することができる方法だという違いもあります。
家族葬との違い
密葬も家族葬も、「限られた人だけで故人を見送る」という形式に違いはありません。またどちらも、「招かれた人は他者に口外しない」という決まりがあります。
しかし密葬の場合は、後日に「本葬」を行い、多くの弔問客を受け入れて故人とのお別れの場面を作ります。
対して家族葬の場合はこの「後日のお別れ」はなく、限られた人だけでのお別れのみで葬送儀礼が終了します。
友人葬との違い
「密葬」と似た言葉として「友人葬」があります。しかしこの2つは、まったく異なるものです。なぜなら「友人葬」は特定の宗教(創価学会)の葬儀を指す言葉であり、密葬は葬送の形式のうちのひとつだからです。
字面の印象は似ていても、「特定の宗教の葬儀」である友人葬と、宗教を定めず身内だけで見送る密葬には、本質的な違いがあります。
密葬の流れ
密葬の流れは、「何日間に渡って密葬を行うか」によって異なります。
※下記では仏教の葬儀を想定しています。
2日間に渡って行われる密葬
2日間に渡って行う葬儀は、以下の流れをとります。
- 【1日目】通夜
- 【2日目】葬儀・告別式
- 【2日目】火葬
- 【2日目】繰り上げ初七日法要~精進落とし
- 【後日】本葬
通夜も行うのが、2日間に渡って行うスタイルをとるときの特徴です。
1日だけで完結する密葬
1日だけで葬儀を行う場合は、以下の流れをとります。
- 【1日目】葬儀・告別式
- 【1日目】火葬
- 【1日目】繰り上げ初七日法要~精進落とし(※省略される場合もある)
- 【後日】本葬
1日だけで行われる場合は、「通夜」を行いません。密葬自体は1日で完結します。
直葬形式の密葬
最後に、「直葬(火葬式)形式の密葬」の場合を見ていきましょう。
- 【1日目】火葬
- 【後日】本葬
直葬形式の場合は、通夜や葬儀・告別式を執り行いません。火葬炉の前で簡単なお別れをして火葬にして、収骨をして終わりです。基本的には、繰り上げ初七日法要や精進落としの席も設けません。
密葬の費用相場
密葬の費用の目安を求めることは、非常に難しいといえます。
密葬自体の費用は150,000円~100万円程度が目安となりますが(火葬式がもっとも安く、2日間に渡って行われる葬儀がもっとも高い)、密葬はこの後に「本葬」がくることが前提となります。
そして「本葬」は、多くの人が集うものであるため、費用が読み切れないのです。
場合によっては、総額が1,000万円を超える可能性もあります。
密葬の注意点
密葬を行う場合の注意点として、
・周囲に知られないように気を遣わなければならない
・本葬にしか参列しない人は、故人との対面の機会がない
の2点が挙げられます
なるべく周囲へ伝わらないようにしなければならない
密葬は、その名前の通りひそやかに行わなければならないものです。そのため、周囲の人に知られないように気を遣わなければなりません。
密葬に参列してほしい人には必ず口止めをしなければなりませんし、葬儀社にもそれを伝えなければなりません。
また、家に霊柩車が来てしまうと、近所の人から「不幸事があったのだな」と気づかれてしまいます。そのため、安置場所にも気を遣わなければなりません。密葬の場合の安置場所としては葬儀社や葬儀会場の控え室がよく選ばれますが、ご遺体用の特別なホテルを利用することも選択肢のひとつとなります。
本葬にしか参列しない方は故人と対面する機会がない
密葬は、火葬までを身内だけで行うものです。そのため、後日に「本葬」というかたちでお別れの場が設けられたとしても、参列者は「肉体を有している故人」との対面は行えません。
このような特徴を持つため、「近しい関係者であり、かつ口の堅い人」に対しては、密葬を検討していることを一度相談する方がよいでしょう。
密葬に関するよくある疑問
最後に、密葬に関するよくある質問をピックアップして、それに対する回答を記していきます。
服装はどうすればいい?
密葬も葬儀の形式のうちのひとつなので、喪服で参列することが望ましいでしょう。ご家族・ご親族・参列者、いずれの立場であっても、準喪服を着ていけば問題ありません。このときの服装のマナーは、一般的な葬儀のそれに準じます。
ただしご家族側から、「近しい人だけでお見送りをするので平服で」と言われた場合などはそれに従います。
弔辞はある?
密葬の場合は、ご家族やご親族など、近しい人だけでお見送りをするかたちをとるため、弔辞が読まれることはないと考えてよいでしょう。
ただし本葬のときには、弔辞が読まれるのが一般的です。また著名人の葬儀であるため、弔辞を読む人が複数人になることもよくあります。
会社への連絡はどうすればいい?
故人が会社などに所属していて、かつ会社関係の人の密葬への参列を希望しない場合は、「密葬でお見送りすること」だけを伝えるようにするとよいでしょう。多くの場合は、これを伝えれば相手の方で「密葬であり、具体的な日付などを伝えられていないということは、参列はお断りしたいということだな」と察してくれるはずです。
また、不祝儀や供物・供花に関しては、「密葬の場ではお断りする」とされる場合もあります。自分が喪家の立場であるのなら、「密葬であること」を伝える場合に、「ご厚志は辞退する旨」を丁寧に伝えるとよいでしょう。なお、不祝儀や供物・供花を辞退しない場合は、これを伝える必要は特にありません。
まとめ
密葬とは、「ご家族やご親族、近しい関係の人だけで火葬までを済ませて、後日『本葬』というかたちでお別れの場を設ける葬送形式」をいいます。
「静かに家族だけで見送りたいという気持ち」と、「お別れをしたいという弔問客の気持ち」の両方のニーズを満たす葬式の形式だといえるでしょう。
なお密葬は、一般葬とは「参列者を受け入れるタイミング」という点で、家族葬とは「本葬の有無」という点で、友人葬とは「葬送形式のひとつか、それとも特定の宗教の葬儀か」という点で区別されます。
密葬の流れは、「何日間に渡って行うか」によってその流れが変わります。また費用もそれによって変わりますが、密葬の場合は「その後に行われる本葬の規模」によっても大きく左右されます。場合によっては、1,000万円を超える費用がかかることもあります。
密葬の場合は、「ほかの人に知られないようにしなければならない」という点と、「本葬にしか参列できない人は、故人との対面ができない」という注意点があります。
密葬に参列する場合は、喪服を着用します。弔辞は基本的には読まれません。会社に連絡する際は、密葬であることを通知しましょう。
サン・ライフは、密葬~本葬も取り扱っています。静かに故人をお見送りしたいという方は、ご相談くださいませ。
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査 1級葬祭ディレクター
高橋 竜一
株式会社サン・ライフは安心のご葬儀・お葬式・家族葬をお手伝いいたします。